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80代の著者さんもおられます。

「コロナ禍でも挑戦したい」学生と、「若者に手帳を使ってほしい」愛知の中小企業がタッグ。大学生向け手帳の開発から販売までの挑戦ストーリー。

著者: 伊藤手帳株式会社

手帳製造・OEMを手がけて68年の伊藤手帳株式会社(本社名古屋市:代表取締役社長 伊藤 亮仁 以下伊藤手帳)は、愛知大学キャリア支援センター(愛知県名古屋市)の低年次キャリアデザインプログラム~CAREER FIELD~と連携した「CF手帳制作プロジェクト(以下本プロジェクト)」を2021年10月-2022年1月まで実施しました。


本プロジェクトは伊藤手帳の技術力に学生視点を組み合わせ、新しい手帳の開発と製品化・販売まで一貫して行う構成です。学生のアイデアを集めるだけではなく、製品として世に送り出す事を目的としました。


本プログラム発端の経緯やこれまでの歩みについて、伊藤株式会社 社長の伊藤に取材した内容を、伊藤を一人称に編集して記載しております。


(ワンセメ手帳製品発表会風景:ワンセメ手帳を考案した愛知大学生と伊藤手帳株式会社 代表 取締役社長 伊藤 亮仁)


2021年11月4日にプログラム参加者18名(7チーム)によるプレゼン発表会・並びに最優秀チームの選考会が行われました。最優秀チームに選ばれた~書く習慣を、もう一度~がコンセプトの「ワンセメ手帳」を伊藤手帳が製品化しました。ワンセメ手帳は完成品発表会を経て2022年1月13日より愛知大学生協・伊藤手帳ユメキロックECサイトにて現在販売中です。

■CF手帳制作プロジェクト発足背景

・デジタル化が進む中でデジタルネイティブ世代はアナログの手帳を使わなくなるのでは?という危機感

令和3年総務省情報通信白書によると私的な用途のために利用している通信端末はスマートフォンと回答している人が(89.4%)で全体の9割近くが利用している結果となりました。中でも20-29歳は95.0%と日常生活に欠かせないものとなっています(総務省令和3年 情報通信白書)。


本プロジェクト参加者においても普段のスケジュール管理にはスマートフォンのスケジュールアプリと回答した人が半数となりました。現在伊藤手帳は右肩上がりの業績を維持していますが、5年後、10年後の長期的な観点からみて「デジタルネイティブ世代がアナログの紙の手帳を将来使うか?」という危機感がありました。

・コロナ禍で大学生活が思うように過ごせていない

文部省が令和3年11月に周知した「大学等における令和3年度後期の授業の実施方針等に関する調査及び学生への支援状況・学生の修学状況等に関する調査の結果について」では、『学生生活不適応・修学意欲低下、心神耗弱・疾患による休学者が令和2年度に比べて、令和3年度の方が増加しているという事が判明しました』と書かれています。


このような事実を知るにつれ「手帳」というツールを使い、大学生のために何か役に立てる事はないかと考えていました。


自社の課題や社会課題解決に繋げるにはどのような方法があるのか模索していた頃、愛知大学キャリア支援センターが大学1・2年生対象のプログラムを展開している事を知りました。それは、就職をゴールとしない形で学生の社会人基礎力や、望ましい就業観を作る事を目的としているユニークな取り組みです。


アカデミックだけでなく実践的な場を共に創り上げる愛知大学キャリア支援センターの理念に伊藤手帳は共感し、「一緒に取り組める事はないか」「学生さんにとって素晴らしい体験ができるお手伝いはできないか?」と声を掛けました。


「学ぶ」×「自考力」を基盤とした産学連携プログラムが誕生

愛知大学キャリア支援センターの助言を受けながら3か月全8回にわたるプログラム(CF手帳制作プロジェクト「大学4年間を楽しくする手帳」)を2021年6月に考案しました。


全8回のプログラムは大きく2つの流れから構成されています。

・「現場を知る」「製品を知る」という学生さんが企業や製品について学んでもらう場の創出

・「考える力」「発表する力」「伝える力」の養成を目的とした自考力をつける場の創出


▼CF手帳制作プロジェクト「大学4年間を楽しくする手帳」プログラム概要

①  キックオフ・現場研修(工場見学)

②  製品開発ストーリーと販売戦略を学ぶ/グループワーク「大学生にとって手帳とは?」

③  大学4年間の生活を楽しくする手帳の企画(グループ別)

仕様に関する相談は学生チーム×愛知大学キャリア支援センター×伊藤手帳のグループチャットを作成して行いまました。

④  手帳の企画案発表・選考会(グループ対抗プレゼン大会)。最優秀賞は製品化へ

⑤  仕様決定会議(製品化に向けて伊藤手帳と学生の最終打ち合わせ)

⑥  完成品発表会

⑦  販促案考案と実施

⑧ 製品販売開始


学生さんは集まるか?

中小企業である伊藤手帳のプログラムに学生さんは参加してくれるだろうか?という不安がありましたが、そのような不安は払拭されました。


コロナ禍で大学生活が思うように過ごせない中、何かに挑戦をしたい。

仲間との活動機会が減ってしまった今だからこそ皆で何かを創り上げる事をしたい。


といった社会背景が伺える応募動機とともに、製品開発から販売まで「自分たち」が主体となって動ける点に共感を得て7チーム18名の応募がありました。


応募動機一例)

・普通に大学の授業を受けていたらできない

・高校のころから開発ものづくりに興味がある

・自分だったらこういうものが欲しいというのを実現したい

・普段から手帳を使っている。毎年色々見てこうしたら良いのにと思う事が多い

・自分が想像していたものがカタチになるというところに共鳴した

・大学2年になって就活が始まる。学生だからこそできる事を探していた

・学生だけでは話せない企業の人と話すことができる

・商品の企画からできる。手帳を使うメリットも知りたい

・自分たちが作った商品を売るところまで一環してできること

・デジタル世代だからこそ使いこなせる手帳を作りたい

・私たちが考える手帳を通して有意義な時間を過ごしてもらえるものを作っていきたい

伊藤手帳初めての体験「大学生の工場見学」


企業視察は数多く対応していますが、大学生の工場見学は伊藤手帳にとって初めての試みでした。物づくりの現場を初めて見る学生さん達のために「わかりやすい説明」を心がけました。


工場見学と同時に社長との対談タイムも設けより「企業を知る」場へと繋げます。


▼参加した学生からの感想

"カレンダーや文字が印刷された大きな1枚の紙が、私たちのよく見る手帳の形へと製本されていく様子は中々見られるものではなく、とても興味深い体験となりました。

全ての製造を自社で行っているのは手帳製作会社としても珍しいということで、そういった部分からも良いものを作る〝こだわり〟や〝責任の大きさ〟を感じました。"

(引用元:愛知大学キャリア支援センターホームページ


そもそも手帳って何につかうの?どうして使うの?

プログラム「製品開発ストーリーと販売戦略を学ぶ/グループワーク」の講義では、伊藤手帳のオリジナルブランド手帳「TETEFU」の記入事例を見てもらいました。伊藤手帳は2020年12月に回覧形式で手帳にスケジュールを記入してもらうというイベントを行いました。手帳を使う人はどうやって手帳を使っているか、学生さん達にそのイベントで使用した手帳を見てもらいました。

×

(手帳に書かれた内容を閲覧中の学生さん)


どれ1つ同じ書き方がされていない手帳を見て学生さん達から「手帳ってこんなに色々な書き方があるんだ!」「人によって全然使い方が違う」といった声を頂きました。


製品開発・手帳の使い方を学んだ後のワークショップ「大学生にとって手帳とは?」では、手帳に何を書きたいか、どう使いたいか明確になったようです。

(ワークショップでは頭に浮かんだ事をどんどん付箋に書き出してもらいました)


▼参加した学生からの感想

"「大学生にとって手帳とは?」ということについて、想った事を一人一人が付箋に書き、書き込んだことを整理してグループ内で交流しました。

最初はなかなか書き始められませんでしたが、考えていくうちにどんどんイメージが膨らんでいき、グループ内で交流することで大学生にとっての手帳という存在について改めて考えることができました。

私は、今回の伊藤手帳様からのお話しを聞いて、他の手帳にはない斬新さを感じ、私たちのグループはまだまだ工夫できる部分があるのではないかと思いました。


次回、11月4日(木)は発表会・選考会となりますが、より良い手帳を作り出していくためグループ内でたくさんの案を出し合い、コンセプトでもある「大学4年間の学生生活の友となる手帳」を作っていきたいと思います。"

(引用元:愛知大学キャリア支援センター


「現場を知る」「製品を知る」といった流れから「考える力」へと結び付いた良い流れになりました。

いよいよプレゼン選考会

×


2021年11月4日、愛知大学名古屋キャンパスグローバルコンベンションホールにて最優秀賞を決めるプレゼン大会が開催されました。


最優秀賞はチーム「まみむ」(村瀬美悠さん 仲尾栞也さん 経営学部2年)が考えた

~書く習慣を、もう一度~「ワンセメ手帳」です。


▼プレゼン選考会時の動画

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■ワンセメ手帳の特長

1.1冊が1セメスター(学期)単位。春(前期)「3~9月」・秋(後期)「9~3月」の2冊セット。

1年分を2冊に分ける事で軽くて持ち運びのしやすい手帳になりました。「手帳を持ち運ぶのは重い」「手帳が荷物の中でかさばってしまう」といった手帳の携帯時に起こりがちな課題を解決します。


2.月の予定と1週間の予定がひと目でわかる 

月間カレンダーは折り畳み式。広げると月間の予定と1週間の予定を見開き1ページで管理できます。スケジュール管理が面倒という心理的な敷居を下げました。


3.書いたメモが隠れる。プライバシー保護対応の「振り返りメモページ」

折り畳み式の月間カレンダー裏面は1か月の振り返りを記入できる方眼メモページです。記入した部分が隠れる仕様のため、人に見られたくない内容も安心して記入できます。

■ワンセメ手帳が選ばれた理由

どの学生さんのアイデアも素晴らしくその中から1つを選ぶのには色々な想いがありました。その中からワンセメ手帳が選ばれたのは、大きく3点があげられます。


・今の大学生が手帳を使わない理由を「続かない・持ち歩きにくい・スマートフォンで予定もメモもすべて管理できる」と調べた上で考えられた手帳である事


・「ワンセメ手帳」というネーミングが覚えやすく、訴求力がある点


・大学生だけでなく高校生や中学生、社会人にも使って貰える可能性を持った手帳である事

■伊藤手帳がかつて断念した仕様の手帳でもあった

「ワンセメ手帳」の仕様については伊藤手帳側で何年か前に似たような仕様の手帳を考えた事がありましたが製品化が技術的に大変難しいと中断した経緯があります。


しかし今回は学生さんたちの想い(コロナ禍で思うような学生生活ができない中、自分たちの考えた手帳が製品化される!そんな素晴らしい経験ができる)を何とか叶えたいと、伊藤手帳側は工場の技術陣と毎日遅くまで議論を交わしました。


何度もサンプルを作っては作り直し、これなら世の中に出しても大丈夫だという形になる過程が想定以上に大変でしたが、良いモノを作り使う人に喜んでもらう。というモノ作りマインドに火をつけてくれたのがワンセメ手帳です。


(ワンセメ手帳:サンプル1号 紙を折ったり貼り合わせて現物に近いものを作ります)


■今後の展開

2021年12月9日にワンセメ手帳の完成発表会が行われ、学生さん全員による販売プロモーションが行われました。授業、課題レポート、アルバイトと多忙な中、愛知大学生協での販促案、WEB販促案を学生さんが主体になって企画立案から大学や伊藤手帳との調整・販促案の実施までやり抜いて頂けました。


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▼学生さん販促案一例

(大学生が考えたパネル案。愛知大学の学食に設置されています。)


その成果は2022年1月13日(木)の「ワンセメ手帳」発売と同時に沢山の方にご購入頂けた事に繋がっています。

×


昨今、様々な産学連携プログラムが誕生していますが伊藤手帳は「モノ作り企業だからできる」プログラムを今後も考えていく予定です。


「中小企業だから難しい」「デジタル化の時代だから難しい」といった「~だから難しい」と捉えるのではなく「~でもできる」というポジティブシンキングを大切にし、沢山の方を良い意味で巻き込み、手帳というアナログツールの可能性を広げていく事を伊藤手帳は目指していきます。


【伊藤手帳株式会社について】

商号: 伊藤手帳株式会社

代表者: 代表取締役 伊藤 亮仁

所在地: 〒461-0034 本社:愛知県名古屋市東区豊前町3-42 TEL:052-936-2363

事業内容: 各種手帳の製造、販売、一般書籍の製造、ビニール製品の製造

資本金: 10,000,000円 

URL:伊藤手帳オフィシャルサイト https://ito-techo.jp/

伊藤手帳ECサイト:ユメキロック https://www.yumekirock.com/


【愛知大学キャリア支援センターについて】

学校法人愛知大学 キャリア支援センター

所在地:名古屋キャリア支援課:〒453-8777 名古屋市中村区平池町四丁目60-6

豊橋キャリア支援課:〒441-8522 愛知県豊橋市町畑町1-1 

URL:愛知大学公式サイト https://www.aichi-u.ac.jp/

愛知大学低年次キャリアデザインプログラム~CAREER FIELD~について 

https://www.aichi-u.ac.jp/recruit/career-center/career-field

※愛知大学は、1946年愛知県豊橋市に誕生しました。その前身ともいえる東亜同文書院(後に大学)は、1901年中国上海に設置され、日本の海外高等教育機関として最も古い歴史をもちます。








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