年間約4,900億円の労働損失を生む女性の健康課題を改善し“男女公平”の実現を目指す『ルナルナ オフィス』立ち上げから1周年までのストーリー
動画はこちら https://youtu.be/IGrseDtlTRs
左:菅原誠太郎
株式会社LIFEM 代表取締役/株式会社カラダメディカ 代表取締役/聖マリアンナ医科大学 助教
右:野村優美
株式会社LIFEM 取締役/丸紅株式会社 フェムテック事業チーム長
(以下、動画の文字起こし)
現役医師と大手商社丸紅がタッグを組み、働く女性の健康課題の改善を支援する福利厚生プログラム『ルナルナ オフィス』を立ち上げました。
このサービスが広まれば、ジェンダーギャップのない未来の実現に一歩近づけるかもしれません。
2023年、日本のジェンダーギャップ指数は先進国なのに最低レベル
146カ国の男女格差を数値化したジェンダーギャップ指数。2023年、日本のスコアは先進国の中でも最低レベルでした。
菅原「146カ国中125位ということで、先進国にもかかわらず、だいぶ順位が下の方というのは結構衝撃的な数字かと思います。」
野村「教育の分野では、日本のジェンダーギャップ指数の順位は、去年は少なくとも1位でした。それに対して急に社会や政治の分野になると、ジェンダーギャップ指数は125位などに下がってしまって、同じような教育を男性女性と性別問わずに受けているにもかかわらず、急に社会に出ると意思決定をするところに女性が全然いなくなってしまう。」
日本のジェンダーギャップに違和感を持つ二人。これまで全く異なる道を歩んできました。
医師として働きながらビジネスを始めた菅原
菅原「僕は医師で、今も医者として働いています。医療がもっと病院の中だけでなく、色々なところで色々な人にアプローチできれば、症状が軽い段階で患者に介入してあげられるのに、というところに課題を感じていました。
ビジネスの形で、そのようなサービスを立ち上げるべき。そのために経営をしっかりと勉強するべきと考え、ビジネススクールに通い始めました。
そこで色々な方とやり取りをしていく中で、健康相談サービスを運営している株式会社カラダメディカの代表取締役として就任することになりました。」
対して、商社『丸紅』の社員である野村
野村「総合商社というもの自体が、これまで『世の中のギャップを埋める』ということを使命として考え、ビジネスを開発してきました。
特に国内において大きなギャップはジェンダーギャップ。海外に比べても、かなり大きな課題となっているということで、ジェンダーギャップを埋めるためのビジネスを開発していこうと決めました。」
異なる経歴の二人は、とある考え方で強く共鳴し、株式会社LIFEMを設立することに。
男女平等ではなく“男女公平”という考え方
菅原「生産年齢人口において男女を比較した時に、女性の方が体調不良を感じやすいということは、ホルモンバランスに起因するものであり、データでの裏付けも取れています。
男女“平等”と言って男女に同じ施策を行なっても、そもそも女性の方が健康に関するリスクが高い。だから、女性のリスクをカバーして“公平”にしないと、同じようにパフォーマンスを出せる状況ではないのではないか。
だから僕は“平等”と“公平”を分けているんです。“平等”というのは、同じことをやること。“公平”というのは、等しくするということ。男女“公平”なら同じようにパフォーマンスが出せるし、女性はより輝けるのではないか、という考え方です。」
男女公平の実現のため調査を進めると、衝撃的な事実が判明します。
働く女性にまつわる衝撃的な事実
菅原「調べてみると、働く女性の労働損失が色々と見えてきました。日本で働く女性の(月経随伴症状による)労働損失額は、年間4,911億円というデータがあるんです。それが削減できれば、働く女性だけでなく、企業側にもメリットとなります。」
野村「不妊治療と仕事の両立が難しくなってしまって離職になった方、更年期症状が理由で昇進を辞退する方や離職を考えるという方。そういった女性が4割ほどいらっしゃるという数字もあります。そこで、働く女性向けのサポートサービスを開発していこう、という考えに至りました。」
このような課題を解決するために、働く女性のための新しい福利厚生『ルナルナ オフィス』が誕生しました。
ルナルナ オフィスが提供できること
野村「女性の健康課題に関する正しい知識を知っていただくためのセミナーを実施します。どうして女性特有の健康課題が生じるのかということを、医学的な観点から正しく解説します。そして実際に不調を抱える女性社員の方に、オンラインでクリニックを受診していただく機会のご提供をしています。そこで終わるのではなく、その不調(月経や更年期によるもの)を緩和する薬剤を処方するところまでサポートするのがポイントです。」
さらに、仕事との両立を負担に感じる方が多い不妊治療についてのオンライン相談もでき、幅広いライフステージの女性をサポート。
菅原「婦人科受診のハードルは何個かあって、まずは時間的なもの。働いている時間に行けませんよね。次に、移動が結構大変ということ。そして産婦人科は男性の先生が多かったりするので、心理的なハードルもあります。さらに受診や薬を購入するための金銭的なハードルもある。
これらの問題を解決するために、オンライン診療というのが一つのソリューションになります。さらに企業側を巻き込むことで、費用を負担していただくことにより、金銭的なハードルも下がります。」
野村「会社としてこの施策の投資効果がどれだけあったのかを可視化していくために、仕事のパフォーマンスや、健康状態がどれだけ良くなったか、辛さがどれだけ軽減されたかというところをレポートにまとめてお返しをする。ここまでをパッケージでご提供しています。」
こうしてスタートを切ったルナルナ オフィスは2023年7月で1周年を迎えました。しかし、誰もが知っている“ある考え方”が理由で、導入を見送られることも。
男女平等の考え方が、かえって導入の障壁に
菅原「日本に根付く男女平等という固定観念が、『ルナルナ オフィス』導入におけるまず一つのハードルです。
女性だけにサービスを提供するのはどうなのかと考える企業はどうしてもあって、どうやって“公平”という概念を認識させるか、というところが課題だったと思います。」
野村「どうしても女性だけのためのサービスという風に思われてしまう。でも実際に導入いただくと、多くの企業で9割以上の男性が『こういった施策の導入に賛成』と回答したという結果が出ています。」
サービス導入後の反応から、目指すべき未来がはっきりと見えてきました。
働く女性の健康課題は、個人で解決すべき問題ではない
菅原「サービスが1周年を迎え、数10社の企業に導入されました。その結果、少しずつ女性に対してサポートをするような企業が増えている実感はあります。
男性の意識改革もできたらいいよねと目指す反面、どこまでできるのかと不安なこともありましたが、例えばセミナーを受けたら男性が変わりましたという意見もいただいています。普段は女性の健康課題のことを知らなかったけれど、勉強し、女性従業員に優しく話せるようになりました、など、我々が想定していた以上にいい効果が出そうだ、と見えてきました。
ジェンダーギャップの問題にも取り組んでいけるし、日本全体で女性の健康課題を理解する文化を醸成していく、というところが今後の目標になってくるかと思います。」
野村「やっぱり、女性特有の健康課題って、これまでは個人の問題だと私自身も思っていました。しかし、企業として取り組むべき課題なんだ、という認識がもっと広がっていけばいいなと思いますし、ひいては企業の競争力の強化になって、日本全体が強くなっていく。そういった世界観の実現のため、小さなところからではありますが、力になれたらいいなと思っています。」
「働く女性の健康課題は、働く職場の課題」
そう考える企業が増えると、きっと社会も優しく変われる。
男女“公平”を合言葉に、社会を変えようとした二人に続いて、あなたも一歩踏み出してみませんか。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ