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日本の技術をビジネスに。大学発ベンチャーのシード期に副業で伴走する「福岡県CXOバンク」の魅力とは?

著者: パーソルキャリア株式会社


近年、日本でもベンチャー企業やスタートアップ企業が成長する土壌が整ってきています。その中で、これらの企業の成長フェーズで課題となるのが、CXO(業務における最高責任者)人材の確保です。

 

国内でも有数のベンチャー企業数を誇る福岡県は、2022年7月に地元の九州大学と連携して「福岡県CXOバンク」事業を立ち上げました。大学発ベンチャー及びスタートアップ企業の事業拡大に必要なCXO人材をデータベース化し、企業等とマッチングすることで、企業成長の促進に取り組んでいます。

 

パーソルキャリアが運営する、副業・フリーランス人材 マッチングプラットフォームサービス「HiPro Direct(ハイプロダイレクト)」では、福岡県CXOバンクに対し、プロ人材の登録支援を行なっています。


その背景には、これまで多くの企業が抱える経営課題に対し、専門性を持ったプロ人材と共に解決に向けたサポートを半世紀以上行ってきた思いがあります。特に、資金や人的リソースに制約のあるシード期の大学発スタートアップの事業成長には、プロ人材とのマッチングは有効な手段だと考えています。

 

「福岡県CXOバンク」事業を立ち上げた福岡県ベンチャービジネス支援協議会(事務局:福岡県商工部新事業支援課)と、運営を受託しているパーソルテンプスタッフが2023年に開催したオンラインサロンでは、福岡県CXOバンクにおいて、第1号となるマッチングが成立しました。

 

今回、マッチングが成立した北九州市に拠点を置くハインツテック株式会社 代表取締役社長・青木氏と、関東在住のCXO人材・沢井氏へのインタビューを実施し、福岡県CXOバンクを活用するに至った背景や、マッチング後の協働内容についてお聞きしました。

ベンチャー支援歴20年の沢井氏がCXOバンクへ登録した理由とは

―福岡県CXOバンクにおいて、企業とのマッチング第一号となった沢井さんが、CXOバンクに登録された経緯を教えてください。


沢井氏:もともと私は基礎医学の研究者としての道を歩んでいたのですが、知的好奇心を満たせる業務内容に惹かれて支援側へ転身し、特許業界に移りました。当時は、小泉内閣の主導により大学発ベンチャーの創出が活発化しており、私の専門と近いバイオベンチャーは特に注目されていました。それ以来20年以上、大学発ベンチャーに対して、バイオや医学分野における研究や知識を元に企業支援を行ってきました。多い時は顧問として10社近いベンチャー企業のお手伝いをさせていただいたこともあります。

 

そのような経験を活かして仕事の幅を広げたいと考えていた矢先に福岡県CXOバンクを知り、ベンチャー企業の経営サイドの視点を学びたいと思い応募しました。

―ハインツテック社が福岡県CXOバンクの利用を決めた経緯を教えていただけますか。



青木氏:当社は、北九州学研都市に位置する早稲田大学大学院で開発された技術シーズを事業化すべく立ち上げた会社です。会社として事業を軌道に乗せるために必要なバイオ領域のノウハウが不足しており、バイオ領域の専門家の方に仲間に加わっていただきたいと考えていました。ただ、当社には専門家を新たにフルタイムで雇用する体力もなかったので、部分的にサポートいただける方を探していたところ、福岡県CXOバンクを紹介していただきました。実は、CXOバンクに登録した当初は、専門分野に精通する希少な人材とそう簡単にマッチングできるとは思っていなかったので、“お試し”の気持ちでしたが、理想の人材と出会うことができました。

経営に伴走してくれるCXO人材だからこそ、経歴だけではなく人柄も重視

―オンラインサロンをきっかけにマッチングに至ったと聞いています。

沢井氏:これまで技術や知的財産関係の顧問として企業の研究開発にも携わってきましたが、CXO人材が求められているということで、オンラインサロンでは、経営視点を学びたいと思いました。ハインツテックさんの事業内容や技術領域が私の専門と近かったのも参加動機の一つです。実際のオンラインサロンでは、技術グループと資金調達系のグループに分かれて、改善策について議論しました。

 

青木氏:参加者の皆さんの議論がネガティブな方向に進んだ際、沢井さんが異なる視点から状況を打開するような発言をしていたと伺いました。研究開発においては、物事が思ったように上手くいかないことは山ほどあります。沢井さんは、そのような局面でも頼れる方という印象を持ちました。

 

面談でも、沢井さんの深い知識や経歴、人柄を確認でき、一人目の面談でしたが即決しました。オンラインサロンで、経歴だけでは見えないお人柄や考え方、議論の進め方などを見られたのもすごくよかったと思います。

 

―沢井さんがオンラインサロンの議論で大切にされていたことはありますか。

沢井氏:特別なことはしていなくて、その場にある材料と自分の知識と経験を照らし合わせながらベストを尽くす、コンサルティングの基本を実践していたと思います。 

―実は二人は一度も対面でお会いしたことがないと聞きました。パートナーとして仕事を進めるなかで、心理的・物理的ハードルはありますか。

青木氏:私は前職でアメリカの企業に勤めており、コロナ禍前からホームオフィスで大半がリモートワークというはたらき方をしていましたので、関東圏にお住まいの沢井さんとオンラインで仕事を進めることへの心理的なハードルもありませんでした。

 

沢井氏:私は普段の仕事でも、北は岩手県、南は岡山県と、クライアントが全国に点在しており、コロナ禍前から出張で現地に伺いながら、オンラインやメールなどを活用して業務に当たっていました。コロナ禍で、オンラインのハードルがぐんと下がったことで、以前よりコミュニケーションや仕事がしやすくなったと感じています。青木さんとも一度もお会いしないまま、オンラインでのやりとりをしています。マッチングから4ヶ月が経つので、そろそろお会いしたいという気持ちはありますが、仕事をする上で、地理的な距離は気になりませんし、問題なく業務を進めています。

 

青木氏:コロナ禍を経て、スタートアップ企業側もCXO人材の方も、オンラインを活用したリモートでの働き方がしやすい環境になってきているので、ますます活用が広がりそうですよね。

常に新たにできることを探しながら円滑に協働を進める姿勢がパートナーシップの鍵に

―マッチング成立から4ヶ月が経ち、2週間ごとのオンラインミーティングにて進捗確認を行っていると伺いました。仕事をスムーズに進めるうえで意識していることを教えてください。 

沢井氏:ハインツテックさんの持つ技術や人材・スキルをしっかり理解するように心掛けています。その上で、社内ではできないことを補完しながら、貢献できる業務を常に探し、こちらから提案するようにしています。本業では守秘義務契約や共同研究契約、ライセンス契約にも関わっているため、今回、法務関連での協力もさせていただくことができました。

 

青木氏:当社としては、フルタイムで雇用しているわけではないので、担当いただきたいタスクを適切な形で切り出してご依頼することを心掛けています。沢井さんからは「他にできることはありますか?」との問いかけをいつもいただいており、感謝しています。最近はバイオ実験に関わる当社スタッフも沢井さんとのミーティングに入り、日々の実験で生じる細かな問題の相談などをしています。また沢井さんは、知財実務や特許翻訳家としての知見もお持ちなので、契約書関連のレビューもお願いするなど、想定以上に助けられています。


バイオ系大学発ベンチャーにとって重要な「発見」を「発明」へと変えるプロセスに伴走したい

―沢井さんが、大学発ベンチャーを支援し続けてきたモチベーションはどういったところにあるのでしょうか。

沢井氏:私が現役の研究者だった当時、使用したいタンパク質が特許を取られており、研究の情報を公開しないと使用許可が下りないといったように、特許に関して悩むことがありました。研究者からベンチャー企業の支援サイドへ転身した20年ほど前は、内閣が「知財立国」を目指す方針を掲げていた頃でもあり、自身の経験からも、研究者が特許に関する課題で苦労しないようサポートしたいと考えるようになったのです。特許業界ではバイオの先端技術を理解している人が少なく、そのギャップを埋め、「発見」から「発明」への橋渡しをしたいと考えていました。

 

―バイオ系の大学発ベンチャー企業にとっての「発見」と「発明」の違いとはなんでしょうか。

沢井氏:「発見」は見つけるところまでであり、研究者が「発見」したものを、「発明」に結びつけることで特許としての成立に繋がります。ベンチャー企業にとっては、そこで初めてビジネスの価値が生まれ、担保されるので、特許はビジネスの観点からも非常に重要なのです。「発見」を「発明」にするため、過去には、研究会議に参加させていただき、アドバイスするような立場で支援したこともありました。

副業は自分の能力を最大限に活用するチャンス。これから磨きたいスキルの挑戦の場に

―ハインツテック社として、今後沢井さんとどのようなことにチャレンジしていきたいですか ?

青木氏:当社は半導体微細加工の技術を生かして、バイオ領域の新手法を開発しております。沢井さんの知見を活かしながら、お客様の課題解決をする製品やサービスを提供することで、バイオ業界の発展に貢献していきたいです。事業においては特許や知的財産権の部分でも、沢井さんにぜひお手伝いしていただきたいと思っています。特に、特許の取得や維持には大きなコストがかかるため、どこに集中してリソースを投じるべきかといった戦略立案についても、沢井さんのサポートを頂きたいです。

 

沢井さんがもともと経営に関心を持って福岡県CXOバンクへ登録されたことは今日初めてお伺いしました。新しい技術が生まれ、変化の大きい社会においては、自身の価値を社会に還元していくために継続的な学びが必要だと思っています。この価値観も一致していたと知り、今後ご依頼する仕事についてはもう少し視点を広げて考えていきたいです。

 

―沢井さんは、福岡県CXOバンクをどのような方におすすめしたいですか。

沢井氏:本業で100%の能力を発揮しきれていない方。例えば、現在自己の能力のうち8割のスキルを使っているとして、それ以外のまだ磨けるスキルをお持ちの方が、挑戦の場として活用されることは非常に有意義だと思います。

 

私もコンサルティングや法務に関する経験を副業で十分に活かせているのは嬉しいですね。今後は、より多くのベンチャー企業を幅広く支援できるよう、大学発ベンチャーの経営についても、CXOバンクという機会を活用して学んでいきたいと思っています。

 

(文:片岡 由衣 )

 

■【10名募集】福岡県内の中小企業の経営サポート、CXO人材募集

https://talent.direct.hipro-job.jp/talent/issue/1324/

 

■ 9/13開催! HiPro Direct Networking Day  

NTTドコモ、セイコーエプソン、積水化学工業などがプロ人材活用術を大公開

~各領域のプロ人材に自社の課題を相談できるブースも設置~

 

福岡県CXOバンクに関連するセッションもございます。

https://direct.hipro-job.jp/event/hipro-networking-day/




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