リバティシャツとの運命的な出会い、2代目アパレル社長の転身
株式会社ビーブルは、1972年から続くアパレル会社です。かつて繊維産業で繁栄した街、岐阜市で婦人服メーカーとして出発し、1980年代からは韓国や中国などで安く大量生産して卸売をする会社となりました
2代目の山崎善弘が2006年に創業者である父と代表を交代し、2010年頃からは中国の物価高や円安の影響でコストが合わず、卸売の限界を感じてECへの過剰な投資で身に余る在庫を抱え資金不足に陥りお先真っ暗となります。
本ストーリーでは2代目の山崎善弘が自ら招いた経営不振で彷徨っている中で出会った「禅」を通してのリバティシャツと出会い、コロナに蹴飛ばされるようにして飛び出して得た自らの天職というべき使命感についてお伝えしたいと思います
(株式会社ビーブルの2代目 山崎善弘)
社長交代後すぐに直面した、会社の危機。利益が出ず、在庫の山が残る状態を自ら招いた。
1995年に山崎善弘が入社した当時から70〜80代の女性向けニットやカットソー製品を中国や韓国で安く大量に生産、輸入して主に量販店やカタログ通販などへ卸売をする会社でした。2006年に創業者の父と社長を交代しています。
2008年の北京オリンピックの頃から急激な中国の人件費や物価が高騰していく中で、日銀の異次元緩和で円安が進み、いよいよこのままだと早かれ遅かれ行き詰まるという状況になってきました。
当時カタログ通販向けでヒットする商品もそれなりにあったので、いずれはカタログで購入している層の方もECへ流れてくるであろうという皮算用のもとに大手ECモールへ2013年秋に出店しました。
当時はドル建ての輸入が大半でしたので、取引していた銀行担当者の方から勧められた円安リスクヘッジの為に取り入れた為替デリバティブ(金融派生商品)からの会計の計算上利益がかなりあった為、それを元手に今のうちにECでシェアを取っておこうと身の丈に合わない過剰な広告を使い、その広告費を回収するための売上を皮算用し、その売上を作るために溢れんばかりの山のような在庫を積み上げました。
そうなるとどんどん負のスパイラルです。意地でも成功させるぞと熱くなって周りも全く見えていませんでした。広告を使うと瞬間的には売上もアクセスも増えますが、止めると失速するし、そもそも広告費と安売りで利益も出ない。
気付いた時にはまるでドラマで見るかのような銀行担当者の冷ややかな眼差しがありました。さすがに我に返って「あ〜このままだと会社潰してしまうんだな〜」と広告はストップしましたが、積み上がった在庫の山はそのまま残っているにっちもさっちもどうにもならない状態です。
迷走した先で、藁にもすがる思いから禅と出会い、リバティシャツとめぐり合う。
もうこの先どうして良いかわからず、それまで7年ほどメルマガを読んでいた、東京で「禅の経営」を指導されている飯塚保人先生の元へ藁をもすがる思いで門を叩きました。
そこでいきなり言われた一言が「お前はアパレルの社長をやっているくせにダサくて、暗くて、この世の終わりを背負って歩いているような顔をしているな、もっとアパレルの社長らしい格好をしなさい!」と言うのです。
と言っても普通のスーツを着て行っただけなのですが(苦笑)お先真っ暗な顔をしていたからもっと元気が出るような格好をしなさいという意味だったんだろうと今振り返れば思いますが、当時は衝撃的なパンチを喰らった感じでした。
そして色々と試しているうちに着たのが、英国リバティ社の生地を使用したプリントシャツでした。当時はリバティの存在すら知らなかったのですが、それを着るようになってなんと!見知らぬ女性から「素敵な柄のシャツですね!」なんて言われることがあったりして、(リバティは歴史もあり、特に女性のファンやユーザーが多いと後から知りました)お先真っ暗でしょぼくれている中年オヤジが褒めてもらえる機会なんてそうそう無いですから、「これだ!」と電撃が走ったような感覚があったのを記憶しております。
先生からは常々「人と同じことをするな!その他大勢と一緒だと埋もれてしまう」と言われていたので、こういう格好をするようになったのかもしれませんね
(下の写真はもう少しで80才になる禅をベースとして、経営コンサルタント、演歌歌手、馬乗りと多才な飯塚保人先生。リバティシャツも着こなして頂いております)
それから愛用し、元気を取り戻すきっかけとなりました。その先生のご指導の下で在庫もなんとか適正な量まで減らすことが出来て、さあこれからどうやって業績を回復させるかというタイミングでコロナが始まりました
コロナ禍で先代からの事業を清算。自分の好きなもので商売を始めると、第2の転機が訪れる
広告、在庫など色々と従業員を振り回して信用を失い、お互いに向き合って話が出来る状態ではないところに始まったコロナで、海外での生産や取引先への納品もままならない状態でこの先どうしていくか検討していく中で、父から継いだ卸売の事業は閉鎖し、従業真にも別の仕事を探してもらう決断に至りました。
と決めたのは良いとして、では自分はこれから何をしてどう食べていこうか?という時期に知人が、「あんたは好きでそういうシャツを着ているんだから、これからは自分の好きな物を売って行ったらどうなの?」と言われました。
確かにそれまでも扱う商材は服でしたが、取引先の意向に沿った価格設定があり、それに合ったものでなければならなかったのです。年々生産コストが上がる中で合わせるにはより安い生地にグレードを下げたり、工賃がかからないように削ったりと、どんどんコストが合えばいい、売れればなんでもいいという全く主体性の無い仕事になっておりましたので、主体性を持って自分が着たいものを販売するっていいな〜と
オンライン化が加速していたので、画面越しに覚えてもらうにはインパクトも必要だし、 その頃コロナで元気を無くしている方も増えていたので、どういう方が私のようにリバティのシャツで元気を取り戻せたらなんて素敵なんだろう〜と思いました。
そこで元々ネットで購入していたシャツ屋さんへ思い切って「販売してみたいので、卸してもらえませんか?」と相談しましたが「うちはそういう事をしていません」と。
そんなやり取りを何度かしたところ、根負けしたのか?とてもラッキーな事に
「リバティジャパンの担当者を紹介してあげるから直接やりなよ」とご厚意で大切な仕入れ先をどこの馬の骨かも分からない私にご紹介くださいました。岐阜県は元々縫製工場も多いので高品質なシャツの生産も可能となったのです。
そもそもリバティとは
この仕事を始めて痛感したのは、かつての私がそうであったようにリバティを知らない(特に男性)方が思ったよりも多い事でした
その為知らない方に向けてリバティとは?と簡単にご説明させていただきます
1875年アーサー・リバティ氏がロンドンで設立した「リバティ商会」にて日本の小紋柄やインドの更紗生地などの輸入販売からスタートし、1900年代に入って世界的にシルクが高騰した際にアフリカのエチオピアにあるタナ湖の近くで横糸100番手縦糸70番手(番手とは糸の太さの単位で数字が大きい程細くて高級だと言われています)を使用し、
綿100%ながらシルクのような光沢感やドレープ感を持った素材リバティの代名詞とも言われる「タナローン」の開発に成功しました。シワになりにくく、お洗濯の方法に注意すればアイロン無しでもシワが気にならない程です。
リバティの柄はアーカイブも含めると43000種類もの柄があると言われ、それぞれの柄に名前や柄の出来た背景、歴史もあってとても奥が深くて興味深いです。リバティと言えば小花柄のイメージが強いのですが、お花以外にも色柄鮮やかな動物や幾何柄、落ち着いたモノトーン系の物など多種多様な柄があります。
リバティシャツ屋としての出発。現代版の天秤棒を担いだ販売法を採用する。
そして2021年春からリバティのメンズシャツ販売をスタートしました。2022年の秋には以前の婦人服在庫をようやく全て処分し、借りていた大きな倉庫を引き払い、東京にショールームを兼ねた拠点を借りて商売しようかと思いました
しかし東京へ出たからと言ってお客様を待つ商売には変わりないなと、先生から以前に「天秤の詩」という近江商人の話を聞いたことがあり、それが「商売の原点」だと。キャンピングカーでなら正に現代版の天秤棒を担いだ販売ではないかと。自由自在に好きな時にどこでも行けて試着してもらうことも、オンラインミーティングに参加することも、車で寝泊まりすることも出来ます。
むしろ世の中がピラミッド型の社会から文鎮型へ移っているこういう時代にふさわしいスタイルなのではないかと思い2022年年末に中古で購入しました。今のところは知人や紹介を主に首都圏中心にお呼びのかかったところまで行き、試着していただいた上で気に入っていただけたらネットショップで購入する流れになっております。
また、パーソナルカラー診断士の資格を持っておりますので、車内で簡易的な診断をしてお似合い、お勧めのご紹介もしております。男性は柄物を着慣れないという方も多くいらっしゃるので、どういう柄を着たら良いか分からないという方に重宝されております。
また、欧米の方と違ってスーツの中に柄物を着るという文化が日本人にはあまり馴染みがないと思いますが、メラビアンの法則で言うと人は見た目が9割です。
人生100才時代は我々中年男性こそ人と同じような格好をしていると埋もれてしまうので、派手な格好をした方が良いと思って全国をリバティな男性でいっぱいにしたいと思って活動しております!
リバティで、お互いがハッピーになれることを願って。メンズ向けリバティのシェア2倍拡大を目指す。
日本でも徐々に多様性のある格好や働き方が増えてきており、スーツもカジュアルなタイプのものが増えてきております。そもそもスーツを着ない人も増えております。ですが、ビジネスに於いてシャツはというとまだまだ無地が圧倒的で、一部の方がストライプやチェックを着ているといった状況かと思います。
今でも時々「お客様を訪問するのに柄物なんて失礼でしょ」なんて言われることもあります(苦笑)確かに中には快く思われない方もいないとは言い切れないかもしれませんが、うちはお堅い業界だからという事ではなく、どちらがお互い気分的にハッピーな気持ちになれるのか?という気持ちを大切にしたいと思っております。
日本でのメンズ向けリバティのシェアは5%とも言われておりますまずは倍の10%の男性に着てもらうことを夢見て全国を回りながらリバティで元気なイケオジでいっぱいにしたいと思って活動しております。
2023年8月は日本一周のまず東日本約5000キロ11日間の旅に北海道まで回ってきました
また、夫婦や親子で着られるアイテムや、リバティを着て参加出来るイベントなども開催し、着ていく場所の提供もしていきたいと思っております。
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