半導体メーカーロームの高品質なものづくりを支える「分析センター」に迫る
ロームは1954年に京都で創業した半導体メーカーです。抵抗器からはじまり、トランジスタやダイオード、ICと開発を進め、最近では、脱炭素化を加速させる半導体技術として期待されているSiCパワー半導体などにも注力しています。1971年には日系企業として初めて米国シリコンバレーに進出。今では全世界に営業、開発、生産拠点を持ち、日本発のグローバル企業として歩みを続けています。
お客さまをはじめとする世界中のステークホルダーの皆さまから選ばれる企業になるためには、品質第一の考えを大切にしたものづくりが最も重要だとロームは考えています。今回は、そうした高品質なものづくりを支える「分析センター」を紹介します。
ロームが取り組む品質管理、分析センターができるまで
ものづくりにおいて、品質はメーカーの根幹となる重要な要素で、取り組み方ひとつで企業に対する信頼度が大きく左右します。ロームの長い歴史の中で品質管理が初めて導入されたのは1965年のこと。翌年には品質を第一とする次の企業目的が制定され、全社をあげた品質改善に取り組んできました。
ロームの企業目的
われわれは、つねに品質を第一とする。
いかなる困難があろうとも、良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し、
文化の進歩向上に貢献することを目的とする。
1990年代には、世界主要7拠点にQA(Quality Assurance)センターを設置。本社を中心にワールドワイドに対応した品質保証体制を整え、タイムリーにお客さまのご要望にお応えしてきました。その後もグループ一丸となって品質改善を進め、2012年に本社品質本部に帰属する組織として「分析センター」の稼働を開始しました。
高品質なものづくりを支える分析センターとは?
ロームの分析センターは、本社の開発棟内に施設を構えています。「見せる分析センター」という斬新なアイデアから設計された施設で、取引先・関係者の皆さまに製品の分析・解析をしている様子を観ていただけるようガラス張りの回廊になっています。
また、ひとつの半導体メーカーの社内に常備されているのが珍しいほど、数多くの分析装置を配置。専門分析施設と変わらないレベルで製品の分析・解析を行えます。
このセンターには、分析技術者が18名在籍しています(2023年9月現在)。超小型化・集積化が進む半導体において、化学・物理学・電子工学などそれぞれの専門知識を有するプロフェッショナルが、開発段階での設計確認やお客様の試作段階での不具合確認、工場での製品の出来栄え確認などのため、高度な分析、解析を行っています。
グループ一体となって品質を創り上げる
半導体は複雑な材料の組み合わせと微細な構造でつくられており、製品の分析・解析には非常に高度な技術と装置が必要です。そのため半導体メーカーでは、工場内で単独に分析装置を使っていたり、専門の分析施設に依頼することが多ようです。
ではロームが自社に分析センターを設置する理由は何なのか。品質本部本部長の三木はその意義をこのように語ります。
「これだけの設備と人財を1ヶ所に集約させる意義は、まずひとつは、タイムリーかつフレキシブルに分析結果を提供することで、開発セクションと一体となって品質を創り上げていくこと。そしてもう一つは、これまで積み上げてきた知見を共有すること。この二つに大きな価値を置いています。」
<ローム株式会社 品質本部 本部長 三木 隆司>
一つ目の、開発セクションと一体となって品質を創り上げるという点には、ロームの特長である「垂直統合型生産体制」が大きく関わっています。
ロームでは、グループ内で開発・設計、ウエハ製造を含めた生産、販売・サービスまでを行う垂直統合型生産体制を採用しており、分析センターの守備範囲も多岐にわたります。開発セクションなどと密に情報や課題点を共有したり、関連部署を巻き込んだディスカッションを行ったりするなど、グループが一体となって品質を創り上げています。
二つ目の、知見の共有を実現する上でのポイントは、日々分析センター内で行われている活発なコミュニケーションです。
分析センターに新しく配属された技術者は、サンプル加工のテクニック、装置の操作、アプローチ手法から依頼者とのコミュニケーションに至るまで、まずは分析に関する幅広い業務にアシスタントとして従事します。上席者の指導を受けながら業務を経験することで、これまで長い年月にわたって培われてきた匠の技が知見として共有されていきます。
また分析技術者の中には、製品開発や設計、製造部門での経験を積み上げてきた人もいます。領域を超えた情報・意見交換を活性化させることで、個人のレベルアップはもとより、組織全体としての成長も図っています。
ロームでも提携先の外部施設に依頼データを持ち込むケースはありますが、分析センターの特長は在籍する分析技術者が分析データを読解し応用できることだと、29年間にわたってこの分析センターに所属するセンター長の吉川は言います。
「これだけの高度な分析装置を使いこなすのは、かなり難易度が高いことは事実です。ただ、私たちがこだわるのは装置を使いこなす技術ではなく、分析して出てきた数値や結果をどれだけ活かせるか、次のアクションに役に立つ生きたデータを提供できるかという点にあります。ここが私たちの腕の見せどころです。
分析データから「何をみるべきか」「ここに問題が潜んでいないか」といった問題を診立てることも、分析・解析における重要なポイントです。現場での経験に加え、垂直統合型生産体制の中でいろんな角度から体系立てた知見を拡げることができ、それが的確な診立てにつながっています。」
<ローム株式会社 品質本部 分析センター センター長 吉川 政夫>
グループをあげた品質向上に今後も挑み続ける
会社をとりまく環境は大きく変化していますが、創業当時より掲げる「企業目的」に基づき、高品質かつ革新的な製品の提供を通じて、文化の進歩向上に貢献していく姿はこれからも変わることはありません。
2024年には、ロームの新しい開発技術拠点として「モノづくりイノベーションセンター」の竣工も予定されており、品質本部分析センターの役割と責任は、今まで以上に重要になってきます。グループをあげて取り組む品質の向上と、それをサポートする匠の集団による、ゴールなき挑戦は今後も続きます。
ロームの公式WEBサイトでは、常に高い品質をお客さまにご提供するロームの「ものづくり」とそこに情熱を注ぐ人の物語を、動画でお届けしています。
Stories of Manufacturing
「品質本部分析センター:データをどれだけ活かせるか?そこが腕の見せどころ」
https://www.rohm.co.jp/company/about/stories-of-manufacturing/analysis-center
動画はこちら
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