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ストーリーの著者は、読者でもあります

すべては「Style, Reimagined」を体現するため――カシオが至った結論は、福岡の老舗インテリア会社との協業でピアノ椅子を作ることだった

著者: カシオ計算機株式会社


1980年の電子楽器「Casiotone201」発売以来、時代の変化と技術の進歩に合わせて電子楽器を作り続けてきたカシオ計算機株式会社(以下、カシオ)。そのカシオが電子ピアノ「Privia」シリーズで従来のピアノの概念を覆し、電子ピアノをより身近なものに“変革”させたのが2003年でした。そして昨年の2022年、新たな境地を開拓すべくPriviaシリーズから「PX-S7000」を世界に向けて発売しました。

そもそものPriviaブランドステートメントは「In Harmony with Life」。「PX-S7000」はブランドステートメントの定義に則って、現代のユーザーのライフスタイルと演奏スタイルに合った、新しい電子ピアノとして開発されています。


さて、ピアノ演奏においてピアノ椅子は欠かせないものですが、従来のピアノ椅子ではなく、このピアノにふさわしいピアノ椅子があってこそ「PX-S7000」の世界観が完成するとカシオは強く感じていました。

ピアノ椅子作りのスキルやノウハウは十分に有していたカシオ。しかし、今回ピアノ椅子に付加したい高いインテリア性を自社だけで実現するのは困難だと判断しました。そこでカシオは、家具作りのプロである老舗インテリア会社と協業し、「PX-S7000」の世界観を体現するピアノ椅子作りに挑戦することに。ピアノ椅子作りにおいて、カシオが他社と協業するのは初となります。カシオのピアノ椅子作りのスキル、ノウハウとインテリア会社の経験や知見を合わせることで、「PX-S7000」の世界観に調和するデザイン性、ピアノ椅子としての機能性を両立した新しいピアノ椅子を作り上げていきました。


そこで本ストーリーでは、この「PX-S7000」の世界観と調和するピアノ椅子が誕生するまでの軌跡、またこのピアノ椅子に込めた担当者のこだわりに迫っていきます。

カシオが世に放った上質かつ唯一無二の電子ピアノ

Priviaシリーズは、「In Harmony with Life」をブランドステートメントに掲げる電子ピアノシリーズです。「自分のライフスタイルに合わせて自由な演奏スタイルで音楽を楽しんでほしい」との想いから2003年に誕生し、時代の変化に合わせて進化を続けています。


そんなPriviaから新たに登場した「PX-S7000」の商品コンセプトは「Style, Reimagined」(※)。カシオはこの商品コンセプトをかなり積極的に打ち出しています。積極的に打ち出す真意について、カシオ計算機 Privia推進担当者の山﨑はこう話します。


「グローバルに統一したブランディングをしていくにあたり、明確なコンセプトを設けて打ち出すことで、他の電子ピアノブランドやシリーズとの差別化を図りたいという思いがあります」。


この電子ピアノの大きな特徴は、これまでのシリーズモデルとは一線を画す、その高い楽器クオリティとデザイン性。「クラシック以上にポピュラーミュージックも楽しみたい」「グランドピアノの弾き心地も味わいたい」という声にも応えるため、グランドピアノ音色、エレクトリックピアノの音色だけでも89音色もの豊富なバリエーションを用意。さらに、高品質な鍵盤機構やグランドピアノを基にしたペダル、また独自設計の音響システムなども実現しました。

また、思わず部屋のインテリアの主役として置きたくなるような外観は、「自分のライフスタイルに合うピアノがないために、演奏を楽しむことから離れてしまった」ハイスキルユーザーの声に応えるために考えられたもの。その商品クオリティの高さが多くの支持を集め、2022年の発売以降大きな反響を呼んでいます。


※「Style, Reimagined」:今までの「ピアノのあるライフスタイル」に対するあらゆる既成概念を再構築することで、ユーザーとともに電子ピアノの新しい在り方、これまでにない自由な音楽体験を創造したい、という想いが込められている。


(カシオ計算機(株)Privia推進担当者 の山﨑)

ピアノだけでは、届けたい世界観は完成しない

さて、時は「PX-S7000」開発の頃にまでさかのぼります。

上質でモダンなライフスタイルに調和しながらも、高品質な楽器クオリティを両立させた、まったく新しい電子ピアノ――そうしたハイスキルユーザーも納得の世界観と、高い演奏クオリティを実現させるべく「PX-S7000」開発はスタートしたのですが、ピアノの外観デザインが定まってきた頃、一つの大きな課題が浮かび上がってきました。それは、この上質な電子ピアノにふさわしいピアノ椅子の開発でした。


「ピアノの世界観は、ピアノとピアノ椅子が揃って初めて完成する。特に新しいライフスタイルを提案する以上、このピアノに調和するピアノ椅子がどうしても必要だ。しかし、従来からあるようなピアノ椅子では、このまったく新しい『PX-S7000』の世界観を十分に表現できない……」。


そこで、「PX-S7000」の世界観を精密に表現しそれをユーザーに体感してもらうため、「PX-S7000」に調和するインテリア性と機能性を両立したピアノ椅子開発に乗り出すことになりました。

このインテリア会社となら求める世界観を実現できる

(「PX-S7000」とともに「Style, Reimagined」を体現するために開発されたピアノ椅子「CC-7」)


「PX-S7000」の世界観と調和するピアノ椅子を開発するにあたり、まずは世にあるピアノ椅子やスツールを買い集め、デザイン性や使い心地を分析することにしました。そうしてピアノ椅子としての条件とデザインの方向性を定めるところから開発を進めて行き着いたのが、クッション性のある丸い座面、そして「PX-S7000」と同様直線的に広がる脚部が特徴的な木製スツールでした。


しかし、家具である木製スツールをそのままピアノ椅子には転用できません。なぜなら、一般のスツールではピアノ演奏時の姿勢や演奏性、安定感が実現できないからです。

長く座っても演奏できるよう、ピアノ椅子には一定の厚みのあるクッションが絶対条件。しかも、ただ厚ければ良いのではなく、安定して正しい演奏姿勢を保てるクッション性が求められます。

また、ピアノ椅子ならではの安定性も備えなければなりません。低音域から高音域にかけて弾いたりペダルを踏んだりと、演奏者は時に重心を移動させて弾くことがあります。そうしたシーンにおいても脚部が浮かず、不安定にならないことがピアノ椅子としての必須条件でした。


(座面には程良い厚さのクッションが採用されており、長く演奏しても疲れづらい)


カシオにはすでに、十分なピアノ椅子作りの知見、ノウハウがあるため、ピアノ椅子に求められる安定性、機能性を備えるものなら作れます。しかし、今回の「PX-S7000」のピアノ椅子には、上質なデザイン、高い意匠性も組み込まねばなりません。そこで思い至ったのがインテリア会社とのコラボでした。その当時のことを山﨑はこう話します。


「正直、社内では『自社だけで開発できないか』という声もありました。しかし、弊社には従来のようなピアノ椅子作りのノウハウはあっても、高い意匠性を持ったピアノ椅子を木製で作るノウハウはありません。『機能性』と『デザイン性』を兼ね備えたピアノ椅子を弊社だけで作るのは難しいと判断し、家具作りのプロであるインテリア会社さんとの協業を決めました」。


ピアノ椅子作りにおいてカシオ初の協業先となったのは、その質の高さで名を馳せる福岡県大川市の老舗インテリア会社・株式会社関家具が展開するブランド「CRASH GATE(クラッシュゲート)」。山﨑自身が以前同社のドキュメンタリーを見て、社員の成長を後押しする社風を知っていたことも、協業を決めた理由の一つだったといいます。


「相談を持ちかけたあと、残念ながらお返事をいただけなかったインテリア会社さんもあった中、関家具さんには『PX-S7000』のコンセプトや世界観を共感していただけ、時を置かずデザインのたたき台をご提案いただけました。新しいピアノ椅子作りへの挑戦そのものにも興味を持っていただけたのだと思います。その“勢い”にも感激し、関家具さんと組めば良いピアノ椅子を作れるのではないかと思いました」(山﨑)。

楽器メーカー・カシオ×インテリア会社・関家具の挑戦

こうして始まったカシオ初の、インテリア会社とのピアノ椅子作り。事前に買い集めていた木製スツールの中には関家具のスツールもあり、両社は比較的スムーズに、目指したいベースフォルムを共有できたといいます。


しかし、その後が苦労の連続でした。中でも1番苦労したのは、カシオがピアノ椅子に定める安全性・信頼性基準をすべてクリアすることだったといいます。

40以上に細かく設けられた基準は、インテリア会社として安心・安全性を担保する木材製品を作り続けてきた関家具でさえ、驚くほど高く設けられたものでした。


高い安全性とデザイン性を木製のピアノ椅子で両立させることは、困難を極めました。各種試験でその設定基準をなかなかクリアできず、そのあまりの困難さに、常に前向きだった関家具の担当者が落ち込みの色をにじませたこともあったといいます。カシオの中でさえ、「従来の金属製ピアノ椅子と同等の基準を木製のピアノ椅子でクリアするのは難しく、あきらめざるを得ないんじゃないか」「金属製のものに木製シートを張る方向ではどうか」などの声も上がりました。


しかし、やはり目指したい形がある以上、あきらめることはできなかったといいます。天然素材の質感の良さ、木材の見直し、座面の大きさと脚部の長さの丁度いいバランス、木目も見える絶妙な風合い……。さまざまに工夫・検討しながら、必要な安全性・信頼性と高い意匠性を両立するための、苦しい試行錯誤が続きました。

そうして一時は開発断念一歩手前まで行ったのですが、そのギリギリのタイミングで、安全性をグッとあげられる設計として「脚部を補強する金属部分の形状を変える」というアイデアが、関家具担当者から提案されたことで流れが好転。それが功を奏し、難局を突破する糸口になりました。

「関家具さんも我々も、これならいけると。その改良された形からは、関家具さんが考え抜いて作ってくださったことがすごく伝わってきました」(山﨑)。


(脚部を補強する金属部分)

PX-S7000とピアノ椅子で音楽を楽しむ生活を

こうして、ピアノ椅子「CC-7」は、担当者たちの粘り強い仕事の甲斐もあって無事、厳しい品質試験を乗り越え日の目を見るに至りました。現物を前にして山﨑は「このピアノに合うピアノ椅子はこれしかない。それくらいの完成度、誇れる製品を作れたと思います」と話します。


また、インテリア会社との初の協業については、「新製品を立ち上げる際に大事だなと思ったのは、自社や協業先を含め関係者を巻き込む力、そして困難に直面した時でもあきらめない心を持つことと実感しました。本当にたくさんのことを学びました」と振り返ります。


すでに国内外で愛用者が増えている「PX-S7000」。表現したい世界観を新しいピアノ椅子の完成により実現させた今、「『PX-S7000』と新しく誕生したピアノ椅子『CC-7』によって、ピアノのあるライフスタイルを楽しみたいと思うお客様が増えてくれるとうれしい」と山﨑は言います。


「私たちは、このピアノ椅子も含めた『PX-S7000』の『Style, Reimagined』という世界観を、しっかりお届けしたいと思っています。昔ピアノを習っていたけれど、大人になって弾かなくなってしまった方。また、大人になってからピアノに興味を持ち始めたけれど、きっかけがなく始められずにいる方。そうした方たちにもぜひ、この『PX-S7000』で音楽を楽しむライフスタイルを送ってもらえたらうれしいです」。


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【CC-7】製品ページ

https://music.casio.com/jp/electronic-musical-instruments/privia/px-s7000-px-s6000/stool/









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