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製品マニュアル本来の品質を可視化することで、マニュアル品質の底上げを担う存在でありたい。マニュアル評価サブスクサービス「Manual Dock2(マニュアルドック2)」開発者の思い

著者: 株式会社ドキュメントハウス

購入した製品に不具合が起きたとき、付属されている製品マニュアルを取り出して確認する人は多いだろう。家電製品・産業機械・医療機器を中心に、30年以上にわたって全業種のマニュアルの品質改善に従事してきたドキュメントハウス。このたび、同社がこれまで蓄積してきた評価データを生かした、マニュアル評価サブスクリプションサービス「Manual Dock2(マニュアルドック2)」がリリースされる。リリースに伴い、ドキュメントハウス代表の本間俊明氏にサービス開発の思いを伺った。


マニュアルも製品の一部。ユーザーとのコミュニケーションツールでなければいけない

取り扱い方法、操作方法、トラブルシューティングなど、製品に関する情報が記載されている取扱説明書やマニュアル。それらを書くためには、専門的な技術を読者や目的に合わせて分かりやすく伝える記述スキル、いわゆるテクニカルライティングが必要とされている。


日本でテクニカルライティングが普及しはじめた1980年代、本間は大手電機メーカーの翻訳部門、マニュアル制作・翻訳会社を経て、テクニカルライティング事業で独立した。その後、1989年に株式会社ドキュメントハウスを設立する。それから現在に至るまで、マニュアルの企画・制作・翻訳事業を中心に、エンドユーザーに向けた製品取扱説明書をはじめ、エンジニア向けのマニュアル、医療従事者向けのマニュアルなどの制作やコンサルティングなどを請け負ってきた。


マニュアルとは、製品の使い方を説明し、ユーザーを支援するものであり、製品の一部でもあると本間は語る。


「商品やサービスを提供するにあたって、マニュアルは企業とユーザーを繋ぐコミュニケーションツールです。もし、ユーザーがマニュアルを分かりにくいと判断した場合、製品に対する信頼感は一気に崩れ、結果的に企業イメージを損ねてしまいます。逆に、マニュアルが分かりやすいと、ブランドイメージは保たれるので、リピート客が増え、他の製品にもその影響は波及していきます」。


マニュアルの品質は、情報が正しく役に立つか、文章が分かりやすいか、イラストや写真が見やすいか、情報を探しやすいか、安全面からユーザーへの配慮があるか、目的の操作を達成できるかなど、さまざまな要素の絡み合いによって判断される。さらに、一般ユーザー向けのマニュアルの場合、誰が見ても分かりやすいという複数の客観的な視点で評価が行われていることも重要だ。


そのため、本来であれば、出来上がったマニュアルを複数の製品開発関係者でレビューする場を設け、品質改善を試みていかなければならない。しかし、そういった手順を踏むには、資金、人材が足りない中小企業も多かった。


「そういった中小企業の中には、担当者の主観的な裁量によって書かれているマニュアルが非常に多くありました。そんな現状が、不甲斐なかった。もっと客観的な視点から品質改善のアプローチを加えられないかと長年考えていました」。

もっと安価で手軽にマニュアル改善ができるサービスを提供したい

実際にマニュアル制作をする企業の担当者側も、多くの悩みを抱えていた。「マニュアル通りに製品を動かせない」というユーザーからのクレームを受ける、自社製品のマニュアル品質が他社と比べてどのレベルに相応するのか分からない、マニュアルを改善しても効果を判断しにくい……といった相談が本間のもとに寄せられた。


「コンサルティングをしていると、設計側の視点でマニュアルを作ってしまう企業があまりにも多いと気づきました。たとえば、目次のタイトルが操作の目的ではなく機能名や画面名になっていたり、イラストのフォーカシングが実際に操作している角度からではなかったり、ユーザーにとってそういったマニュアルは使い勝手が悪いんです」。


メーカー視点ではなく、ユーザー視点でマニュアルを作る。さらに、マニュアルの品質は、主観的な視点だけではなく、客観的な視点も入れて評価する。2つの明確な基準を持ち、ドキュメントハウスは創業時からマニュアル制作・改善に取り組んできたという。


その中で、マニュアルの国際規格をチェックリスト化し、要素ごとにマニュアルの品質を数値化、可視化することにこだわってきた。そのデータを生かし、品質を客観的に評価するマニュアル診断クラウドサービス「マニュアルドック」を2014年にリリースした。


「今回リリースする本サービスの前身となったクラウド型の『マニュアルドック』は、評価者が同社のテクニカルライターであったため、品質改善のためのアドバイスは後日対面でのコンサルティングが必要でした」


そこで、本間は従来のコンサルティングより手軽に、安価で、かつ継続的な品質評価ができるサブスプリクション型でサービスを提供したいと考えた。また、ウィズコロナのビジネス環境において、非対面によるマニュアル品質評価サービスが今後さらに必要になってくるだろうという予測も開発への後押しとなった。

マニュアル全体の品質を向上させるため、客観的評価の可視化を可能に


1回の品質評価は94,000円~(内、年間登録料=24,,000円)で手軽に受けられ、分析された評価データを常に確認できるサブスクプランとして、一般メーカー向けに「ManualDock2 シングルプラン」、複数企業の評価を目的としたコンサル・代理店向けに「ManualDock2 マルチプラン」166,000円~(内、年間登録料:96,000円)と2つのプランを用意している。


「どういった視点で品質改善を実施しているのか、評価軸をオープンにすることで、企業の自助努力で改善できる範囲を支援したいと思いました。また、マニュアルの本来の品質を数値化、見える化することで、マニュアル品質を場当たり的な一過性の改善ではなく、制作担当者が変わったり、大幅な設計変更があったりしても、過去のソフト資産を継承し継続的に品質改善ができればと考えました」。


テンプレートに沿って、自社の評価者が設問に答えるだけでマニュアルを評価でき、品質を可視化できる仕様にした。品質項目は、国際規格【IEC82079-1】から重要なポイントと、マニュアル品質を測る上で普遍的な必須項目で構成されている。そこに、メーカーならではの特徴的な要素を10項目まで追加できる。


また、評価で蓄積された全体的なデータから、マニュアル種別平均や製品カテゴリ平均とのベンチマーク比較をリアルタイムで可能にした。他社と比べて、自社の製品マニュアルがどのレベルにあるのかを確認できる。


「マニュアル評価と言えば、マニュアルを構成する品質要素までブレイクダウンすることになります。たとえば、記載する情報そのものや文章表現、イラストや写真などといったビジュアル表現、目次構成や索引など様々な要素に分解し、ミクロ的な視点から評価を行うことが一般的で、これを複数の評価者で実施することにより客観的な評価結果が得られます。さらに、類似するマニュアル種別ではどうか、製品カテゴリではどうかといったマクロ的視点から評価することで、より客観的な品質傾向を掴むことができます」


そして、特にこだわりを持って開発したのが「リスクマップ」からヒントを得た「品質マップ」だ。


「たとえば、マニュアルにイラストがあったとして、それがユーザー視点から描かれているか、イラストが小さすぎないか、などさまざまな評価視点があります。それをY軸の適合品質という尺度で評価しています。イラストがあるかないか(定量的評価)をX軸、そのクオリティ(定性的評価)をY軸にして、一つのマップで掛け合わせた評価を確認できます」


本間にとって、マニュアル全体の品質向上は重要な課題だった。このサービスのリリースは、その目的を達成するための手段とも言える。

今後も、マニュアル品質の指標であるために

マニュアルは担当者の主観で作られるものであってはいけないと本間は繰り返す。


「製品安全の役割も担っているため、最悪の場合、マニュアルのせいで事故が起きてしまう可能性もあります。もちろん、メーカーにしか出せないオリジナリティを出すのもありでしょう。しかし、それは客観的な評価がされている上での話。この概念は会社を設立したときからずっと私の中にあったのだと思います」


今後は、法令や規格の改定に伴うマニュアル品質要求へのキャッチアップと、マニュアル種別や製品カテゴリ別の品質評価項目の充実を図っていきたいという。


「メーカー独自の追加設問を製品別に分析していけば、さらに業界の傾向分析が深くできるようになります。その設問を横並びして『この項目を追加したほうがいい』となれば、弊社が提供するテンプレートで追加できるようアップデートしていけたらと思っています」


そもそも、製品マニュアルは費用を掛けて改善をしても効果が分かりにくいという側面があった。マニュアルが良くなったことで、製品の売り上げが伸びたかどうか、直接的な相関関係が立証できないからである。それでもマニュアル品質を高めることは、製品そのものの品質改善と同様に、なくてはならない取り組みだと本間は語る。


「製品マニュアルの制作を担当する等のノンプロフィット部門は、何らかの説明責任を果たすために結果の数値化、視覚化をしていかなければいけません。自分たちの活動が正しいかどうか、会社に貢献しているかどうか、全く分からないままにお金だけが掛かった。そんな事態にはやっぱりしたくないんです」。


今後も、マニュアル品質を底上げする存在でありたいという思いは変わらない。将来的には、様々なドキュメント類の品質評価への応用展開も見据えている。


「マニュアルはやっぱり第一に、お客さまがきちんと目的を達成できるものでなければいけません。今後、このサービスがマニュアル品質の指標になることで、今まで関わってきたマニュアル担当者や企業、社会へ貢献ができればと思っています」。


令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成





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