お客様と伴走し、夢や憧れを実現するため商品に命を吹き込む設計者「創業60周年。感謝と挑戦を胸に」商品編(2)
パナソニック ホームズは2023年、創業60周年を迎えました。工業化住宅の商品開発者たちに受け継がれる熱い想いや、お客様の憧れを形にする設計者たちの取り組みを全6回で、ご紹介します。
第2回目は、お客様に寄り添い、設計のプロフェッショナルとして日々研鑽を行う設計者たちの取り組みをご紹介します。
社内コンペで設計のプロとして総合的な提案力を高める仕組み
パナソニック ホームズは、建物設計における優秀事例を選出して表彰する社内制度『アーキテクト・オブ・ザ・イヤー』を2016年度から毎年開催しています。
これは優れた設計事例を全社で共有し、お客様への設計提案レベルをさらに向上させることを目的として創設されたもので、一次・二次の書類審査の後、コンペ形式の最終審査で、設計者自らが、設計計画をはじめオーナー様への提案プロセスについて審査員にプレゼンテーションを行い、総合的な設計提案力を評価、表彰する仕組みです。
時代と共に高度で多様化するオーナー様のニーズに、設計従事者が、より高い提案力とデザインクオリティで応えることができるよう、スキルアップに向け、さまざまな教育研修活動を実施しており、当表彰制度もそうした制度の一環に位置づけています。
2021年度設計部門の社内表彰制度で最優秀賞を受賞した安部 将智
お客様とのジャムセッションで想いを引き出す
「家づくりは、ジャムセッションだと思って提案をさせていただいています。どちらかの意見が強すぎても良い家はできません。お客様の想いを形に、お客様が奏でる音に音を足したり引いたりしながら共に家づくりをさせていただいています。単に間取りを提案するのではなく、ソファやキッチンからの眺めやアウトドアリビングとの繋がりを考えながら住まい方の提案をさせていただいています」。アーキテクト・オブ・ザ・イヤーの2019年度に入賞、2021年度に最優秀賞を受賞したパナソニック ホームズのグループ会社、パナソニック ホームズ大分株式会社の安部 将智は、高校、大学時代を通して打ち込んだ音楽になぞらえて、自らの設計の仕事を表現します。「お客様が発せられる言葉の中から希望するイメージを私の中で広げ、それに対するお客様の反応を見ることで、こうしたいと潜在的に思っておられることを引き出していくことに醍醐味を感じます」。
例えば、アーキテクト・オブ・ザ・イヤーの最優秀作品については、オーナー様のお嬢さまがピアノを弾かれていたことをふまえ、オーナー様からは「グランドピアノの上部に吹き抜けをつくりたい」「ピアノを聞きながらお酒を飲みたい」「広大な敷地を生かしたい」といった要望が寄せられました。そこで、家のシンボルとしてグランドピアノを配置することを考えました。家の広さを生かして建物をあえて南北に分けるように配置し、外側には行き来しやすいようにテラスを設け、ウチとソトを繋げました。さらに、建物のどこからでも自然が感じられるように部屋や窓を配置しています。そして、ピアノについては「日当たりを考えたときに南の部屋ではピアノが傷んでしまうおそれがあったので北側へ置くことを提案し、オーナー様にも賛同をいただきました」と語ります。
アーキテクト・オブ・ザ・イヤー最優秀賞を受賞したオーナー様のご自宅。
家のシンボルであるグランドピアノが映える
常にお客様の立場になって設計プランを考え抜く
安部は子どもの頃から一級建築士である父親の働く姿に触れる機会が多く、進路を決める際に建築家の安藤 忠雄氏に憧れ、建築家の道に進むことになったと言います。そして、福岡の大学で建築を学び、故郷に社を構えるパナソニック ホームズ大分に入社しました。素材の持つ魅力を最大限意匠に生かす建築技法を用い、お客様の家をつくるときには、自分の家をつくるつもりで設計に臨むようにしています。「お客様の想いをただ受け止めるだけではなく、私自身、自分が家を建てるとしたらどうだろうかと考えながら、感じた違和感については伝えるようにしています。これまでの経験上、そうした違和感は結局、お客様にとっても違和感になることを知っているためです」。
そして、安部が目指すのは「完成した家に住んで20年、30年経っても、一緒に家をつくってよかった、と感じてもらえる家づくり」だと言います。例えば、2019年度のアーキテクト・オブ・ザ・イヤーの入賞作では、オーナー様が娘さんをとても大切にされているという想いをくみ取り、安全を守るという観点から家を囲む塀を高くするとともに、健康を守るという観点から全館空調をご提案し、採用いただきました。
もう一つ、安部が家づくりで心掛けていることがあります。それは、街と住まいが共生するように家の外観をデザインすることです。「建築物は近隣中の方も含めて地域コミュニティのものであり、公共の一部として街並みを守るような提案をすることが、ひいてはお客様の資産を守ることにもつながると考えています」。
社内で情報を共有し、お客さまの満足度を高める
パナソニック ホームズ大分を統括する社長の倉 孝徳は、そのような安部の設計デザイン力について「設計を手がけた家はそのままパナソニック ホームズのブランドイメージの向上に寄与しますが、安部はその期待に応えようと努力し続けてきました。常に他社や社会の動きなどにアンテナを張りながら、お客様へどのようなインパクトをもたらすか、そして家を建てることによって街全体にどのような好影響を及ぼすのかまでを俯瞰して考えているところが安部らしいところです」と話します。
CS向上を目指し、社内コミュニケーションの活性化を図る倉 孝徳
倉は2020年4月に社長に赴任して以来、安部をはじめとする優れた設計デザイン力を顧客満足(CS)へとつなげていくために、営業、設計、建設の各部署の横の連携と、若手、中堅社員の縦の連携を推進してきました。
まずは、お客様からいただいた声を良い点、悪い点を含めて社内と業者会で共有します。最後の仕上がりについては、建設担当者の品質責任意識の強化に取り組むとともに、建設担当者と検査担当者のダブルチェックにより、完工後にやり直し工事を発生させず完璧な状態でお引き渡しができるように徹底。これらの取り組みは中堅社員を中心に進め、若手社員と密なコミュニケーションを図り推進することにしました。現在では、設計部門と建設部門が密に連携し、お客様の希望を細かいところまで形にしています。
社内コミュニケーションの活性化に向けては、ビジネスチャットツールを導入しました。お客様一邸ごとに営業、設計、建設担当者がワンチームになったトークルームをつくり、お客様とのやりとりを全員がリアルタイムで共有。ビジネスチャットルーム上でお客様への回答も行い、迅速な応答によって、お客様の安心感へとつなげました。こうした取り組みの結果、2022年度のパナソニック ホームズ社内におけるCS満足度では、全国2位を達成しました。
CS満足度向上に向けた取り組みはお客様にもしっかりと届いています。冒頭で安部が設計を手がけ、アーキテクト・オブ・ザ・イヤーの最優秀賞を受賞した家のオーナー様からは、お引き渡し後に、営業、設計、建設、インテリアコーディネーターなど家づくりに携わったチーム一同をご自宅での食事会に招待いただきました。オーナー様は「皆さんから受け取った住まいへの想いを大切にしていきたい」と話され、引き渡したのちも、庭にたくさんの木を植えて、剪定され、暮らしを楽しんでおられるそうです。
新・くらし文化をこれからも継承
安部は、創業来受け継がれてきたパナソニック ホームズの強みについて「創業者の松下 幸之助が、奥様の家事が楽になるように次々に商品を開発してきたのは、一つの愛の形だと思っています。それが住む人にとって健康で快適な住空間の提案を行うパナソニック ホームズの”新・くらし文化”の考え方として受け継がれ、この先、私たちも伝えていきたいと考えています。そしてお客様に10年後も、20年後も任せてよかったと思ってもらえる、持続可能な家づくりのために、時代の動きと調和させ、お客様の想いをくみ取りながら家づくりをさらに進化させていきたいと思っています」。
一方の倉も「東日本大震災のときに、ある取引先の方からパナソニック ホームズの建てた住宅が津波に耐えたというお話を伺い、何より構造的に強い建物であることが確信に変わりました。シェルターとしての強い建物、自由な設計の対応力が備わって実現する、価値が持続する家づくりを大切にし、そのために必要な、お客様の想いをくみ取る人間力を養っていきたいと考えています。安部にも若い人材をしっかりと育て、パナソニック ホームズの新・くらし文化を継承してほしいですね」。
脈々と受け継がれてきたパナソニック ホームズの家づくりのバトンを次の世代に引き渡していくという使命が共有されています。
リスキリングの機会を用意し強さと暮らしやすさのナンバーワンであり続ける
稲垣 直哉(パナソニック ホームズ 設計部長)
パナソニック ホームズグループには安部を始め、数百名以上の設計者がいます。こうした設計者たちを束ね、統括するのが本社設計部の役割です。設計部長の稲垣 直哉にパナソニック ホームズにおいて設計者を育成する仕組みや大切にしていることを聞きました。
―設計部はどのような仕事を担っているのでしょうか。
本社設計部では、設計者の育成や設計業務のルール作りを行っています。とくに、パナソニック ホームズのブランド向上に欠かせない設計者の育成は重要な仕事です。まず入社1~4年目は各種のスキルを身につけるための基本教育を行います。また、脱炭素などの社会情勢の変化をふまえ、常にその時代に合わせた「良家づくり」を心がけること、すなわち「変化をおそれない」ことをしつこく伝えています。
以前、社内の優秀設計者数名に同じ条件のもとでプランを考える課題を与えたときのことです。設計者おのおのが、夏場には直射日光が射しこんでくるのでひさしを長くする、電気代減ひいては脱炭素を目指して全館空調を組み込んだプレゼンをする、といった形で、お客様の課題解決だけでなく、社会貢献まで含めた提案をしてきました。これには、私自身も嬉しい刺激を受けました。
お客様の満足度は設計者自身の満足度に比例します。設計者を続けていると、実際にお客様が涙を流して喜んでくださる場面に出会うこともあります。若い設計者にはできるだけ早くその成功体験を味わってほしいと思っています。
―設計者を育て、スキルを向上させる仕組み、制度は他にどのようなものがありますか。
一つは、エキスパートデザイナーの認定制度で、2011年に始めました。社内の設計者のうち一定の要件を満たした者だけがエントリーできます。3日間の研修を受けた後、担当した実物件についてプレゼンテーションを行い、建築家も含めた社内外の審査員による厳しい最終審査が行われ、この関門をクリアした者のみが認定を受けることができます。これまでに約40名が認定されています。
エキスパートデザイナーは、パナソニック ホームズのブランド価値向上を担う役割を持ち、併せて設計者の育成、商品開発を担います。私自身、エキスパートデザイナーの第1号に認定されたのですが、社内からの期待値が上がり、難しい案件を任されるので、さらにスキルが磨かれていきます。
▶ご参考:エキスパートデザイナー
エキスパートデザイナー(稲垣)のご紹介はこちら
―安部さんが最優秀賞に選ばれたアーキテクト・オブ・ザ・イヤーについても教えてください。
毎年1回、新築の戸建住宅、事業用物件、リフォームなど複数のコースにおいて、様々な角度から設計力を審査し、ナンバーワンを決める社内コンペで、2016年に設けられました。プラン、空間デザイン、外観、外構計画などの提案力、ブランドイメージ向上への貢献度、プレゼンテーション能力などを評価します。そこでの経験、評価が設計者にとってのリスキリングの機会になり、次の成長へのステップになっています。
―パナソニックホームズで創業来受け継がれてきた家づくりの考え方をどのように継承していきたいと考えていますか。
パナソニックホームズの家づくりは、持続性を考えたうえで、強さと暮らしやすさのナンバーワンでありたい、という言葉に集約されると思います。強さは耐震性を含む構造的な強さを意味します。暮らしやすさについては特に設計部門として貢献できるところだと考えています。先に挙げたような仕組み、制度を通じて高次元で継承していくことでPDCAを回していきたいと考えています。
暮らしやすさについて、近年感じることは、家族の過ごし方の変化を踏まえた家具の配置を含む間取り、外構デザイン力の2点がお客様満足の大きなカギを握っているということです。暮らしやすさの視点は社会の変化や時代の潮流、お客様の考え方によって異なります。常に「変化することをおそれず」にパナソニック ホームズらしさを追求していきたいと考えています。
次号は、時代とともに変わる商品。シームレスにつながる家と街についてご紹介します。(2023年4月21日公開予定)
▶”商品編” 第1号
▶ご参考:過去のエキスパートデザイナー ご紹介記事
◎パナソニック ホームズ株式会社について
商品ページ:https://homes.panasonic.com/
企業情報ページ:https://homes.panasonic.com/company/
公式Twitter:https://twitter.com/panasonic_homes
エキスパートデザイナー:https://homes.panasonic.com/designer/
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ