プラスチック廃棄量を年間約12トン減らす、新たに生まれた紙包材の「味の素®」と「うま味だし・ハイミー®」。パッケージリニューアル実現のストーリー。
社名の由来となっているうま味調味料「味の素®」。同じく、長く愛され続けてきた「うま味だし・ハイミー®」。この2製品の詰め替え用袋入り品種のパッケージが、このたびプラスチックから紙包材にリニューアルしました。
「味の素®」「うま味だし・ハイミー®」袋入り品種のパッケージを紙包材に変更
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2022_01_06_01.html
この取り組みにより、なんとプラスチック廃棄量を年間約12トン減らすことができます(2020年度比)。「この約12トンとは、アフリカゾウ約2頭分に相当するんです」と話してくれたのは、この取り組みに関わった開発担当者の宮坂文浩さん。
紙パッケージへのリニューアル実現には、さまざまな紆余曲折がありました。今回、製品リニューアルの裏側にある開発ストーリーを宮坂さんにうかがいました。
2030年度までにプラスチック廃棄物をゼロに
――今回、なぜ「味の素®」「うま味だし・ハイミー®」の詰め替え用パッケージを紙包材にリニューアルすることになったのでしょうか?
ここ数年、世界的に環境への意識が変わってきました。その中のひとつが海洋プラスチック問題。
味の素グループでは、2030年度までにプラスチック廃棄物をゼロにすることを目標に掲げています。「味の素®」「うま味だし・ハイミー®」という当社を代表するロングセラーブランド製品のパッケージを紙にできれば、その目標に大きく近づけると考えました。
――味の素社を代表する製品のパッケージリニューアルにあたって宮坂さん自身はどう感じていましたか?
率直に「大変だろうな」と感じました。ただ同時に「実現できたらすごいな、やり遂げたいな」という前向きな気持ちも抱いていました。
2022年3月発売という目標に向けて、従来のプラスチック包材と同様に中身の品質を保つことができる紙パッケージの開発プロジェクトが始動しました。
――食品の紙パッケージというと、昔から小麦粉や片栗粉に使われているイメージがあります。「味の素®」「うま味だし・ハイミー®」のパッケージの紙化はそんなに難しいものなのですか?
そんなに難しくなさそうだと思われますよね。ただ、「味の素®」「うま味だし・ハイミー®」は、小麦粉や片栗粉と同じように見えて決定的に異なることがあるんです。
「味の素®」「うま味だし・ハイミー®」の粒子は小麦粉や片栗粉のふわふわとした粒子とは違って、縦長で硬い粒子なんですよ。
――本当ですね!よく見ると小麦粉などとは違うのがよくわかります。
小麦粉や片栗粉のような粒子は、紙パッケージに押し付けられても穴が開いてしまうリスクは非常に低いですが、「味の素®」「うま味だし・ハイミー®」の粒子は穴や破れを引き起こしてしまうおそれがあります。
こうした理由もあって、このような硬い粒子状の製品の紙パッケージ化が実現されてこなかったのだと思います。
丈夫さ・使いやすさ…理想の紙パッケージができるまで
■生活者に届けるために大切にした3つのこと
――紙パッケージへのリニューアルがむずかしい状況の中で、特にどんなことを大切にされたのか教えてください!
基本的には、
・長距離の輸送に耐えられる破れにくさ
・高温多湿な環境下での湿気にくさ
・従来のプラスチック包材と同レベルの開けやすさ
の3つです。
このうち、「破れにくさ」や「湿気にくさ」については、私が営業を担当していた時代にお店の在庫置き場を見ていた経験が役立ちました。製品がどのような環境で、どのように扱われるのかのイメージがつきやすかったので。
たとえば、店舗の改装時などは、重い製品と一緒に運ばれることが多く、上に1㎏程度の物が重なっていることもありました。そのため、お店でも安心して取り扱っていただけるよう、10㎏の荷重に耐えられるかも確認しました。
■お客さまの目にとまりやすいデザイン
製品のデザインについては、店頭でなじみのある形は変えず、自立する「ワイドトップ型」にもこだわっています。
これが実は非常に大変で。ワイドトップ型を選んだがゆえに発生した課題もありました。
――どのような課題があったのでしょうか?
包材の底を折ることで自立するようになっているのですが、そうすると表面にしわができやすくなってしまったり、折り目のすきまに製品の粒がはさまりやすくなってしまったりするリスクが生じます。
フラットな形にすればこれらの問題は軽減しますが、そうすると、店頭に並んだときに製品が寝た状態になってしまい、お客さまの目にとまりにくくなってしまう。「どうしても自立させたいです」と一緒に包材を開発してくれた研究所、工場のメンバーに説明し、がんばって自立型を実現してもらいました。
■いくつもの壁を開発スタッフ全員で乗り越えて
――大きなリニューアルだからこその開発ストーリーがたくさんありますね…。
あらゆる工程が思っていた以上に大変でした。
包材はあらかじめあたりを付けた19種類から選んだのですが、よさそうだと思って選んだものを実際にパッケージ化するテスト品にしてみたところ、中で粒子が固まってしまったり、2000kmの運搬テスト中に破けてしまったり、しわになってしまったりなどということもありました。
さらに、「これでいける!」と思っても、製造のコスト面でNGとせざるを得なかったことも。
いくら環境にやさしく、品質も担保したパッケージができたとしても、その分製品の価格が高くなりすぎてしまってはよくないですから。
どうやったらコストを抑えられるのか。無理難題とも思われる壁も、パッケージ開発のメンバーが熱意を持って一緒に考え、試行錯誤してくれました。
――無事、目標としていた時期に発売されました。振り返ってみていかがですか?
発売まで残り1カ月の時点で「想定していないところにしわができた」と製品の品質に関して報告を受けるなど、何度も「期日に間に合わないんじゃないか…」と思ったことがあります。
「丈夫さとコストとを両立してほしい」という難しいオーダーに応えてくれたメンバー、「プラスチックのような光沢がなくなる分、おいしく見せるにはどうしたらいいか」とパッケージデザインにこだわり続けてくれたメンバーなど、みんなの力が結集してようやく発売を迎えられました。
ただ、発売が本当のゴールではありません。
実際に手に取っていただいた生活者のみなさまの声なども参考に、改善できる点は改善しながら、2030年度を目標にさらなるプラスチック廃棄物の削減に取り組んでいきたいと思っています。
新しくなった紙の「味の素®」リニューアルSTORYはこちらでもご覧いただけます。
https://bit.ly/parkajinomotomagazine323811
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