プロのコンテンツの力をあらゆるサイトやアプリで活用できる「antenna to Go」ってなに? その誕生の背景と込められた思い
株式会社グライダーアソシエイツは2012年の設立以降、優良メディアのコンテンツをユーザーに届けるという理念を掲げてキュレーションメディア「antenna」を運営してきました。そのグライダーアソシエイツが今年10月、新たなサービス「antenna to Go」をローンチ。提携するメディアのコンテンツを企業や団体のウェブサイトやアプリ上で活用できる仕組みである「antenna to Go」は、ゼロからコンテンツを作ることなくサイトやアプリの魅力を高めることのできるサービスとして、すでにさまざまなお客様にご好評をいただいています。
「antenna」をスタートしてから11年、なぜ今グライダーアソシエイツはこの新しいサービスを立ち上げたのか。その背景とそこに込めた思いを、サービス責任者の渋谷悠希さんと「antenna」編集長で「antenna to Go」ではメディアリレーションを担当する小川智宏さんに伺いました。
左:antenna to Goサービス責任者 渋谷
右:antenna 編集長・antenna to Goメディアリレーション担当 小川
■今こそ「プロのコンテンツ」の価値は高まっている
── まず最初に、グライダーアソシエイツとはどんな会社なのか、その歩みについて教えてください。
渋谷:グライダーアソシエイツのスタートは2012年、キュレーションメディア「antenna」をローンチしたことでした。Webメディアの台頭、SNSの普及などによって情報流通の構造が変わって日々の生活の中でさまざまなコンテンツが目に飛び込んでくるようになり、私たちは溢れかえる情報に翻弄されるようになりました。そうした状況の中で改めて出版社などの「プロ」が生み出すコンテンツの質や信頼性の価値に光を当て、「キュレーション」を通してユーザーに届けていきたい、そんな思いで私たちは「antenna」を立ち上げ、現在まで運営を続けています。
── コンテンツが溢れる中で、信頼できるものをユーザーに届けるのがキュレーションメディアとしての役割である、ということですね。
小川:そうです。今や誰もが「情報の発信者」になれる時代で、文字コンテンツ自体は日々数え切れないほど生み出されていますが、その中には残念ながらフェイクニュースやデマが紛れ込んでいます。雑誌や新聞などの紙媒体が情報流通の中心だった時代には「そこに載っている」こと自体が情報の信頼性をある程度担保していましたが、コンテンツがデジタル化、均質化されて流通する現在の状況は、その信頼性を見えにくくしてしまっているようにも思うんです。でも見えにくいからといってその価値がなくなったわけではない。というよりも玉石混交の状態だからこそ相対的に「プロのコンテンツ」の価値は高まっている、ともいえます。私たちは「antenna」「antenna to Go」の運営を通してその価値をしっかりと伝えたいと思っています。
渋谷:私は2014年にグライダーアソシエイツにジョインしたのですが、それ以前からいちユーザーとして「antenna」を使ってきました。「antenna」で配信しているコンテンツは、それ自体はWebで検索をすれば出てくるものではあります。ですが検索でピンポイントに求めるコンテンツを探し出すだけでない幅広さや深みは、こうしたキュレーションメディアでなければ味わえないものだと思います。思いがけないコンテンツとの出会いによって自分の選択肢の幅を広げてくれる、そんな存在だと思っています。
小川:まさにそこが「キュレーション」の役割ですよね。私は2017年にジョインし、以降一貫してコンテンツのキュレーションに携わってきました。「antenna」ではサービス上で配信するコンテンツの大部分をキュレーターが実際に自身の目で見て選んでいるというのが大きな特徴なのですが、アルゴリズムだけでは創造できない、人間だからこそ結びつけられるコンテンツとコンテンツの間のコンテクスト(文脈)というものがあると思いますし、だからこそ今渋谷が言ったような「思いがけない出会い」というものも生まれるんです。プロが生み出したコンテンツを人間の目と手でキュレーションし、ユーザーに届ける。その根本的な思想は、新しいサービスである「antenna to Go」にも連綿と受け継がれているのではないかと思います。
■コンテンツの力を手軽に活用できるプラットフォーム
── 今のお話にもあったとおり、グライダーアソシエイツでは10月に新サービス「antenna to Go」をスタートしました。これはどのようなサービスなのでしょうか?
渋谷:「antenna」 では、毎日400以上の提携メディアから届く、ファッション、おでかけ、暮らしなどのライフスタイルに関する良質なコンテンツとユーザーとの出会いの場を提供してきました。日々届く記事のなかからキュレーションして「antenna」 ユーザーへコンテンツを届けてきましたが、これらの良質なコンテンツをより多くのユーザーへ届けたいと思ったときに、プロのコンテンツの力を必要とする人が、手軽にそれを活用できるプラットフォームがあればいいのではと思ったのが、「antenna to Go」のサービス発案の経緯です。
グライダーアソシエイツでは、スタートアップ企業や行政、ナショナルクライアントまで、様々な業種業態の企業様とお取引をさせていただいていますが、ご担当者様のなかにはタイアップ記事の制作や、オウンドサイトの記事制作にかかる時間やコストに課題を感じられている方が多くいらっしゃいました。一方で、「antenna」 に日々届く記事をみると、商品をあらゆる角度からレビューしたり、全国各地を取材して地域の新しい発見を記事にしたりと、プロの編集者によって書かれた記事が山ほど存在するのを我々は知っています。コンテンツを0から作るのではなく、すでにある良質な記事を活用できるサービスにはニーズがあるのではないかと考えました。
antenna to Go表示イメージ
小川:一方、「antenna」を通して出版社さんやWebメディアさんと向き合ってくる中で、デジタル化したコンテンツをどうやって、誰に届けるのかはもちろん、それをいかにビジネスとして成り立たせていくかというところに共通の課題があるということも感じていました。先ほども言ったように、Web上で流通する上では、あらゆるコンテンツが均質化・同列化されていきますし、何よりWebで得られる情報は基本的にすべて無料であるというのが、その受け取り手である私たちの共通認識となっています。要するに、そのコンテンツがいかに他に代え難い価値をもったものだとしても、それを正しくマネタイズをしていくということはなかなかに難しいということです。そうした状況に対しても、コンテンツを生み出す側とそれを活用したい側を結びつける「antenna to Go」のスキームは可能性をもっていると思います。
── つまり、コンテンツを求める人がそれを活用できるプラットフォームを整えることで、コンテンツの価値が現実の対価として生み出されていく。
小川:そのとおりです。プロのコンテンツには間違いなく価値があるので、「antenna to Go」によってその価値がちゃんと伝わっていけばいいな、ということですね。
── その「antenna to Go」にはどんな特徴があるのでしょうか?
渋谷:いちばんの特徴は、メディアのプロの手で作られた記事コンテンツを手軽に自社サイトやアプリに配信することができるということです。当然記事を配信するには各媒体社様から写真やテキストの使用許諾を取り付ける必要がありますが、「antenna to Go」はその交渉も含めたサービスとなっているので、安心して記事を配信できます。
■コンテンツがきっかけとなり、さまざまな施策へ
── サービスをお客さまやメディアさんに伝えていく中ではどんな声がありましたか?
渋谷:「antenna」のことをご存知のお客様には「グライダーアソシエイツらしい」と言っていただけます。私たちが「antenna」で築いてきたメディアさんとのリレーションを活かすことで、様々なジャンルの記事をバランスよく配信できるのは魅力、というお声もいただきました。
小川:メディアさんからも同じように「グライダーならではのサービスだ」という言葉をいただいています。メディアさんからすると記事の配信先が増え、しかもそれまでマネタイズしきれていなかった編集記事に対価が発生していくというところにメリットを感じ、サービスの今後に期待していただけているということも感じますね。
── 今の話とも重なるかもしれませんが、おふたりは「antenna to Go」の強みはどんなところにあると考えていますか?
渋谷:これは「antenna to Go」にかぎったことではないのですが……コンテンツの可能性はすごく感じます。私たちが当初想定していたよりも幅広いお客様が「antenna to Go」に興味を示してくださっていることからも、コンテンツが求められる場面はまだまだあるなと実感します。たとえば自社の従業員向けのアプリを運営しているあるお客様からは、会社として発信したいメッセージを伝えたり、社員のスキルアップに役立つ情報を届けたりするために「antenna to Go」を活用したいと導入をご検討いただいています。また、ある鉄道会社様からは、沿線エリアのおでかけ情報などをantenna to Goで配信することでユーザーの生活との距離感をより縮められるのではないかというご期待をいただいています。このお客様からはコンテンツをただ配信するだけでなく、それをユーザーとのエンゲージメントやコミュニケーションに活用できないかというお声もあり、コンテンツがきっかけとなってさまざまな施策が生まれていくといいなと思っています。
小川:そう、確かにコンテンツにはまだまだ可能性がある、というのは間違いないですよね。そういう意味では「antenna to Go」の強みというのはそのまま「コンテンツの強み」でもあるのだと思います。「antenna to Go」は言ってみればユーザーとメディアをつなぐひとつの「窓」に過ぎませんが、そこに窓ができて風が通ることによって、コンテンツを中心に人や物事が動き出していく。しかも、ただコンテンツを流通させていくだけではなく、私たちには「antenna」を通じて培ってきたキュレーションのノウハウもあります。どんなふうにコンテンツを組み合わせ届けることが最善なのかを経験的に知っているからこそ、そこに新たな価値を生み出していくことができるのではないかとも思います。
── なるほど。逆に現時点での課題はどんなところですか?
小川:現在はまだサービスインから間もないということもあり、実際に世の中でどのようなコンテンツが求められているのか、ひとつずつお客様に向き合う中で確認しているような段階です。「antenna to Go」は「antenna」をベースに始まっていったサービスであり、その「antenna」で提携している400以上のメディアとのリレーションが基盤ではあるのですが、それですら世の中に流通するコンテンツのごく一部でしかありませんから、実際に「求められるコンテンツ」がどこにあるのかは絶えず追い求めなければいけません。
渋谷:たとえばローカルに根差したメディアやインバウンド向けに観光情報を発信しているメディアなど、「antenna」で配信しているコンテンツとはまた違ったメディアも数多くあります。そうしたメディアにも提携を広げ、さまざまなニーズに応えていく必要があると思っています。
小川:そこがキュレーションメディア「antenna」との大きな違いですね。「antenna to Go」はあくまでお客様のデマンドがあって初めて成立するスキームなので、お客様、メディア、双方とコミュニケーションを取りながら、いいマッチングを作り出していけるといいなと考えています。
〜 antenna to Go導入事例 〜
■コンテンツの価値をしっかりと守り、伝えていきたい
── まだ始まったばかりの「antenna to Go」ですが、これからどんなサービスに育てていきたいと思っていますか?
渋谷:私たちは利用者が手軽に良質なコンテンツを活用できる世界を目指しています。「antenna to Go」のマーケットが広がることで、コンテンツの価値が具体的な対価となり、そのコンテンツを作るメディアさんに還元されていく。そうした流れが当たり前になるように、しっかりと進んでいきたいと考えています。
小川:「antenna to Go」のようなサービスは現在ほかにありません。だからこそ、しっかりと認知してもらい、理解を深めてもらうことには難しさも感じています。ですが、「antenna to Go」が今まで存在していなかった新たな経済を生み出していくこと、そしてそのことがこの国のメディア産業にも寄与していくことを信じて、まずはサービスそのものを広げていくということに一歩一歩邁進していければと思います。
渋谷:私は昔から雑誌が好きなんです。表紙をめくった瞬間からその世界に没頭できるような体験は、プロが生み出すコンテンツがあればこそ。そのコンテンツの価値をしっかりと守り、伝えていきたいという使命感を勝手ながら感じて仕事をしています。「antenna to Go」を世の中に広げていくことで、その価値がより高まっていけば嬉しいですね。
小川:本当にそうですね。私はじつは元々出版社にいたんです。そういう意味では雑誌やコンテンツの力を誰よりも信じてきましたし、今も信じています。「antenna to Go」を通じてひとりでも多くの方にその力を実感してほしいですね。
さまざまなサイトやアプリでメディアのコンテンツの力を活用できる「antenna to Go」。この新サービスを通して豊かなコンテンツ体験を世の中に届けていくグライダーアソシエイツのこれからに、ぜひご期待ください!
グライダーアソシエイツは、企業の立体的なマーケティング・ブランディング活動をサポートしています。直近では、自社運営のスマートフォンアプリケーションの企画・マーケティング担当者1,007名を対象に、アプリ運営上の課題や予算等に関する実態調査を実施しました。アプリ運営に課題を感じられている企業様は、お気軽にお問い合わせください。
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