2022年、社会人の学びに本気の波がやってきた。オンライン学習でSchooが起こす社会変革を話そう
「世の中から卒業をなくす」ことをミッションに掲げ、オンライン学習の可能性と、そして必要性を追求してきた「Schoo(スクー)」の創業から10年(設立:2011年10月3日)。「社会人の学び」にとうとう本格的な変化の大波が到来しています。
Schooが「大人たちがずっと学び続けられる生放送コミュニティ」を提供してきたその根底には、日本の学びのあり方、ひいては社会のあり方を変えなければ、停滞する日本社会の未来を変えることはできない、という強い危機感があります。
では、そのためにSchooができることは何か。オンラインでの学びが浸透することでどのような社会変容が起きると期待されるのか、現在地を森健志郎社長に聞きました。
▲代表取締役社長 CEO兼CCO:森健志郎
■ オンラインの学びがいま、“本気で”変わろうとしている
ーーー 2021年を節目に、オンライン学習が大きく変わる波を感じているそうですね。
これまで、10年の歳月の中で「今度こそオンラインでの学びが広く普及するはず!」と感じた機会は三度ありました。
一度目は、創業してすぐのこと。2011年当時、スタンフォード大学などをはじめ、欧米を中心に「MOOCs(ムークス)」と呼ばれる世界規模の大学のオンライン講座が流行っていました。「これは日本でも広がるのでは」と胸躍らせましたが……、一般化するほどの大きな波にはなりませんでした。
その後、二度目の波として「EdTech」の発達によって「ITで教育を進化させよう」というブーム(2014年〜2016年頃)が起きたものの、「オンラインで学ぶ」というカルチャーが社会に根づくほどの起爆剤には、いまもってなり得ていません。
そして、三度目。「人生100年時代」が言われ出した2017年頃、政府は「リカレント教育」を進めるため、「社会人の学び直し」をサポートすると表明しました。しかし国が支援するとは言ったものの、結局、「リカレント教育」という言葉も、広く定着するまでには至っていません。
MOOCsのように世界中の大学の授業が開放されようが、EdTechが進化しようが、国が支援しようがダメだった。なぜか。それは、生きていくうえで、つまり働いていくうえで、個人が学び直す必然性がなかったからです。
■ 働き続けるために、急務となったスキルの取得
ーーー終身雇用・年功序列が前提の日本型雇用システムが機能していたわけですね。
そもそも日本では長らくOJT(On-the-Job Training)が一般的で、将来の変化に対応する社会人の学びの習慣が薄く、公的にも民間企業でも人材投資が少ないことが顕著でした。その背景には、いわゆる「終身雇用」への安心感があったのだろうと思います。
努力しようがしまいが、会社から与えられた仕事、与えられた研修をこなしていけば、ちゃんと昇進して、ローンを組むことができて、家を買えて、家族は幸せ——というのが当たり前だったのです。
ーーーしかし今は、個人が学ぶ必然性が高まっているということでしょうか。
そうです。ここ数年、日本型雇用の崩壊により、従来のように安心してはいられなくなってきました。
日本ではこれまで人に仕事をつける「メンバーシップ型」の雇用制度が主流でしたが、現在は「ジョブ型」、つまり仕事に人をつける制度がどんどん広まっています。また、上場企業のリストラも加速しており、必要な仕事があって、その仕事をこなす能力がなければ働き続けることが困難になりつつあるのです。
一方で、企業側もまた、DXが進む中で必要な人材が変わりつつあります。ところが、必要としている人材は取り合い状態。たとえばデジタル人材なら、近年の求人倍率が6〜8倍で推移しているとも言われていて、即戦力を大量に獲得することは不可能な状況にあるのです。
そもそも「自動運転を開発できる機械学習の知識をもった人材がほしい」と言ったところで、新たな技術・サービスに関する強みを持つ人材は、市場にはなかなかいません。
そうした中、ようやく訪れようとしている大きな波がリスキリング(※)です。
※リスキリング……新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること(経済産業省「第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」資料2-2より)
■ デジタル人材育成と社会人の学び直しが本題となる「教育未来創造会議」の設置
ーーー政府はリスキリングを推進していくことを、経産省が設置する有識者会議「未来人材会議」の中でも強調していますね。内閣官房の「教育未来創造会議」でも「デジタル人材育成」や「リカレント教育」がフォーカスされています。
リカレント教育は、一度キャリアを中断して大学等に通い直すことが前提であるのに対し、リスキリングは、これからもキャリアを続けていくために必要となるスキルを新たに学ぶことが前提です。
教育未来創造会議が岸田首相を議長とし、文科相や経産相など各省大臣や産学界の有識者が名を連ねていることからもわかるように、国を挙げた本気度が伝わってきます。
企業も動き出しています。DXに象徴される産業構造の変化の中で、これまで個人の自主性に委ねられていた「学び直し」が、今後は企業側が率先して従業員に推進していく流れにあるからです。もちろん、自社だけでは教えきれないこともあるため、大学など高等教育機関との連携や、個人の学びに対する支援の強化を行い、イノベーションを加速させていかなければなりません。
これまで訪れた「学びの変革」の波のなかで、ようやく企業や国が本気で動き出す、つまり「生業(なりわい)」に直結する波が、いま押し寄せてきているのです。
■ Schooだからこそ再現できた学びの場
ーーー「社会人の学び」が変わろうとしているいま、競合ひしめくオンライン学習の中で、Schooの競争力はなんでしょうか。
Schooが「コミュニティ」であり、「場」であることだと考えています。これは、創業時からずっと大切にしてきたことでもあります。
学ぶうえでもっとも重要なことは「続ける」ことであり、そのために必要なのが共に学ぶ「仲間」であり、「場」だと考えています。学生時代を振り返ったとき、たったひとりで授業を一方的に聴くだけだったら、小学校から大学まで16年間も通い続けられたでしょうか?
「教材」があるだけでも、「先生」がいるだけでもダメです。「教材」「先生」「仲間」「場」のすべてが整ってはじめて、オンラインでも最高の環境で学べることになると信じています。
Schooはそこを追求してきた会社だからこそ、提供できる体験があるのです。
たとえば、私たちが提供している法人向けのサービス「Schoo for Business」の中に、「集合学習機能」というものがあります。
同じ会社のメンバー同士で予定をセットして、Schoo上のアーカイブルームに集まって同じ動画を視聴することが可能です。その際、社員同士がチャットでやり取りをしながら授業を受けられるため、ひとりで視聴するよりも面白く、集中力も続き、学びも深くなります。
重要なのは、ひとりで勉強したり大学に通い直したりしにくい「多くの一般層」が続けられること。仕事をしながらMBAに通う人もいますし、1~5分の学習動画を見るマイクロラーニングも流行っていますが、これらができる人ってごく一部ではないでしょうか。
多くの一般的な社会人が学び続けられる仕組みづくりこそが、Schooに期待されている役割だと考えています。
■ Schooの役割は大学と企業のコネクター
ーーーSchooではオンライン学習事業のほかに、「地方創生」と「高等教育機関のDX支援」に取り組んでいます。
地方創生は、地方自治体と組んで、町の図書館などにSchooを導入してもらい、地域住民の方に活用いただくというものです。自治体の職員研修にSchooを活用していただいている市町村もあります。
そもそもオンラインで学べるベネフィットとは、教育環境が充実していない地方でこそ発揮されるものだと考えています。
一方で、オンライン学習のサービスはさまざまあるものの、マーケティング的判断からどうしても都市型のサービス提供になってしまいがちです。しかし、私たちは本当にニーズのある場所で、学びを必要としている人たちに届けるための土壌づくりをしてきました。
高等教育機関のDX支援は、大学をはじめとした高等教育機関のオンライン授業の構築を授業設計や配信の技術面でサポートするという取り組みです。今年9月には「Schoo Swing」というDXプラットフォームの提供も開始しました。
現在、大学は生存戦略として社会人の受け入れを活発化させていく必要があり、企業は人材教育にコストを割いていく必要があります。
ーーー地方と大学、双方の課題に対して、今後Schooは何を担うのでしょうか。
Schooは両者の需要を理解し、双方のコネクターであり、ブリッジであり、時に翻訳家となる存在でありたいと考えています。
「停滞する日本社会の未来を変える」という視点に立ちかえると、いまの日本は、地方のアセット、大学の知的財産をより活用していく必要があるはずです。
たとえば気候変動により、ロシアで農業地が広がっていますが、ここで地方の現場や専門の学部で培ってきた農業に関するノウハウをアグリテックのような文脈で日本から輸出していければ、大きなビジネスチャンスになる。
ただ、それはおそらく、農業を突き詰めてきた地方の人たちだけでは難しい。テクノロジーのスペシャリストと連携してはじめて、イノベーションが起きるのです。
そのときに重要なのは、一般市民のデジタルリテラシーがイノベーションの発想を受け止められる状態にあること。イノベーターが夢を語り技能を磨くだけでは、本当の革新は起きないのです。
スキルアップに意識の高い、都市部の人たちだけが学べばいいという時代ではなくなりました。どこにいても、どんな職業・年齢の人でも、自身を高めていくために学べる環境を提供する。Schooは、日本のすべての人たちの学びの底上げに貢献していきたい。
それこそが、「世の中から卒業をなくす」というミッション達成のために、私たちが追求していかなければならないことだと思っています。
<株式会社Schooについて>
「世の中から卒業をなくす」をミッションに、インターネットでの学びや教育を起点とした社会変革を進めている。大人たちがずっと学び続けるオンライン生放送学習コミュニティ『Schoo(スクー)』は2012年のサービス開始後、「未来に向けて、社会人が今学んでおくべきこと」をコンセプトとした生放送授業を毎日無料提供。過去の放送は録画授業として約7,400本公開中。法人向けには社員研修と自己啓発学習の両立を実現する 『Schoo for Business』を提供し、学び続ける組織作りに貢献。登録会員数は約70万人、導入企業実績は2,400社を突破。
2014年から約20の大学・教育機関のDX化を支援。2021年9月には高等教育機関DXプラットフォーム『Schoo Swing』を提供開始。
奄美大島と包括協定を行うなど、地方エリアへの遠隔教育普及によって実現する「未来の暮らし」の確立も進めている。
・会社名 :株式会社Schoo(呼称:スクー)
・代表者 :代表取締役社長 CEO兼CCO 森 健志郎
・設立 :2011年10月3日
・資本金 :1億円(資本金)
・所在地 :〒150-0032 東京都渋谷区鶯谷町2-7 エクセルビル4階
・事業内容:インターネットでの学びや教育を起点とした社会変革
・URL:http://corp.schoo.jp/(コーポレートサイト)、https://schoo.jp/ (個人向けサイト)、https://schoo.jp/biz(法人向けサイト)、https://pencil.schoo.jp/(オウンドメディア)、https://schoo.jp/dx(高等教育機関向けサイト)
▶︎採用情報:https://www.wantedly.com/companies/Schoo
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