「Visaのタッチ決済」を通じて「麦わらカトラリー」作りを支援。海洋プラごみ問題解決の一助に
2020年2月より三井住友カード株式会社(以下、三井住友カード)が実施している「タッチハッピー」プロジェクト。キャッシュレス決済を通じてサステナブルな社会の実現を目指す取り組みとして、社会課題解決に取り組む団体へ寄付による支援を行ってきました。
2022年10月から2023年3月の期間で実施の「麦わらとプラごみのこと篇」では、海洋プラスチックごみ問題の解決に取り組む一般社団法人広域連携事業推進機構(以下、RPA)」の「麦わらカトラリー」生産活動を支援しています。
「タッチハッピー」の担当者である三井住友カードの子玉さんと、RPA代表理事である重久さんに、本プロジェクトの取り組みについて聞きました。
((左)RPA代表理事の重久氏と(右)三井住友カードの子玉氏)
キャッシュレス決済でたくさんの“good”を生み出したい
―三井住友カードでは現在、キャッシュレス決済を通じて社会課題解決に取り組む団体を支援する「タッチハッピー」プロジェクトを進めていますが、その背景にある想いを教えてください。
子玉:当社が推進するキャッシュレス決済が広まると、お客様やお店、そして社会に対するさまざまな“good”が生まれると考えています。お客様はカード決済でお買物をすることで、便利さやお得、安全を享受できますし、お店側は決済周りの効率化やお客様へ利便性を提供することによる満足度向上などのメリットを受けることができると思います。さらに、偽造や盗難リスクの軽減、現金の管理・輸送コストの削減など社会的な意義もあります。そうしたキャッシュレス決済を通じてたくさんの“good”を生み出していきたいという想いから、「Have a good Cashless.」をキーメッセージに掲げ、サービスを提供しています。
そして、社会への“good”をもっと実現させたいという想いから、キャッシュレスの推進とリンクさせつつ、さまざまな社会課題の解決を目指す取り組みとして「タッチハッピー」が誕生しました。
―具体的に「タッチハッピー」はどのような支援プロジェクトなのでしょうか。
子玉: 「タッチハッピー」は、Visaのタッチ決済件数と、三井住友カード公式SNSアカウントのシェア数の合計(2023年3月時点)に応じた金額を、社会課題に取り組む団体に寄付するプロジェクトです。Visaのタッチ決済の推進と、社会課題の解決支援を掛け合わせたプロジェクトと言えます。
私たちは2020年2月からこれまでに、社会課題に取り組む9つの団体に寄付という形で支援を行ってきたのですが、最近はこの活動を通じた“支援の輪”が少しずつ広がってきていると実感しています。例えば、弊社のカード会員の方に「タッチハッピー」の取り組みをお伝えすると、「普段のカード利用で良いことができることがわかり、嬉しくなりました」や「社会に貢献できることをドンドン進めて行ってください」というポジティブなお声もいただけるようになりました。
また私たち自身にとっても、社会課題解決を目指すさまざまなNPOや一般社団法人などの方々との交流は、今まであまり知らなかった社会課題について知ることができる、とても良い機会になっています。
海洋プラごみ問題を解決するための後押しをしたい!
―今回の取り組みでは、「麦わらとプラごみのこと篇」というテーマでRPAさんをパートナーに選び、「タッチハッピー」プロジェクトを進めています。具体的にRPAさんのどのような活動に対して、支援をしているのでしょうか。
子玉:今回の「麦とプラごみのこと篇」では、Visaのタッチ決済の推進を通じて、麦わらのストローの生産というかたちで海洋プラスチックごみ問題と農業福祉の課題に取り組むRPAさんを支援しています。
RPAさんは海洋プラスチックごみ問題の解決を目指し、福祉事業所と連携して麦の茎部分を再利用した「ふぞろいのストロー」※を製作されています。その麦わらでできたストローを含めた「麦わらカトラリー」の生産支援を行うのが今回の支援内容です。
※「ふぞろいのストロー」:個々の麦は色や太さ、長さがふぞろいであり個性的なことから、多様性を重視する現代社会を形容する意味で「ふぞろいのストロー」と名付けている
―RPAさんをパートナーに選んだ背景についても教えてください。
子玉:お買物という日常の行動とさまざまな社会課題の解決を、どのようにしたらつなげられるだろうと考えていた時、プラスチックごみが思い浮かびました。物を消費する際、プラスチックごみが発生するのは避けられません。こうしたごみについて、お買物を通じてお客様と一緒に考え、その低減に取り組みたいと考えていたところ、海洋プラスチックごみ問題に取り組むRPAさんと出会いました。
RPAさんを支援させていただくことにした理由のひとつは、麦わらのストローという、目に見えるものを通じて海洋プラスチックごみ問題を解決しようとされていることでした。実際に一般の方が手に取れるものを使うということは、大事なことだと思ったんです。
環境問題やごみ問題は、どうしても普段の生活から想像しづらい側面があると思います。でも、「ふぞろいのストロー」は、普段よく目にするプラスチックストローに代わって使える物なので、興味を持ってもらいやすいと思いました。
実際、昨年の三井住友VISA太平洋マスターズで「タッチハッピー」のブースを出展し、麦わらのストローを来場者に配布したのですが、実物を手に取っていただいたことで、「タッチハッピー」や「ふぞろいのストロー」に興味を持っていただけました。
(2022 三井住友VISA太平洋マスターズのブースの様子)
麦わらのストローで海洋プラごみ問題の解決に挑む
―「1本のストローで世界を変える」をミッションに、麦わらのストロー製作に取り組まれているRPAさんの具体的な活動内容を教えてください。
重久:「ふぞろいのストロー」という名称で2021年から取り組んでいます。麦は通常、生産者がコンバインで刈り取る際に実の部分を収穫し、茎の部分は粉砕して田畑に戻しています。私たちはその通常は使われない茎部分に注目し、福祉事業所と連携して麦ストローに加工することで、海洋プラスチックごみ問題対策に取り組んでいます。歴史的な背景からも英語の “straw” は日本語では「麦わら」を意味しますが、この意味をご存知でない方も結構いらっしゃいます。そして、麦わらを原料としたストローは約120年前の日本に存在していました。
(麦わらのストローを作る様子)
―「ふぞろいのストロー」プロジェクトに対し、一般の方からはどんな反応がありますか。
重久:小学生から高齢の方までいろいろな反応があるのですが、特に印象的だったのはある小学生たちの言葉です。私たちが学校で麦の話をした後、一緒に給食を食べる機会があったんです。その時に「ふぞろいのストロー」を使ってもらったのですが、牛乳を飲みながら子供たちは、「普通のストローだね」って言ったんです。いつも使ってるストローと変わらないし、いつもより美味しく感じるねって。中には持ち帰る子もいたりと、その様子を見てすごくうれしくなりました。「ふぞろいのストロー」を作っている私たちの気持ちは、なんらかの形で伝わっているなと実感しましたね。
「麦のサーキュラーエコノミー」を目指して
―三井住友カードと「タッチハッピー」でタッグを組んだことは、RPAさんの活動にどのような影響がありましたか。
重久:海洋プラスチックごみ問題解決に向け、私たちの活動に勢いがついた感じがあります。今回の「タッチハッピー」でパートナーとして選んでもらったことで、「ふぞろいのストロー」プロジェクトに関わっている皆の、活動に対する意気込みが高まりました。
新たに「麦わらカトラリー」の試作も東大発のベンチャー企業と進めています。麦わらの残渣を使ったお皿の開発にチャレンジしていて、その後はフォークやスプーンの開発にも取り組んで行く計画です。
―「ふぞろいのストロー」プロジェクトがこの先に目指す目標を教えてください。
重久:麦のサーキュラーエコノミーを実現させたいです。収穫した麦の茎部分を農福連携で麦ストローに加工し、それを消費者に購入いただいて使ってもらう。そして使い終わったものは回収し、パウダーやチップに加工して再び田畑に戻したり、または再利用する。この循環を確立させたいと考えています。現状は新型コロナの問題もあるので、ストローの使用後は可燃ごみとして分別して処理することをお願いしていますが、麦が生育する際にCO2を吸収して育ってくれているため、ごみとして燃やす際に新たなCO2を発生することはありません。
(麦わらの残渣で作ったお皿の試作品)
お客様と一緒に取り組み、多くの人に知ってもらえる仕組み作りを
―「タッチハッピー」プロジェクトは今後も続けていく予定なのでしょうか。
子玉: 「タッチハッピー」には二つの役割があり、ひとつがキャッシュレス決済を社会課題解決につなげること。もうひとつが、身近に社会課題があることを多くの人に広めるきっかけ作りとなることです。キャッシュレス決済に応じた額を社会課題の解決に取り組むNPOなどに寄付するような直接的な支援だけではなく、「知ってもらうこと」でお役に立てればと思っています。
企画そのものの認知度は上がってきていますし、カード会員の方からポジティブな反応もいただけているので、この二つの役割を果たせるよう引き続き続けていく予定です。
また、今後はお客様の参加度合をより高めて、一緒に取り組んでいく企画ができればと考えています。それによって、さまざまな社会課題や本プロジェクトに興味を持っていただければと思います。
まだまだ小さい取り組みではありますが、今後もキャッシュレス決済を推進しながら、食や教育、海洋保全などさまざまな社会課題の解決に貢献することで、世の中の“good”をもっと増やしていきたいです。
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