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さびや塩害を招かず、身近な環境にも優しい!「融雪」だけじゃない、「トーカスSi」の底力

著者: 株式会社エービーシー商会

エービーシー商会は設立以来60年以上、建材のプロフェッショナルとして成長を続けるマーケティングカンパニーです。商社機能とメーカー機能の両方を有し、ブランド価値のある商品ラインナップに技術力を結合して“高品質”をご提供できる点が強みです。商品は身近なランドマークや商業施設、住宅のほか、オフィスビル、公共施設、工場、倉庫、駐車場などに使われ、都市の快適と安全、産業の発展に大きく貢献しています。



融雪剤はいまや、使う場所に応じて製品を使い分ける時代になっています。

立体駐車場で使うならやはり、構造物をさびさせないものを使いたいです。コンクリートの橋梁では、塩害を招かないもの、河川や湖沼の近くであれば、身近な環境に優しいものが理想的です。

さらに住宅の玄関先なら、手軽に散布できるものが望まれます。それらの特性を全て兼ね備えたのが、エービーシー商会が青森県の公設試験研究機関とともに2003年に開発に着手し、2009年に販売を開始した液状の融雪剤「トーカスSi」です。

2023年1月には小型容器入り濃縮タイプを追加販売し、使い勝手がいっそう良くなりました。

融雪に役立つのは当たり前。目に見えない機能へのこだわりを。

融雪剤が凍結防止に役立つのは当たり前です。その成分がまず、水の凝固点を下げます。除雪後の薄氷は通常0℃で凍結しますが、そこに融雪剤を散布すると、氷点下でも凍結せず、水混じりのシャーベット状になります。凍結防止で路面は滑りにくくなるのです。



「その性能に製品間の差はほとんどありません」。そう指摘するのは、エービーシー商会のグループ会社であるエービーシー建材研究所で約20年前、液状の融雪剤「トーカスSi」の開発を担当していた浅井勇人(現・東京化学工業技術課課長CE)です。

「それなら安いに越したことはない」。そう思いがちですが、「融雪」のようにはっきり目に見える機能以外にも、しっかり目を向けたいところです。

コンクリートや金属の劣化防止へ

その一つが、融雪剤を散布する構造物に用いられている材料を劣化させないか、という点です。道路や橋梁といった社会インフラはもちろん、そこを走行する車両には、コンクリートや金属が利用されています。その劣化防止という視点が欲しいのです。

コンクリートでは、塩害が劣化を招きます。塩化物がコンクリート内に浸透すると、スケーリング劣化を助長させ、また、鉄筋の腐食にもつながりかねません。

金属で言えば、さびの発生です。金属の表面で水や酸素と化学反応を起こし、さびという腐食物を生んでしまいます。

問題になるのは、融雪剤として一般的な塩化物系の製品です。「これらの製品は実は、塩害やさびを招きやすい、と言われています。例えば塩化カルシウムの場合、空気中の水分を取り込み、水溶液になろうとする、潮解という現象が見られます。この潮解が、さびの発生を促すのです」と、浅井は解説しています。



もう一つ、身近な環境への影響という視点も考慮しなくてはならない点です。融雪剤が近くの河川や湖沼に流れ込んだとしても、その汚濁につながることはないのか――。

水質を表す指標には、「BOD(生物化学的酸素要求量)」や「COD(化学的酸素要求量)」という数値が使われています。いずれも、水質汚濁の原因である有機物の分解時に消費する酸素の量を示しています。。量が多いほど、汚濁の度合いは大きいということになります。この指標を利用すれば、融雪剤の流れ込みが河川や湖沼の汚濁につながりそうなのか、把握することが可能です。

また河川や湖沼に流れ込むのが無機物だからと言って、決して安心はできません。例えば塩化物系の融雪剤の場合、それが河川や湖沼に大量に流れ込めば、水中の塩分濃度を上げることにつながります。水中生物にとって、それは問題です」。

融雪剤「トーカスSi」は、こうした点にもしっかり目を向けながら開発した製品なのです。

食品添加物で環境への優しさ実現

主要原材料は、人間が口にする食品添加物。塩化物系のようにコンクリートや金属の劣化を招く性質は認められません。しかもそこには、当社で製品化しているコンクリート表面強化剤をヒントに、コンクリート劣化抑制の機能も加えました。結果、pH値はアルカリ性に傾きましたpH値の低い酸性ほどさびやすく、pH値の高いアルカリ性ほどさびにくい、と言われるだけに、さび防止をますます期待できます。さらに食品添加物であるからには、身近な環境への影響も少なくなると想定できます。一般的な融雪剤では弱点と言えそうな点を原材料の目利きと持ち前の技術力で補った付加価値型の製品になるのです。

開発に乗り出したきっかけは、青森県の公設試験研究機関である工業総合研究センターから共同開発の話を持ち掛けられたことでした。

「工業総合研究センターからは、『液状で即効性があり、地球環境に優しい融雪剤を開発したい』と要請されました。塩化物系だけでは弊害もあるという理由から、併用を念頭に置き、系統の異なる融雪剤の開発に取り組んでいたようです」。



話を受け入れ、共同開発を決めた当社側でまず考えたのがまさに、融雪剤に付加価値を与えることでした。「塩化物系の融雪剤にはコンクリートや金属の劣化促進という弱点が指摘されるようになっていました。それだけに、劣化防止という付加価値を与えられれば、インパクトが大きいですからね」と、浅井は笑顔を見せます。

しかし、エービーシー建材研究所で融雪剤の開発は初めて。社内に知見もない。何をどう配合し、その結果をどう評価するか。担当者自らが決めなければならない、そのような状況でした。

浅井は融雪剤のことを知ろうと、氷の上に既存の融雪剤を散布し、どれだけ融けたかを1時間ごとに測定する、ということから始めました。融雪剤として水の凝固点を下げるとはどういうことか――。自らの実験で、まずそこから知見を得ようとしました。

一方で、「地球環境に優しい」という条件を踏まえ、主要原材料には食品添加物を用いることを思いつきました。「口に入れても問題ないわけだから、それを使うのが一番ではないか、と考えました」と浅井は語ります。コストを抑える必要から、ありふれたものに絞って、まず十数種類の添加物を候補として選定しました。

配合の確立へ、100通り以上を試す

何しろ競合にあたる塩化物系の原材料は工業製品の副産物を利用したもので、原材料そのもののコストはゼロに等しいと言えます。さすがに同程度の水準は無理としても、性能とのバランスに留意しながら、コストを抑えなければ市場ではとうてい戦えないのが実情です。

原材料を絞り込む段階では、融雪剤として水の凝固点をマイナス10℃まで下げることができるか、という点をまず評価しました。「マイナス10℃という目標は、工業総合研究センターから示されたものです。聞いたところによると、氷の表層が0℃からマイナス10℃までの間が、最も滑りやすい温度だそうです」。

浅井はこうして、十数種類の食品添加物を5種類まで絞り込みました次は、それらを混ぜ合わせ、コスト面でも性能面でも最も優れた配合割合を導き出す段階になります。「ここはもう手当たり次第ですよ。100通り以上の組み合わせを試しましたね」。

配合割合を確立し、いよいよ製品の発表へ、という段階では、融雪の効果を目の当たりにする機会も得ました。場所は青森空港の周回道路、時期は積雪のある2月。除雪後、道路の一部に「トーカスSi」を散布し、残りは何も散布しない状態で、朝4時から10時まで道路上を見守りました。浅井は当時を思い起こします。「融けてくれ、お願いします――。そんな気持ちで見つめていると、『トーカスSi』を散布した路面は薄氷がどんどん融けていくのが分かるんです。その差はもう、明らかでしたね」。


散布実施例 道路(散布前→散布後)


エービーシー建材研究所では、各種の性能試験も実施しています。

例えば金属に与える影響。塩化物系の一つである塩化ナトリウム水溶液では一定の腐食度が見られたのに対し、「トーカスSi」は腐食度ゼロでした。防さび試験でも、塩化物系の一つである塩化カルシウムを塗布した金属板には4時間後にさびの発生が見られたのに対し、「トーカスSi」を塗布した金属板には同じ4時間が経過してもさびの発生は見られませんでした。また日本産業規格(JIS)に定められた試験方法を基に融雪剤に使用される化学物質ごとに「COD」を算出すると、「トーカスSi」はゼロ。「地球環境に優しい」という条件を満たすために食品添加物を利用する発想は間違っていなかったのです。

防サビ試験(4時間放置後の状態)

試験機関:(株)エービーシー建材研究所

性能試験

商品と共に社会インフラと環境保全に目を向ける

融雪剤選びはいま、新しい局面を迎えています。社会インフラの長寿命化が求められ、生物多様性の保全が社会課題として改めて注目される時代です。コンクリートや金属の劣化防止や身近な環境への影響抑制という機能にもきちんと目を向ける必要があります。

「融雪」の役目は果たしながらも周囲の「環境」に影響を与えない――。そこに、「トーカスSi」の底力があるのです。



■会社概要

株式会社エービーシー商会

東京都千代田区永田町2-12-14

https://www.abc-t.co.jp/




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