コロナ禍の需要変化を予測し起案された、“自動的に立ち上がる”画期的なレンジ袋「EMC RISE」。創業106年・キョーラク株式会社の若手社員の奮闘
「温まると立ち上がる」
ひとことにしてしまえば簡単ですが
私たちが実際に立ち上がる姿を目にするまでには
長い時間が必要でした。
キョーラクの始まり
1917年、京都の土地開発と管理を祖業とする京洛土地株式会社が創立されました。戦後間もない1947年に国内最初の国産プラスチックの代理店として商事部門を設立し、プラスチック業界に進出しました。その後海外からブロー成形(プラスチックで中空体を製造する方法)技術を導入し、今では当たり前となったマヨネーズのスクイズボトルをマヨネーズ最大手様に提案し、採用されたことが大きな転機となり、ブロー成形メーカーとしての歩みを始めました。
【マヨネーズ容器の製造風景 1958年】
機能性レンジ袋・「EASY! MiCOOKER」とは
当社は「ブロー成形」をコア技術とし、食品用多層容器や二重鮮度保持容器「ハクリボトル」、自動車部品など多くの分野の製品を手掛けており、また商事部門としてフィルム製品の販売も行っております。その中のEMCはEASY! MiCOOKERの略名で、2014年より当社子会社のリプラス㈱の製袋事業のひとつとして製造しているレンジ袋商品になります。
【各種EMC】
レンジ袋とは、総菜などを中に入れたまま電子レンジ加熱できる袋のことです。一般的な袋をレンジ調理に用いて加熱すると、温められて発生した蒸気の逃げ道がないため、袋を事前に開封するか、どこかに穴をあけるなどの作業が必要でした。一方レンジ袋は、袋内が一定の圧力に達した際に蒸気口より外に蒸気を逃がす機能を備えています。
コロナ禍による中食市場の変化を予想し、レンジ袋の機能付加プロジェクトが発足
COVID-19、いわゆる新型コロナウィルス感染症の爆発的流行をうけ、「中食市場に変動が生まれるのではないか」という予想から、EMCの機能付加を目的として、2020年に社内プロジェクトが発足しました。
テイクアウト用機能を持たせるなどの商品開発を行う中、EMCをご採用いただき、販売が開始されたばかりの「電子レンジで温めた後、開封してそのまま食べられる」商品に目を付け、「自動で立ち上がる」「そのまま器になる」機能がEMCに付加できると面白いのではないかというアイデアが出されました。
しかし当時、このアイデアを実現しようと多くの構成が発案されましたが、どれも決定的とは言えず、本格開発のステージまで進めることができなかったのです。
【テイクアウト需要を想定し、試作された『EMC Walk』(未発売)】
レンジ袋を立ち上げるために、社員が立ち上がる
その後も若手メンバーを中心としてプロジェクトは継続されました。ある日、普段は知財管理を担当しているメンバーから「こうやったらレンジ袋が立ち上がるのではないか?」という決定的なアイデアが生み出されたのでした。
【実現した二人:橋本(左) 向井(右)】
発案者の向井は当時を振り返りこのように語ります。
「プロジェクトミーティングの場から離れた業務中に、袋をいじっていたときに突然ひらめいたんです。設計担当(橋本)に相談するとすぐに形を考えてくれて、実際に立ち上がるところを見たときにはとても感動したのを覚えています。」
実際に製品を手に取っていただいた際には、そのコロンブスの卵的な発想に「その手があったか」と皆様がご納得されることと思います。
【EMC RISE】
温まりやすく、漏れにくい。横置きと縦置きの「いいとこどり」
ここで出されたアイデアをもとに、発展形状の探索や機能の検証を行っていく中で、
EMC RISEは、調理効率の面でも優れていることが分かってきました。
社内における実験の結果、レンジ袋の横置きと縦置きでは電子レンジを用いた温め効率において、差があることが分かりました。内容物によりますが、横置きでレンジアップすることで約20%程度の時短効果が期待できることが分かっております。一方で、縦置きタイプには内容物が漏れにくく、温めた後に取出しがしやすいという長所があります。
温め効率に優れた横置きでレンジアップをスタートし、十分に温まると立ち上がる
EMC RISEは、横置きと縦置きの利点をあわせ持った画期的な商品となりました。
立ち上がることで「取り出しやすい」「そのまま簡易的な器になる」といった付加機能も生まれました。時短に加えて、「今日は洗い物を出したくない…」というニーズにも応えられる包装となっております。
こうして実現したEMC RISE。近日中の上市を目標に着々と開発を進めております。
さいごに
キョーラク株式会社は、プラスチックのパイオニア・総合企業として、その高度な独自技術とそこから生み出される特色ある製品で、環境に優しいより良い社会の実現を陰で支えるベストパートナーであり続けたいと願っています。
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