顧客を成功に導く喜びは、何ものにも代えがたい。働く人を輝かせ、企業の成長を後押しするデータドリブンなカスタマーサクセスとは(前編)
2013年に北米で誕生したPendoは、プロダクトから定性・定量データを抽出し、ユーザーガイドを出してCX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させ、ユーザーからのフィードバックや開発管理のロードマップ機能でプロダクト部門の開発管理に貢献するSaaS企業です。2020年の日本支社開設に伴い、インターネットの黎明期から日本で顧客支援の領域を確立してきた大山忍を2番目の社員として迎えました。どのような経験を経てカスタマーサクセスの仕事に出会ったのか、日本におけるカスタマーサクセスの課題とは何か。大山がその想いを語ります。
■デジタルマーケティングとの出会い
「これからはインターネットの時代だ」。2000年に元同僚が放ったこの一言が、私のデジタル分野でのキャリアの第一歩となりました。米国の大学を卒業後、外資系のイベント会社に就職しました。秘書や受付をしていて、あれこれ改善を提案していたのが認められたのか、半年後にいきなりイベントマネージャーに抜擢。イベントの開催を手掛けるようになります。そしてイベントに出展していたさまざまな企業のマーケターと知り合い、マーケティングに興味を持つようになりました。
大手企業のマーケティング部門へ就職することも考えましたが、その時すでにインターネットビジネスで起業した元同僚から聞いたのが冒頭の言葉でした。インターネットから膨大なデータが取得でき、企業の活動がデータによって変革される未来を予感せずにはいられませんでした。
そこでインターネット広告効果測定のベンチャー企業に転職。その後、その会社を買収したバリューコマース社では、グローバルなインターネット広告キャンペーンを手がけていたオーストラリア人の上司から最先端のインターネットマーケティングを学ぶことができました。その後フリーランスとして独立したのですが、インターネットマーケティングがまだ日本には普及していない時代だったので「今まで得た知見で本を書いたら役に立つのでは」と考えて、翔泳社に企画書を持ち込んだところ、運よく本を出版していただけることになりました。当時の編集担当者が私の執筆した内容を見て「これからはマーケティングに関連するコンテンツもインターネットの時代だ」と考え、その後のインターネットマーケティングのメディアサイト「Makezine」の立ち上げに繋がったと聞きます。人との出会いというのは不思議なものだなと感じました。
■データドリブンな組織作りへの挑戦
本を執筆している時に、当時はまだ日本では認知されていなかったWeb解析を専門とする米国企業のOmniture社を知り、飛び込みで取材に行きました。私が業界に詳しく、詳細な質問をたくさんしたからか、外部コンサルタントとして手伝ってくれないかと言われ、週3日ほど常駐で各種サービスのローカライズを手伝うことになりました。
その時Omniture社の日本のスタッフはたったの3人。3人のうちの1人が後のPendo代表となる高山清光であり、もう1人が後にPendoに出資しているVCのカントリーマネジャーだったのです。私がPendoに参画するのはかなり後のことになりますが、この時の出会いが引き寄せてくれたご縁だと思います。
当時Omniture社は日本でコンサルティング部門を立ち上げようとしていました。しかし米国本社のコンサルティング部門は、コンサルタント以外にノウハウを公開しませんでした。そこで私に「コンサルタントとして米国本社でノウハウを学び、日本に持ち帰ってほしい」というオファーがありました。日本で最初にWeb解析によるビジネス最適化のノウハウが学べることに魅力を感じて社員になることを決意しました。
データは分析するだけでは意味を持ちません。「分析した結果を受けて、どのような意思決定をし、改善を実行するべきか」を定義する必要があります。また分析に基づいた意思決定をするためには、組織を変革しなければなりません。実際にOmnitureである大手インターネット企業様のWeb解析チームを立ち上げる際は、コンサルタントとして各部署にヒアリングをして、最適な組織を定義する支援を行いました。
データドリブンの考え方が、いかに重要であるかを私はこの時身をもって体験しました。定量的な分析結果を拠り所として意思決定をすることが、不確実性の時代においても企業が成長できる、重要な要素だと考えるようになりました。
■メディアの立ち上げ、大手企業の新部門立ち上げなど領域を広げる
Omniture社で楽しく仕事をしていたのですが、当時サブスクリプションビジネスへの転換を図っていたAdobe社に買収されました。Adobe社ではマネジメントを任され、コンサルティング部門の立ち上げ等に取り組みました。M&A後の企業活動ではカルチャーの融合が大きな課題です。買収された企業の社員は自分たちが慣れ親しんだカルチャーが失われることを快く思っていませんし、買収されたことで「お客様目線がなくなった」とモチベーションを下げてしまった社員が少なくありませんでした。
そうした状況の中で退職し、今度は自分の会社を設立しました。当時アドテクノロジーが盛り上がりを見せており、英国の「ExchangeWire」という専門メディアの日本立ち上げを依頼されました。当初はWebサイトの日本語化と、記事の日本語翻訳だけの依頼でしたが、日本の業界関係者から、日本独自のコンテンツが欲しいという声を聞き「ExchangeWire Japan」の編集長に就任しました。メディア運営の経験は全くありませんでしたが、知人の編集者にコンサルティングを依頼し、メディア運営のノウハウを受け、業界関係者を含む色々な方々に助けを借りながら軌道に乗せることができました。
その後、Oracle社から日本で新しいマーケティングクラウド部門の立ち上げを支援してほしいと声がかかりました。私に目をつけてくれたのがオーストラリア人のAPAC地域におけるCS責任者だったのですが、彼の今後のデジタル領域におけるマーケティングテクノロジーに関する思想や仕事の方向性に魅力を感じ、この人の元なら働きたいと思い、サイト運営を他の企業へ譲渡してOracle社に入社しました。入社後は、新部門が各部門と連携しながら、機能する組織体制を構築しました。
■顧客満足を重視しながら、5000万円から2億円の売上拡大に貢献
新部門がひと段落ついたころ、今度はDomo社から声がかかりました。Domo社は私が以前在籍したOmniture社の創業者がAdobeへの売却後に設立した新会社で、「データの民主化」をBI ダッシュボード(分析結果をビジュアライズして一目で確認できる機能)で実現しようとしていました。クライアントサービス部門全体の立て直しと、カスタマーサクセス部門を日本で新たに設立するにあたり候補者として私の名前が出て、米国の創業社長から直接電話があったのです。これが私のカスタマーサクセスという仕事との出会いになりました。
カスタマーサクセスを含めて全部で4部門のマネジメントを任されたのですが、当時日本ではカスタマーサクセスの役割の理解が不十分で、まだ米国本社でもお客様と問題が炎上した際の、火消しの役割から、顧客エンゲージメントによる契約更新とアップセルによる利益に貢献するという新しい役割に方向転換したばかりでした。そこで、日本の代表から「カスタマーサクセスが本当に売上視点でビジネスに貢献するのか、証明してみよ」と命じられ、マネジメントから外れ、現場に戻って自分でトップ10社の戦略的アカウントを担当することにしました。
カスタマーサクセスの役割は、顧客企業の戦略を理解して、目的を実現するにはどのように自社プロダクトを使っていけばよいのかを提案し、中長期に渡ってお客様に伴走することです。顧客企業の意思決定者と、単なるツールの使い方だけでなく今後必要となる組織改革の要素についても話し合い、信頼関係を構築し、プロダクトの社内浸透と売上拡大の可能性を探っていきます。
どの企業でも新しいプロダクトを導入する際は、一部門からスモールスタートするケースがほとんどです。そのため最初にコンタクトする部門の担当者を通じて、徐々に上長や経営層とのパイプを開拓し、他の部門でも同じような課題を持っていないか、自社のプロダクトが役に立つ領域がないか、という情報を引き出します。
私が担当したのは古くからのお客様でしたが、プロダクトは今一つ社内に浸透していませんでした。しかし私は「絶対に他の部門のお困りごとの解決にも役立つはずだ」と考えていました。時間をかけてエグゼクティブ層を巻き込みながら関係を再構築し、提案を重ね、ついに全社導入にこぎつけた時は「私のやってきたことが間違っていなかった」と嬉しい気持ちで一杯でした。専任のサポート担当者やコンサルティング等の付加サービスの導入にも成功し、当初5000万円で頭打ちだった契約金額を約2億円まで拡大することに成功しました。私が退職した現在でも契約金額は拡大していると聞いています。
私の最大のモチベーションは、お客様の成功です。お客様企業が自社のプロダクトを活用し、成長することだけでなく、導入担当者が社内で評価されて昇進の知らせを受けるのが何よりの喜びです。新しいテクノロジーを最初に導入する部門は、リスクの高いミッションを与えられています。失敗すれば周囲から叩かれ、担当者が出世コースから外されてしまうことも珍しくありません。大変な思いをして導入を推進している担当の方々を支援し、テクノロジーにより働く全ての人を輝かせ、企業全体の成長に結びつくにはどうすればよいか。私は常にそれを考えています。そんな私にとっては、お客様の成功のために長期的に伴走するカスタマーサクセスの仕事はとても魅力のあるものでした。
■カスタマーサクセスから見たPendoの魅力
こうした経験を経て、私はPendo.io Japan株式会社に参画しました。データドリブンを重視してカスタマーサクセスを実践した私から見ても、PLG(プロダクト・レッド・グロース)の実現を支援するPendoは魅力あるプロダクトです。Pendoはソフトウエアを使用している全てのユーザーの行動を可視化し、簡単にユーザーの声を集めることができるため、カスタマーサクセスの活動の質を高めることができます。
カスタマーサクセスの重要な指標となるのが「定着化」です。SaaSのようなサブスクリプションのビジネスではユーザーの定着化は契約更新につながり、他部門への拡大で顧客あたりの売上が上がる可能性が高まり、未来の売上が見込めるため、株主からの評価が高くなるからです。そのため、いかに解約を防ぎ、利用定着を推進するかが、カスタマーサクセスの重要な活動になります。
従来のカスタマーサクセスでは、解約を防ぐために定期的にお客様先を訪問し「問題なく使えていますか?お困りごとはありませんか?」と聞いて回っていました。その際、窓口となっている担当者は「問題なく使っていますよ」と答えるかもしれませんが、その先にいる全てのエンドユーザーが本当に問題なく使えているかは、その会話だけではわかりません。
しかしPendoを使えば、一人ひとりのユーザーの行動を追跡できます。カスタマーサクセスが訪問して担当者から聞きださなくても、データを見れば「このお客様はユーザーの利用率が下がっているから、問題があるな」といったことがすぐにわかり、タイムリーに対策を講じることができます。
Pendo本社のデータサイエンティストは、全てのPendoのユーザーデータを分析して、ユーザーがどういう行動をすると定着し、逆にどういう行動がないと解約に結び付くのか、という確率を導きだしています。この分析データを外部のCSM(カスタマーサクセスマネジメント)のSaaS製品と連携し、カスタマージャーニーの中で解約する確率が高まると予測されると、アラートでCSMに通知するテックタッチの仕組みを作っています。この仕組みを活用すれば、売上金額が少ない数百社規模の中小のお客様に専任のCSM担当をつけなくても、アラートが上がった時に迅速に対応することで未然に解約のリスクを下げることが可能になります。
カスタマーサクセスの人数は数が限られるため、今後拡大の見込みの少ない中小のお客様については、専任のCSM担当を配置するのが難しいケースがほとんどです。Pendoを活用すれば、CSMが人力で行っていたお客様のプロダクト活用・定着化の支援を、データドリブンで顧客エンゲージメントを自動化できるため、人の仲介を最小限にしながらも、顧客体験を損なうことなく解約を防止することが可能になります。これがカスタマーサクセスにとってのPendoの強みだと思います。
Pendoは「データソース」のコンセプトで技術部門への負荷をかけずにデータを簡単に収集・出力できる設計になっており、顧客管理やカスタマーサクセスなど他のSaaSとAPI連携して顧客価値を高めることができます。Pendoを活用してカスタマーサクセス部門が人数を増やさなくても、支援できる顧客の数を拡大し、より多くのお客様の成功にも貢献します。
Pendoのソリューションは、カスタマーサクセス部門で働く人も、そしてその先のお客様も幸せにできる。私はそう確信しています。
■Pendoについて
Pendoは、「ソフトウェアで世界のプロダクト体験を向上する」をミッションに掲げ、ユーザーの期待にソフトウェアを近づけるためのプロダクトプラットフォームを提供しています。2013年にノースカロライナ州ローリーに設立されたPendoは、世界7拠点にオフィスを構え、従業員は800人以上にまで拡大。顧客企業は、米Salesforce.comや米Trend Microなど2000社を超えており、「フォーチュン500」企業にも多数導入されています。Pendoはコミュニティ活動やイベント、ポッドキャストなどを通じて、世界中のデジタルリーダーの成功を サポートすることを目指しています。2020年11月1日に、Pendo.io Japan株式会社として日本法人を設立。
公式ホームページ:https://jp.pendo.io/about
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