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ここは、人生の物語に出会う場所。

室内を「公園化」するほど、森が豊かになる仕組みづくり

著者: 株式会社パーク・コーポレーション

「公園」のような心地よい空間づくりを目指して

“多様な人が集まり、それぞれが別の目的を持ちながらも同じ空間で過ごし、みんなが心地よく過ごす場所”。そんな公園のような環境が、働く場や住まいにあったら・・・。


空間デザインブランド parkERs(パーカーズ)はこの想いをベースに、室内外に「日常に公園のここちよさを。」をコンセプトとした空間づくりを手掛けています。

公園のような環境をつくり出すために、公園を構成する心地よい要素とは何かを考えたとき、草花、樹木、木漏れ日、石、池のゆらぎ・・・これらの要素がつくる風景の中に、そこで過ごす人の存在があってはじめて、わたしたちの目指す心地よい「公園」が成立するということにたどり着きました。


2013年のブランド設立以来、公園を構成する要素を切り取りデザインすることで独自の空間デザインを追求し、企業のオフィス、空港や駅などの公共施設、商業空間、住宅など、さまざまな分野で空間づくりを手掛けたり、人が排出した資源(コーヒーの豆かすやヤシの実の殻など)から環境に負荷をかけない土の開発を行なったりしてきました。

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間伐材を用いたデザインのきっかけ

2019年、植物にとっても人にとっても心地よい空間づくりを追求するなかで、東京で林業を営む東京チェンソーズさんと出会いました。木の個性を生かし「一本まるごと使い切る」という想いに強く共感し、東京チェンソーズさんとの交流がはじまっていきました。


parkERs プランツコーディネーター:(左から)児玉、花田、森、堀部


parkERs プランツコーディネーター 児玉 絵実:

「はじめは個人的に東京チェンソーズさんのファンでした。熊本県出身の私は自然が身近にある暮らしが当たり前だったので、東京で暮らすようになってから、自然や森との接点の無さに気づき、「都心暮らしの人にももっと自然が身近な存在だったらな」とよく思っていたのを覚えています。

parkERsと東京チェンソーズさんが何かの形でご一緒したら、必ず面白い発想につながると思いました。そこで東京チェンソーズさんが管理する檜原村の森に、parkERsのメンバー全員で見学に行きたいと代表の青木さんにお願いしました。」



2019年6月にparkERsのメンバー総出で檜原村の森を訪れ、青木さまをはじめ、東京チェンソーズのみなさまに案内いただき、森や製材所、乾燥所などを1日かけて見学しました。




見学の後には、「parkERsの空間づくりと、東京チェンソーズさんの林業をどのようにつなげられるか」について、参加したメンバーが意見交換をするディスカッションの場も設け、parkERsのメンバー自身、森の存在が身近になったフィールドワークでした。


早速、自社のオフィスで実験

2019年11月に移転が予定されていたparkERsの新しいオフィスで、早速森で得たインスピレーションを元に、檜原村の間伐材を取り入れたオフィスデザインが検討されました。


製材にならないスギやヒノキ、サワラの間伐材をウッドチップとして細かく加工いただき、オフィスの一部のフロア全面に敷き詰め、ザクザクとした感触が歩くたびに新鮮なオフィスデザインを施しました。



スギ、ヒノキ、サワラのウッドチップを敷いたフロア


都心のオフィス等では、森を歩いているような不安定な感覚はないので、あえて足の裏から感じる感触を刺激し、新しい発想やアイデアを生み出すきっかけになることを期待しました。



オフィスの利用が始まると、2人でのカジュアルミーティングの場として、3〜4人でお弁当を広げて賑わうランチ会の場として、複数名でのブレストミーティングの場としてなど、さまざまな活用が見られました。



こちらのエリアを担当した、parkERs 空間デザイナー 若田部 翔真:

スギとヒノキの間伐材は、しゃがむように座ることができる丸太スツールとしてデザインしました。 好きな位置に自由に動かしたり、丸太を重ねてテーブルのようにしたりして、 あえて用途を限定せず自分好みに活用して居心地の良い環境をつくることができる仕様にしました。

また一般的には、意図せぬ木の割れを防ぐために、あらかじめ割れ止めとして見えないところに切り込みを入れる方法が用いられますが、自然な素材の表情を見せたいという狙いがあったため、あえて自然の割れが起きるような形で納品していただきました。割れが進んだ状態であっても、割れ目に沿ってブランド名の焼き印を入れることで、社内でもポジティブな変化として楽しんでもらえました。



製材にはならないサワラの細い幹の部分に注目し制作した、有機的なラインが面白いパーティション。



ケヤキの枝の部分は、会議室の天井から吊るし、アートのような雰囲気でオフィスデザインに取り込みました。広葉樹らしい細かな枝の広がりが、テーブルに美しい影を落とします。

「ケヤキから落ちた種が着床し、テーブルにまた新しく植物の生命を宿す...」というストーリーを描き、自然が循環し命を未来へと紡いでいく美しい瞬間を演出しました。


みなとモデル二酸化炭素固定認証制度で三つ星認定

これらの檜原村の木材を中心に、parkERsのオフィスは国産材を豊富に用いたことで、2020年「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」で最高ランクの三つ星の認定を受けました。


導入企業が続々...

これらの間伐材を用いた空間デザインは好評を呼び、多くの企業さまの実際のオフィスやコワーキングスペース、マンション、フィットネスジムなど、さまざまな場所へ導入いただいています。


ブリリアシティ西早稲田モデルルーム(東京建物)


parkERs プランツコーディネーター 花田 美晴:

「東京建物さまからマンションのモデルルームについて内装設計のご相談をいただいた際、弊社オフィスの会議室に吊られたケヤキの枝に共感いただいたことをきっかけに、担当者さまと一緒に実際に檜原村を訪れました。ケヤキの枝がどのように森で育っているのかご覧いただき、森で育つ実物の木々を見ながら、『あの枝をモデルルームに使おう』と相談して導入にいたりました。わたしたちがつくる空間を通して、森への関心・共感が生まれた印象深い経験となりました。」


檜原村を訪れたときの様子(2020年)


東京建物 ご担当者さまよりコメント

「一つの物語が始まるような花田さんのプレゼンテーションと、モデルルームにレイアウトされた1つ1つの植物に対するこだわりと、愛情に感動しました。脇役になりがちな植物や樹木を主役に迎えた、エモーショナルなモデルルームでした。」


再び森へ還し、循環するウッドチップ

parkERsのオフィス移転から3年後、フロアに敷き詰めたウッドチップを自分たちで回収し、新しいウッドチップに入れ替えました。回収したウッドチップは再び檜原村へ持っていき、東京チェンソーズさんの協力を得て森の林道にまかせていただき、ぬかるみなどで足が滑らないようにする舗装の役目を担う存在に。




parkERs プランツコーディネーター 森 大祐:

「檜原村で育った木々が、わたしたちのオフィスに来て3年が経ちました。オフィスでの生活の一部になっていた愛着のあるウッドチップを、再び森に還し、形を変えて活用されていくというサイクルを生み出せたのは、小さくても大きな一歩でした。都市と森をつなぐ取り組みの一つだったと実感しています。」


森の活動はそのほかにも

同時期に、神奈川県の湘南国際村めぐりの森で森の再生活動を行う非営利型一般社団法人Silva(シルワ)さんと出会いました。ゴルフ場開発のさなかバブル崩壊により放置され、荒れ果てていた斜面を森に甦らせる森林再生活動をしています。「人が壊した森を再び人の手を介することで再生する」活動に共感し、自主的に月に一回森を訪れお手伝いさせていただく形からスタートしました。


2021年にはparkERsの空間づくりにおいて植栽デザインを担当するプランツコーディネーター4名が、シルワさんが主催する森林再生指導員認定制度で、座学と森林での実地研修を含め全課程を修了・試験に合格し、森林再生指導員に認定。一参加者として参加していた植樹祭から、チームを率いて指導するリーダーとしても活動するようになりました。

2021年 秋の植樹祭の様子


都市を緑化するほど、森に苗木が植わる

さらに森づくりに携わっているparkERsだからこそできる取り組みが何かないかと考えている中で、シルワ代表の川下さんからスリーツリープロジェクトの取り組みをお誘いいただきました。

例えばparkERsがオフィスデザインをご提案する際に、湘南国際村めぐりの森に植えているのと同じ苗木を導入いただくと、オフィスに植えたのと同じ本数の苗木が、次の植樹祭の時にめぐりの森にも植わり、森の再生活動に貢献できるという取り組みです。


実際に導入された例には、オフィス、フィットネスジム、自動車のショールーム、複合商業施設、マンションラウンジなど多岐にわたり、反響をいただいています。


苗木が植えられている、Honda ウエルカムプラザ青山(東京都・港区)


正面エントランスを抜けるとまず目に入るのが『ワイガヤの木』です。Hondaには所属部署や年齢の垣根を超えて、ワイワイガヤガヤと色々な立場の人たちが議論し、新しいアイディアを生み出す「ワイガヤ」の文化があります。それを世界中の植物を用いて表現しました。



もちろんみんな生きている植物なので、花が咲いたり、新芽が出たりと、訪れるたびに違った表情を見せてくれます。これらの植栽は、Hondaが拠点を置く数カ国を原産地とする植物や、青山の地域に自生する身近な植物を織り混ぜ構成しました。種類の異なる植物が根を張り合うことで互いにより強くなること、多様性が混在することで、より良い調和を生み出す空間をつくりたかったからです。Hondaウエルカムプラザでは、屋内外合わせて11種類86本の苗木を植えています。


parkERs プランツコーディネーター 森 大祐:

「実際にこれまで弊社のお客さまの空間に植えた苗木の本数は859本。面積にして約143.1平方メートルに及びます(※1平方メートルあたり6本の苗木を植えた場合)。わたしたちが植物のある空間をつくる中で、苗木を用いて植栽コーディネートを考えることは、都市で暮らす人々に心地よい空間を提供するとともに森も豊かにする仕組みづくりに繋がりました。本来あるべき豊かな森づくりとクライアントが求める空間づくりに同時に貢献できるのは、とてもやりがいがあります。


森ほどサスティナブルで人を含む生態系にポジティブな影響をもたらす存在はないと思うので、しっかりわたしたちの未来に残すためにこれからも新規プロジェクトへの導入や新たな企画に取り組んでいきたいです。」


“筋トレ”しながら未来の森をつくる!「森GYM」

月に一度の森の活動を2019年から3年以上続け、社内外のさまざまな方に、よりカジュアルに森の再生活動にご参加いただけるような方法を模索する中で、「森GYM(ジム)」構想が生まれました。

 

『森GYM』とは、室内でトレーニングをするのが当たり前なこの時代、自然いっぱいの環境の中で体を動かし、身も心も健康に鍛える取り組み。トレーニングメニューは、森林再生のための土壌づくりや資材の運搬などで構成しており、筋トレをすると同時に、未来の森を育むアクションにもつながっているのが最大の特徴です。

 

コロナ禍で開催を三度も延期してきましたが、2022年秋に第一回を実施。2023年春に第二回を開催しました。



parkERs プランツコーディネーター 堀部 真澄:

「参加したスタッフからは『普段接点のないメンバーとのコミュニケーションが生まれた』、『大自然に身を置き、一日活動したことで、新しいデザインやコンテンツを考えるきっかけになった』、『心もリフレッシュでき、筋肉も喜んでいる。環境にも貢献できて、一石三鳥の満足感』といった感想がありました。『環境のためにやるべき』より『楽しんだ結果、環境もよくなっている』という関係性はとても大切です。だからこそモチベーションは高まり、続けやすく、参加のハードルは下がっていくと考えています。」


森GYMを考案した、プランツコーディネーター 児玉 絵実:

「今回新しい企画にチャレンジしたことで、参加メンバーから今後試したいアイデアがさらに集まりました。わたしたちなりの環境貢献や、社員の健康を大切にする社内文化として育みつつ、今後は、社外のみなさまにもお楽しみいただけるような企画として、続けていきたいと思います。

近い未来、都心を行き交う若者たちが、「今週森GYM行った?」と会話しているような、かっこいいカルチャーにするのが目標です。」


空間デザインをお手伝いさせていただいたお客さまで植樹祭への参加に興味を持ってくださる方が多いのも事実。わたしたちの空間デザインを通して、今後も自然や森との距離を身近にするきっかけを届けていけるように頑張ります。




【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】

株式会社パーク・コーポレーション 広報担当:森

メールアドレス:parkpress@park-corp.jp




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