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80代の著者さんもおられます。

8万人視聴した佐賀インハイ代替大会LIVE配信。その裏で全力をかけ戦ったグリーンカード若手社員の苦悩と挑戦

著者: 株式会社グリーンカード

(小林)


佐賀県のインターハイ代替大会、SSP杯。


サッカーの試合の1回戦~準決勝までの動画配信を請け負ったのは株式会社グリーンカードである。


その日、熱戦の舞台裏で起きていたスタッフのドラマを、少し紹介させてほしい。

6月13日、雨、風、雷。

「どうしよう、とかは思わなかったですね。というよりも、そんなことを考える暇がないくらいヤバかった。ここまでいろいろなことが起きるのか、と思ったくらい起きまくりました」(スタッフ・小林)


大会初日は雨だった。

普通の雨に対する備えはあった。


しかしその日、梅雨の雨ではなく、台風を思わせるかのような横風が吹いた。機材が次々とトラブルを発し、機器接続を修正する隙間からも雨が容赦なく吹き付ける。


撮影場所を変えるためにカメラを動かすときにはテントも動かさないといけない。かき集めても1会場に配置できたスタッフは3人。普通なら6人で動かすテントは、撮影を続けながら残りの2人が動かさなくてはならない。


「もちろん、ダメな場合の想定はしてたんです。でも、その想定をはるかに超えた。急にネットワークが弱くなったり、続けざまにPCや機材がダメになっていったり。でも1日目はまだなんとかなった。問題だったのは2日目です」(小林)

6月14日、ブラックアウト。


(小出、川原)


「前日と同じく、雨ではありましたが、朝は本当に弱い雨だったんです。やっぱりいい絵を撮りたいじゃないですか。雨のテントの中だと、コーナーキックにテントの柱が被ることがあるんですよ。いい映像を撮りたくて、テントを出て高めの場所にカメラを配置したんです。でもそれが裏目に出てしまった」(スタッフ・川原)


川原はこの大会に備えて、昼夜の別なく準備をしてきた。周囲がいくら休めと言っても聞かなかった。佐賀県は川原の出身地。彼自身がサッカーにまみれた少年時代を過ごした土地でもある。もちろん高校時代は、インターハイにもキャプテンとして出場している。


「さあ、配信だと思ったときに、PCが動かなくなりました。前の日のセッティングと同じだったのに、気づかない間に雨に濡れたのかもしれない。画面が暗くなり、何とか映像を戻してつなぎましたが、不穏だなと思いました。横風が強くなってきて、接続器の雨カバーを突き抜けるかもしれない、突き抜けたらやばいなと思いました。


2試合目に完全に接続器がイカれたんです。修正しようにも、修正する指の隙間から雨が入り込んでしまう。完全にLIVE配信ができなくなって…パソコンの接続を変えて対応しようと思いましたが、切り替えができなかった。そうしているうちに、Youtubeのチャンネルに、コメントが並ぶじゃないですか。こんなに楽しみにしている人がいるのに、僕は何もできない。何とかしたいのに、本当に何とかしたかったのに、何もできなかった。

恥ずかしい話ですが、放心状態になってしまいました。頭の中が真っ白になりました。2試合目も録画はしていたので、後日アップすることはできるのももちろんわかっていました。


でも、やっぱり僕はLIVEで配信したかった。楽しみにしてくれている人に、リアルタイムで試合を届けたかった。あんな配信だったのに、会場で選手や保護者の方々から感謝してもらえたんです。『雨の中大変だね、ありがとう』『思い出に残ります、ありがとう』って。もっとできたはずだったんです。できないといけなかったんです。


耐えられなくなって現場を離れてふらふら歩いていたら、代表がいました。まだできることはある、あきらめるな、そういって機材をかき集めに車で他会場へ行ってくれたんです」(川原)


2試合目が終わった会場から、機材を抱えて駆け付けたのは小林だった。会場の駐車場は満車。羽生の運転する車から途中の道路で下ろされた小林は、「機材は濡らせない、でも早く行きたい。どうやってあの雨の中走ったのか実はあまりよく覚えていない」という状況下、川原のもとに駆け付け、協力して3試合目を配信した。

5月28日

(代表 羽生)


時は戻って2020年5月28日。

弊社代表 羽生博樹のもとに、1件の電話があった。


「佐賀県の後押しもあり、インターハイの代替大会が開催できることになった。高校生が新しい生活に踏み出す一歩になる大事な大会です。動画配信が可能かどうか、特設サイトなどの構築が可能かどうか教えて欲しい」


佐賀県サッカー協会 野田2種委員長からの電話だった。


野田委員長と羽生が直接会えたのは6月2日。

大会まであと2週間を切っていた。

6月2日、始動。

(川原(左)、小林(右))


ライブ配信をしたい。決勝、準決勝だけの動画配信ではなく、全員の記念に残る大会をしたいので、1回戦の全試合だけでいい。動画配信をしたいんだ。


たとえ1回戦をすべて動画で映しても、そこに映れない選手も絶対にいる。その選手も含めて、全員が映っている写真を掲載するサイトも欲しい。こんな時期だからこそ、選手たちにはかわいそうな思いをさせている。全員でこの大会を迎えさせたいんだ。


野田2種委員長の言葉は、自粛期間中どれだけ指導者たちがこの事態を我慢してきたかを伝えて余りあるものだった。インターハイの中止が発表された4月28日から、世の中はインターハイを中断された生徒にスポットライトを当ててきた。しかし、指導者も中止にただ手をこまねいていたわけではない。その間、代替大会ができないかどうか必死に模索してきて、各方面に賛成を取り付けての開催にこぎつけた様子を、野田2種委員長は羽生に語った。


「協会に予算があるわけではない。すぐに払えるわけでもなく、選手権での収入を見越しての相談です。無理を言って申し訳ない」


羽生は快諾した。


羽生の子どもも高校サッカーをしている。インターハイの中止も切実に受け止めていた。


(代表 羽生)


ところが、次々と問題が浮上した。


普段、撮影が重なると社内スタッフ以外に外部のプロ動画カメラマンにも依頼して対応してきた。今回はとにかく、日程が足りない。


日程が急なのに加え、新型コロナウイルスの影響もあった。緊急事態宣言は解けたものの、たとえば本州から呼び寄せるような長距離移動がしにくい雰囲気もあった。いつもならできていたカメラマンの調整が、今回はできなかったのである。


社内で対応するしかない。


株式会社グリーンカードのスタッフは9名。

うち、今まで動画に携わってきたスタッフは2名。


会場は全部で6つ。


社内でデータの即時反映をする人間も必要だ。

静止画のカメラマンとして、普段からカメラを得意にしているライターも駆り出した。


営業の人間も引っ張り出した。


(小出)


「動画も初めてですし、学校の取材も初めての体験です。でも、どんな高校に取材に行ってもあたたかく迎えてくれました。一緒にやろう、という姿勢が指導者の皆さんからも伝わってきました。急なアポだったのに嫌な顔もせずに受け入れてくれて、本当にみんなが一丸となってこの大会に賭けている様子がよくわかりました」(営業スタッフ・小出)


「その時期にちょうどインターンさんが2名来るから、その方々にもやってもらおうと。インターンさんたち、大会前日の16時に会社に来て初めて出席した会議が、決起集会でした。翌日はもう現場入りですよ。きつかったろうなと思いますが、よく頑張ってくれました」(小林)


機材もない。

予算もない。


(原武(左))


できるだけの機材で間に合わせるしかないし、レンタル機材も使うしかない。機材は1日刻みでレンタル料がかかるため、コスト的な問題から前の日にしか借りられない。それでも赤字だ。


「研修はしましたが、自社の機材を使っての研修しかできない。不慣れな機材を使うデメリットはよく承知しています。みんながもう1日早く機材に触れられたら、もっといい準備ができるかもしれない。


でも、できるだけのことをするしかないんです。当日に全試合のアップロードを、と考えましたが、パソコンのスペック的に社内のものを全部集めても到底足りない。足りない尽くしでしたが、どうにかならないか、とみんなで何度も確認しました」(小林)



1回戦に出場する高校は32チーム・33校。


「全員の記憶に残る大会を」というゴールに向けて、全校に取材に行こう。写真を撮ってサイトに掲載し、キャプテンインタビューも撮ろう。大会への意気込みを語ってもらおう。


「全員の記念になるように、という野田委員長の気持ちを受け止めたかったんですよ。だったら、サイトも全部の学校の動画を載せて、試合に出られない子も掲載できるように。高校3年間、一生懸命頑張ってきた子供たちと、一生懸命それを支えてきた指導者の熱に応えられなかったら、僕たちがこんな仕事をやってる意味はない」(羽生)


赤字は飲もう。最高の指導者たちのために、最高の仕事をしようじゃないか。そして6月5日、社内は一斉に佐賀県内の高校に飛んだ。3日間で作り上げたホームページに載せるための全校取材が始まった。スタッフは6月5日から6月10日までの6日間で全校を回った。

そして6月13日、14日。


横殴りの雨、強風。唐津会場は雷のため、2度も試合が中断した。


2日間にわたる1・2回戦は終了した。視聴回数は8万回を超えた。約束していた配信は終わったが、スタッフの気持ちはおさまらなかった。

会場との共同作業

(澤田)


「僕はサッカーのライブ配信の消費者側だったので、できて当たり前だと思ってたんです。でも、こんなに大変なんだな、できて当たり前じゃないんだと痛感しました」(スタッフ・澤田)


澤田の初日会場は、雷で中断された唐津会場だった。


レンタルの三脚とカメラの設置部分がここへきてうまくジョイントしない。横殴りの風は、テントを揺らした。


「テントが飛びそうになって、唐津商業高校の生徒さんが体育倉庫からおもりを出してくれたんです。筋トレ用のダンベルを四隅において飛ばないようにテントを固定してくれて。


生徒さんたちは、僕たちの荷物が地面で雨に濡れているのを見て、パイプ椅子を出してくれたりもしました。何も言っていないのにどんどんサポートしてくれる。とてもありがたかったし、ゆっくりお礼を言いたかったんですが、当日どたばたしていて言えなかったのが心残りです。


2日目も、会場の選手たちが片づけを手伝ってくれたんです。佐賀東の選手を中心として、その会場にいたすべてのチームの子が誰かしら手伝ってくれたのではないかなと思います。佐賀の高校生たちに感動しました」(澤田)



満足にはいかなかった配信。それでも、選手と保護者、指導者の目はあたたかかった。


ずっと全会場を行ったり来たりしながら、会場間の調整や機材の運搬をしていた羽生も語る。


「川原は全然休んでいなかったし、ほかのスタッフも6月に入ってからはほとんど休みを取っていない状態。当日も雨が降ってるのに、作業優先でカッパも着ない。当然びしょ濡れです。早く休ませたくて『早く帰れよ』って声をかけるのに、帰らない。何が原因でうまくできなかったのか、次はどうしたらいいのか、2日目は3時間くらい試合後にミーティングをしていたって聞いてますね」

「このまま終われない」


佐賀県サッカー協会と約束していた「1回戦全試合」は終了した。が、配信はまだ続く。


ここでやめたら失敗で終わる。もう少し配信を続けさせてほしい」とスタッフが羽生に請願し、続行が決まったのである。

続行が決まったといっても、どこからコストが出るわけでもない。やらなければいけない日々の仕事が減るわけでもない。それでもスタッフを駆り立てたものがあった。


「Youtubeのコメント欄を見ていて、悔しさが募るんです。僕が失敗したのは、機材の失敗ではなく、途中であきらめてしまったことだった。成功させるために何ができるかを考えなければならなかったのに、あきらめてしまったところが僕の失敗だったんです。


もう一度やりたい。佐賀の保護者の方々は、あの配信でも僕に感謝の言葉をくれました。最後まで追いかけて、本当にこの大会が開催されてよかったって思ってもらいたい」(川原)


決勝の放映は佐賀テレビで行われることが決まっている。それまでの準決勝までをグリーンカードが引き続きLIVE配信させてもらえることが決まったのは、1回戦の翌日。6月15日だった。


今週末も、そして来週も準決勝までグリーンカードチャンネルでSSP杯サッカー大会は配信される。


大会HP

ライブ配信

そして徳島へ、沖縄へ。

(打ち合わせ中の澤田(左)と川原(右))


先駆けて行われた佐賀のSSP杯に続く大会は、全国で検討されている。

徳島のインターハイ代替大会でも1試合目の動画配信と特設サイト作成をグリーンカードで行うことはもうすでに決まっている。

また、沖縄でも。


「サッカー協会にお金が潤沢にある地域はおそらくない。地域のサッカー協会では、手弁当で運営しているところもあるくらいなんです。でも、運営者・指導者みんなが選手たちのために大会を実施したい、たとえ状況が変わって無観客試合になろうとも、選手を支えてくれた方に見てもらいたいという熱い気持ちを持っている。


だったら、ということで、クラウドファンディングなどを利用してインターハイの動画放映にかかる金額を捻出しようとしています。これからの時代はこういう流れが主流になっていくと思います」(羽生)


大会2日目、車で川原を家まで送っていった澤田は語る。


「僕はもう無我夢中だったんですけど、川原と話をしながら帰る途中、悔しさがこみ上げてきました。楽しみにしてくれている人のために絶対に盛り上げよう、とやってきたのに結局トラブルに振り回されてしまったから。

みんな動画喜んでくれたのかな、とか。配信できなかったことがとても残念過ぎて、準備してきたつもりだったのに足りなかったな、と思って。運転しながら、悔しいな、ほんと悔しいなと思いました」


2試合目終わって、真っ白になってしまった川原を3試合目の配信に引き戻したのは、いったいどんな気持ちが川原の中に生まれたからだろうか。澤田に聞いた。


「僕が言っちゃっていいのかな(笑)。ダメだと思うんですよ。次が成功したら、きっと川原から言ってくれると思います」


今週末も彼らの挑戦は続く。


ピッチ内外の熱を支えるために。

ぜひご覧ください。


大会HP

ライブ配信


【コロナウイルスに負けない】スポーツチームの存続危機を救おう


徳島のインターハイ代替大会も配信します

挑戦の舞台は無観客不可避。それでも保護者に届けたい!徳島県もインターハイサッカー代替大会実施 村山孝博 2種委員長インタビュー


執筆者:水下真紀(株式会社グリーンカード統括編集長)




事業説明

会社名 : 株式会社グリーンカード

オフィス : 〒810-0001 福岡市中央区天神2-11-1 福岡PARCO新館5階

代表者 : 羽生博樹

設立 : 2015年1月

URL:https://www.green-card.co.jp/


事業内容

・メディア運営

・チーム・スクール・大会HP制作、運営

・運営・集客コンサルティング

・クラウドファンディング型チーム支援サイト運営

・ECサイト運営

・イベント企画・運営

・ライブ配信サービス


主な運営サイト

・月間170万人が訪問 - 「ジュニアサッカーNEWS」

https://www.juniorsoccer-news.com/

・地域密着サッカーポータル - 「全国少年サッカー応援団」

http://www.junior-soccer.jp/

・チーム専用HP制作サイト - 「グリーンカードWEB」

https://soccer-hp.com/

・スポーツキュレーションメディア - 「グリーンカードニュース」

https://green-card-news.com/

・アマチュアスポーツ動画配信サイト - 「グリーンカードLIVE」

https://gc-movies.net/

・チーム専用ECサイト - 「グリーンカードSHOP」

https://gc-ec.net/ (2020/7 OPEN予定)

 

 

 

 

 




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