創業60周年。感謝と挑戦を胸に、持続可能な街づくりへの取り組み。街の将来のビジョンを示すバックグラウンドストーリーに基づく「神戸みずき台」(神戸市垂水区)の新たな街づくり④
“住まいの器”だけでなく“住まい手の心豊かな暮らし”を商品開発で実現する、という創業当時の松下幸之助社主の家づくりに対する思いは、そのまま街づくりにも引き継がれました。そこに暮らす人たちの健康、快適・利便性、豊かなコミュニティを実現し、その街で生活することの誇りであるシビックプライドを醸成するトータルな提案は、現在の街づくりにおいてさらに磨き上げられています。
「街づくり」編全5回のうち4回目は、神戸市垂水区の丘陵地で約590区画の宅地を整備する大規模プロジェクト「神戸みずき台」を舞台とする、バックグラウンドストーリーをもとに住民の地域への愛着を育てる新たな試みを紹介します。
起伏のある地形を生かした開発
現在、宅地の造成はほぼ終わり、2024年初春の販売開始に向け、商業施設の誘致など、最終の整備が進む「神戸みずき台」。甲子園球場5~6個分の広さを持つ造成地を南側から見上げると巨大な段々畑のようであり、北側からは明石海峡大橋と淡路島が手に取るように望むことができます。
丘陵地の起伏ある地形を生かし、里山や展望台を住民が管理し、神戸・摩耶山に飛来する渡り蝶のアサギマダラがこの地にも毎年舞い戻るというストーリーを重ねるなど、街への愛着を育もうとする試みをふんだんに取り入れた新たな試みにプロジェクトリーダーを務める街づくり技術部 西部街づくり技術課 主幹の吉村 和也は「ここで暮らす方々が何世代にもわたってふるさと意識を醸成できる街に育てていきたい」と意気込みを語ります。
吉村 和也
土木工事のめどが付き、視界が開ける
神戸の中心部へ車で約20分という立地にある「神戸みずき台」のある垂水区の北東エリアは、神戸市の近郊ベッドタウンとして1970年代半ば頃から宅地開発が進み、現在では成熟した住宅地が広がっています。「神戸みずき台」として整備される以前は、あたり一帯に、周囲の住宅地と南を走る阪神高速道路に囲まれた山林が広がっていました。この山林の大半の土地を所有する地権者からパナソニック ホームズに売却の話が持ち込まれたのは2014年のことです。
橋野 勝也
約20名の地権者との交渉にあたったのは、街づくり事業開発部 西部事業推進課リーダーの橋野 勝也です。区画整理事業として、各地権者に事業の目的や換地の進め方などを説明しながら、併せて起伏のある土地を整備する事業者探しも行わなければならず、やるべきことは多岐にわたりました。「宅地開発は数多く手がけてきましたが、土地区画整理事業の業務代行も並行して行うのは初めての経験で手探り状態でしたが、コンサルティング会社などのサポートも得ながら進めることができました」。
ことに、中央部に広がる標高 40mほどの低地に向かって、周囲から標高 80m~90m の丘陵が傾斜している起伏のある山林の整備方法については、丘陵部を切土した土量で盛土を行い、宅地を造成する方針が定まりました。有識者を集めた地盤に関する検討会で工事手法や技術について綿密な議論を進めるなかで、大手ゼネコン(大林組)がその工事に名乗りを挙げたことで、一気に視界が開けました。土木工事は2019年にスタート。「工事が進み、開発予定地から明石海峡大橋の橋脚が見えた時には感動しました」と橋野は言います。「地権者の方から、以前このあたりにはタヌキが住んでいたことなど様々な思い出話を聞きました。思い出深い土地がこうしてきれいに整備され、多くの人に愛される街になっていくのが嬉しいと言ってくださったことが印象に残っています。こうした想いに応えるためにも豊かな自然を生かした街にしていきたいですね」。
「神戸みずき台」から淡路島を望む
若い世代に想いをつないでいく場
パナソニック ホームズにとって過去に経験したことのない大規模な丘陵地の開発にゴーサインを出すかどうかについては社内でも活発な議論が交わされましたが「神戸の都心部に近い場所でこれだけの大規模な土地で街づくりができることに加え、様々な技術的課題等に解決の目途がたってきたことが大きな推進力になりました」と吉村は言います。
また、街づくりの面から「神戸みずき台」のプロジェクトに関わる、西日本分譲開発支社近畿分譲第一支店支店長の村岡 泰弘は、過去に滋賀県草津市や兵庫県芦屋市での街づくりを推進してきました。とくに、パナソニック ホームズが芦屋市臨海部に単独で441戸の宅地を開発する「スマートシティ潮芦屋」では、電柱・電線の地中化、御影石を使った統一性のある外構、計画された植栽・街路樹などの「街並み設計ガイドライン」を設けることで街全体の価値を高める工夫を取り入れました。「神戸みずき台のように、都心近郊部でこれだけ大規模な宅地開発がどれだけできるだろうかと考えると、これまでの経験を次の世代につなぐプロジェクトでもあると考えています。当社が開発に関わってきたFujisawaSSTや、スマートシティ潮芦屋等の大規模な街づくり事業で培った知見だけでなく、教訓も含めてすべてを若い世代に伝えていきたい」と話します。
村岡 泰弘
2013年より着々と開発の進むスマートシティ潮芦屋「そらしま」
タウンマネジメントの核となるコミュニティセンター「そらしまテラス」
支社内公募で集った22名のプロジェクトメンバー
宅地としての姿が見え始めた2021年10月、「神戸みずき台」の具体的な街づくりを見据え、西日本分譲開発支社社員を対象としたプロジェクトメンバーを社内公募することにしました。職種、経歴不問という条件を付けたことで、多くの社員から手が挙がりましたが、その1人が当時入社1年目だった西日本分譲開発支社建築技術部の小森 あかねです。「担当である建設の仕事を覚えなければいけない時期ではありましたが、これだけの開発に取り組めるチャンスはないと考えました」。また、入社6年目だった西日本分譲開発支社近畿分譲第一支店第一営業所の川畑 裕紀は「家の購入を考える時期に差し掛かっており、自分自身が住む街になるかもしれないと思い、自分が住みたい街を企画してみたいと思いました」。このようにして2人を含む22名によるプロジェクトがスタートします。
アサギマダラを主人公にしたバックグラウンドストーリー
都心部郊外という立地、さらに自然を感じ、体験することのできる丘陵地をそのまま生かした地形でどのように世代を超えて愛される街を育てていくか議論をするなかで、街に物語性を加えるバックグラウンドストーリーをつくることにしました。ストーリーづくりにあたっては、テーマパークのコンセプト・デザイン業務の経験をもつデザイン事務所の協力を仰ぐこととしました。物語の主人公に据えたのは、神戸を象徴する山の一つである摩耶山に毎年飛来する渡り蝶「アサギマダラ」です。
敷地は明石海峡大橋を望む場所に位置し、心地よい風が吹いています。風に乗って海を渡ってくる渡り鳥や蝶々に加えて、彩りあふれる花や木の実をつける樹木の種子などは風に乗ってやってきて街に恵みをもたらし、心を豊かにしてくれます。そんな幸せな風が吹くこの街に住む人たちは微笑みが絶えないことでしょう。
これがバックグラウンドストーリーのイメージです。
「神戸みずき台」イメージ
このコンセプトに沿って、街の中心を縦断する主要幹線道路はそよ風が吹き抜ける「ブリーズ・ベインストリート」と名付けられ、街には幸せの風がもたらす感情ごとに「誇り」「安らぎ」「親しみ」「喜び」「愉しみ」の5つのゾーンで構成されます。また、宅地の北側にある丘陵地は「トレジャーフォレスト(宝の森)」と名付け、住民が主体となって管理することとしています。
そのうちの一つの東側にある丘は「星空テラス」と名付けられ、テントを設営できるスペースも設ける予定です。また、「風の丘」と名付けられた西側の丘からは明石海峡大橋を望むことができ、この丘で風が吹いている時に願い事をすると叶うというストーリーも作りました。現在、小森は、蓄光石でアサギマダラの形に光らせるデザインを街の各所に仕掛ける計画についても担当しており、住宅の建設時には植栽や外構などのデザインも担当します。「庭の一部にはアサギマダラが寄ってくるフジバカマを植えてもらうことも考えています」。
小森 あかね
みずき台中央公園の奥に位置するトレジャーフォレスト
シェアリングサービスで街を、暮らしを楽しむ
川畑は、バックグラウンドストーリーに沿ってデザインされた街に魂を入れるための、住民主体の街づくり運営について構想を練っています。その一つがシェアリングサービスです。街に暮らす人が、この街でレジャーを楽しむためのバーベキューグッズや、公園に設置された石造りの卓球台、バドミントンコートでゲームを楽しめるラケットやボール、羽根であったり、街並みや植栽を手入れするための園芸ツールなどを集会所に共有物として保管しておき、使いたい人が使いたい時に使えるようにする仕組みです。
公演に設置された石造りの卓球台。奥がバドミントンコート
また、「神戸みずき台」では、パナソニック、トヨタ自動車、三井物産を株主とするプライム ライフ テクノロジーズ社のタウンアプリを導入する予定です。スマートフォン上で管理組合業務のサービスをワンストップで利用できるアプリで、例えば借りたい用品をアプリ上で予約できるほか、アプリ上のスマートキーを使って集会所(コミュニティコテージ)のドアの開閉もできるようにします。連絡事項やイベント告知についてもアプリ内で発信するほか、管理組合総会の議決投票もできるようにし、組合運営事務の簡素化も図ります。
加えて管理組合の運営手法についても住民が役員として加わる理事会方式ではなく、管理のプロに任せる管理者方式を導入し、住民の負担を減らす予定です。「プロジェクトメンバーの中でも私が最も購入者層のお客さまの年齢に近い立場であることから、同世代の方々がどのようなことを考え、欲しているのかについて常にアンテナを張り、サービスとして取り入れていきたいと考えています」と川畑は話します。
川畑 裕紀
愛着からにぎわいが生まれる街に
川畑、小森の2人は2024年5月に予定されている街びらき以降は、それぞれ「神戸みずき台」の営業担当者、建設担当者として街づくりにかかわっていく予定です。
川畑は「バックグラウンドストーリーに基づいた街づくりがいよいよこれから始まっていくと思うとワクワクする気持ちでいっぱいです。自分たちがこれから販売していく街に自分がどれだけ想いを込められるかという気持ちを大切にしながら街づくりを進め、その想いをお客様に伝えていきたいと思います」と話し、小森は「街の世界観を一緒につくっていただくためのルールを大切にしながらも、ここに住み、暮らす方々が自らの生活を楽しめるような魅力的で柔軟性のある外構を作っていければと考えています。バックグランドストーリーに共感していただきながら、家づくりに愛着を持っていただくことで、おのずと街ににぎわいが生まれることを期待しています」と語ります。
世代が引き継がれても、ここに帰ってきたくなる、だれにとってもふるさとになる街づくりをめざす「神戸みずき台」。多くの人の夢を乗せた、「幸せな風」がこれからこの街に吹き抜けようとしています。
▶プレスリリース 神戸市内に589区画の大型分譲地『ウインズタウン神戸みずき台』を開発(12月8日公開)はこちら
▶『ウインズタウン神戸みずき台』の詳細はこちら
▶パナソニック ホームズ分譲サイト パークナードテラス『神戸みずき台』はこちら
▶”持続可能な街づくり” 第1号
▶”持続可能な街づくり” 第2号
▶”持続可能な街づくり” 第3号
次号は、買取再販をはじめとする再生型の街づくりをご紹介します。(11月27日公開予定)
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