生地卸売業の新たな挑戦。年齢を重ねても「ありのままのジェンダーとして女性であることを楽しみ、自分のジェンダーを愛すること」を目指したラグジュアリーブランド誕生の裏側
豊岡鞄の生地素材卸業を営む株式会社ウインビーは、2023年3月より、女性ランジェリーブランド「ONŪMORE(オンユーモア)」の事業をスタートいたしました。
「ONŪMORE(オンユーモア)」は、ブランド責任者である山本しのぶが、自身の乳がんの闘病を経て気づいた「からだと心、どちらもが『喜び』と『嬉しさ』を感じられるランジェリーを生み出したい。そして、女性としての自分のジェンダーの尊さを認めて、楽しみ、互いに尊重し合える、快適で生きやすい社会を作りたい」という想いからはじまりました。
このストーリーでは、老舗生地卸業者が「ランジェリーブランド」発足をきっかけに、「女性が女性としてのジェンダーを楽しめるような社会づくり」を目指すとともに、廃棄物削減に向きあい、ジェンダーギャップの解決のために1歩踏み出すまでの挑戦の軌跡をお届けします。
がん闘病をきっかけに気づいた「自分のジェンダーの尊さを認めて楽しむこと」の大切さ
ONŪMORE のコンセプトは、「Love my gender.「喜び」と「嬉しさ」をあなたにONする」というもの。このコンセプトには「自分のジェンダーの尊さを認めて楽しむこと、そして、他のジェンダーと共存し、互いに尊重し合うことで、より生きやすく快適な社会を作りたい」という想いが込められています。
私は、2人の子供を持つ40代です。当時の私の仕事は経理と総務を主に任されていました。会社の中枢となる資金管理と従業員の個人情報の管理など、責任ある業務にとてもやりがいを感じて日々過ごしていました。2人の子供達も大きくなり、日常の身だしなみやマナーにも気遣い、仕事にプライベートにと、健康で充実した日々を送っていました。
しかし、そんな私に思わぬ試練が降りかかりました。「乳がん」でした。
まさか・・自分が?目の前が真っ暗になりました。
幸いな事にすぐに手術をうける事ができ、手術は成功しました。
しかし、術後の治療中はこれまで使用していたワイヤー入りの補整ブラを身に着けることは不可能でした。術後しばらくは肌や患部に負担の少ない、ノンワイヤーブラジャーを着けることになったのです。当時のノンワイヤーブラジャーは、補整も頼りなく、デザイン的にも不満に思うものばかり。私は「治療が終われば、また以前のワイヤーブラジャーに戻れる」と自分に言い聞かせ、下着への不満を封じ込めました。
しかし、やっとの想いで一連の闘病生活を終え、久しぶりにワイヤーブラジャーを身に着けてみたら、信じがたいほどの苦痛を感じ、それは一日中着用しているのが耐えがたいほど。帰宅後すぐに脱ぎました。
一度、締め付けのないノンワイヤーブラジャーの快適さや心地よさを知ってしまった体は、ホールド力を極力高めたワイヤーブラは耐えられなくなっていたのです。
私は乳がんを経験し、自分のからだが「快適さ」を求めていたことに気がつきました。
しかし、探しても探しても自分自身が納得できるノンワイヤーブラは見つかりません。
自身がランジェリーに求めるデザイン性や美しさ、アウターを美しく着こなすための補整力をあきらめることは、精神的に耐えがたいものがありました。
「デザイン性、機能性、心地よさ」の3つのポイントを満たすノンワイヤーブラジャーを開発したい」そんな思いを乗せて「ONŪMORE」はスタートしました。
代表・野澤のコメント
弊社は創業時より、在籍年数、年齢、男女に関係なく、個々の職務に対する結果、成果を評価される雇用形態を導入しています。
そのような中、2020年のコロナ禍で世界中の人々の動きが止まり、普通に出勤する事さえ出来ない状況になり、在宅勤務・リモートワークなど、働きかたも多様化し、より個人の役割が明確となった今、弊社が目指すジェンダー平等への取り組み推進への環境は益々整ってきたように思います。
そんな折、山本より自身の体験から得た強い思いのプレゼンを受け、会社としても新たな挑戦を進める決意をしました。
異業種への挑戦。「想い」を伝え続けながら協力者を集め、商品開発に奮闘
代表の野澤が、私の思いを後押しする形で、ランジェリー開発へのプロジェクトがはじまりました。全くの異業種へ挑戦、右も左も分からない状態のなか、まずは縫製工場探しから着手しました。地元の豊岡市は「鞄のまち」と言われるほど、袋物の縫製工場は数多くありますが、袋物と下着では全く縫製技術も違うため、工場探しは難航しました。
そこで、カバンの縫製工場へミシンを納入している会社へ相談し、ご紹介いただいたのが栃木県に本社がある縫製工場でした。
さっそく工場の担当者とアポイントをとり、オンラインで顔合わせをしてもらえることになりました。担当者との初回顔合わせではまず「ノンワイヤーブラは難しいですよ。我々にとっても永遠のテーマです」と言われてしまいました。
ワイヤーブラジャーは柔らかなバストをワイヤーで支えキレイに補正し、横流れなどを防いでいます。ノンワイヤーブラジャーはそのワイヤーがないのです。必然的にバストは横に流れやすくなり、保型性は保ちにくくなります。ワイヤーに代わる構造を開発する事は難しいとの事。
しかし私は諦めきれず、ノンワイヤーブラジャー開発への想いを伝えました。その結果「それなら、やってみましょう」と賛同いただき、快くお引き受けいただけたのです。
しかし、専門的知識の無い私の想いだけでは、試作を繰り返しても、なかなか納得できるものが仕上がらず、またしても壁にぶつかりました。
そんな折り、ランジェリーに使用するレースはレースの女王と呼ばれる「リバーレース」を使用したいと考えていたため、日本で唯一リバーレースを取り扱っている同じ兵庫県内の宝塚にある会社の門をたたきました。素敵なリバーレースのサンプル帳を拝見しているなかで、会話は開発のことになり、難航している旨を正直にご相談しました。すると、数々の有名下着ブランドの開発に携わった方がいるので相談してみたらどうでしょう?とご助言いただき、ご紹介いただけることに。
ご紹介していただいた方との初顔合わせの際にもやはり「ノンワイヤーブラは難しい商材ですよ」と言われました。それでも私ははこのプロジェクトにかける私自身と会社の想いを訴え「やりましょう!!」とご快諾いただくことができました。
サステイナブルへの取り組みとして、廃棄処分予定の生地を使用したモノづくりを進めたい
弊社が今回のランジェリーブランド立上げにあたり、抑えておきたいポイントの1つに「サステイナブル」への取り組みがありました。1971年の創業以来、豊岡鞄を支えてきた資材提供会社として、廃棄物削減へ向けた思いも大きく、自社倉庫に使用されずに保管されている多量の余剰素材を、利用した開発ができないかと検討していたのです。
ノンワイヤーブラジャーの「快適さ・補正力」と余剰素材の利用をどう商品開発に反映させていくか。何度も何度も試作を繰り返し、何度も検討を重ねた結果、鞄向けのナイロン芯がブラジャー製造に活用できることが判明。余剰素材をブラジャーの素材として利用することができれば、鞄資材の廃棄物削減になるだけでなく「リユース・ウエス」として下着製造に再利用することで、素材開発の副産物である新たな廃棄物やCO2の削減にも繋がります。さらには、廃棄対象であったナイロン芯から「ONŪMORE」独自の新技術「バナナボート構造(特許申請中)」の開発にも成功し、ランジェリー業界に新たな風を巻き起こしました。
「ONŪMORE Obligeシリーズ」10のポイントで「美しさ」「快適さ」「補正力」の3つの軸を叶えることに成功
「ONŪMORE」は大人の女性の「美」「快」「品位」への欲求を満たすノンワイヤーランジェリーとして、バストメイクの機能、ボディメイク理論、肌への負担や快適さへの希望など、40代以上の大人の女性の希望に特化し、品質の良い素材のみを使用して作成しました。そして「ONŪMOREのobligeシリーズ」は以下の10ポイントを取り入れて「美しさ」「快適さ」「補正力」の3つの軸を叶えるノンワイヤーブラジャーの開発に成功したのです。
1. バナナボート構造(特許申請中)
一人ひとりのバストのボリュームに合わせて自在にカップ容量をアジャストします。
2. 脇肉サポートトライアングル
浮いて不安定になりやすいアームホールや脇肉のパカパカを防止します。
3. 三日月パネル
胸の広がりを抑えてコンパクトでありながら立体的なバストラインを作ります。
4. ワンバスト構造
広がりがちなバストを、やさしく中心へと導きます。両胸のバストラインを正しい位置に誘導します。
5. スクエアカット
スクエアにカッティングしたカップ上辺が、ふんわりと持ち上げられたデコルテをさらに美しくみせます。
6. 独自のリフトアップ設計
胸の厚みを抑えながらバストトップをやや上部の位置に設計。柔らかい肉質の大人のバストを自然にリフトアップします。
7. バック U
脇周辺を美しく整える脇高設計を U 字型のバックベルトがしっかりとサポートして安定した着け心地。
8. ノンゴム仕様のすっきり設計
段差になりやすいバック上辺をノンゴム仕様のフラット設計にすることにより、すっきりときれいなラインに整えます。
9. 贅沢なリバーレース
ブラのカップを覆うのはレースの女王のリバーレース。総リバーレースの贅沢なデザイン
で、繊細でエレガントな美しさが存分に堪能できます。
10. オーガニックコットン
肌にダイレクトに触れるカップ内部は、こだわりのオーガニックコットンを使用。
女性が「やりがい」や「生きがい」を感じられる職場環境を整え、ジェンダーギャップ解決にも貢献していきます
ジェンダー平等という観念には、男女の区別をなくす「ジェンダーレス」、男女の差別をなくす「ジェンダーフリー」がありますが、「ONŪMORE」 は社会から期待され、押し付けられる「ジェンダーロール(男性の役割、女性の役割)」ではなく、「ありのままのジェンダーとして女性であることを楽しむ・自分のジェンダーを愛すること」をコンセプトに取り入れました。
「ONŪMORE」 のミッションは、美・機能・快適さを備える品質の高いランジェリーを提供し、女性のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献することである。また、鞄の町・豊岡市の新たな産業として、地元経済の発展や女性進出の推進に貢献することも目標の1つです。
豊岡市は古くから日本有数の鞄生産地として知られ、地域ブランドの成功例として注目を浴びていますが、次世代の担い手となる若者人口の不足、特に女性の人口減少が大きな問題となっています。豊岡市の発表によれば、高校卒業後に地元を離れて他都市で大学や専門学校に進学し、そのまま地元に帰らない女性が多く(男性回帰率52.2%に対し、女性は26.7%)、地域に大きなジェンダーギャップが生まれています。(2021年3月発表豊岡市ジェンダーギャップ解消戦略より)
今後、株式会社ウインビーは、女性の企画力や発想力が生かせる新事業「ONŪMORE」で新たな雇用を創出し、女性が「やりがい」や「生きがい」を感じられる職場環境を整え、ジェンダーギャップの問題解決にも貢献していきます。
ONŪMOREブランドサイト
ONŪMORE Instagram
https://www.instagram.com/onumore_official
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ