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顧客を成功に導く喜びは、何ものにも代えがたい。働く人を輝かせ、企業の成長を後押しするデータドリブンなカスタマーサクセスとは(後編)

著者: Pendo.io, Inc.


2013年に北米で誕生したPendoは、プロダクトから定性・定量データを抽出し、ユーザーガイドを出してCXを(カスタマーエクスペリエンス)向上させ、ユーザーからのフィードバックや開発管理のロードマップ機能でプロダクト部門の開発管理に貢献するSaaS企業です。2020年の日本支社開設に伴い、インターネットの黎明期から日本で顧客支援の領域を確立してきた大山忍を2番目の社員として迎えました。どのような経験を経てカスタマーサクセスの仕事に出会ったのか、日本におけるカスタマーサクセスの課題とは何か。大山がその想いを語ります。


■日本のカスタマーサクセスマネジメント(CSM)の課題

既存ユーザーの利用・定着化を図りながら、お客様との信頼関係を構築し、お客様の課題を解決できるように適切に自社製品を社内全体に浸透させ、さらに拡張していくのが、本来のカスタマーサクセスの役割です。


これまで米国企業でカスタマーサクセスを実践し、日本でのカスタマーサクセス経験者の採用や、担当者の方々との交流から、日本ではCSMがテクニカルサポートやトレーニングに忙殺され、本来の価値を発揮できていないケースがよくあると感じています。例えばプロダクトにバグが頻発していたら、お客様にビジネス戦略の話を持ちかけるのは難しいでしょう。顧客との信頼関係構築にまで至らないのでは本来の役割が果たせているとは言えません。


ジョブ型雇用があたりまえの米国の企業では、サポート部門とトレーニング部門、そしてカスタマーサクセス部門と役割が明確に分かれていることが多いのですが、まだ日本ではCSMの役割の定義や、お客様を支援する体制が確立されていないという印象を受けます。CSMがお客様と戦略的なパートナーシップを形成するには、それ以前に技術的な問

題や基本の操作トレーニングなどを他の部門が解決する仕組みがないと、カスタマーサクセスのパフォーマンスは発揮できません。


また、お客様のビジネス戦略を理解し、企業の成長を後押しできるように自社プロダクトを推進していくエンタープライズ企業担当のカスタマーサクセスには、経験豊かな人材が必要です。私はSaaSベンダーが提供する有償のビジネスコンサルの経験や、新規CS部門の立ち上げ、複数の部門をマネジメントする経験を経てからカスタマーサクセスに携わりました。アメリカではカスタマーサクセスにMBAホルダーのベテラン人材を置くことも珍しくありません。


一方日本では、サポート部隊とみなされてビジネス経験の浅い人だけが配置されているケースが少なからず見受けられます。そのため一歩踏み込んで顧客の課題を解決する提案ができなかったり、お客様の声を社内の各部門や経営層にきちんと反映させることができなかったり、といった状態になっているケースが少なくないようです。


カスタマーサクセスは、お客様と信頼関係を構築し、ビジネスの課題を理解した上で長期的に伴走すること。この役割を社内で定義し、各部門との連携も含めてプロセスを明確にすることが求められます。



■Pendoの提唱する「プロダクト主導組織(PLO)」への共鳴

私にとっては、お客様の成功が仕事を頑張る上でのモチベーションになっています。そのためPendoの提唱する「PLO」(プロダクト主導型組織)に深く共感しています。PLOを実践する企業では、提供しているプロダクトを中心に捉え、データ化された顧客体験を共通言語化し、プロダクト担当だけでなく、経営層から営業部門やマーケティング部門、カ

スタマーサクセス部門とあらゆる部門が顧客の成功体験と、それに連動したビジネス拡大という目標達成に向かって連携します。


かつてはクラウドサービス(SaaS)を提供する企業では、営業部門が作る数字が評価の中心で、その他の部門は、営業部門のパフォーマンスを上げるサポート部門という位置付けでした。新規受注を獲得できさえすれば経営層や株主から評価されるので、CS部門の人間としては、お客様の成功という視点が欠けていると感じることが多くありました。


この数年、PLG(プロダクト・レッド・グロース)という概念が注目を浴びています。定義としては、『プロダクトでプロダクトを売る』SaaS企業の成長戦略を表し、コロナ禍でもPLGを実践しているSaaS企業は大きく成長しました。その代表例がZoom社です。対義語になるのがSLG(セールス・レッド・グロース)で、まさに今まで営業を採用すればするほど売り上げをあげてきたSaaS企業の戦略を表すものです。PLG実践企業は、いかにコストの高い、営業マンを介さずに顧客を増やし、売り上げ成長を伸ばすかが成功の要因となり、PLG実践企業は他の上場しているソフトウエア銘柄よりも高い企業価値で評価されています。


米国SaaS企業では、フリーミアムという基本機能を無償トライアルで体験させ、有償契約へ転換するビジネスモデルが多く採用されています。ユーザーを有償へと転換させるためには、ユーザーのプロダクト体験、すなわち行動データが重要な鍵となります。そこでプロダクトの行動データを元に、マーケティング部門は、ユーザーに適切なメッセージを送り、優良なリード(新規見込み顧客)を醸成する必要があります。営業部門は、トライアルユーザーの利用状況を確認しながら、価値提案をすることで商談確率をあげ、また契約後もアップセルの機会をデータで確認することができます。

そして開発部門は、ユーザーの行動やフィードバックをもとに、機能を改善し、顧客に価値のある追加機能を開発し続ける事ができます。このようにプロダクトを通じたユーザー体験をベースに、組織横断的に顧客成功のための企業活動を実践するというのがPLOの考え方です。


Pendoが提供するソフトウエア分析機能、ユーザーを適切に誘導するガイド機能を活用すれば、SaaS企業は以前と比べて少ない労力でビジネス拡大を支援することができると同時に、売上を増加させることが可能になります。例えば「管理権限を持つユーザーはこの機能を追加購入する確率が高い」という分析結果があれば、「この機能を30日間無料でご利用いただけます」といったガイドをログイン中の管理権限を持つユーザーだけにターゲットを絞ってプロモーションを展開させることができます。これは人を介さなくてもアップセルの機会を創出することができるということです。ユーザーの行動データに基づいてパーソナルなエンゲージメントを自動化することで、繰り返しの作業や煩雑な作業をなくし、人が本来の役割に専念できる「選択と集中」が実現するのです。


■プロダクトの導入は企業文化を革新しないと成功しない

日本は終身雇用制で伝統的にジョブローテーションがあるため、せっかく数年かけてお客様企業の担当者の方にプロダクトや技術に関する知見を提供しても、まったく関係ない部署に異動してしまい、後任の担当者へノウハウやプロセスを含め引き継ぎが上手くいっていない、ということが度々ありました。米国であれば、人材の流動性が高いため、プロダクトの知見のあるユーザーが他の会社に転職して社内の導入を推進するなど、新しい技術に関しても市場全体のリテラシーが底上げされているのとは対照的です。日本では、IT人材も少ないため、ITに関してはSI企業などに丸投げのケースが多く、テクノロジーを使いこなす人材が社内にいないという問題もあります。


米国はSaaS大国で、雨後の筍のように次々と新たなSaaSが誕生しています。それに対して日本発のSaaSがそれほど多くないのは、日本企業のSaaS導入に対する考え方や姿勢にあるように思います。米国であれば、SaaSの第三者評価サイト等を活用して、評判が高いものをどんどん社内に取り入れて、期待に合わなければすぐ他のサービスに乗り換えます。オンプレミスのITシステムとは違い、短期間で導入できるのがサブスクリプション型のSaaS導入のメリットであり、失敗から学ぶという文化があるからです。それに対して日本は失敗が許されない文化があるので、SaaSの導入を検討するのでさえ、1年ぐらいかけて実証実験をすることがあります。このようなスピードでは、昨今の急激な経営

環境の変化に対応できません。


とはいえ、新しいIT技術を取り入れて組織をよくしていきたいと考える人がたくさん日本にいることも事実です。私はその人たちがどうしたら上層部に承認を取り付けることができるのか、その人たちが他部門の利害関係者と連携して進め、最終的にビジネスが成功するために必要な情報は何か、を考えて支援してきました。


日本を離れ、海外で生活した経験があるからこそ、日本をよくしていきたい、という思いは強くなりました。今まで米国系の最先端のSaaS企業で得た知見の全てを注ぎ込み、DX化を推進しようとする日本の企業を、プロダクトから得られるデータと顧客中心主義の概念によって成長させたいと考えています。そのためには新しいIT技術を導入するだけで

なく、組織を変えていかなければなりません。Pendoのサービスの強みが多くの企業の革新を後押しし、成功に導いていけるよう、日々取り組んでいます。



■Pendo、日本進出。日本法人2番目の社員としてやっていきたいこと

今まで数々のSaaSのスタートアップ企業で仕事をして、うまく機能していない組織運営を見てきました。私個人としてもたくさんの失敗を経験しています。あの時、何が間違っていたのか、どうすればうまくいったのか。その答えを探すためにMBAを学ぶ道を選びました。Pendoに出会う前のことです。


学びの中で1番影響を受け、今の私の仕事に対する考え方の軸となったのが、サービス・プロフィット・チェーン(SPC)の考え方です。SPCは1990年代のアメリカの研究で、サービス業における従業員の満足と顧客満足、企業の利益と成長には因果関係があるという研究結果です。


そしてMBA在学中に、ご縁あって日本に進出したばかりのPendoの2番目の社員として参画することになりました。「企業が成長するには、従業員が幸せでなければならない」という私の思いを、Pendoはすでに具現化している企業だと思います。Pendoが日本支社を開設したのは2020年11月で、まだスタートを切ったばかりですが、Pendoの本社のバリューに基づく社内文化を日本支社でも醸成していきたいと考えています。


そのためにひとつ、私にはどうしても取り組みたいことがあります。それはお客様を成功に導くための理想の会社組織をデザインすることです。


従来、米国のSaaS企業が日本に進出する場合、カスタマーサクセスは後からできる組織でした。営業人材をどんどん採用し、ある程度顧客が増えて、営業部門では対応しきれなくなって初めてカスタマーサクセス部門が設立されることが多かったのです。私の考えでは、お客様の成功は契約締結完了後のCS部門のエンゲージメントから始まるのではなく、それよりずっと以前のマーケティング部門の市場へのメッセージから、営業部門による商談プロセス、全ての顧客とのタッチポイントが成功の要因となると考えます。こうした組織横断的に一貫した顧客中心主義の戦略実行ができないと、本来売るべきでなかったお客様、例えばお客様が解決したい本当の課題を自社の製品では実現できないことが契

約後に発覚し、解約に至ったというケースも多くありました。


これではカスタマーサクセスの真の価値を発揮する組織として正しくないと思いました。マーケティングのメッセージ、営業活動によるお客様とのエンゲージメントの醸成、カスタマーサクセスによるエンゲージメントの深化。全てがつながっていなければお客様の成功は望めません。だからこそ、2番目の社員として立ち上げに参画できたPendoジャパンでは、組織全体のプロセスから社内文化醸成も含めて、お客様が成功する確率が高くなる組織をデザインしたいと考えています。


Pendoは日本においては100%代理店モデルのため、パートナー企業様にカスタマーサクセスの役割を担っていただくのですが、パートナー企業様もPendoのメンバーととらえ、米国での知見やベストプラクティスを共有し、協力しながらより多くの日本企業がデータドリブンな意思決定ができる企業へ変革できるよう支援したいと考えています。


お客様を成長に導くことが、私のコアバリュー。そのためには、社員もパートナー企業も、全ての働く人が新しいテクノロジーの恩恵を受け幸せになって欲しいと考えます。Pendoのソリューションで企業と日本をハッピーにするために、これからも突き進みます。



■Pendoについて

Pendoは、「ソフトウェアで世界のプロダクト体験を向上する」をミッションに掲げ、ユーザーの期待にソフトウェアを近づけるためのプロダクトプラットフォームを提供しています。2013年にノースカロライナ州ローリーに設立されたPendoは、世界7拠点にオフィスを構え、従業員は800人以上にまで拡大。顧客企業は、米Salesforce.comや米Trend Microなど2000社を超えており、「フォーチュン500」企業にも多数導入されています。Pendoはコミュニティ活動やイベント、ポッドキャストなどを通じて、世界中のデジタルリーダーの成功を サポートすることを目指しています。2020年11月1日に、Pendo.io Japan株式会社として日本法人を設立。

公式ホームページ:https://jp.pendo.io/about




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