イリスジャパンのペルー産オリーブオイルがシェフや百貨店で認められる商品になるまで。
イリスジャパン株式会社は、福岡市で日本初上陸のペルー産オリーブオイル「バジェスル」を産地直輸入・販売している小さな会社です。
2020年3月末に南米ペルーよりバジェスルを初入荷。その後、コロナ禍に直面しながらも、なぜミシュランや食にこだわりのあるシェフ、そして百貨店に認められる商品に育てることができたのかについて、輸入背景や様々な困難の体験を交えながら、イリスジャパン代表取締役のウィリアムズ 牧子がお話しさせていただきます。
ウィリアムズ 牧子:油絵アーティスト兼イリスジャパン代表取締役
【バジェスルを輸入するまでの背景】
子育て終了後に始めたアート活動、自らの油絵の個展を自宅で始め、少しずつ外へ向かって活動の場を広げるうちに、様々な理由でアートを諦めざるを得なかった多くの女性たちと出会うようになりました。
そこで、経済的な自立なくして女性は気兼ねなくアートを楽しむ事も、一枚の絵を買う事も出来ないと痛感します。
そんな折、大学生の息子が住むイギリスを訪ね、ロンドンで見つけたひと瓶のペルー産のオリーブの実の美味しさに感動を覚えます。
世界中で美食の国として知られるペルーの美味しい食文化を日本に紹介したいと、食品業界の仕事は初めてでしたが日本で食品の輸入販売会社を立ち上げることにしました。
当初はロンドンで食べたペルー独自の大きな完熟オリーブの塩漬けを輸入して日本の皆さんにもその美味しさを知ってもらいたいと思っていました。
しかしオリーブを食べる習慣が日本にはあまり無い事から、「あんなに美味しいオリーブの実があるのなら、オリーブオイルも良いものがあるに違いない」と思い、ペルー産のオイルを探すうちに「バジェスル」と出会います。
ペルー南部タクナ地方で、商業ベースに乗れない零細オリーブ農園をまとめてオリーブオイル、バジェスルを生産しているAgroindustrias Gonzales SAC 社との交渉では、日本と南米とのビジネススタイルの違いに戸惑うことも多々ありました。
しかし、「是非とも国際大会で受賞したペルーのブランドのまま、ペルーのボトルでバジェスルを展開したい。
素晴らしい食材がペルーにあるという事を日本の皆さんに知ってほしい」というペルーの生産者の想いを尊重するべく、何度も交渉を重ねました。
そして、日本とペルー双方の文化を知るペルー人の友人をコーディネーターに、粘り強く交渉を続けて1年後、ついに日本への輸入が決定。2020年3月、日本に初入荷を果たします。
しかし、折しもコロナの最初の緊急事態宣言と重なり、また、ヨーロッパ志向が強く、ヨーロッパ産のオリーブオイルが大多数を占める中での南米ペルー産のバジェスルのプロモーション活動は困難を極めました。
【コロナ禍での困難】
入荷がコロナの第一波と同時期だった為、まだ未知のウイルスという事で不安が大きく、小さな子どもがいるスタッフへの感染防止も考慮してしばらくは店舗を閉めざるを得ませんでした。
お客様への積極的な宣伝活動も出来ず売り上げは低迷、プロモーションイベントや食のイベントも軒並みキャンセルになり、レストランも客足の減少で食材の消費が伸びず、卸販売も苦戦している状況。
それに加えて百貨店の催事販売でも客足の大幅な減少に加え、コロナの感染防止の為に試食を提供できず、味と香りに違いのあるオリーブオイルという特徴をお客様に知っていただくことがなかなかできませんでした。
しかしお客様が少ない時こそ、まずはレストランのシェフにペルーのオリーブオイルを知っていただけるチャンスだと捉えて、まずはバジェスルの味をシェフの方たちに知って頂く事にしました。
【コロナ禍の困難を乗り越えるためにとった行動】
私自身の持ち前のフットワークと、バジェスルという素晴らしい商品を信じながら、まずはトップダウンで味を見てもらおうと、九州のフレンチの最高峰の「ロルキデ・ブランシュ/オテルグレージュ」を標的に定めました。
国内外で多数の受賞歴を持つミシュランシェフ・ソムリエである兵頭シェフにお会いしてご賞味いただいた事で、ペルーのオリーブオイル・バジェスルのパンチのある味と香りの高さを高く評価をいただき、そのままレストランでも使っていただける事となりました。
後にはバジェスルのためのスペシャルメニューも実現。他のレストランのシェフも紹介をして頂き、フレンチやイタリアンシェフ達の間でも「バジェスルはパンチのある味を持つ、調味料として使える、今までにない香り高いオリーブオイル」として、紹介や口コミで広がるようになりました。
シェフ達もバジェスルがきっかけで、美食大国として世界的に認知されるペルーの食材や食文化に目を向け、興味を持っていただけるようになりました。
一方、コロナで百貨店の売り上げが落ち込む中、いままでにない商材を探していた百貨店のバイヤーの方にも根気強く連絡を取った結果、ご賞味頂く事に成功。
「こんなに香り高くてコクのあるオリーブオイルは食べたことがない」と、味を高く評価してもらう事ができました。
その後、福岡岩田屋・福岡三越でバジェスルのプロモーション催事を開始。試食ができないという状況の中で、持ち帰り用の小さなサンプルボトルを作って無料配布を始め、お客様にまずは味を知ってもらい、ファンになっていただける方も少しずつ増えてきました。
いくつかの催事販売を経て、福岡岩田屋でバジェスルを定番商品化する事に成功。
また、東京都の日本橋三越本店からもバジェスルのプロモーション催事のお誘いを頂き、今年5月、緊急事態宣言下ではありましたが日本橋三越にて催事販売、そして定番商品化が新たに決定。
愛知県のJR名古屋高島屋でも今年5月から定番商品としてのお取り扱いが始まりました。
バジェスルの美味しさを知って頂く上で、「女性がもっと自由に社会参加できるようになるためにも、男性にもっと料理を楽しんでほしい。」
「料理の苦手な人でも美味しい料理を楽しんで欲しい。」との思いから、オリーブオイルを納豆に入れる、レモンとオリーブオイルのヘルシーなサラダなど、美味しく食べられる超簡単なレシピも同時に紹介しています。
今まで料理をした事のない男性からも料理が楽しくなったとの声を頂くようになりました。
バジェスルを育てる一方で、コロナ禍においても努めて遊び心を忘れない様に、アートを生活に取り入れてお客様に楽しんでほしいとの思いから、代表が自ら製作した油絵作品を銀行のスペースに飾って頂いたり、アート仲間とアートイベントに参加したりして、ビジネスとは離れたところでの活動も意識的にするようにしています。
アートと同時に少しずつ展開していることが高齢者福祉施設とのコラボ。
施設利用者の方がリハビリのために手作りされる木綿の刺し子の布巾を買い取らせて頂き、商品購入時のプレゼントとしてキャンペーン時などにお客様に差し上げるといった活動もしていて、刺し子布巾は知る人ぞ知る、人気のアイテムとなっています。
「年齢を重ねても会社組織と一緒に活動して社会参加をする。」ことで施設利用者の方のモチベーションが非常に上がるとのお声を頂き、決まったデザインの物の製作をお願いするのでなく、あえて利用者の方にデザインも色使いもお任せして、自由にアート活動としても楽しんでいただけています。
【今後の展望】
どのような状況であれ、常に変化を恐れず、前向きに、そして柔軟に、知恵を絞りながらバジェスルの輪、アートの輪、人との輪を結びつけることで年齢、性別、個性を超えて活動の輪を広げていきたい。
そしてコロナ禍が落ち着いた頃にはペルーのバジェスル生産者の方たちを訪問し、日本ならではのオリーブオイルのレシピや、オリーブを使った新しい商品のアイデアで、更なるペルーの地域発展、そして日本との国際交流に貢献したいと思っています。
◆イリスジャパン株式会社
https://iris-japan.co.jp/
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