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今日が、残りの人生の最初の1日。

大阪の革職人たちが結んだ手で咲くSDGsの可能性     タカラベルモントRe:bonisプロジェクト

著者: タカラベルモント株式会社

2021年6月。タカラベルモント株式会社は、持続可能な社会を生み出すSDGsの取組の一環として、プロフェッショナル用椅子の製造過程で発生する廃棄レザー※のゼロを目指し、新たな価値を創造する自社工場発のプロジェクト「Re:bonis」の始動を発表しました。

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その後、同プロジェクトの第一弾アイテムとして、理美容師向けなどの革小物を制作・販売する株式会社waji(本社:堺市中区/代表取締役:菅野 裕樹、以下「waji」)と協業して、社員向けの「廃棄レザー ネームホルダー」を制作し、創立100周年の節目を迎えた今年10月にタカラベルモントグループの国内外全スタッフ・約3000名に配布しました。プロジェクト開始から製品完成まで密着した「廃棄レザーがレザーに変わるまで~大阪の職人のSDGs~」と題したドキュメンタリー動画も公開となり、地元・大阪では「Re:bonis」の輪が少しずつ広がりを見せています。

※「廃棄レザー」・・・当社では、合成 皮革 を指します。

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タカラベルモント・広報室は、「Re:bonis」プロジェクトのメンバーの大阪工場・技術部の白井 宏典に、同プロジェクトを通じて感じた刺激や発見、「Re:bonis」の未来やSDGsについて話を聞きました。

■第1章:“張りの技能士”が見いだした廃材の課題とは

技術部に所属する白井の仕事は、新しい椅子のデザインや特注仕様製品のデザイナーが書き起こしたアイデアを具現化させること。いわば、「設計」です。そして、「張りの技能士」という肩書も持っています。


白井にとって、モノづくりとは、お客様に品質の良いものをお届けすること。当社のレザーは、本革のような滑らかな心地のよい皮の特徴を持つが、すべて合成皮革で、17種類(カラー含め150種)にも及ぶ。椅子のシリーズや使用シーン、顧客のオーダーによって扱うレザーは異なり、そのすべてのレザーの特徴や椅子に張った時のイメージを頭にインプットし、ひとつひとつ、丁寧に設計をしていく。「張りの技能士」だからこそ成せる技でもあります。

「廃棄レザーを眺めながら、“勿体ないな”と思いながらも仕事に忙殺され、具体的なアクションに落とし込むことができませんでした。個人的に、廃棄レザーで手帳やファイルのカバーを作ることはありましたが、材料となる廃棄レザーは形状・材質は不揃。新しい価値を作るようなアイテムが作れるなんて、考えが及びませんでした。」

そして、SDGsに対しても、言葉は知っていたが理解も漠然としていて、「自分ごと化」されていなかったと語る白井。

そんな白井が「Re:bonis」のメンバーとなって、どのように変わっていったのでしょうか。

■第2章:「Re:bonis」で広がったモノづくりの視野

「Re:bonis」は、地元大阪で有名美容室のスタイリストも愛用するこだわりのシザーケースなどを製造・販売する株式会社wajiとの協業でスタート。製造製品こそ異なれ“モノづくり”“革職人”という共通項を持つwajiとコラボするにあたり、白井のアンテナは、wajiの革職人たちの技術者としてのスキルに向いたと言います。


「これまで革小物の製造に仕事として携わる機会がなかったので、それを得意とするwajiさんがどんなスキルを持っているのか?逆に椅子など大きな製品を手掛ける自分のスキルがwajiさんとコラボすることで、どんな化学反応を起こすのか?社外コラボをすると聞いた時、最も楽しみだったのはそういう部分でした。」


大阪市阿倍野区にあるwajiの工房の入り口には、職人が一つ一つ丁寧に作った革製品が並んでいます。

革張りの縫いの始めと終わりの糸の処理やピッチ、ミシンの蛇行など、レザー単体で製品が作れるwajiのモノづくりや技術の話を聞くことで得られた刺激は多かったと言います。

wajiの技術の中で特に驚いたというのが「廃棄レザー カードホルダー」の製作工程に、塩化ビニル(以下塩ビ)レザーに「皮すき」(※レザーの裏地を削って、加工しやすい厚みに変えること)が入っていたことだったと話す白井。

塩ビレザーは、作るアイテムによって、それに応じた規格・素材が用意されているのだが、今回の廃棄レザーはネームホルダーを作る想定で作られていた訳ではない。だから、「皮すき」というひと手間を加えることで、異なる塩ビ素材を使いながらも、顧客の要望以上の製品を実現しようと尽力されたことがとても印象に残ったと言います。

また、大手100円ショップで商品の企画や提案を行っていた菅野社長ならではのアイデアや、これまでの人脈を通じて培った製品づくりが、細部に生かされていることにも驚いたそうです。

「社員向なのに一切の妥協をしないその製品づくりへの思い、菅野社長の仕事に対するポジティブな姿勢に感銘を受けました。」と、白井は楽しそうに語ってくれました。

革職人同士のコラボレーションは、そこで働く人の心にも、間違いなく大きな変化を生み出したようです。


■第3章:「Re:bonis」の未来とは?

そうして完成した廃棄レザーネームホルダー。

10月中旬、完成品が大阪工場に届いた時、職場では1人1人異なるカードホルダーの色について話が盛り上がったと言います。今回の「廃棄レザー カードホルダー」以外にも様々な展開を繰り広げる予定の「Re:bonis」。

第一弾が無事完成し、今の技術者としての心境とSDGsに対する思いに変化について、最後に語ってくれました。


「椅子の製造過程で出る廃棄レザーの割合約20%という課題に対し、この20%の数字を下回るように、滋賀機器工場とも一緒に製造過程の段階で推し進められるようさらに工夫をしたいと思います。そして、週末には、wajiの工房で、今の自分にない技術やスキルを学び、技術者としてステップアップして、今後の製品づくりに活かしてタカラベルモントのモノづくりに還元したいですね。」


今、「Re:bonis」プロジェクトは、地元・大阪で少しずつですが、活動の広がりをみせています。


「この秋、独立行政法人 国際協力機構と大阪市の中学校の生徒さんたちとの「大人が実践するSDGsプロジェクト」のオンライン交流会にSDGs実践企業として参加しました。中学生たちがレザーに対して興味を持ってくれたことに非常に驚いたし、嬉しかったですね」と白井は笑顔で語ってくれました。


「子供たちが、持続可能な社会の実現に向けた課題について抵抗なく“この廃棄レザーを使って何が作れるか?”色々考えてくれる姿勢には感心しましたし、だったら大人はもっと考えないと!って思いましたね」と、新たな心境の変化があったと言います。


そして、最後に「Re:bonis」の未来への展望やSDGsについて語ってくれました。


「今、「Re:bonis」の第二弾アイテムのプロジェクトは立ち上がっていますが解決しなければいけないことは山積み。ただ確かなことは、全社が一体になって廃棄レザーの再利用や排出率削減に対して向き合わないと課題解決には至らない。もちろん、レザーだけでなくSDGsの活動自体にも、社員一人一人が、考えられれば良いと思います。「Re:bonis」に取り組む前はSDGsについて漠然としたイメージしかなかったし、また難しいものだと感じていましたが、SDGsのテーマは自分達の身の回りに転がっている。小さなことからでも、始められる活動だと感じました。コツコツと取り組むことで、全社的な問題として向き合えれば良いと考えているし、「Re:bonis」も続けていくことが大切だと思っています。」


第一弾として配布された「廃棄レザー ネームホルダー」が、持続可能な社会へのアクションを起こすきっかけになり、タカラベルモントとwajiが手を取り合い、SDGsの小さな芽を地元・大阪から大きく開花させていく。

そんな未来を描いている、情熱を持った若き大阪の革職人たちのSDGsの取り組みはまだまだ始まったばかりです。





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