日本の空の玄関口として、日本再始動の拠点化を目指す「羽田エアポートガーデン」の開業と挑戦
住友不動産グループが手掛ける「羽田エアポートガーデン」は羽田空港第3ターミナル到着ロビー直結の複合施設です。
合計1,700室以上の客室数を誇るグランドとプレミアの2ブランドのホテル、晴れた日には富士山や飛行機が眺められる天然温泉と24時間営業が魅力の温浴施設、日本の文化や伝統を今に伝える商品やお土産から生活雑貨までを取り扱う店舗や全国各地のグルメが楽しめるショッピング&レストランエリア、日本の観光地をダイレクトに繋ぐ長距離バスが発着するバスターミナルなど、羽田空港の24時間国際拠点空港化に伴い求められる様々な機能を整備し、2023年1月31日に全面開業しました。
2年におよぶ開業延期とコロナ禍での開業決断
事業計画として決まっていた2020年6月の開業に向けて着々と準備をしていましたが、2020年4月に8月までの開業の延期を決定。誰も経験したことのない未曽有の感染症拡大により第3ターミナルがほぼ閉鎖に近い状態だったので、いつまで開業を延期すればよいのか見通しが立たず、その後開業の「無期限延期」を決断しました。
先行きの見えない中で対応に追われる私たちはもちろんですが、テナントの皆様や施設運営のパートナーもスタッフの採用や商品開発、仕入れルートの確保などすでに進めていたこともあり大変な思いをされていたと思います。
当時の混乱の中で、それでも私たちの判断を理解してくださったことについては本当に感謝しています。
アフターコロナを見据え、開業を決断したのは2022年の夏頃のことでした。
2020年よりもさらに予測しづらい環境でしたが、
「どんな国の方がどのくらい来てくれるのか楽しみだ」
「ようやく日の出の時がやってきた、ここからはもう羽ばたくしかない」
という熱量をもった各テナント様やバスターミナルに乗り入れるバス会社様をはじめ、様々な関係者の方とともにオープンを迎えることができました。
グランドオープンするにあたり、私たちが発信したメッセージ「ここは、新しい羽だ。」には、「羽田エアポートガーデンの開業によって日本の観光を再始動させる!」「久しぶりの海外旅行で空港に降り立った観光客の皆様が、その瞬間から日本を感じ、体験できる新しい場所にするんだ!」という思いを込めました。
開業後は多くのお客様にご来館いただき、大変な賑わいを見せました。
コロナによって、例えばお花見や花火大会など、私たちが日常的に楽しんでいたイベントの延期や中止によって日本文化への意識が高まり、日本人である私たち自身が暮らしの中にある伝統文化や技術、観光などの日本の魅力を再発見し文化や技術への興味を深め、また自粛ムードの中で「あたらしいもの」を欲していたのかもしれません。
いずれにしても、お客様のほとんどは外国人観光客の方だろうという私たちの予想に反し、実際には来館されたお客様のほとんどが大田区や川崎市等近隣にお住いの方々でした。
この施設のオープンが少しずつ日常を取り戻すきっかけになっていたのかもしれません。
一方で国際線の稼働はコロナ禍前の水準に戻っているにも関わらず、私たちがメインのお客様と考えていた外国人観光客の方の姿は、想定より見られませんでした。
出発ロビーとはフロアが異なりますし、到着ロビーには直結しているのですが鉄道駅を超えたところに当館があるため、入り口が目立たないのです。
空港の利用客が増えれば当館にも来てくれるだろうと考えていたので、この呼び込みについては準備不足でした。
「日本の空の玄関口にある施設として、私たちには日本の文化や技術、伝統を発信する責務がある。そしてそれができる施設・店舗・サービスもある。国内のお客様はもちろん訪日外国人観光客の方々に何とか羽田エアポートガーデンの存在を知ってほしい。」
空港利用者に向けた集客施策を検討し、オープンして初めて迎える桜の季節に、空港との接続口で和楽器の演奏イベントを実施することにしました。
「さくらプロムナード」の実施
すべてが初めての試みです。いったいどんなものが外国人の方々の目に留まるのか?
「ぱっと目を引くもの」「日本らしさのあるもの」「観光地に行っても体験できないようなもの」を現場で話し合い、空港との接続口で実施する和楽器の生演奏を実施することに決定しました。
また「空港に降り立った方に、すぐ日本の春を感じていただきたい」という意見もあり、ジャパンプロムナードに桜の装飾も施しました。
なかなか聴くことのできない尺八や琴の生演奏はお客様の心をつかんだようで、近くまで来て聴き入っている方がいらっしゃったり、ベンチで座って写真を撮られる光景を幾度となく目にしました。
私は
・春という季節を象徴する桜の演出を、視認性の高い直結口の大型デジタルサイネージを全面に使って、ダイナミックに表現した。
・一時滞在する空港施設のイベントとして短時間で予約不要、手軽に日本文化を満喫できるイベントだった。
この2点がイベントの成功ポイントだったのではないかと考えています。
「羽田エアポートガーデン Finding Japan」への発展
さくらプロムナードが好評だったことから
「日本の伝統文化体験を通じた日本滞在の満足度向上」
「観光による地方創生に貢献すること」
を目的として、大きな取り組みと位置付けた、外国人観光客に向けたイベントを継続していくことになりました。
タイトルは羽田統括部全員で案を出し合い、
・日本の魅力を発見する場所
・日本の文化に出会う場所
といった意味を込め「羽田エアポートガーデン Finding Japan」に決定。
イベントスペースのグランドホワイエに、日本の伝統的な建築物の一つである大きな「やぐら」を建設、この取り組みのシンボルとしました。
さくらプロムナードが好評だったことから、外国人観光客の方は、日本の四季や文化、花鳥風月の演出と演奏などの体験コンテンツの組み合わせに興味を持つことを踏まえ、
「やぐら」のこけら落としの6月30日から現在まで、和太鼓演奏や歌舞伎などの伝統芸能、メイドパフォーマンスのようなサブカルチャーといった幅広いジャンルのステージイベントを当社社員自身が中心となって実現してきました。
今後の展望
これから全国各地でコロナ禍で中止となっていた伝統行事が復活していき、今後も日本の観光は再び大いに盛り上がると予想しています。
羽田を起点として日本全国の観光産業を一層活性化できるような施設を目指します。
また、それだけでなく、羽田エアポートガーデンを目的として来館くださるお客様を増やしていけるよう様々な角度から施策を検討しているところです。
何が成功するのか手探りな面もありますが、当社社員だけでなくテナントの皆様やバス会社の方々など、羽田エアポートガーデンに関わる「仲間」をワンチームとして一丸となって進んでいきたいと思います。
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