大型台風による被害の激甚化を背景に起案された「高耐風圧軽量シャッター」の開発。耐風圧性能強化と操作性向上の両立を実現した開発を振り返る
三和シヤッター工業は1956年に創業し、「安全・安心・快適を提供することにより社会に貢献する」ことを使命に、シャッター、ドアをはじめ、フロント、間仕切などの開口部を中心とした建築用建材商品の開発、販売、設計、製造、施工、メンテナンスサービスを行っています。
これまで当社の商品は防犯や防火を主な役割としていましたが、近年大型の台風が増加し、その被害も激甚化していることを背景に、2020年から高い耐風圧性能を備えたシャッター「耐風ガード」シリーズの販売を開始しました。
そして2023年5月、同シリーズの新商品として耐風形軽量シャッター「耐風ガードLS」を発売しました。
「耐風ガードLS」は、シャッター端部を独自開発のフック構造とし、強風時でも左右のレールからシャッターカーテンが抜け出すのを防ぐことで耐風圧性能800Paを実現した住宅や一般店舗向けのシャッターです。
このストーリーでは、当社のこれまでの歴史と、「耐風ガードLS」の開発担当者による話から、開発に至った背景、発売に至るまでを紐解きます。
創業は1956年。3人で小さな工場を立ち上げ、事業成長を続けてきた
当社は、1956年に兵庫県 尼崎市で一般店舗・住居向け軽量シャッターの製造・販売をスタートしました。
創業者である髙山 萬司(たかやま まんじ)は、「シャッターの市場が急速に伸びており、事業としてどうだろうか」という親戚の提案から、三和大通り商店街(兵庫県 尼崎市)の一角にあった「三和市場」近くの自宅裏の空き地を作業場として、現在の三和シヤッター工業の前身である「三和シヤッター製作所」を設立しました。創業時、社員は髙山を含めわずか3人、面積は70㎡の小さな工場でした。
しかし、商店が立ち並ぶ市場という立地やシャッターブームも追い風となって、三和製のシャッターはすぐに人気が広がり、翌年には北は北海道から南は九州まで、各地に販売店が誕生。時には生産が追い付かなくなるほど注文が入ることもありました。
こうして日本各地に軽量シャッターを普及させた三和シヤッター工業は、そこから60年あまり、多品種化や海外進出など着実に実績を積み重ね、現在では、主力商品であるシャッターとスチールドアで国内No.1のシェア(※)を誇り、持株会社へと体制を変化させるなどしながら世界27の国と地域で事業活動を展開する企業へと成長しました。
(※)自社調べ、2023年3月時点、シャッター・鋼製ドアカテゴリーにおいて
気候変動やIoT化に対応した高付加価値商品の開発に注力
現在は、高機能開口部のグローバルリーダーを目指し、気候変動やIoT化といった社会の変化に対応するため、防水性能、耐風圧性能といった防災性能や、断熱性能、スマート化対応など様々なニーズに寄り沿った高付加価値商品の開発に注力しています。
近年、台風による被害の激甚化を背景に、台風対策が重要視されています。そこで当社では安全・安心・快適なくらしをサポートするための一貫である台風対策として、高耐風圧性能を備えた耐風ガードシリーズを発売しています。
耐風ガードシリーズは軽量シャッター、重量シャッター、オーバースライダー、窓シャッターの新設及び既設に対応した商品をラインアップしており、軽量シャッターとしては2020年9月より耐風圧性能800Paの強度を有した「耐風ガードL」を発売しています。今回、更なる高機能化を目的に、利便性と操作性を高めた「耐風ガードLS」を開発し、2023年5月より発売しました。
「耐風ガードL」の高機能化により、利便性と操作性向上を両立
今回、従来品の「耐風ガードL」をさらに高機能化した「耐風ガードLS」を開発するにあたり、工夫した点がいくつかあります。
一つ目は、ガイドレールの納まりをコンパクトに設計することです。
従来品である「耐風ガードL」では、シャッターカーテンの両端部に設置された可動式耐風フックをロック操作することで耐風圧性能を確保していたため、強風が予想される場合にはお客様自身で操作してもらう必要がありました。そのため、夜間や外出時にはロック操作ができない可能性がある点や、可動式耐風フックがロックした状態では、シャッターが開閉できなくなる点がデメリットとなっていました。
耐風ガードL 耐風ガードL 耐風フック部分
これを解消するためにはシャッターカーテン端部に固定式の耐風フックを設ける必要がありますが、従来の耐風フック構造ではガイドレールの寸法が大きくなり納まりが悪くなってしまいます。そこで、ガイドレールの納まりを極力小さくコンパクトに設計する必要がありました。
しかし、いざガイドレールの詳細設計を進めるにあたり、フック構造のスペース確保のためガイドレールが大きくなってしまったり、逆にガイドレールを小さくするためにシャッターカーテンとの呑み込み寸法を少なくすると耐風圧性能が確保できなかったりと、非常に苦労しました。様々な工夫をこらし何度も試作を繰り返すも、なかなか課題をクリアできず、プレッシャーもかかりました。
しかし、試行錯誤を重ね、これらの課題をすべてクリアできた時の喜びは、開発冥利に尽きると感じました。
二つ目は、スラット板厚を0.5mmとし、操作性を向上させた点です。
軽量シャッターは手動操作を軽くできるようにシャッターカーテン重量をスプリング力でバランスさせる構造になっています。シャッターサイズが大きい場合、耐風圧性能の関係上、スラットの板厚を厚くする必要があり、板厚0.8mmを使用していますが、手動操作が重くなる場合がありました。耐風圧性能の向上も重要ですが、お客様にとっては天候にかかわらず毎日お使いいただくもの。そのため、この課題も解決できれば操作性も良くなり、お客様の満足度も高めることができると考え、高い耐風圧性能は保ちながらスラットの板厚を0.5mmとし、シャッターカーテン重量を軽くすることで、操作性を向上させることとしました。
三つ目は、独自の耐風フック構造で耐風圧性能800Paを確保した点です。
これまで挙げた2つを満足するためには新たなフック構造を設計する必要がありました。耐風圧性能を下げることは商品価値も下げてしまうことになります。そこで、独自の耐風フック構造を開発し、従来品と同じ耐風圧性能800Paを確保することを目指しました。
ガイドレールからシャッターカーテンの抜け出しを防止し、耐風圧性能800Paを確保するための独自の耐風フック構造の開発は、構想から詳細設計~試作~試験確認のトライ&エラーの繰り返しでした。
独自のスラット端部耐風フック構造がガイドレールに引っ掛かり抜出しを防ぐ
開発コンセプトがお客様に伝わり、使命感を新たにした
5月の発売後、販売数量は徐々に伸びており、高耐風圧性能の「耐風ガードLS」は市場から求められている商品であると感じています。また、これまでご使用いただいていた軽量シャッターを「耐風ガードLS」に取り替えられたお客様から、台風などの強風に耐えられるだけでなく、手動操作性も良くなったとのお話をいただくこともあり、開発コンセプトが理解されているのだと大変うれしく思っています。
「耐風ガードLS」の特徴である、防災、減災への対応、利便性の向上、環境負荷低減は、三和シヤッター工業の、お客様に「安全、安心、快適を提供する」という使命に結びついています。
これからも、お客様に「安全、安心、快適を提供する」という使命のもと、お客様の立場に立って、社会の変化や様々なニーズに対応した商品を開発していきたいと思います。
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