No.1シェア「チーズデザート6P」のQBB、デザート事業撤退の過去も。開発者の想いが会社を動かし、異例の大ヒットにつながった
ロングセラー商品「QBBベビーチーズ」でおなじみの、六甲バター株式会社。「Q・B・B」ブランドのもと、チーズ製品の製造販売、ナッツ等菓子販売を行っています。
「QBBチーズデザート6P」はクリームチーズをベースにしたデザート感覚で楽しめる商品です。2009年に「チーズデザート」というカテゴリーを確立し、現在チーズデザート市場約75%のシェアで市場を牽引しています。(※インテージ SCI(15~79歳) チーズデザート6Pタイプ市場 2022年1月~12月 購買金額シェア)
人気商品となった「チーズデザート6P」ですが、弊社は2007年にデザート事業から撤退したという過去があります。チーズデザートの販売に向け再度動き出したのは、開発者の熱意からでした。「チーズデザート6P」開発担当の片山に、本商品にかけた想いや開発の裏側についてたずねました。
農林省向けのマーガリン工場から、国内トップのプロセスチーズ会社へ
六甲バター株式会社は1948年創業、神戸市に本社を置いています。創業当初は農林省指定のマーガリン製造工場で、製品は全て農林省に納入していました。1958年よりプロセスチーズの生産を始め、QBBブランドで日本全国に発売を開始。以来、世界で最初のスティックチーズや国内初の個包装のスライスチーズを開発・発売するなど、国内のチーズ業界を牽引してきました。現在、当社売上の9割以上はチーズで占めており、日本国内のプロセスチーズのトップシェアを誇ります。(※インテージ SCI(15~79歳)プロセスチーズ市場 2022年1月~12月 購買金額シェア)
ブランド名のQBBは、Quality’s Best&Beautifulの頭文字を組み合わせた造語です。「Quality’s Best」=品質へのこだわり。これは安全についての妥協を排除し、だれもが安心して食べられる健康的な製品の提供を意味しています。「Best&Beautiful」=おいしい品質を意味しています。この「おいしい」には単に味だけでなく、新鮮さ、楽しさ、豊かさも含みます。
チーズケーキを販売するも、経営判断で終売。苦い経験をバネに「チーズデザート6P」を開発
弊社はチーズを生かしたデザート事業にも進出しました。1982年にQBBレアチーズケーキを、1988年にはベークドチーズケーキを開発・発売しました。しかし2007年、チーズケーキを始めとしたデザート事業は、事業の見直しから最終的に撤退することになりました。最後の商品となったのは「ニューヨークチーズケーキ63%」。商品自体には自信があり、消費者、流通業者からの評価も良かったものの、止む無く終売せざるを得ませんでした。
ニューヨークチーズケーキ63%、開発担当の片山は、忸怩たる思いを抱えたと言います。しかし、幸いにも同社には6Pチーズ(円形のチーズを6等分に個包装した商品)という売れ筋商品がありました。「チーズケーキそのものでなくとも、既存の商品カテゴリーを活用してチーズケーキの風味や味わいを提供できないか。」そんな思いを胸に、2008年春、「チーズデザート6P」の開発をスタートしました。
デザート事業が撤退した後、しばらくはスティックチーズ、キャンディチーズなどプロセスチーズ商品の開発を担当していたのですが、チーズケーキの仕事をあきらめきれず、合間にこっそりデザートの配合を作っていました。
当時の工場長に「デザートの仕事を続けたいのならあきらめずやってみなさい。設備投資はできないけど、既存の製造ラインで作れるものならいいよ。」と言っていただいたことが励みになり、6Pチーズ形態で本格味のチーズケーキを作ろうと決意しました。
課題は「安定した量産化」。110種以上の配合を試し、30種を製造ラインで試作した
開発の前提条件は、安定した量産化でした。大きなポイントになったのは、「6Pチーズの製造ラインに適合する、チーズデザートそのものの物性」そして「高級感のある本格的なチーズケーキのおいしさ」です。6Pチーズは、三角形のアルミ容器にチーズを充填し、上からふたで覆って包装されます。この包装工程に合致する物性でなければ製造ラインに乗せられず、大量生産もできません。物性が硬すぎたり軟らかすぎたりすれば、自動で包装できないのです。
そして何より大切なのがフレーバーです。商品コンセプトは「高級感のある本格的なチーズケーキ」。さまざまなフレーバーを検討し、バニラ風味を選択しました。ニューヨークチーズケーキ63%の味を再現したいという想いが強かったこともあるのですが、バニラ風味は、果実系のフレーバーに比べてクリームチーズの濃厚な風味を引き立たせることができるため、第1弾のフレーバーとして最適だと考えたからです。
クリームチーズの風味、バニラの香りを最大限に活かすには、軟らかくて口溶けのよい食感にこだわらねばなりません。しかし、製造ラインに乗せるためにはある程度の硬さも必要です。製造ラインへの適合と風味の良さを両立するため、原材料の選定や配合比率にこだわりました。
「実際に110種以上の配合を試し、そのうち30種について製造ラインで試作しました」(片山)
試作の結果、なめらかで口どけのよいオーストラリア産クリームチーズをベースに、ブルボンバニラで強い香りと濃厚な味わいを引き立てた「チーズデザート バニラ6P」が完成しました。
発売以来、異例となる右肩上がりの成長。低糖質ブームも後押しに
「チーズデザート バニラ6P」は2009年9月に発売されると、初年度だけで計画の3倍を売り上げる大ヒット商品になり、「チーズデザート」というカテゴリーを確立しました。チーズという飛びぬけたヒットが生まれにくい商品カテゴリーにおいて、発売以来売り上げ・販売個数ともに年々増加し、成長し続けています。QBBチーズデザートシリーズは、現在チーズデザート市場約75%(※)のシェアで市場を牽引しています。(※インテージ SCI(15~79歳) チーズデザート6Pタイプ市場 2022年1月~12月 購買金額シェア)
人気の秘密は、他のスイーツと比べて糖質が少ないこと、そして近年の糖質コントロール(ロカボ)ブームです。「低糖質で罪悪感がない」「欲しい時に欲しい分だけ食べられる」と、チーズデザートの人気は年々高まってきています。そんな声を受け、新作も続々登場しています。クリームチーズをベースに、相性の良い素材(バニラ、ナッツ、季節のフルーツなど)を組み合わせた豊富なバリエーションで、飽きを感じさせません。
チーズデザートNO.1ブランドのQBB 人気過ぎて再々発売 “国産白桃を贅沢に使ったジューシーな果実感系チーズデザート”
これからも味にこだわり、独創的な「新しい商品」を提供していきたい
片山の想いは、若手開発メンバーにも受け継がれ、片山を中心に、日々新フレーバーの開発をおこなっています。製造現場から「手間がかかる」という意見が出ることもありますが、「味へのこだわりを説明して理解してもらい、開発と製造が一体となり、管理部門のサポート体制もあり、難しいフレーバーも実現できている」と片山は語ります。
「バニラ6Pからスタートして、これまで20種類のチーズデザート商品を開発してきましたが、当初から目指してきたこだわりがあります。まずは食べた瞬間に驚きと感動があること。お客様の心を動かせるような味。流行りや目新しさ、派手さだけではなく、しっかりとした美味しさがあり、飽きずに何度でも食べたくなるような味であること。この2つを重視して、フレーバーの選定、素材選び、配合バランスに徹底的にこだわっています。シンプルだけど記憶に残る、他と違う。いろんなデザートを試しても結局戻ってきてしまうような、長く愛される商品を目指していきたいと考えています。」
(今後のフレーバー展開は?)
「季節感、トレンドを取り入れつつもクリームチーズとの相性の良さ、クリームチーズの美味しさを活かせるという点を重視して今後もフレーバー展開を考えています。」
(QBBチーズデザートの今後のビジョンは?)
「国内認知度100%を目指したいです。形がチーズの包装形態のため、現在はチーズ売り場での展開がメインです。営業努力もあり、お客様にご支持いただけたことで販売は伸長してきましたが、チーズ売り場に立ち寄らなければ手に取っていただけないという点が現状の課題です。この商品が目指す「美味しさ」と「ヘルシーさ」を兼ね備えたスイーツは、チーズ好きなお客様だけでなく、スイーツ好きのお客様にも求められているはずと考えています。今後はチーズ売り場の枠を超えて他の売り場へも展開し、もっと多くのお客様に知っていただき、楽しんでいただきたいです。そのためにも、引き続き開発力、技術力を磨き、商品の魅力UPに努めていきたいと考えています。」
Q・B・Bは、新しい味、新しい食感、新しい素材、新しい食べ方、新しい包装形態-これまでも、そしてこれからも独創的な新しい製品を次々と提供していきます。
■チーズデザートについて
2009年にQBBから誕生した新カテゴリー「チーズデザート」。クリームチーズをベースに季節のフルーツや厳選素材とのハーモニーをデザート感覚でお楽しみいただけます。甘いのに糖質ひかえめ、小腹が空いたときの女性の味方。他のチーズにはない独特の柔らかさと口溶けの良さが特徴です。
▼商品情報
https://www.qbb.co.jp/products/cheese/dessert
▼オリジナルレシピはこちら
https://www.qbb.co.jp/recipe/cheesedesert
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