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黒糖のようなアロマと、ごくごく飲める潔さ。失敗が生んだ新ジャンルの茶「ローズリーフ」の誕生秘話

著者: 株式会社バラの学校

株式会社バラの学校は2011年、東日本大震災が起きた年に設立。食用バラの先駆者として、いち早く6次化および教育業を営んできた企業です。国内複数農地で露地栽培・循環型の農業を行い独自の栽培法を確立。6次化商品を販売することで食用バラの消費量を増やすだけでなく、後進育成に取り組んでおり、バラで社会を豊かにする理念に取り組んでいます。


株式会社バラの学校の特許商品「ローズリーフ」は、代表取締役の中井 友實榮が、花のパワー普及のため考え出した新ジャンルのお茶です。地球にも、生産者にも、消費者にも優しい「ローズリーフ」誕生の裏側と商品の魅力を代表の中井よりお伝えします。


趣味だったプリザードフラワーから起業するも、都心の食生活を通じて五感の鈍りを覚える。

大阪で会社員として働きながら、1999年より趣味でプリザードフラワーのインターネット通販をはじめました。競合はほぼおらず、大手通販会社様より提携のお話が舞い込みます。プリザードフラワーの仕事は順調で、会社員を退職し東京でプリザードフラワーの会社を設立しました。


しかし、多忙な毎日のなかで、本来であれば旬にしか出回らない生鮮品を、旬よりかなり早く食す都心での食生活を続けるうちに、自分の五感が鈍ってゆく感覚を覚えました。「お金さえ出せば、なんでも手に入る・・・」。感謝の気持ちや喜びや悲しみの感受性が低くなり、自分の体全体が、薄いベールに包まれている感じ。金銭的には不自由がなくとも、青空を見上げることも、風の匂いで笑ったり、鳥の声で気持ちがはずむこともなく、心がきしむような感覚でした。


そのような中で、2011年3月11日に東日本大震災が起きます。被災地へプリザードフラワーをたくさんお持ちしたところ、想像をはるかに超えて喜んでくださる被災者の皆様の表情から「花は人の心を豊かにするパワーがある」と確信、「花の消費方法を多角化させよう」と誓います。


再認識した花のパワーと魅力を広げるべく、バラ園の開業に向けて動き出す。

花といえば、私にはバラでした。花好きな母の影響もあり、幼いころから家には常に花が飾られていましたし、人間との歴史が深く、古くから薬効が活用されてきたバラなら、食品やコスメなど応用範囲が広いと考えたのです。包括的にバラの魅力を伝えるためにバラ園開園を計画し始めました。



栃木県、茨城県、群馬県、千葉県、埼玉県といった東京から通える隣県を対象に農地探しをスタートします。「バラの苗をたくさん買って、植えればバラ園になるだろう」安易な計画のもと知人を頼りに探していたところ、運よく栃木県庁に農地のご紹介をおねがいするチャンスをいただきました。


しかし、持参した営農計画書をご覧になった担当者の方から「農業がわかっておられないようですので、まずは栃木県立井頭公園内バラ園での研修と、栃木県農業大学校に通ってください」と指導を受けます。 



東京でのプリザードフラワー会社経営のかたわら、栃木県井頭公園まで片道4時間かけて車で週1~2回の往復をする日々。井頭公園のバラ園には2万坪で約3000本のバラが整然と植えられており、わずか5名程度のスタッフで管理していました。1年間の実地研修でバラの露地栽培を習得し、植物生理や土壌についても学びます。ようやく「バラ園を開園できる」と自信がつきました。

館山市で農地を確保し、カフェも併設し再スタートするも、事業計画とのギャップに直面する。

経営者の知人が紹介してくれた農地は千葉県館山市でした。館山市は花のまち。本格的にバラ園を経営し、花のパワーを普及させるため、株式会社バラの学校を設立し、東京から千葉県館山市へ移住。無事農地を確保でき、農地の隣地にカフェも建設しました。



将来、わたしが経験した栽培法を公開して、子供でも食用バラを咲かせることができるようになる世界を目指し、多額の投資が必要なハウス栽培や水耕栽培ではなく、露地栽培に限定すると決めました。


2011年当時は、食用バラ栽培事例がなく、独自に300種の品種を選定、栽培法も試行錯誤でした。無農薬バラ栽培を推奨しておられる梶浦道成さんからアドバイスをいただきながら、2013年に初収穫。咲いた花びらで、食品やコスメの試作をはじめたほか、カフェでの提供をスタートしました。



「土に触れる暮らし」に一変して、昆虫嫌いだった自分の感性がすこしづつ、みずみずしく、生まれ変わるのを感じました。どんな参考書よりも、土を舞台に起きている目の前の命の循環は、わたしの五感を研いでくれたのです。


虫も、ミミズも、人間も、植物も、土から生まれて、やがて土に戻る。

一期一会への感謝の気持ちが沸き上がってきました。

そう気が付いた時から、虫もミミズも、気持ち悪い存在ではなくなり、同じく「生きている仲間」になりました。


この体験は「土に触れない暮らし」「お金で解決することが多い暮らし」をしている人たちに潜在ニーズがあるのではと感じるようになります。一方、経営面では、無農薬栽培が原因で、慣行栽培に比べ収量が伸び悩み、花びらの単価は高くなってしまい、思い描いていた「花のパワーを広く普及させる」事業計画とは程遠い状況でした。


このままでは夢を実現できない・・・


「花びら」に薬効があるなら「葉」にも見込めるのでは・・・と予想し、「葉」を「お茶」にしてみようと思いつきました。ただ、バラの「葉」を収穫すると当然ながら光合成量が減り、成長に必要な栄養がつくれずバラは枯死してしまいます。


このアイディアを実現すべく、2年という長い期間を要しましたが、2万種類あるバラの中から「葉」を収穫しても枯れないバラを10種類まで絞り込むことに成功しました。10品種の葉を摘み、茶葉試作をスタート。しかしながら、市販されている「チャノキ」と「バラの葉」では細胞が異なるため、同じ製法では、おいしいお茶になりません。



苦かったり、独特の青臭い香りがしたりで、製造方法を試行錯誤するうちに、あっという間に2年たち、途方に暮れていました。ある日、たまたま見たテレビで、野菜の旨味をだす方法が流れます。これにヒントを得、翌日試作してみたところ、これまでにない香りと風味を引き出すことが出来ました。

ついに完成した「ローズリーフ」。花の魅力を伝えるだけでなく、農業の課題解決にも貢献していく。

当初は、全工程を手作業で行っていましたが、オーダーメイドで機械を製造してくださる方と出会い、現在はほとんどの工程を機械化しています。量産化することで、手に取っていただきやすい価格に近付けることができました。



ローズリーフをはじめて飲んだほとんどの方は、新しい味に、言葉を失われます。黒糖のように甘いアロマに満たされる第一印象とは裏腹に、のど越しがすっきりと潔く、思わずごくごく飲んでしまいます。ジャンクフードや化学調味料の摂取を避けている方から高評価を頂戴する傾向も、興味深いところです。

バラの葉のお茶は「ローズリーフ」という商標を取得しているほか、品種と茶葉の製造法において特許を取得しています。ローズリーフは、ほかの農作物と比べると、初期投資がほとんどかからないこと、また、農作業の大半が立ったままで腰痛になりにくいこと、反収がずば抜けて高い、というメリットがあります。


千葉県での栽培に成功したあと、鹿児島県でも試験栽培、2021年からは山形県でも試験栽培を開始しており、暖地から寒冷地まで育つことがわかっています。


農業には「農家の高齢化」「耕作放棄地の増大」「新規就農の壁」など課題がありますが「ローズリーフ」が高収益作物として広まり、社会を豊かにする一因になればと考えています。



平成 24 年度農林水産省委託調査「農作業と健康についてのエビデンス把握手法等調査 報告書」によると農業に従事する中での 運動が精神的、肉体的な健康へ資することは経験的に知られており、欧米における自然療 法(森林療法)や園芸療法等はよく知られています。また、有業率・農業者率が高いほど老人医療費が低くなるという負の相関も知られており、適度な運動としての農作業が健康維持に果たす役割が期待されています。


消費面から考えると、ローズリーフは「カフェインゼロ」「タンニンゼロ」「カリウムが多い」という成分特徴があるため、お子様からご年配のかたまで日常的な愛飲も可能です。


農業の若手がローズリーフ栽培に取り組むことで生産量が増えるのに伴いローズリーフが広く普及し、バラで社会を豊かにするべく、ローズリーフ拡販と食用バラ教育プログラムに邁進してまいります。


ローズリーフ 20包入缶

https://www.baranogakkou.co.jp/product/489


ローズリーフ生産者を増やす教育プログラム

https://www.baranogakkou.co.jp/page/226




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