教育者、導入支援、システム開発の三位一体で取り組む、新しい授業支援システムPhollyの歩み
練馬区石神井公園という東京郊外から全国に教育ITサービスを展開するMogic株式会社。今回は、8年目を迎えた授業支援システムPholly(フォリー)のエピソードをプロジェクト担当者が語ってくれました。
出席を確認する機能、シラバスを登録する機能、レポートを評価する機能、多角的に成績を入力する機能。とにかく大学、医療機関、協会、専門学校といった高度な専門知識を学ぶ場をシステムで作ろうとすれば、とても多くの機能が必要になります。
教科書を読んで、テストを受けるといった従来の学習スタイルと違い、新しい学習指導要領にも適した学びはいくつものプロセスがあり、複雑にならざるをえません。
講義を聞いて、疑問に思えば発言し、課題をまとめるために資料を集め、構成を組み立ててレポートにまとめ、時にグループワークで仕上げる。聞いたことを鵜呑みにせず、自発的に情報を集めて、独自の見解を作り上げ、他人との議論を踏まえてブラッシュアップしていく。
そのような高度な学習現場をシステムに落とし込んでいくのは並大抵のことではありませんでした。
これまで前例のない高度な授業支援システムはどうやって作られてきたのか?
これほど複雑なシステムをどうやって現場に浸透させることができたのか?
このSTORYでは、プロジェクトメンバの学びと共に生まれた新しいLMS/学習支援システムの裏側をお伝えできればと思っています。
忙しい教育現場こそ、クラウドサービスを浸透させたい
「出席管理機能はとても便利なのですが、まだ活用されている方が少ないですね」
授業支援システムPhollyのプロジェクトを率いるディレクター村越(むらこし)は、うつむきがちに話しはじめました。彼女がPhollyのプロジェクトに取り組んでから2年が過ぎようとしていました。
その2年間に大学全体で徹底的に使いこなしている事例、専門協会で膨大なレポートをうまく管理している事例が出てきたのは事実です。しかし、彼女はまだまだもっと多くの教育現場を良くすることができると強く感じていたのです。
「パソコンのブラウザ、スマホのブラウザだけでなく、iOSアプリやAndroidアプリもあります。マニュアルいらずで導入できますが、やはり教育現場が忙しいので活用にどうしても時間がかかります。もっとうまくバックアップしていきたいのですが・・・・・・」
教育現場はとにかく忙しい、これは本当によくお聞きします。教員にとって授業の事前準備やフォローは大変な時間がかかります。教科書や書籍を読み込み、プリントを準備して、教室で講義し、紙のレポートやテストを集めて評価する。この流れに新しくITサービスを導入するとなれば、さらに作業が増えることになります。
新たにデジタルのファイルを準備しなければならない
参考資料のファイルを事前に共有しなければならない
レポートのファイルを受け取って管理しなければならない
評価を決めて提出しなければならない
無料のストレージサービスはセキュリティが気になるから無闇に使えない
デジタルファイルのレポートにはコピー&ペーストの可能性が出てくる
参考文献を組み合わせただけで本当の考える力がつくの?という意見もある
それでも、いつかオンラインで効果的な教育手法が取り入れられるだろう。
多くの人がそう思っていたのですが、当面はまだ対面の授業で手一杯という状況が長く続きました。パソコンにスマホとタブレットが加わり、高速ブロードバンド回線が整っていましたから、Phollyを運営するメンバは未来を信じてバージョンアップをひたすら重ねていました。
そんな中で起きたのが、2019年からはじまったコロナ禍での世界的なロックダウン。日本でも臨時休校が相次ぎました。成長著しい子どもたちは、その時にしか学べないことがたくさんあります。学びの機会を絶やさないようにオンラインでライブ/アーカイブ授業が実施されていきました。
プロジェクトメンバの予想とは違いましたが、講義を支援するクラウド授業支援システムPhollyは急激に教育現場に導入されていったのです。
文教分野に強い日本事務器さんとタッグを組んで作り込む
そもそもPhollyを作り始めたのは8年前。日本事務器株式会社の担当者から1通のメールを受け取ったことから始まります。
日本事務器さんは100年の歴史があり、文教分野に深い造詣をお持ちの会社です。すでにMogicが展開していたeラーニングシステムLearnOに興味を持っていただき、もっと文教にフィットしたものはできないかと話し合いを重ねました。高校や大学の教育現場に疎いMogicのメンバは、日本事務器さんから多くのことを教えていただきました。
そうしてたどり着いた答えが、新しい教育システムPhollyを共同で運営していくというものでした。文教分野の深い知識、大学や専門学校へのネットワークとeラーニングサービス提供で蓄積したシステム開発と運用ノウハウを組みあわせることになったのです。
当時はeポートフォリオというコンセプトが流行り、まさにこれからのオンラインの高等教育のあり方が語られていました。しかし、実際に取り組んでみて分かったのはこの分野が黎明期だということです。つまり、eポートフォリオやルーブリックという名称はあるものの、どうやってシステムを実装していけばいいか、誰も答えをもっていなかったのですから。
プロトタイプを作り、大学の関係者からフィードバックをもらい、ようやく最初の授業支援システムPhollyができましたが、当初の機能はごく簡単なものでした。
ファイルをアップロードする
ファイルを共有する
レポートの提出をする
レポートの評価をする
教員や生徒でオンラインチャットをするというだけ
当時はまだ教育現場でクラウドサービスが少なかったため、最初は日本事務器さんの力添えで大学や高校、専門学校にトライアルで使っていただきました。日本事務器さんは全国に販売ネットワークをお持ちですから、すぐに多くの意見が寄せられました。
それからというもの毎月日本事務器さんとMogicで定例の打ち合わせを続けて、アップデートされた機能は数十になりました。コンセプトだけ存在して、方法論がないものに対して、両社のパートナーシップで一つずつカタチにしてきたのでした。
豊富な機能を組み合わせ、一人一人のフォローアップを強化
そうして地道に8年間ずっと改善を続けて、多くの教育現場に導入され、すでに数十万以上のファイルを取り扱ってきたPholly。ここではその代表的な使い方を事例を通じてみてみましょう。
学校法人 頌栄保育学院 頌栄短期大学さまインタビュー(日本事務器サイト)より引用します。
https://www.njc.co.jp/case/school/shoei.html/
たとえば、音楽では教員がピアノ課題曲の演奏を動画にしてアップロード。学生はそれを手本にして自宅で練習します。何度も見返せる上に、学校の練習室で弾くのと違って人に聞かれずにすむ点が好評だったといいます。また逆に学生が自分の演奏動画をアップロードし、先生にアドバイスをもらうことも可能でした。
また、課題提出がデータでつかめるようになったことでわかったことがある、と関田氏は語ります。「学生のスケジュール管理能力はさまざまです。自己管理がもともと円滑にできる学生にとってオンライン授業は主体的に生活をデザインできることにつながる方法となる一方、スケジュール管理がうまくいかないと、自宅で授業を受けて理解し、課題を提出することが負担になってしまいます。次第にオンライン授業が苦手な学生がいることがデータで見えてきたので、課題の提出時間や提出状況を見ながら『大丈夫?』と声をかけサポートに入るようにしました」
学生の提出物は、科目を越えて教員間で共有されているそうです。准教授 山中 早苗氏は、こう語ります。
「小さな大学なので、学生一人ひとりの活動を把握して、指導につなげることができます。複数の教員が受け持つ科目では、Pholly上で学生の成果を共有することができ、一人ひとりの学びを多角的に評価するのに役立っています。また、実習に参加する前の準備として重要なのが、学生が保育をどのように進めていくかを記載する指導計画の作成です。それを担当教員との間でやりとりしながら完成度を上げていくのですが、Phollyがあることで、対面と同じように長い時間をかけてやりとりすることができました」
続いて、学校法人鶴岡学園 北海道文教大学さまのインタビュー(日本事務器サイト)を引用します。
https://www.njc.co.jp/case/school/hokkaidobunkyo.html
導入のきっかけについて人間科学部看護学科 学科長の高岡 哲子先生は、「レポートの回収や回収後のチェックなどに大変な手間が掛かることが課題でした」と振り返ります。看護学科の学生は1学年90~100名在籍しており、レポートの回収や提出チェック、未提出者への督促などが大きな負担となっていたのです。
略
Phollyの利用により、レポートの回収や提出未提出のチェックは大幅に効率化しました。Phollyのレポート管理機能は課題ごとに学生の提出状況・評価残数を一覧で確認できるため、提出されたレポートを見落としたり評価をし忘れたりすることもなくなっています。
お知らせ機能も積極的に活用しています。離れた掲示板まで貼り出しに行く手間もそうですが、紙の掲示物作成には一定のルールがあるため、そうしたことを考慮する手間も省けているといいます。学生には1日1回はPhollyを見るように指導しているため、お知らせの周知性も向上しています。
そして教員同士でのコミュニケーションにもPhollyは活用されています。「教員でグループを作成して、スケジュール表や会議議事録などを共有しています。こうした教員同士の情報共有は専用のツールを導入するとコストも掛かってしまいますが、Phollyの機能内で実現できており、とても重宝しています」(高岡先生)
このように複雑な教務にクラウドを組み合わせることで、大幅な効率化と教育現場のクオリティアップにつなげることが可能になっています。
教員や生徒にアナウンスや説明会を丁寧に行なっていく
Phollyは課題レポートの一元的な管理、演奏動画へのフィードバックなど複雑な教育現場に対応してきました。しかし、やはり気になるのはいかに教育現場に導入していくかということです。便利で効果的だと分かっていても、従来の組織やカリキュラムに入れるのはとても時間がかかり、大変な手間がかかります。
そこを一手に引き受けて全面的にサポートしているのが販売パートナーの日本事務器さん。担当者の渡辺さんから導入の流れをお聞きしました。
「一番力を入れているのはシステム環境を構築するより、先生や学生にどう周知すれば効果的かを話し合うところです。用意できました、はい、どうぞですと誰も使いません。
先生向けの説明会をやりましょう、学生向けにガイダンスで案内しましょう、そのガイダンス資料はどうしますか、パスワードの管理はどうしますかなど、そういう導入時のオンボーディングに一番気を使いますね。
先生向けの説明会は最低1回は必ずやりますし、できれば訪問してやりますし、学生向けの説明会も依頼があればお手伝いしています。」
前出の北海道文教大学さまのインタビュー(日本事務器サイト)を引用します。
https://www.njc.co.jp/case/school/hokkaidobunkyo.html
もっとも評価が高いポイントとして挙げたのが日本事務器の支援です。「相談や問い合わせに真摯に対応してくれますし、ここがもうちょっと何とかならないかなどと要望を出すと応えてくれる点が特に良いと思います。導入して半年ほどが経過しましたが、ますます使いやすくなっています。手厚く、継続的な支援を高く評価しています」と高岡先生は言います。実際に先生方からの要望を受け、いくつかの機能や改善がすでに実施されています。
システムばかり機能が豊富でも意味がありません。システムのたえざるバージョンアップと、その良さを理解して導入を丁寧にサポートすること、自分たちのカリキュラムに導入してから運用の改善を続けていくこと。これらすべてが噛み合ってこそ、複雑な教育現場はITの良さを活かせてくるのだと信じています。
大型バージョンアップから、これがおすすめの機能です
リリース以降、お客さまからの要望を聞きながら毎年1つ以上の大型バージョンアップを続けてきました。その中でおすすめ機能をPhollyプロジェクトを担当するディレクター村越が教えてくれました。
「教員による課題設定と生徒によるレポート提出、これは当初からありました。それに加えて、成績評価の機能が充実しました。すべてのカリキュラムが終了してから成績をいれるのではなく、途中でどういう評価をしていたかを残せるようになっています。ルーブリックにもつながる要素で、生徒へのフィードバックがより充実したものになります」
たしかに画面をみると、これまでは記憶を頼りに最終評価をつけていた部分がとても楽になっています。
「あとは、動画のアーカイブ配信と簡単なテスト機能ですね。実習で使った手順の動画をアップロードすれば、自宅に返って簡単に復習ができます。テストをうまく使われているケースがあって、あらかじめ作っておいた小テストを授業中に出されたりします。そうすると、授業中に小テストが自動的に採点されたり、結果が見えて、生徒にコメントできるので学びのサイクルが早まります」
機能として動画配信やテストと聞くと、じゃあ宿題で出そうかなと思いがちですが、授業でリアルタイムに使われているとは工夫次第で活用範囲が広がることがわかります。
「最後はもちろん、最近追加した出席確認機能です。授業が始まって、生徒がスマホで出席ボタンを押すというものです。普通だと代理出席ならぬ代理ボタン押しというのがありえますが、Phollyではないです。セキュリティ上であまり明かせないのですが、一例でいればWiFiのIPアドレスを制限したりできます。もちろん、さきほどのテスト機能で出席の代わりをする方もいらっしゃいます」
たしかに授業がはじまると、ログインした後のマイページ上部に出席ボタンがあるから生徒は迷わずに対応できそうですね。
教育現場、導入サポート、システム開発で高度な専門教育を支える
教育は本当に多種多様のスタイルがあります。おそらく人間一人一人の個性がとても幅広く、成長のステップが異なり、学ぶ範囲が多岐にわたるためなのでしょう。ですから高度な教育になればなるほど、システムですべてのケースをフォローすることが難しくなってきます。
ディレクターの村越は、最後に優しく笑って正直な気持ちを教えてくれました。
「私たちは最大限、教育の可能性を広げられるようにシステムの機能を追加していきます。ですが、サービスを提供する側だけでは完結しませんから、導入いただいてからも話しながら一緒に新しい学びを進化させていければうれしいです。
ITは詳しいのですが、現場の細やかな教育スタイルに残念ながら配慮が及ばないことがあります。ぜひお力をかしていただき、より良い未来の教育のためにお話させてください」
現場で教育される方、システムの導入を力強くサポートされる方、フィードバックを受けてシステムをバージョンアップする担当者。三位一体で新しい時代の教育スタイルを切り開き、学ぶものにより良い場を提供できればと思っています。
これからも授業支援システムPhollyは進化を続けます。興味がおありの方はぜひPhollyサービス並びに提供するMogicコーポレートサイトをご覧ください。
Phollyサイト:https://pholly.jp/
Mogicサイト:https://www.mogic.jp/
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