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過疎化や空き家問題を解決したい。熊野古道沿いの人口70人の集落に、大阪の不動産会社が宿を開業する理由

著者: 株式会社日本ユニスト


1千年以上の奥深い歴史と、豊かな自然を持つ世界遺産・熊野古道。

古道沿いの人口わずか約70人の集落・和歌山県田辺市中辺路町高原に10月、古民家をリノベーションした宿泊施設「SEN.RETREAT TAKAHARA」が開業します。

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宿不足、過疎化、空き家問題…。

この地に積み重なる様々な課題を解決するべく立ち上がったのは、大阪の不動産開発会社である株式会社日本ユニスト。

これまでデベロッパーとして事業を行ってきましたが、設立から10周年を迎える2021年、新たな事業に踏み出します。地方創生実現のため、熊野古道を歩きながら泊まれる4カ所の宿泊施設の運営を開始します。

立ち上げからSEN事業に携わってきた田辺市中辺路町出身の天野彩に、オープンまでの道のりを振り返ってもらいました。




深刻な宿不足

2019年春に日本ユニストに入社するまでは、田辺市にある官民共同の観光プロモーション団体で働いていました。熊野古道は世界遺産登録後、国内外から多くの観光客が訪れており、仕事は毎日、目が回る忙しさでした。


観光客で活気づく一方、熊野古道が抱えてきた問題があります。

それは宿泊施設が不足していることです。


熊野古道沿いは1組限定の民宿など小規模なものが多く、コロナ禍前は春や秋のハイシーズンは予約が2年先まで入っている状態でした。週明けに出勤したら、海外から予約依頼が100件以上入っていることもあり、需要と供給が全く伴わない状況でしたね。



熊野古道は4~5日間かけて複数の宿を泊まり歩くため、宿を確保できない日があると、巡礼できなくなってしまいます。また、宿を予約できずに民家近くで野宿するなど、地元住民に不安を与える事態も起きていました。


この現状について、知人である日本ユニストの今村社長に、食事の席で何気なく話したことが大きな転機となりました。「うちの会社だからこそできる何かがあるかもしれない。よかったら、一緒に宿泊施設をつくらないか」とお声がけいただき、転職することになりました。





観光客のニーズ理解と、地元との共生

入社1カ月後には、全社員で熊野古道に泊まり込みで実地調査へ行きました。

国道から離れた山間の物件ばかりで、「え、こんなところ…?」とみんなこぼしていましたね。過疎化が進む集落で、買い手がつかないまま時が止まっているような物件も多くありました。


ただ、実地調査を終えてから物件購入までは迷うことなくスムーズに進めることができました。理由としては、「日本ユニストがこれまで他社がやらないような土地を手掛けてきたこと」が大きいです。


大手のデベロッパーだと購入を見送るような変わった土地でも、工夫して開発してきた経験と実績がうちにはある。不動産開発の担当者が見て、ビジネスモデルがひらめいた土地を選び、事業を本格始動させました。



私個人としては、2つの視点を持ってこのプロジェクトを見てきました。


1つは観光客のニーズ視点

例えば民宿だと、お風呂やトイレは他の宿泊客と共同で使うところが多いです。

そこで、SENではウォシュレット付きトイレと洗面台のほか、シャワーも独立したものを6つ設置し、他との差別化を図りました。収益を出せるビジネスモデルを作り上げられるように、攻めの目線は常に忘れないようにしてきました。


2つ目は地元の目線

のどかな田舎の地域なので、観光地化をあまり望んでいない方もいる。利益を追求するだけではなく、地元の方々と良い関係を築こうとする努力をしなければ、バランスが崩れてしまうと考えています。

  


「SEN.RETREAT TAKAHARA」は当初、2020年5月に開業する予定でしたが、新型コロナにより約1年半延期になりました。もう少し早くに開業することも可能でしたが、地元の目線を持つ立場として、ずっと待ったをかけてきました。

というのも、この地域には高齢者の方が多いので、感染が拡大している状況で開業して何かあっては大変です。敬遠されても当然だと考えていました。


地域に根ざした企画開発により土地の価値を向上させることは、これまで日本ユニストが実践してきたこと。今回も宿のオーナーとして地域になじむことを優先的に考え、長い間時機を伺ってきました。





1千年の歴史を持つ熊野古道を次世代に継承したい

「SEN.RETREAT」が開業することで、もう一度地元が息を吹き返すのではないかと期待しています。

雇用を創出することで、市街地に働きに行っている人が地元で働けるようになり、移住者の誘致にもつながる。

空き家として放置されていた物件が、観光客が集う場所として生まれ変わる。

地域全体が活気づき、地方創生につながると信じています


過疎化や空き家問題などの社会問題解決を掲げるSEN事業が1つのビジネスモデルとして確立されれば、同様の課題を抱える別の地方でもこの先お役に立てるのではないでしょうか。


宿を建てることは1つの手段に過ぎません。

熊野古道の周辺を持続可能な地域にするために、今後も枠にとらわれずさまざまな挑戦をしていくのが、中辺路で生まれ育った私の使命だと考えています。



SEN.RETREAT TAKAHARA公式サイトはこちら




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