模型ファンから多くの支持を得たロボット模型「ラグナロイド」の開発秘話。クラファン達成率300%超えを果たし、新たな模型市場を開拓するロボマニアックスの挑戦
汎用ヒト型可動骨格「ラグナロイド」のクラウドファンディングが成功し、多くの模型ファンの関心を集めるロボマニアックス。
このストーリーでは「世界中のオリロボを模型化する」ことをミッションとし、オリロボを主要コンテンツとした新たな模型市場の開拓を目指すロボマニアックスがラグナロイドの開発を始めたきっかけや背景について、代表の青田直也が語ります。
販売されているロボット模型は氷山のほんの一角。世界中に存在するカッコいいオリロボを模型化できれば、多くの模型ファンをワクワクさせられる!
私が小~中学生のころにガンプラブームがやって来まして、私もどっぷりとブームにハマりました。月に2、3個はガンプラを作っていたと思います。その後、受験勉強をしなくちゃいけないということでしばらく模型作りからは遠ざかっていたのですが、社会人になってから、自宅近くの量販店の模型コーナーに立ち寄る機会がありました。
そこでは以前と同じようにカッコいいロボット模型がたくさん売られていたのですが、なぜかあんまりワクワクしなかったんです。どれも似通っているというか、画一的な感じがしたんですね。
ロボマニアックス 代表・青田直也
おそらく模型が作れなかった期間に「せめて見るだけでも」と、世界中のクリエイターがデザインする多種多様なオリロボ(オリジナルロボット)をネットでたくさん見ていたので、知らず知らずに目が肥えていたのかもしれませんね。
シェルの着せ替えで何通りものオリロボを手軽に作って楽しめる
当然ながら、模型メーカーが商品化するロボットはマンガやアニメに登場するメジャーなロボットが多くなりますので、私たち模型ファンが購入できるロボット模型は氷山のほんの一角だといえます。
それと同じくらいカッコいいオリロボが、模型化されないまま世界中に埋もれているというのは本当にもったいない話で、模型ファンにとっても大変な損失です。
VRChat用のアバターとして人気の高い「魔神機アザトース」をラグナロイド化
そうしたオリロボを模型化できたら、多くの模型ファンがワクワクするようなエキサイティングな製品になるだろうと感じたことが、ラグナロイドを作ろうと思ったきっかけです。
多種多様なオリロボを再現する、着せ替え可能なシェルと頑丈なフレーム
ラグナロイドにはいくつかの特長がありますが、主なものは
1.頑丈なフレーム
2.着せ替えが可能
3.シェルは別売り(3Dプリント)
の3つになります。
このうち、1と2は最初から考えていた特長です。模型化したいオリロボが山のようにありましたので、それらを関節の可動ギミックを含めて1体ずつ設計するのは、時間的にもコスト的にも難しかったので、ベースとなる骨格を用意して、そこに外殻(シェル)を取り付けることで多種多様なオリロボを再現する方法が現実的だと思いました。
骨格(フレーム)と外殻(シェル)を分離したアーキテクチャを採用
また、ラグナロイドでは「シェルを着せ替える」という作業が必須となるので、従来のプラモデル以上に頑丈さが求められる製品になるだろうと考えていました。
模型ファンの多様なニーズと、クリエイターの自由な開発の両方を叶える「ダミーフレームの無償公開」と「シェル別売り」
3の「シェルは別売り(3Dプリント)」は後付けの特長ですね。
ラグナロイドの前身であるキネティックフレームは、フレームとシェルをセットで販売していたんです。フレーム単体での販売はしていませんでした。それは、ロボマニアックスがシェルとフレームの整合性を保証しなければいけないと考えていたためです。
ラグナロイドのシェルはネジ止め式で、ドライバー1本で着脱が可能
ですが、そのやり方だとすべてのオリロボの開発にロボマニアックスが関わる必要があり、製品ラインナップの拡充がなかなか進まない、という問題がありました。そのため、模型ファンの多様なニーズを満たすことができず市場も想定したほどには広がりませんでした。
ラグナロイドではこの反省を活かし、フレームの3Dデータ(ダミーフレーム)を無償で公開し、クリエイターの方はどなたでも利用可能としています。
ラグナロイド用のシェルを開発してくれるクリエイターの方をデベロッパーと呼んでいるのですが、デベロッパーはダミーフレームをベースにラグナロイド用のシェルを自由に開発、製造して販売することができます。
それまでは、シェルとフレームの整合性をロボマニアックスが保証しなければいけないと思い込んでいたのですが、そこはデベロッパーの方にお任せしようと方針転換しました。
ただ、クリエイターの方にシェルの在庫リスクまでを負担させてしまっては、デベロッパーの成り手が少なくなってしまう虞があるため、その回避策として「シェルは別売り、購入はオンデマンド3Dプリントで」という販売スタイルに行きつきました。
参加者が提供者にも消費者にもなれる「オリロボ市場」は、「一億総クリエイター時代」の新たな模型市場を生み出す。
従来の模型市場では、提供者(メーカー)と消費者(模型ファン)の役割が固定化されており、ワンダーフェスティバルのようなお祭りを例外とすれば、模型ファンが商品の提供者の役割を担うことはありません。
新たな模型市場ではこの役割が固定化されず、流動的です。市場に参加する方は提供者と消費者のどちらの役割も担える点が特長です。
つまり、市場の参加者は自身が創作したオリロボを販売する「提供者」になることもできるし、誰か他の人が創作したオリロボを購入する「消費者」になることもできるわけです。
自分がデザインした創作物を自身で販売する場合、著作権の扱いも非常にシンプルとなるので、オリロボは新たな模型市場における主要なコンテンツだといえます。
現代は「1億総クリエイター時代」といわれ、多くの方々が3Dモデリングや3Dプリントに関わる時代です。こうした時代にラグナロイドのような製品を提供することで、クリエイターと模型ファンの間に新しい需給関係を作り出すことができれば、オリロボというコンテンツを通じて生まれた新たな模型市場が大きく成長していくのではないかと期待しています。
「世界中のオリロボを模型化する」をミッションに。オリロボ市場の発展に寄与したい
ネットを見渡すと、アニメや漫画には登場しないけれども、魅力的でカッコいいオリロボをたくさん見つけることができます。ですが、ただ待っていてもそれらのオリロボが模型ファンの元に届けられることはありません。
ロボマニアックスは、ラグナロイドという製品をハブとしてメカデザイナーや3Dモデラ―と模型ファンをつなぐことで「世界中のオリロボを模型化する」というミッションに取り組み、新たな模型市場(=オリロボ市場)の成長と発展に寄与したいと考えています。
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