大手ネット通販会社を脱サラし京都にフライパン専門店「鐵兎堂」をオープンした理由。コンセプトは買い物に「選ぶ楽しさ、見つける面白さ」を。
株式会社Phezzanは、フライパンの専門店やカトラリーの専門店など、通常ではホームセンターやデパートのキッチン用品コーナーの一部分で販売されているカテゴリを掘り下げ、一般客に「選ぶ楽しさ」や「見つける面白さ」を提供できる専門店を運営している京都のベンチャー企業です。
インターネットで物を買うことが当たり前になった現代。
反対に実店舗での販売力はどんどん失われています。
お店で見てネットで買うといった、いわゆるショールーミング目的の客も増え、実店舗の運営は難しいものになってきました。
そんな中、株式会社Phezzanは2023年7月に実店舗(フライパン専門店 鐵兎堂)を京都の町家を改装しオープンしました。
ホームセンターだけでなく今やドラックストアでも買えるフライパンという道具の専門店をなぜ出店したのか。
その理由とストーリーを代表が振り返ります。
インターネット通販から実店舗経営へ転身
同社の代表である林田は、大手インターネット通販の楽天市場(楽天株式会社)で出店する店(会社)をサポートするコンサルタントをしていました。
老舗の有名店や、毎年賞を受賞するような有力店の担当を任せられ、さまざまな経営者と交流を持つことができました。
そんな中で「この人たちと肩を並べて勝負してみたい」という気持ちが強くなり退職。投資家を探して資金を調達し、かねてより興味のあったキッチン雑貨を仕入れてネットで販売する会社を作りました。
当時はインターネット通販の市場は成長期、会社の売上も順調に伸ばして行けました。
実店舗に入って実感した違和感と気付いた「見て、触れる」買い物の楽しさ
起業からしばらく経ったある日、週末に家族で大型のショッピングモールへ出かけました。
キッチン雑貨のお店もいくつかテナントで入っており、参考にしようと売り場をチェックしておりました。
2つ目のお店に入ったときにある違和感に気づきました。
先ほどのお店と同じような商品が並びほとんど違いが分かりませんでした。
次に入ったお店も似ている「これは楽しくない・・・」。
キッチン雑貨だけでなく雑貨の実店舗はどこも似たような店になっていることに気づいたのです。
取引先などを通じてその理由を調査し分析すると、実店舗の収益効率をよくするための苦肉の策であることが分かりました。
インターネット通販の業界では、どの店で何が売れているかという「売れ筋」が外からでも分かりやすくなっています。
どのショッピングモールでもあるランキングというシステムや、分析ツールなども多く存在する中、どの店も売れ筋はほとんど丸裸にされています。
実店舗でもインターネットの売れ筋を参考にして、店のスペースを無駄にとっている人気のない商品をはずし、実績があり買ってもらえそうな商品を陳列するようになっていたのです。
似たような商品や陳列の店が増えていき、その違和感を感じると同時に、実は自分たちもその一役を担ってしまっていることに気づきました。
物を買うという行動はインターネットによって簡単になり便利になりました。
しかし、同時に買い物の楽しみは失われてしまってはいないか。
それは、選ぶという苦労から得られる「楽しさ」。
店に行くという労力と引き換えに感じる「出会い」や「発見」がある。
このままでは、お客様はどんどん実店舗から離れていき、いずれ実店舗がなくなってしまうのではという危惧が芽生えました。
そして自分に何ができるだろうかと思い悩む日が続きました。
きっかけは子供との思い出
ある時、「お誕生日プレゼントにレゴのおもちゃが欲しい」と子供に言われました。
その商品をネットで調べると、すぐに見つかり明日にでも配達されます。
でも、そこでちょっと考えてみました。
「電車で1時間かかるけど、レゴストア(レゴの専門店)に行ってみよう」。
買いに行く日までのわくわく感。
当日のお店で目当てのモノを探し楽しむ姿。
別のモノを発見し、迷う時間。
狩りの獲物を持って帰るような誇らしげな顔。
このすべてがネットで購入していたら得られなかった思い出だと気づいたのです。
そして専門店はただの売り場ではなくて、物語や思い出が作られる大切な空間であり存在であることに思い至りました。
多種多様なお客様に対応できる「専門店の必要性」
提供しなければいけないのは商品だけでなく「思いがけない商品との出会い」や「発見・驚きを含めた体験そのもの」だと気づき、「その出会いと発見の場所を作ること」が小売店の使命であり醍醐味でもあるはずと考えました。
そしてそれを実現できるのはやはり実店舗であり専門店です。
メーカーでは実現できない、様々なメーカーの物を公平な視点でお客様それぞれの「最適」を提案できる小売業という存在がこれからも必要であると感じました。
今は、メーカーが直接一般客に販売する、いわゆるメーカー直販やPB商品(プライベートブランド)の販売が当たり前の時代です。
そして、いかにも自分のところの商品がNo.1であるかという売り方を行っています。しかし、人(お客様)によって良い商品はそれぞれ違います。
たとえば、フライパンなら軽くて扱いやすいものを求めている人もいれば、重くても美味しく調理できるものを探している人もいます。
普段はあまり売れない商品が最適である人もいます。
それを選択する手伝いができる専門の知識を豊富に持つ専門店がこれからは必要になります。
専門店の道のりは簡単ではありません。
豊富なバリエーション、正しい商品知識、メーカーや消費者と向き合う時間や経験など、すぐには手に入らないものを少しづつ蓄えていかなければいけません。
また、実店舗を維持するための経済的な負担も大きくなります。
長くお店を継続させるためには、事業として課題を解決する知恵と工夫、さらにまわりからの協力や支援をいただくことが必要です。
でも、はじめないことにははじまりません。
少しずつできることから進めていき、計画から10年かかりました。
そうしてできたのが、今回オープンした「フライパン専門店 鐵兎堂」になります。
お客様のニーズにお応えする ーフライパン専門店ー「鐵兎堂」
フライパンの悩みを持つ人は多くいます。
使いやすさ、料理の味、お手入れのしやすさ、耐久性など人によってニーズはバラバラです。
間違った情報を鵜呑みうのみにしていたり、誤った使い方をしている人もいます。
そんな人に最適なフライパンを見つけてもらうための専門店です。
お店ではいろんな種類のフライパンが用意されており、卵を焼くなどして実際にその場で使って試すことができるサービスもご用意しております。
フライパンのほかにも、店長の厳選した台所道具も見て楽しめます。
料理が好きな方や家族に美味しい料理を食べてもらいたいという老若男女が来店いただいています。
国内外のお客様から愛用されているーカトラリー専門店ー 「京都匙亀」
フライパン専門店 「鐵兎堂」に先駆けて2017年に京都でオープンしたカトラリーと呼ばれるスプーン、フォーク、ナイフ、お箸の専門店で、今回三条烏丸の店舗から移転し、鐵兎堂と同じ建物「イワタコマチヤ」でリニューアルオープンしました。
豊富な種類でレストランやホテルの関係者といったプロもこだわりのカトラリーを探しにきたり、実物を確かめ比較するために来店しています。
オーソドックスなものから料理に合わせた専用カトラリーや美しい色や形のデザインカトラリーなど1本から気軽に購入できます。
皿やグラス、漆器などもセレクトされており、見るだけで面白い品揃え。
関東や海外といった遠方からも来店が多いです。
目指すビジョンは「楽しめるお買い物」ができる専門店街づくり
心に響く充実した体験や経験ができる買い物空間を作りたい。
観光都市でもある地元の京都で全く新しい観光スポットになるような面白い専門店街を作り、世界中のお客様にお買物を楽しんでもらうことがPhezzanのビジョンです。
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