農業へゼロからの挑戦で見えた意外な商機。製造業ならではの発想と非常識が生み出したオリジナルブランド「懐味とまと」
有限会社エクセルプランは、医療機器の製造・販売を主たる事業としています。起業してから24年ほど経ちますが、当初から業種にこだわらず様々な商品を手掛けるというスタンスで会社を経営してきました。その中でも医療機器の製造・販売を中心に売り上げを伸ばし今日までやってきました。そして迎えたコロナという先の見えない時代。
そんな時期だったと思います。たまたま農業の新規参入への補助金という制度を目にしたことがきっかけで、今まで積み上げてきた医療機器の製造・販売の知識や発想に農業をプラスするという新しいビジネスフィールドへの挑戦を思いついたのです。
このストーリーは農業のド素人がいきなりオリジナルブランド野菜を生み出すというなんとも非常識な農業への挑戦の物語です。
農業の後継者問題と、新規参入者への補助金制度を知り、商機を感じる
私の会社は兵庫県の六甲の北側に位置する自然豊かな土地にありますが、農業の後継者不足や担い手の高齢化が進み、年々荒れ果てた農地が多くなってきているように感じていました。私自身も年を重ね、後継者というワードについてはいやでも意識するようになり、将来の農業の担い手不足を解消するという社会貢献が何かの形でできないかと考えていた所に、農業の新規参入への補助金という制度が目にとまったのです。そしてこの新しい分野には商機があるのではと直感的に感じたのです。この制度は私の新しい挑戦を強く後押しするものとなりました。
美味しく効率的なとまと栽培の方法を確立
一歩踏み出すと、そこからはとても早かったように思います。あれよあれよという間に栽培する野菜や栽培方法が決まりました。
まず栽培する野菜はとまとにしました。とまとは野菜の中でも栽培方法によって味に差がつきやすく付加価値が高い野菜だからです。そして特定の作り方で作ればおいしいとまとができるという確信があったからです。
次に栽培方法です。栽培方法は太陽の光をたくさん受けることができる水平栽培を採用し、生産量を減らし味にのみこだわりました。
そして季節を問わず一年中、おいしいとまとを栽培するために水耕栽培ハウスを取り入れ、そこでは水分の吸収だけではなく温度や湿度、日射量・肥料の濃度や栄養素のバランスなどを徹底的にシステム化しました。
というのも私には、会社を経営する上で、2つの信念があります。それは
・徹底的に効率化を目指す事
・商品にどれだけの付加価値を付けられるかという事
1つの作業をする時、どのようにすれば短時間で大量の作業をこなせるかという事をまず考えます。その為の努力は惜しみません。道具がいるのであれば、自ら作ることもあります。そしてその商品にどれだけの付加価値を付けられるかも考えます。それらはとまと栽培においても同じことです。どのような栽培方法にすれば一番効率的でかつおいしいとまとを収穫できるかを考えた結果、このような栽培方法にたどり着きました。
しかしながら、私はこの新規事業でとまとにこだわっているわけではありません。
始めにも言った通り、業種にこだわらず様々な商品を手掛けるというスタンスは変わっておらず、とまとに始まりとまとに終わるということは考えていません。数年後にはとまとから他の野菜や果物に変わっているかもしれません。それは私自身楽しみでもあります。
医療機器製造業の発想を生かして、うまく育たない原因を徹底追及
実際に栽培が始まってみると、やはり思うようには行かず、思っていた以上にとまとがひ弱で環境に弱く、すぐに病気になったり痛んだりしました。
しかし、これらのことも一つ一つ検証し、原因を徹底的に突き止めました。これはやはり医療機器の製造業ならではの発想ではないかと思います。医療機器は原因を突き止めないと修理すらできないので、普段から原因を徹底的に突き止めるくせが付いているのでしょう。
例えば、ハウス内に虫が飛んでいたら、その虫の種類は何か、何故飛んでいるのか、どこから侵入したのか、様々な角度から考えます。
普通の農家さんにとっては、ただの虫です。しかし、私にとってはただの虫ではありません。その虫から考えられることは山ほどあります。それをあらゆる角度から徹底的に考えます。
そして、5か月後にとまとが収穫できました。糖度を測ってみると8でした。この糖度というものまた、不確定要素が多いものだと、とまと栽培をしてみて初めて知りました。
しかしながら私の信念はこのとまとに最大限の付加価値をつけることであり、その上で糖度はとても大切な指標になるので、糖度もまた徹底的に検証しました。そして試行錯誤ではありますが、なんとか糖度測定方法も確立することができました。
オリジナルブランド「懐味とまと」の誕生
農業を始めてわずか7か月でついに糖度も形も色も理想的なとまとが収穫できました。さらに付加価値をつけるために食べ方にもこだわりました。そのまま食べてもおいしいのですが、専用の塩をつけて食べることによってさらに旨味が引き立つのです。この食べ方は斬新で今までにない食べ方であり、最大の付加価値ではないかと思っています。
ついにオリジナルブランド<懐味とまと>が誕生したのです。
<懐味とまと>と名付けたのは、私が昔食べていた程よい酸っぱさを感じられるとまとを理想としているからです。
甘さだけではない、甘さと酸味のバランスが絶妙にいいのが<懐味とまと>なのです。
この<懐味とまと>という言葉は、私が考えた造語です。まず<懐味>という言葉がひらめきました。昔ながらの懐かしい味は、私たち世代に受けるのではないかと思い、そのような言葉があるか調べてみましたが、ありませんでした。ないなら作ろうという発想で造語をつくり、商標登録もしました。<懐味>という言葉は応用の効く言葉で、幅広い野菜や果物はもちろんのこと、加工食品・飲料・菓子・飲食店などにも使えます。さらに、この言葉を見るだけで味も容易に想像がつきます。我ながらいい言葉だなと気に入っています。今後はこの<懐味>ブランドのビジネス展開も考えています。
また、試しに日本野菜ソムリエのコンテストにも出品してみました。
懐味とまとは2種類栽培しており、その2種類とも金賞と銀賞を受賞することができました。
経験ゼロから始めた農業。エクセルプランだからこそできる農業を目指したい
この新事業を始める時には、私を含めスタッフも誰一人農業を経験したことがありませんでした。そして農業なんてできるわけがないと思っているスタッフがほとんどだったと思います。半信半疑で遠目から見ているという表現が一番しっくりくる、そんな状況からスタートした新規事業の農業でした。
土いじりをしたことのない私は、土を必要としない水耕栽培を採用し、医療機器製造業の知識を最大限利用したシステム化したハウスを構築しました。
農業の経験のない私は、私にできる農業を目指しました。長年、農業を経験している農家さんと勝負する必要はなく、私にしかできない私だからこそできる農業を目指しています。
今まで土いじりをしたこともないド素人がいきなりオリジナルブランド野菜を生み出すというなんとも非常識な農業への挑戦はまだまだ続きそうです。
公式販売ページ: https://www.awesome-blt.com/
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ