「自分が欲しいと思う鞄が無い!」から始まったこだわりの鞄作り
最高品質の革を使い、熟練の職人が一つ一つ手作業で作り上げる、完全国産の鞄。何十年もの使用に耐えうる堅牢な仕立て、普遍的なデザインで、世代を超えて愛される「コクホー株式会社」の商品は、ビジネスバッグからランドセルまで、一目でわかる品質の高さに、根強いファンも多い。
今回は、コクホー株式会社社長 庄山悟氏に、鞄作りに対する想いをうかがいました。
「自分が欲しい鞄を作る!」が商品開発のベース
鞄製造卸のコクホー株式会社は、1941年にカバン職人たちが集まって立ち上げたランドセルメーカー「国鞄工業所」がルーツです。創業3年目にはランドセルの製造本数15,000本を達成するまでに成長し、1963年に現在のコクホー株式会社が設立されました。
私は大学卒業後22年間勤めた資材総合商社で執行役員という立場になっていましたが、コクホー株式会社の社長だった父が黄綬褒章を受勲したことを機に社長職を引退することになり、2006年に跡を継いで社長に就任しました。
ところが、社長に就任して改めて自社の商品を見たとき、自分自身の胸をときめかせる製品が無いことに驚きました。また、自社製品だけでなく市場のどこにもそんな魅力を持つ製品が無いと感じたことから、「何年経っても魅力的であり続ける純国産の最高級鞄」こそ自分たちが作るべき製品だと確信し、半世紀以上にわたって培ってきた技術、ノウハウを注ぎ込み、商品開発に取り組みました。
“世代を超えて継承できる鞄”を追求
開発を進める上で重視にしたのは、トレンドに流されないオーソドックスなデザイン、何十年経っても使える堅牢性、メンテナンス性に配慮したシンプルな構造です。
また、製品の質を左右する素材である革は、皮革の王様といわれる国産ピットヌメを採用しました。ピットとはタンニン槽(プール)のことで、高価な植物タンニン溶解液を満たしたタンニン槽に、約4週間かけて、低い濃度から高い濃度へと変化させながら漬け込んでいきます。そうすることで、革の細部まで成分が行き渡り、弾力性と堅牢性を備えた上質なピットヌメが生まれるのです。國鞄シリーズで採用しているピットヌメ革が作られているのは、世界最大規模のピット槽を持つ栃木レザーという会社です。長い間受け継がれてきた職人の伝統技術によって丹念に鞣されたヌメ革は、触れた時に吸い付くような潤いがあり、その独特の風合いは、他にはない上質さを感じさせてくれます。
裁断や縫製などの加工は、50年超のキャリアを持つ職人が一つ一つ手作業で仕上げていくのですが、鞄作りには驚くほど多くの工程があり、職人たちは作業のわずかなズレが製品の仕上がりを大きく左右することを知っています。だからこそ、長年にわたる経験で培われた非常に繊細で緻密な技術を鞄作りに注ぎ込み、丁寧に仕上げていくのです。國鞄の細部にまで宿る職人たちの魂を、ぜひ実際に手に取って感じていただきたいと思います。
一つひとつ手渡しで
このようにこだわり抜いて作り上げた國鞄は、販売方法にもこだわりを持っています。市場には多種多様な素材、形状の鞄があり、その中から素材や縫製の良い製品を探し出すことはとても難しい作業で、インターネット販売であればさらに難しくなります。ですからコクホーでは、店舗やインターネットでの販売を行わず、お問い合わせいただいたお客様を直接ご訪問し、製品を直接ご覧いただくようにしています。店舗やインターネットとは違い、直接手にとって製品の細部までご覧いただいたり、実際に物を入れて持っていただいたりすることで、素材の良さや技術の高さを実感していただくことができるのです。
日本の技術を廃らせてはもったいない
このような日本の伝統技術が衰退したのは、効率を追求するあまり品質を軽視してきた我々メーカーの責任であり、今のままでは明治以降確立してきた皮革紳士鞄の技術がどんどん廃れていくと感じています。完全国産で鞄を作り続けるのは、そんな匠の技術の火を未来へと繋げていきたいという思いも込めています。
コクホーの鞄は、大切に使用していただければ、30年、50年と使い続けることが可能です。そのためには普段のお手入れが大切になってきますので、専用のメンテナンスキットや保管用のインナーバッグ、ハードケースもお付けしています。日々お手入れしていただくことで、愛着も湧いてきます。ぜひ、世代を超えて國鞄を継承していただきたいと思います。
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