女性にとって大事なのに挫折してしまう、骨盤底筋力の維持に貢献したい。チェックの手軽さでトレーニングを続けやすくする、TENGAヘルスケアの「K-Gelチェッカー」の開発ストーリー
株式会社TENGAヘルスケアは、2023年6月、骨盤底筋トレーニングのサポートアイテム、「K-Gel CHECKER(ケーゲルチェッカー)」を発売しました。
「K-Gel CHECKER」は、骨盤底筋の筋力や柔軟性/動かす上手さをチェックするアイテムです。アイテムにはトレーニングガイドと取扱説明書が付いており、測定結果に応じたトレーニング方法を知ることができます。
「変化を確認しながら、自分に合ったトレーニングを継続してほしい」という想いから、このアイテムが作られました。本ストーリーでは、そんな商品が誕生するまでの裏側を開発担当の牛場よりお伝えします。
開発担当 牛場 英之(うしば ひでゆき)
TENGAヘルスケア 研究開発主任
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
女性の健康維持には骨盤底筋が重要という気づきからスタート
TENGAヘルスケアは、男性向けセクシャルアイテムを展開するTENGAの企業内ベンチャーとして始まりました。性のお悩みや課題の解決に特化したグループ会社です。
当初はその知見を活かし、男性向けのアイテムをメインに開発してきました。しかし、少しずつ社内に女性社員も増え、自社直営の店舗で女性のお客様の声を聞く機会ができた中で、TENGAヘルスケアでも女性向けの性に関する悩みや課題の解決ができるアイテムに取り組みたいと考えるようになりました。
論文収集や専門家ヒアリングなど、情報収集し、女性の健康維持のためには骨盤底筋が大切だと気付きます。
骨盤底筋トレーニングを「継続できない理由」に注目
たとえば、女性は尿道が男性よりも短かったり、出産によるダメージによって、尿失禁の悩みを抱えやすいです。実際に、女性の尿失禁経験率は4割、いまも症状がでている方は1割に上り、改善意向も7割と高い状況でした。
治療の第一選択肢は骨盤底筋トレーニングで、継続してトレーニングを実施できれば改善率は7割以上です。尿失禁の不安が軽減されるだけで、QOLがかなり上がることが想像できます。
しかし、自社で調査を行ったところ、「トレーニングの成果が確認できない」「トレーニングの方法が分からない」という声が多数ありました。
そんなトレーニングの成果や効果を実証するカギとなるのは「測定」です。
骨盤底筋トレーニングのやり方自体は、器具を必要としないもので十分に効果があると分かっているため、成果を測定できるようにしたいと考えました。
筋力を測定せずにトレーニングを行うのは、体重計無しでダイエットをするようなもの!?
社内には、日頃から骨盤底筋に興味がある社員も多くおり、解決したい課題を特定するためヒアリングをしました。その際の女性社員から発せられた言葉にハッとしたのもよく覚えています。
「筋力を測定せずにトレーニングを行うのは、体重計無しでダイエットをするようなもの」
たしかにその通りでした。ダイエットをするには定期的な測定が欠かせませんが、膣圧のトレーニングには、測定できるものが身近になかったのです。これでは、トレーニングが普及したり、継続したりするのは難しいと、改めて強く感じました。
こだわりは「手軽さ」「わかりやすさ」「手に取りやすい価格」
骨盤底筋トレーニングのやり方自体は、器具を必要としない、確立されたものがすでに存在していました。そのため、トレーニング用のアイテムをあえて開発する必要はないと考えます。
トレーニングは手軽にできるからこそ良いものなので、仰々しいアイテムやトレーニング方法はなるべく避けたかった。
より手軽に、分かりやすく、手に取りやすい価格で実現することにこだわって開発をしました。
開発ストーリー
①骨盤底筋の筋力(膣圧)とは何か。開発は「測定の概念」をつくるところから
体の数値を測定するのはそもそもとても難しいとされているのですが、「膣圧」というまったく確立されていない測定方法を開発するのは、非常に苦労しました。
まず、「膣圧」という言葉から「圧力」を測るのだと考えがちですが、本当に測りたいのは、「圧力」ではなく「筋力」だという気づきからスタートしました。
そして、医師や女性社員へのヒアリングにより、骨盤底筋が締まる位置は入り口から約3cmで、縦方向に力が入ると分かりました。またどれくらいのレンジで筋力が測定できれば良いかも検討しました。
臨床現場では、oxford grading scale(経膣触診による膣圧評価指標)という、人差し指と中指を広げて腟内に入れる測り方も実施されているので、そちらも参考にしています。
最終的にバネを使用した、「く」の字型の設計にしました。挿入するとバネが収縮し、目盛り上をリングが動きます。本来ならば握力測定器のように、機器を手のサイズに合わせられたら正確に測れるとは思ったのですが、膣の形状や価格も鑑みて、本当に必要なものだけを残し、削ぎ落としていきました。
医学的に測定方法は妥当なのか?本当にこの測定で正しいのか?情報収集と測定結果の裏どりを繰り返しました。
②間違った骨盤底筋の動かし方で数値が動かない設計
骨盤底筋は、正しく動かせなかったり、動かし方を知らない方が非常に多いです。間違った力の入れ方で数値が測定できてしまうと、正しい結果が得られません。K-Gel CHECKERを挿入した際、骨盤底筋の間違った動かし方をしたとしても数値が動かないように、設計を行う必要がありました。
その結果、「く」の字型の設計になりました。間違って「いきむ」ような力の入れ方をした際に、ボールのような形ではなく「く」の字にしたことで、K-Gel CHECKERが体内に引っかからずに出てきてくれます。
社内テストの際は測定方法について徹底的にヒアリングを行い、誰でも / 正しく / 共通して理解できるよう工夫を続けてきました。
③「アナログでも良いんじゃない?」社内の声を聞いて方向転換
当初、膣圧計の完成形として、デジタルの測定アイテムを想定していました。しかし、そうなると価格が7,000〜8,000円になったり、デジタルデバイスへの連動が必要で年配の方の使用ハードルが高くなったりと、誰もが手に取りやすいものではなくなってしまうと悩んでいました。
ただ、開発を続ける中で、「もっと簡単に、アナログで使い捨てみたいなものでもいいんじゃない?」と社内から声が上がったことにより方向転換できました。
開発中、社内の女性30人以上に徹底的にヒアリングを行っていましたが、社内の女性がフラットかつオープンに話してくれるのは、TENGA社ならではの強みです。
使用試験にも女性社員が積極的に協力してくれたことで、多くの知見を溜めることができました。女性の声を徹底的に聞かなければこの製品は実現しませんでした。
<これまでの試作>
膣圧くん1号
膣圧くんJr. 1号
膣圧くんJr. 2号
※試作品は手作り。パーツを買い集めてきて試行錯誤を重ねた。
だれでも骨盤底筋トレーニングを気軽にできる社会へ
骨盤底筋トレーニングにはメリットも多いですが、継続しにくいという難点があります。また、「膣トレ」は骨盤底筋トレーニングとほぼ同義で親しみやすさはあるが、デリケートゾーン自体に関心が高くないと取り組みづらいのだろうと思いました。
骨盤底筋トレーニングの大切さをK-Gel CHECKERを通じてもっと広めていきたいです。将来的には骨盤底筋トレーニングを行うことが常識になり、世界中の女性全体のQOLを向上できたら嬉しいです。
骨盤底筋と女性の性機能の関係性など、まだ解明されていない領域も多くあります。医療機関や専門家とも連携しながら解明していきたいと考えています。
【会社概要】
会社名:株式会社TENGAヘルスケア
代表者:間野 洋平
所在地:〒104-0053
東京都中央区晴海1丁目8−12
晴海アイランド トリトンスクエア オフィスタワーZ棟11F
設立:2016年11月22日
https://tengahealthcare.co.jp/
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