可能性にバイアスをかけない!障がい者スタッフによる障がい者新人育成「チューター制度」の挑戦とは ~障がい者のステップアップと成長で「また明日も来たい」職場に
株式会社KDDIエボルバ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:若槻肇、以下 KDDIエボルバ)には、障がいのあるスタッフが500名以上活躍する障がい者雇用推進の取組みがある。同スタッフの約8割がBPO・コンタクトセンター事業にかかる業務を担い、2割は障がい者雇用専門部署で、事務や清掃、農業、植栽等の業務を担っている。これは、「雇用するだけではダメで、長く楽しく働き続けてもらえなければ意味がない」という考え方で取り組んだ結果で、法定雇用率の達成にもつながっている※1。
※1.KDDIエボルバ障がい者雇用推進の取組み参考情報:https://prtimes.jp/story/detail/zrPXq3Spv5r
障がい者雇用専門部署は、BPO・コンタクトセンターでの就業が難しい方にも個性を活かして働き、社会人としての自立につながる環境を提供したいという想いから始まった。2016年、東京に専門部署「事務サポートグループ」を立ち上げて以降、山形・宮城・札幌へと広がっている。事務サポートグループには、現在26名の障がい者スタッフと9名の管理者が在籍し、主に、印刷や事務代行、社内便など、全社員に対する支援業務を担当。「障がい者だから仕事にミスが多少あっても仕方がないよね」と社内から妥協されたくないと、戦力として活躍できるスキルを磨いたスタッフ達が日々切磋琢磨しあっている。
その事務サポートグループが、障がい者スタッフによる、障がい者新人スタッフの育成「チューター制度」に挑戦した。
KDDIエボルバでは、どのように障がい者雇用専門部署で「チューター制度」を実現したのだろうか。構想から約1.5年を経て実現した同グループの取組みの裏側とチューター成長への道程を伺った。
<目次>
- もうバイアスをかけない!チューター制度導入の裏には「成長機会創出」への想い
- 『認知のゆがみ』に踏み込む決断がチューターの心理的安全の確保に
- 【チューター座談会】新人スタッフの明日をつなぐチューター4人の責任と成長
- 障がい者雇用のステップアップ・キャリアパスがある未来へ
もうバイアスをかけない!チューター制度導入の裏には「成長機会創出」への想い
事務サポートグループは、スタッフの指導を管理者が行う基本体制で、業務難易度をプレイヤー、シニア、サポーターの3段階にレベル分けして習得率やミス率を可視化し、次のレベルへの挑戦意欲を育む運営をしている。このステップアップ育成が、スタッフの「もっと仕事ができるようになりたい!次に進みたい!」という意欲につながり、中には、管理者よりも業務の細部まで詳しく説明できるベテランスタッフが育っている。そんな中、2021年に新たなステップアップとして「チューター制度」の構想が持ち上がった。
「人に教える」ことは難しい。教わる側の理解度や解釈の違いもある。障がいのある方の場合は、「自分の考えや思いを上手く伝えることが難しい」「距離感やコミュニケーションの受け取り方の違い」などに起因したチューターと新人のメンタル不調におよぶ心的負担の懸念もあるため、「互いに起こりうる心の揺れによるトラブルや対応困難なシーンが発生した時のサポート体制」といった管理者側の課題の解消が必要になる。また、厚生労働省「合理的配慮指針」に則って新人の障がい特性をチューターに説明し、指導する必要もある。
株式会社KDDIエボルバ 総務人事本部 サステナビリティ経営推進部 事務サポートグループリーダー 村上美方子さん(以下、村上)
業務の進捗状況確認などの部分的な管理ではなく、チューターとして障がい者スタッフに、障がい者新人スタッフの育成を任せるというケースは珍しいと思います。発案者の前島さんから相談を受けたとき、チューター側の心的負担を考えて迷いはありました。でも、私たちがいろいろと先回りをして気をもんでいることで無意識にバイアスをかけてスタッフの成長機会を狭めているのかもしれないという気づきもありました。一歩踏み出そう、これまで以上に心理的安全の確保ができる状態を考え、知恵を出し合ってスタッフの可能性を広げていこうと。
株式会社KDDIエボルバ 総務人事本部 サステナビリティ経営推進部 事務サポートグループ 前島みよさん(以下、前島)
スタッフの日々の仕事ぶりや姿勢を見ていて、事務サポートグループのスタッフなら良き先輩として新人スタッフとの良い人間関係をつくりながら業務もしっかり教えられるんじゃないかなという信頼感、期待感がありました。チューター制度の構想自体は、障がい者雇用専門部署ということは全く意識しないで浮かんだのですが、いざ進めようとした時にやはり丁寧な準備と配慮は必要だと思い、運用を始めるまでにさまざまな話し合いをしました。
<事務サポートグループ 前島さん>
――村上 新人スタッフは、環境の変化や人間関係、仕事に慣れるまで体も心も疲弊します。障がいのある方の場合は、もっと負担感を強く感じてしまい、例えば、身近にいる先輩スタッフの感情の起伏が激しかったり、休みがちだったりするだけでも不安になってネガティブな思考に陥ったり、出社が辛くなったりとさまざまな変調が現れるので気持ちの変化に寄り添ったフォローが大切になります。このため、チューターの要件は、業務理解や推進ができるだけではなく、自分の障がい特性を理解して行動しているか、職場の人間関係が円滑で相手の気持ちや障がい特性に配慮したコミュニケーションを日頃からとっているか、勤怠が安定しているか、フルタイム勤務をしているかなど、あらゆる角度から整理しました。
――前島 チューターの心理的安全を確保する体制は、チューター制度によって想定されるトラブルを管理者の経験値から洗い出して「トラブルの大小を問わずに管理者が巻き取って対応する」前提のもと、チューターとこまめに連携を図り、対応策のヒントや提案を示したり、面談を通じてチューター自身の取組みや成果を評価、フィードバックを行うように整えました。
――村上 その頃に、チューター候補者のいる部署に新人スタッフ1名の入社があり、1組のトライアル運用をスタートしました。トライアルは9か月かけて、1名入社ごとに1組ずつ増やして計4組で行い、2023年1月に正式に「チューター制度」を導入しました。
『認知のゆがみ』に踏み込む決断がチューターの心理的安全の確保に
正式な「チューター制度」導入前には、業務習得の進め方からチューターの心構え、新人スタッフの特徴、教え方のコツ、コミュニケーションの取り方など、チューターがいつでも読んで振り返れる『障がい者スタッフの育成のためのチューターガイドブック』を作成し、チューター全員を集めた半日の研修を行っている。
ポイントになったのは、誰にも起きる『認知のゆがみ』に起因した事象を研修に取り入れる大きな決断にあったと村上さんは振り返る。
<事務サポートグループリーダー 村上さん>
同じ出来事や光景に遭遇しても個々の認知の仕方によって物事の捉え方や考え方は変わる。その捉え方が事実と異なり悪い方向に考えて不安になったり、イライラしてしまう考え方のパターンのことを心理学用語で『認知のゆがみ』という。「白黒思考」「心のフィルター」「マイナス化思考」「感情的決めつけ」など、いくつかのパターンが複雑に交錯したゆがみになることもある。障がいのある方は、頻度が多かったり、より極端に強く、ときに攻撃的な現れ方をする傾向が多い。
――村上 それまでは、スタッフ自身にも起こりうる『認知のゆがみ』に起因した事象を本人が知ったときの受け止め方が未知数ということもあったのでスタッフ達には伝えず、私たち管理者が誤解が生まれない接し方や、心を紐解くサポートをしていました。
でも、私たち管理者でさえもメンタルに影響がでる局面が何度もあったので、慣れない環境下で働く新人スタッフに起こりやすい『認知のゆがみ』からチューターの心を守りたいという想いで踏み込むことにしました。
『認知のゆがみ』と起こりうる事象をガイドブックに載せ、研修で時間をしっかりと使って説明して「もしもそういう状況が起きても自分を責める必要はないよ、私たちが責任をもつから安心して」と何度も伝えました。
――村上 もしも何かトラブルが起きたときに『認知のゆがみ』が招いた状況だとチューター自身がわかれば、負担を緩和できます。今回、踏み込むと決めたことが、チューター制度における「心理的安全の確保」の一つになっていると思います。
――前島 また、新人スタッフの『認知のゆがみ』の起こりうる可能性を下げることがチューターと新人スタッフの双方を守ることにつながるので、チューター本人が新人スタッフとコミュニケーションをとる際に気を付けることや、私が管理者になりたての頃に経験した“壁”などもガイドブックに盛り込みました。
想定される会話のやりとりをチャット形式の吹き出しで展開したり、新人スタッフの心情を表すケースごとの四コマ漫画を取り入れる工夫もしました。
<障がい者スタッフの育成のためのチューターガイドブック>
【チューター座談会】新人スタッフの明日をつなぐチューター4人の責任と成長
知恵をしぼり、工夫をしているのは管理者だけではない。チューターが新人に寄り添い、工夫を重ねていることが、チューター本人の学びや成長、新人の働く意欲につながっている。チューターとして活躍する4人に任命されてから今までについて話を伺った。
事務サポートグループ チューター 小佐野さん(以下、小佐野)
最初、普通にフランクに「チューターに」と声をかけていただいたのを覚えています。だから、いろいろと考え過ぎずに、新しく入ってきた方を教えるんだという感じで気負わずに受け止めて、不安もなかったですね。
事務サポートグループ チューター 中島さん(以下、中島)
私は、まず「チューター制度ってなんだっけ?」と思って、その次に、チーム内のベテランでは私は3番目なので「あれ?私だけ?」と思いましたね。
事務サポートグループ チューター 池田さん(以下、池田)
僕は業務終了後に「チューターです」って言われたんですけど、自分でできるのかな、担当する新人さんがどんな人なのかなと思っていました。
事務サポートグループ チューター 石塚さん(以下、石塚)
教える役をお願いねって言われたとき、特に抵抗はなかったですよ。「チューター」を辞書で引いたら「個別指導員」。頑張っちゃおうと思って。でも大変さは後からわかってきたという気がしています。チューターガイドブックに書いてある「社会人としての基本マナーを守る」とか、「安易に口を出さずに見守る姿勢で教えていく」というのはなかなか難しくて。
――小佐野 僕は、管理者と新人さんから「マニュアルよりも実際に体で業務を習得する方が自分の特性・性格に合っている」と伺っていたので、先に一緒に作業して、終わってからマニュアルを振り返って「今の業務はこの部分ですよ」という教え方がいいかなと。その方の特性に合った教え方を心掛けて、今も継続して行っています。
チューターガイドブックは、教える側の基本的な心構えや考え方とかを確認して、自分の中で問題ないかなとか振り返りに活用しています。
<チューター 小佐野さん>
――中島 私はチューターガイドブックの他に新人スタッフの「わたしのトリセツ(本人が書いた自分の取扱説明書)※2」も読んでいます。諸特性に対して自分がどう対応して、どういう配慮が必要かをまとめているものなので、こういうところが苦手な人にはこう対応しようとか考えています。チューダーガイドブックは面談や打合せの時にも必ず持参しています。
『認知のゆがみ』は言葉としては知っていたんですけど、説明を聞いてから振り返ってみると周りで起きていたかもしれないなぁ、あったぞと思ったり。具体的な例をたくさん挙げていただいたので心構えができたなと思っています。
※2.「わたしのトリセツ」:新人だけではなく事務サポートグループの全員が、お互いを知るコミュニケーションとして自分の得意なことや好きなこと、苦手なこと、希望する配慮などをまとめたもの。
――池田 僕の場合は『認知のゆがみ』を知らなかった。説明を聞いて、ああ、今までも、あまり強くは感じていなかったけれど目の当たりにすることもあったなと。チューターをやっているとこういうことも起こりうるんだなって事前の心構えみたいなものができて教えていただいてよかったと思っています。
一番感じているのは「自分は一人じゃないんだな」ということですね。チューターの仲間もいるし、管理者の人達もいるし。研修の後、少し肩の荷が下りたと感じました。だから、人事を尽くして天命を待つじゃないけど、自分はできる限りのことを100%やって新人さんを守り切ろうと。
――中島 私もそうですね。何かあれば管理者にフィードバックすることが安心につながっています。私が担当する印刷チームは、業務案件の発生ベースで確認事項もあるので、心配なことがあったら面談室の予約がとれなくても、ちょっと倉庫に行って相談したり。声掛けをしてこまめに連携を取らせていただいています。
――池田 僕は、面談の時に、新人さんの良かったことを取り上げて報告するようにしていますね。ただ、新人さんがどう考えているかが見えない部分があってちょっと不安ですね。だから、もっともっと頑張らなきゃいけないと日々思いますよね。
――石塚 それはわかりますね。人に教えるにあたりまずは自分がちゃんとしなきゃいけない。かといってあまり堅苦しいといけないからどこかで隙を見せる部分も必要だなとか。自分が教える新人さんたちに対しての責任を感じるなとチューターになってみて思いました。かわいい教え子なので大切にしたいです。難しいですけど、やりがいも感じています。
<チューター 石塚さん>
――池田 自分の仕事をしているときってごまかしちゃうこともあったけど、人に教えるとなると通用しないから精進しないと!と感じさせられますね。わからないところが出てくると、まだまだだな、自分をもっと磨かないといけないなと。
――小佐野 そうですね。ちゃんと100%理解していないと教えられないなと思いました。逆に言えば、今まで100%じゃなくてもやってこれていたという再発見になって、自分自身の成長というか勉強させられることが多いですね。
――中島 例えば、新人さんがエラーに気づかなかったり、確認前に自分で対処してしまう様子に気づけるようになったのは自分の中の成長かなと思います。今までなら自分の作業に集中しちゃうところがあったんですけど、目を光らせて、チラチラとちゃんと周りを見ることを心掛けていたらできるようになって。
あと、ミスはその場で指摘しやすいけど褒めるのはタイミングが難しいなと気がつきました。新人さんのモチベーションを大切にしたいなと思っているので、褒めるポイントを見つけたらなるべく早く、その日の内に伝えるようにしていますね。「ありがとうございます」って笑いながら言っていただけるとやっぱり嬉しいですね。
――池田 モチベーションは大切ですよね。僕は、仕事は人によって覚える時間や理解度は異なっても経験していけば覚えるものだと思っていて。一番大切なのは、明日も会社に行きたいって思えるかってことなんじゃないかな。だから「明日また来たいな」って思える気持ちにさせてあげたいなと思いながら接しています。
<チューター 池田さん>
チューター達は、チューターの基本姿勢や教え方を吸収して実践した後、新人の特性や性格を知ろうと歩み寄り、職場の人間関係をつなげ、新人にあわせて教え方を変え、自分の業務をしながら目を配り、褒めるポイントを探して働く意欲につなげる柔軟性の高い対応をしている。これらはガイドブックや研修で説明しておらず、チューター達が自ら考えた工夫であり、チューター本人の成長でもある。
その裏側には仲間と管理者の存在による“一人じゃないんだ”という「心理的安全の確保」があり、その成果が新人の「明日また来たいな」につながっている。チューターの存在で新人スタッフが仕事や環境に馴染みやすくなり、周りのスタッフの負担も和らぎ、円滑な人間関係が構築しやすい職場に進化した。事実、チューターが担当する新人スタッフから退職希望者は出ておらず、事務サポートグループの定着率は98.73%(2023年3月)と高い。
――前島 みんな、いろいろなことに気が付いて管理者に発信してくれるので、物事が小さいうちにキャッチできて、チューターにも新人スタッフにも心的負担にならないフォローにつながっています。困りごとだけではなく、新人スタッフと刺激を受けあって良かったことなど多くの連携をしてくれるようになって。今までならチームやスタッフ間で終わっていた会話も共有してくれたり、全員のコミュニケーションが活発になりましたね。
――村上 チューターになってから雛鳥を守る親鳥のような愛情と責任感をもって面倒をみていて。新人スタッフの中には「チューターのような人になりたい」「チューターになれるように頑張りたい」と目指す方もいるくらいです。それを受けて「次世代のチューターを育てたい」という気持ちで新人育成をするチューターもいます。嬉しいですね。人は、何かの役割・ミッションがあると、そこから新しい自分が生まれて変化していくと改めて感じさせてもらっています。
障がい者雇用のステップアップ・キャリアパスがある未来へ
事務サポートグループでは、障がい者スタッフによる障がい者新人スタッフの育成「チューター制度」によって、スタッフの成長、ステップアップに確かな手応えを感じている。チューター自身が人に教えることで学び、責任感と自主性が育ち、視野を広げ、より良い人間関係をつくり、社会人のお手本になる自覚の高まりによって立ち居振る舞いがより洗練された。仲間とともに働き続けたいという気持ちが芽生え、誰かの良いところ、素晴らしさを声にだして伝える変化が起きている。
障がい者雇用の現場では、本人の特性や希望に応じて、短時間勤務やシフト勤務体制も多く、正社員登用へのキャリアパスが社会課題にある。事務サポートグループでは、「チューター制度」の成果を受け、チューターの要件を満たし、企業成長に貢献する人財へと成長したスタッフの正社員登用(事業所限定職登用)も視野に入れて取組みを続けていく。
――村上 新人スタッフは年間計画に沿った採用で、チューターも入社タイミングで任用になるため飛躍的に増やすことが難しいのは事実としてありますが、ただ人数を増やせばいいとも考えていません。このため、チューターの役割・ミッションを広げて、正社員登用に進める人財へと成長できる環境を整えたいと考えています。
――前島 例えば、新人スタッフ受入・育成にかかる管理者の補助業務や、チューター全員をまとめるリーダー役、チューターによるチューターの育成・研修実施などですね。実際にチューターを経験している方々の声を活かした「チューター育成スキーム」ができたら私たち管理者にはなかった視点のノウハウが育つ未来がくるのではと期待しています。
――前島 チューター制度は、さまざまな個性を持つ事務サポートグループのスタッフに、「誰かの成長を支えながら自身の成長も目指してもらいたい」「自信を持ってさらなるスキルアップをしてもらいたい」という管理者一同の想いから生まれました。
チューター制度の本格導入から半年が経った今、私たち管理者が想像していた姿を遥かに超えた頼もしいチューターが育っていると感じています。チューター以外のスタッフにも前向きな変化があり、グループ全体がお互いにフォローし合ったり、活発に発言し合える雰囲気になってきているなとも感じています。日々、チューターの皆さんやスタッフからの学びが多く、私たち管理者も「今まで以上に下支えを頑張ろう」という気持ちにさせてもらっています。
今回、新人スタッフとチューターが良い人間関係を作りながら、双方が安心してスキルアップを目指せる仕組みを作ることができて、本当に良かったなと感じています。今後もメンバーの成長の可能性を信じてサポートをしていきたいと思います。
――村上 事務サポートグループでは、6年半、スタッフの成長を願い、さまざまな取組みをしてきました。スキルとモチベーションの向上が、必ず真の戦力化につながると考えていたからです。管理者のサポートとスタッフの努力によって少しずつ実現してきましたが、どこかで役割についての固定観念があったようです。
「チューター制度」を通じて、教える側と教えられる側という線引きは、人の成長とともに変わって行くものなんだとはっきりとわかりました。チューターになったことで、思いやりや責任感をこれまで以上に持ち始めた彼らを目の当たりにし、日々、頼もしさと、さらなる可能性を感じています。
制度の導入には、ガイドブック作成や研修などが非常に重要になりました。『認知のゆがみ』に踏み込んだこともそのひとつです。障がい特性や、それゆえに起こり得ることへの準備が、心的負荷を減らすことにつながるからです。そしてもっとも大切なことは、日ごろの信頼関係。これなしでは、どのように立派な準備をしても成功しなかったでしょう。これからもこの点を忘れる事無く、共にさまざまなことにチャレンジしていくつもりです。
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