選ばれる会社へ。ザ・プラントが見つけた国際人材を虜にする秘密。大切なのは◯◯でした。
「コミュニケーションに壁を感じる」
外国籍社員との間で感じられる「難しさ」について、必ず上位にランクインしてくるお悩みです。
日本の会社でありながら社員の9割が外国籍というザ・プラントは、離職率の高いIT業界にありながらも人材定着率は96.13%を誇ります。会社が社員のウェルビーイングにこだわることで社員からの会社への貢献の意識も高まる。そんなウィンウィンの関係を作り出すことが大切だと考えています。
お昼寝やお祈りの時間など、各自の文化や習慣が尊重されている一方、社員も質の高い成果をキチンと出すことを怠りません。双方の価値観やニーズをどのように満たしていくか。対話を通じた相互理解が欠かせません。相手を尊重したコミュニケーションがやがては組織文化となり「共生」することを可能とするのです。
このような日々の取り組みや多国籍人材に対する考え方について、ザ・プラント株式会社の最高人事責任者で、日本GHCDコーチング協会認定講師の資格を持つ岡真喜子が語ります。
ザ・プラント株式会社 最高人事責任者
岡真喜子
ザ・プラントについて
代表のアナトール・ヴァリンが、法人向けECプラットフォーム、CMS、モバイルアプリ、CRMなどのシステム開発会社として2005年に東京で創業しました。現在では開発業務はもちろん、大手企業のテクノロジーパートナーとしてコンサルティングによる課題の特定からソリューションの提供まで、包括的にクライアントのビジネスニーズにお応えしています。
東京本社のほか中国とオーストラリアにオフィスがあり、社員72名のうち9割以上が外国籍。その国籍数は日本・オーストラリア・中国のほか、アメリカ・タイ・香港・フランス・ブラジルなど11カ国におよびます。東京は主に営業や管理部門、中国は開発、そしてオーストラリアは戦略業務を主に担っています。
外国籍の社員が多い理由
グローバル展開されていらっしゃる企業さまとの取引が多いことが挙げられます。意思決定者の方たちが英語でのコミュニケーションを望まれることも少なくなく、バイリンガル人材を採用することにつながったのが主な理由です。必然的に社内の公用語も英語になるのですが、特にお客さまとのコミュニケーションが頻繁に発生しないような部署の場合、英語がそこまで得意でない社員も多くいます。ただ社員たちは、そんな時でも「わからないことは分かる人が通訳をして助け合えれば良い」と考えているので言語によるコミュニケーションを障害に感じたことはありません。自然とお互いにサポートしながら楽しく正しくコミュニケーションを取ろうという姿勢をみんなが持っています。
ウェルビーイングを企業文化に
ウェルビーイングや幸福学を知ったのは実は最近で、おそらく3年ほど前です。当時マーケティングをお手伝いしてくださっていたコンサルタントの方から幸福学の第一人者である前野隆司教授をご紹介いただいたのがキッカケです。組織の大きさという面で、ある種ゆったりとした成長ができていたことも手伝って、もともとお互いの意見や価値観の違いを尊重することや、フラットなコミュニケーションを試みることなど、企業文化として醸成できていたと思います。前野教授のウェルビーイングや幸福学は、そうして私たちが「何となく」やっていたことが言語化されていて、コレだ!と思い、それ以来拠り所にしております。
ウェルビーイングのコンセプトには「やってみよう因子」「ありがとう因子」「なんとかなる因子」「ありのままに因子」という4つの因子があるとされています。
ザ・プラントでは常に新しい学びやチャレンジを推奨していて、普段から社内チャットで「◯◯についてどう思う?」や「この学びは◯◯に活かせると思う!」などアイデア出しや意見交換が行われています。そのような議論の中から実際に製品化されたものもあります。このような普段のやりとりからも「やってみよう因子」「なんとかなる因子」が自然に刺激されているのではと考えています。
「ありがとう因子」「ありのまま因子」については意図的な施策も含めてかなりカバーされていると思います。チームごとで行う称賛ワークはもちろん、日常的に「ありがとう。◯◯さんがいたから、こんな素晴らしい結果が出せたよ」など、社長を筆頭に頻繁に表現しています。コロナの前は、他拠点からの来日スタッフもいたのですが、帰国後に「出張であんなに大切に対応してもらえると思わなかった」など、自分の会社での居場所を感じられたとフィードバックをもらったこともあります。
人事部の目標と5つの指標
2030年までに「日本一幸福な働く場所にする」という大きな目標を掲げました。これは、会社が企業全体として2030年までに達成したい目標があるので、それを達成するための人事部としての目標です。指標は5つ設定しています。
(1) 人事部全員が全社員と年1度必ず対話を持ち、顔、名前、業務を100%覚えている状態になっている
(2) 年一度の満足度調査における「自分らしく働けている」の設問への回答が90%「Yes」の状態になっている
(3)「The Plant 5つの約束」(人・リーダーシップ・職人・成長・信頼)の内容を社員の85%が理解し、実行できている、または挑戦できている状態になっている
(4) 社員全員の誰もが、パソコンを持たずに2週間以上の休暇に行きたい時に行ける状態になっている
(5) 退職後もザ・プラントの同窓会メンバーとして、継続的なつながりを持ってくれる旧社員が70%以上の状態になっている
ちなみに「The Plant5つの約束」はカルチャーブックとして冊子(日英)にまとめて、オンラインでもオフラインでも社員がいつでも確認できるようにしています。
目標を達成するために大切なこと
弊社の社長は「質の高い成果物を出すことが大切」と考えています。なので例えばランチタイムの設定なども自分たちの仕事の状態や気分で自由に設定することができますし、引き続きリモートワークも取り入れているので、通勤時間の削減などを考えると比較的時間的拘束は少ないと思います。
とはいえ、11カ国のバックグラウンドを持つ社員が一緒に働いていると、時々サプライズがあることも否めません。例えば、中国の特定の地域などでは大人でもお昼寝をする習慣が残っているらしく、ランチ後に気付いたら机の上でつっぷして睡眠開始。「短時間のお昼寝は効率が上がる」とのことでしたが、特に日本人や西洋の国籍を持つ社員はビックリです。他にもイスラム教徒の社員は2時間のお祈りタイムを平日昼間にしたいです、と業務を抜けることを要求。一般的には「業務時間だから」とお昼寝やお祈りタイムをNGとしたり、時給を差し引いたりすることもあるかと想像しますが、ザ・プラントでは丁寧な対話を持つことで「お昼寝」や「お祈り」が彼らにとってどのような意味があるのかなど理解することから始めました。
時間に対する柔軟性や自分たちが大切にしたい文化的背景や習慣を大切にし続けられる環境というのは、指標を達成するにあたっても大事にしていきたいなと考えています。
一方で日本での商習慣についてもキチンと理解してもらう必要があると思っています。例えばお客さまからいただいた名刺を会議中ずっと手でクルクル遊んでいる社員がいたのですが、会議が終わるころにはその名刺はふにゃふにゃ。相手企業のロゴに指をかけないようにしましょう、なんて教えられる私たち日本人はその様子にヒヤヒヤ。またある時は、朝一番でお取引先にお邪魔する際、なんと自身の朝食セットを持って登場した社員も。さすがに「ダメかな?」なんて聞いてきたのでダメです、と伝えて訪問前に食べてもらいましたが。
私が気をつけているのは、このようなことが発生した時に決して良い悪いだけで判断しない、やり方だけではなく「なぜ」こうすることが必要なのかについて、背景や文脈も含めてコミュニケーションをとっています。そのような感じでキチンと伝える努力をすればちゃんと理解してくれますし、その後はちゃんと対応してくれます。こうした「相手の理解」に努めることは目標達成に欠かせない要素だと確信しています。
ちなみに日本では珍しいかもしれませんが再雇用者も少なくありません。たとえば弊社で勤務したあとに「学校に戻ってもっと勉強したくなった」「友人とスタートアップに挑戦することになった」などさまざまな理由で退職したものの、やはり次のステップとして弊社で貢献をしたいと言って戻ってきてくれるケースです。私たちとしても、いろいろなチャレンジをして成長して戻ってきてくれるのはとても喜ばしいことだと考えていますし、そうやって改めて一緒に働きたいと戻ってきてくれるのは単純に嬉しいですよね。そう考えてくれるのは、会社の居心地が良いからではと少し自負しています。求人がある時は、自分たちの家族や友人を薦めてきてくれる社員も少なくないので、おそらく居心地の良さや満足度は高めなのかな、と考えています。
ウェルビーイングと組織運営
IT業界は一般的に離職率が高いと言われています。その上、さまざまな背景を持つ多国籍な社員から構成される組織となると人事運営の舵取りは簡単ではありません。ですが、人事部のスタッフはもちろんのこと、社員一人ひとりとウェルビーイングを初めとする「The Plant5つの約束」の価値を共有して、指標を一つずつ実直に達成していくことでエンゲージメントは必ず向上すると信じています。実際に過去18年間における人材の定着率は96.13%を達成しています。
やはり良い人材を育成し、長く在籍してもらうためには、一人ひとりに適切な環境を提供し続けることが大切だと考えています。柔軟な裁量権を付与していることもその一つです。自身が当事者意識を持つことで、初めて責任感も強く感じることができるのではないでしょうか。そうすることでお互いを尊重し、友好的にサポートし合いながらプロとして卓越した行動を取れるようになると考えています。
昨今は日本においても外国籍の人材について話題になることが多くなってきたと感じています。実際、ウェルビーイングや「多文化共生型の人事運営」に関する弊社の取り組みや事例について、興味を持ってくださる企業や団体からお問い合わせをいただくことも増えました。
日本籍、外国籍を問わず、それぞれが多様な価値観や背景を持っているからこそ、さまざまなアイデアや見方が広がっていき、人も企業も成長を遂げていくのではないかと思います。私たちも対話による相互理解をより深めながら、ザ・プラントを支えてくれる社員たちのウェルビーイングについて引き続き試行錯誤していきたいと思います。
<ザ・プラント株式会社のカルチャーブック>
https://the-plant.com/ja/our-company/culture/
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