あのマスクを愛着あるものに。―川崎市立日本民家園「政府支給マスク藍染め体験」開催中－

川崎市多摩区にある川崎市立日本民家園の伝統工芸館では、2020年7月15日（水）～2021年3月31日（水）の間「政府支給マスク藍染め体験」を行っています。

川崎市立日本民家園は、古民家を永く将来に残すことを目的に、昭和42年に開園した古民家の野外博物館です。東日本の代表的な民家をはじめ、水車小屋・船頭小屋・高倉・歌舞伎舞台などを楽しむことができ、年配の方や家族連れだけでなく、最近では外国人観光客にも人気です。

この民家園内にある「伝統工芸館」では、手軽に染められる藍染めや昔ながらの伝統的な方法で建てた本藍染めなど体験することができ、ハンカチ、バンダナ、トートバッグの藍染めを楽しむことができます。

新型コロナウイルス感染の影響で、政府より全世帯に布マスクが配布されたことをきっかけに、今回新たに期間限定で「政府支給マスク」の藍染め体験会を始めました。

企画者である、伝統工芸館職員清水知子さんに、この企画の意図や想いなどを伺いました。

―「政府支給マスク」の藍染め体験を企画したきっかけは何でしょうか。

配布されたマスクがあまり活用されていないというニュースを見て、マスクを藍染めするという体験ができたら愛着を持っていただけるのではないか、と考えたのがきっかけです。実際に染めてみるとなかなか好評だったので、体験メニューとして新しく加わりました。

―他の藍染め体験と比べ難しいポイントなどありますか？

藍染めは、藍の葉を原料とした藍液に浸し、ひき上げて空気にふれさせ、酸化を繰り返しながら染色します。政府支給マスクの場合、面積が小さいので柄をつける手間が少なく、そういう点では簡単とも言えますが、柄付けのためにしばったりくくったりすることで布が縮こまって小さくなり、作業が難しくなります。もともと縫製されているものなので、一枚ものに比べると、布の重なり部分を広げて発色させる作業にやや苦労されているようです。

―これまでどのような方が体験されていますか？

コロナ感染防止対策として、1回の参加者数を5名までに制限していますが、7月15日から8月16日までの約1か月の合計で、91名の方にご参加いただきました。

7月中は大人の方だけで体験される方が多かったです。8月になり、夏休みの影響か、小学校低学年くらいのお子さまと保護者の方で参加される方が目立ってきました。いずれの場合も、女性の方が多く染めにいらっしゃいます。

―参加された方から何か感想などございましたか？

「みんなに自慢しよう」、「楽しかった」という声と共に、「柄をつけるところが少なかったので、もっとやりたい」、「また染めに来たい」といった、次につながりそうな意見がありました。中には何点か染められ、お友達にプレゼントするという方もいらっしゃり、マスク染め体験が藍の魅力に触れる良いきっかけとなっているようです。