北海道での事業展開を全力サポート!4年目を迎えた「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」が目指す、スタートアップと描く北海道の未来
国内外のスタートアップとさっぽろ連携中枢都市圏の自治体が協働し、地域課題や行政課題の解決に取り組む行政オープンイノベーションプロジェクト、「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」。
2020年に始まったこのプロジェクトはこれまで18件の協業事例を生み出し、スタートアップの事業成長や地域でのイノベーション機運醸成に貢献しています。
プロジェクト4年目となる本年、改めてLocal Innovation Challenge HOKKAIDOの取り組みをご紹介いただくため、札幌市イノベーション推進課の小林さん、南幌町まちづくり課の前田さんと富木さん、北海道庁スタートアップ推進室の荒木さんにお話を伺いました。
北海道のスタートアップ支援を牽引してきた札幌市
-札幌市が行っているスタートアップ支援の取り組みについて教えてください。
小林さん:2019年、「札幌・北海道から世界を変えるスタートアップの事業成長を支援する」をミッションに掲げ、札幌市が中心となって「STARTUP CITY SAPPORO」プロジェクトがスタートしました。普及啓発イベントやプロモーション、起業に関する相談窓口、学生向け起業体験プログラムなど、スタートアップを生み育てるための様々なプロジェクトを実施しています。
そして2021年には、産官学連携の札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会が発足し、同年に内閣府からスタートアップ・エコシステム拠点都市にも選ばれました。
札幌市イノベーション推進課 小林さん
小林さん:そして2023年7月、これまで札幌市を中心とした行政主導の組織だったSTARTUP CITY SAPPOROは、民間メンバーと三行政(札幌市、北海道庁、北海道経済産業局)、教育機関を含むオール北海道体制でSTARTUP HOKKAIDOに生まれ変わりました。これまで分散していた各行政・団体のリソースを集約し、北海道のスタートアップエコシステム形成をより一層力強く推進していきます!
2023年9月13日「STARTUP HOKKAIDO」設立発表会の様子
左から北海道経済産業局 岩永局長、北海道 鈴木知事、札幌市 秋元市長、土田美那実行委員長
- 行政オープンイノベーションプロジェクト「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」はどのような経緯で始まったのでしょうか。
小林さん:急速に進むIT化や、またコロナ禍で生活様式が変化していく中で、行政が抱える課題の中には、既存の方法では解決が難しいものが多いと感じていました。
それをスタートアップの持つ技術で解決し、地域や行政にイノベーションを起こすことはできないかと考え、2020年にSTARTUP CITY SAPPOROの1つのプロジェクトとして、スタートアップと自治体の協業により課題解決を目指すプログラム「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」をスタートしました。
-「Local Innovation Challenge HOKKAIDO-さっぽろ連携中枢都市圏プログラム-」の特徴を教えてください。
小林さん:参加市町村が様々な特色を持っていることです。さっぽろ連携中枢都市圏(※)の12市町村が参加しているので、札幌のような200万都市から、農業が主幹産業の町村、港湾や景勝地を有する自治体など様々な場所から実証フィールドを選択できます。
また複数の自治体での実証実験も可能なので、例えば観光や交通系など、地域としての効果測定ができるのも大きな特徴です。
※さっぽろ連携中枢都市圏…より魅力的なまちづくりを目指して、札幌市、小樽市、岩見沢市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村、南幌町、長沼町の12市町村によって2019年に形成されました。
https://www.city.sapporo.jp/kikaku/renkeichusu/top.html
-これまで3年間プロジェクトを実施してきて、自治体やスタートアップからはどのような反応がありましたか?
小林さん:参加自治体の皆様からは、普段接することのないスタートアップと話すことで、視野が広がったと好評です。
スタートアップの皆様にとっても、このプロジェクトでのメディア露出をきっかけに道外の自治体から連絡をもらったという話も聞いており、スタートアップが行政の目に止まるきっかけを作れているのではないかと思います。
-スタートアップの皆様に向けてメッセージをお願いします!
小林さん:今後も、世界を変えるスタートアップの事業成長を支援するための取り組みを加速していきます!ぜひこのプログラムを通じて、世界を変えるスタートアップとなっていただき、一緒に北の大地を盛り上げていただけたら幸いです!
Local Innovation Challenge HOKKAIDO -さっぽろ連携中枢都市圏プログラム-
https://startup-city-sapporo.com/oi/
スタートアップ募集期間:2023/8/1〜2023/10/31
(先着順で審査・面談を行い、採択プロジェクトを決定しますので、エントリー期間中に募集を終了する場合がございます)
スタートアップとの協業により、地域に生まれるイノベーション
札幌から車で約50分の農業のまち、南幌(なんぽろ)町では、Local Innovation Challenge HOKKAIDOを活用し、これまで複数のスタートアップとマッチング、実証実験に取り組んでいます。
スタートアップとの協業に積極的にチャレンジする南幌町まちづくり課の前田さんと富木さんに、プロジェクト実施を通した気づきや感想を伺いました。
-「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」で実施した実証実験について教えてください。
前田さん:「あしたの寺子屋」さん、「ビーブリッジ」さんと実証実験を実施しました。
あしたの寺子屋さんは教育の地域間格差解消を目指すスタートアップで、このプログラムでマッチングし、町内の中高生を対象とした交流型教育プログラムを実施していただきました。
町として、学校では学ぶことが出来ない社会教育分野での新規事業に取り組むタイミングで、あしたの寺子屋さんから、南幌町の子ども達と大学生が一緒に学習や体験型ワークショップを通じて交流するという提案をいただき、今までなかった「大学生」の視点を入れることでより良い事業にできると考え、実証実験を希望しました。
あしたの寺子屋さんの「子ども達が世界を広げる一歩目を支援する」というコンセプトに共感したこと、他の小規模自治体での実績や、担当の方の強い熱意を感じられたことが、採択に繋がった理由です。
AR等の技術を活用したサービスを提供しているビーブリッジさんとは、新しくオープンした子ども室内遊戯施設「はれっぱ」を活用した賑わいを創出する事業を実施していただきました。ちょうどオープニングのタイミングだったこともあり、更なる賑わいに繋がる取り組みを検討していたので、事務局からビーブリッジさんをご紹介いただきました。
実施したイベントでは、町のマスコットキャラクターのキャベッチ君をARで呼び出して写真撮影・投稿してもらうフォトコンテストを行いました。
南幌町まちづくり課の前田さん(左)と富木さん(右)
-実証実験を行ってみて、気づいたことや感じたことはありましたか?
前田さん:自治体の担当課にとっては、地域・行政課題を提示し、それをスタートアップと連携して解決するということ自体、まだまだイメージが湧きにくい領域です。
このプログラムでは事務局がスタートアップを紹介してくれるので、マッチングしそうな担当課を繋ぐことで、実証実験に至るケースが多いですね。
まちづくり課としても、課題を把握するための声を拾い上げる仕組みづくりを考えるきっかけになっています。
-町としてLocal Innovation Challenge HOKKAIDOのようなオープンイノベーションにどのように関わっていきたいですか?
富木さん:課題は必ずあります。なので、スタートアップとの協業で解決に向かうのであれば、積極的に活用すべきだと考えています。そのために、「いま何が課題なのか」という声を聞く意識を持ち続けたいと感じています。
また、実証実験では自治体の費用負担がないため実施しやすいものの、翌年度以降も継続していくには予算のハードルがあることも事実です。
あしたの寺子屋さんは本予算化まで進み、町としても事業化に成功した実績になりました。このプログラムでは、実証実験の段階からスタートアップとディスカッションを重ねて、どのように2年目以降につなげていくかという点が非常に大事だと考えています。
-プログラム全体への感想があれば教えてください。
富木さん:Local Innovation Challenge HOKKAIDOプログラムの事例が多く周知されもっと知ってもらうことで、他の連携市町村でも課題解決に向けて、このプログラムが活用されることを期待しています!
Local Innovation Challenge HOKKAIDO これまでの取り組み結果
https://startup-city-sapporo.com/oi/cases/
2023年、北海道全体を巻き込んだ取り組みへとスケールアップ
スタートアップとの協業に取り組むのは、市町村だけではありません。2023年、北海道庁にスタートアップ推進室が新設され、北海道としてもスタートアップ支援に注力することが打ち出されました。
その取り組みの1つとして、北海道を舞台にした行政オープンイノベーション「Local Innovation Challenge HOKKAIDO-北海道プログラム-」がスタートします。担当する北海道庁スタートアップ推進室の荒木さんにお話を伺いました。
-新たに「-Local Innovation Challenge HOKKAIDO-北海道プログラム-」を実施することになった経緯・目的を教えてください。
荒木さん:北海道庁でもいよいよスタートアップ支援をやるぞ!ということで、2022年にまずは産業振興課の中にスタートアップ担当として、上司と僕の2人が配置されました。
とは言うものの、予算は全くなく、具体的な業務内容も固まっていない段階だったので、まずは様々なスタートアップの支援機関にお話を聞くというところから始めました。
北海道庁スタートアップ推進室の荒木さん
他都市の支援機関の方と意見交換をした際に、地元から評価され、継続的なプログラムとなっているのが「地元の課題をスタートアップが解決する」オープンイノベーションと聞き、興味を持ちました。
北海道では札幌市が既に「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」を実施していたので、プロジェクトに参加して学ばせていただきながら、2022年にコロナ関連予算を活用し、最初の行政オープンイノベーション「新北海道スタイル デジタルイノベーションプログラム」を実施しました。コロナ禍で加速したDXをさらに推進するため、その担い手としてスタートアップを募集し、3件の実証実験を行いました。
株式会社よびもりと羅臼町での実証実験の様子
荒木さん:このプログラムをきっかけに、北海道への本社移転や道内企業との業務提携に繋がった事例もあり、僕らとしてもありがたく思っています。
これからもオープンイノベーションの取り組みを継続していくため、これまで札幌市で実施していた「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」の姉妹プログラムとして、2023年に「Local Innovation Challenge HOKKAIDO-北海道プログラム」を新設いたしました。
-本プログラムを通じて実現したいこと、目指していることを教えてください。
荒木さん:視点として二つあります。一つは自治体、事業者の地域の目線。
地域は様々な課題を抱えていますが、その解決の担い手になりうるスタートアップには馴染みのない方が多い。このプログラムを通じて、スタートアップと協業するという選択肢をぜひ持ってほしいです。
もう一つはスタートアップ側の視点です。自治体に営業したい、地域で展開したいと思っていてもなかなか難しいという話を聞いています。このプログラムを自治体や地域の事業者と接点を作り、道内での事業展開の足がかりとして活用してもらえれば嬉しいです。
-最後にスタートアップの皆様にメッセージをお願いします。
荒木さん:道外のスタートアップの皆さんは、「北海道」という大きな括りでイメージを持っているかもしれませんが、課題の種類やひっ迫感は現場ごとに多様です。是非足を運んでいただいて、地域の人と話しながら一緒に課題解決に取り組んでいただけたら嬉しいです。サポートは我々が全力でします!
試せる大地、でっかいどうに飛び込んできてください!
Local Innovation Challenge HOKKAIDO -北海道プログラム-
https://local-innovation-challenge-hokkaido.com/hokkaido
スタートアップ募集期間:2023/8/31〜2023/9/30
自治体・事業者募集期間:2023/10/11〜2023/10/31
【お問い合わせ】
Local Innovation Challenge HOKKAIDO事務局
HP:https://local-innovation-challenge-hokkaido.com/
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