アナログだったトレカショップのDX化を推進。トレカブームの仕掛け人が生み出したリユース特化型POSシステム「MOOV」誕生の裏側
POSシステム導入で、トレカショップを一気にDX化
株式会社コモンプロダクツは1992年に創業されたリユースショップ向けのPOSシステム開発会社です。近年はトレーディングカードゲームショップ(以降トレカショップ)へ多くのソリューション提供を行っています。
リユース特化クラウドPOSシステム【MOOV】は現在の主力商品であり、日本全国のトレカショップにご利用いただいております。あなたがトレカを購入するとき、中古買取を依頼されているとき、レジカウンターの裏側ではMOOVが稼働しているかもしれません。
今回、【POSシステム×トレカショップ】の仕掛け人であり、トレカブームを支えたひとりとも言える弊社取締役の中島裕介がプロジェクト誕生秘話とその裏側を語ります。
株式会社コモンプロダクツ 取締役 ソリューション営業部長 中島裕介
ゲームソフトPOSシステムからトレカショップの運営サポートへーープロジェクト発足の背景
弊社が開発するPOSシステムは一般的なタブレットPOS(注文、会計機能をメインとしたシンプルな機能が多い)と比べて、買取機能、買取・販売相場データを提供する事に特徴があります。
弊社の創業当時、1992年はちょうどスーパーファミコンが発売された年であり、どの町にも地元の子供たちやゲーマーが通う「町のゲーム屋さん」がある、まさにゲームショップ全盛期でありました。このブームに乗って、新規開業希望のお客様から、ゲームハード、ソフトの中古取扱に必要なシステムとして大変多くお問い合わせを頂き、弊社製品は日本全国へ導入を進めて参りました。
しかしながら、2000年あたりからゲームソフト販売やレンタルビジネスがメーカーの意向や市場の変化によりパッケージ販売から配信サービスに移行していくようになりました。その流れに比例してショップのパッケージ販売は減少、閉店する店舗も増えることに。弊社も利用先の減少により、経営が厳しい状況となりました。
そんな時、ある導入店舗から「POS利用店舗の中で儲かっている企業はないか?また、将来性のある良い商材はないか?」というご質問を頂きました。お客様も弊社も、新たなビジネスへの舵取りを迫られてました。
そこで、弊社とパートナー企業は最近子供たちの間で流行っている「トレーディングカードゲーム」はどうだろう?というアイデアから、共にトレーディングカードゲームショップ・コーナーの運営サポート事業を始めることに。ここに【トレカショップ×POSシステム】のプロジェクトが始まりました。
トレカショップの開業サポート開始と成功モデルの構築ーートレカ売買のPOS導入により、新規参入のハードルを下げることに成功。
プロジェクトのポイントとして、3つのサービスを主軸としました。
- トレーディングカードゲームショップの開業支援
- POSシステムで売買管理
- 商品、相場データの提供
当時売上不振が続いていたゲームショップ、レンタルビデオショップ、新刊書店等の業態に対してトレカショップ、コーナーの業態転換のご提案を行い、オープンから運営支援まで伴走。導入後は以下のような成果を生み出しました。
- 店内にカードゲーム対戦スペースを併設することで集客効果アップ
- POS管理することで数量の膨大なトレカという商材でも在庫管理が容易に
- 商品知識があまりなくても商品、相場データで商品の取扱いがし易い
今までは目利きのスタッフが知識と目で査定し、買い取るといった、いわばアナログ管理一辺倒だったトレカ売買ですが、我々のPOSシステムが「在庫管理が面倒」「カードの色違いバージョンなど、詳しくないと判別ができない」「平均相場を都度調べるのが大変」といった従来の運用ではカバーが難しかった部分を補填できたことで、新規参入のハードルを下げられたのかな、と思います。
また、トレカはメイン業態に付随する追加アイテムとして受け入れやすい商材でもありました。既存の営業中店舗へコーナー導入する形はマッチし、非常に訴求力があり、また店舗実績の改善に効果的、おかげ様でたくさんのお引き合いを頂けました。
他にも同時期に雑貨ショップ、古着ショップなど様々なジャンルで同様の業態提案を企画しましたが、中でもトレカは当時他社ではどこも取扱いがなく、いち早く「CARDBOX(カードボックス)」というチェーン店舗として日本全国に展開させる事ができた業態です。CARDBOXは現在では大手玩具メーカーイベントにも協賛したり、トレカユーザーに長年愛されるチェーンとして大きく成長できたことは感慨深いです。
POSベンダーから商品提供、運営サポートを含んだ業務提携型のソリューション提供企業へ
上記の業態提案スタイルをきっかけに、企業としての視野が広がったと感じています。これまでは、システムを提供する事に留まるPOSベンダーでしたが、商品提供、運営サポートなども含んだ業態提案型のソリューション会社へとシフトできたことが功を奏し、不振な経営状況から脱却する事ができました。
システム開発だけではなく、商材、店舗運営についても関わることでより広い視野を持ってソリューションの企画や営業提案ができるようになりました。
また、プロジェクトスタート後、導入するPOSシステムをローカルPOSからクラウドPOSに移行したのですが、その際にも利用する店舗目線での便利さを軸に企画立案が出来た為、現場目線の実用的なアップデートを行うことが出来ました。
売り場の清潔感を徹底、認知度アップイベント、店舗スタッフの接客教育ーートレカブームを支える多角的な取り組みと、施策の苦労
プロジェクト開始後特に苦労したのは、メインユーザーの来店促進です。
当時のトレカユーザーのメイン層は小中学生が中心でしたが、多くのトレカショップはマニア向けで入りにくい雰囲気の店舗が多かった印象です。その為、親御さん、学校、PTAからの印象は決して良いものではなく、近隣の学校から店舗への立ち入り禁止令などが出る地域もありました。メインユーザーが気軽に来店できないという環境には店舗も弊社も深刻な懸念を抱いていました。
そこで、運営支援の一環として以下の施策を行いました。
・売場のクリンリネスを徹底
=店舗のイメージアップ
・メーカーに協力を頂き公認イベント、ティーチングイベントを開催
=認知度、安心感アップ
・店舗スタッフ教育を行い、ショップの顔として接客力の向上
=店舗のイメージアップ、スタッフを慕っての来店客の増加
系列店舗の一例。清潔感ある居心地の良い空間を提供
ファミリーや女性、お一人様でも入りやすい、カフェのようなイメージの店舗も展開しています。各店舗スタッフに実施していただくには根気のいるミッションですが、各社、各店一丸となって、ユーザーに満足いただけるよう日々努力しております。
トレカショップPOS導入で、物流連携、ネット通販連携、商品検索アプリなど様々なソリューションをリリース。全国200店舗の導入も。
従来トレカショップの運営は非常にアナログな作業が多かったのですがPOS導入により、DX化を推進できました。弊社開発のPOSソリューションを軸に【新品物流との連携】【ネット通販連携】【POSの在庫データ連携できる商品検索アプリ】【買取強化チラシ作成アプリ】など弊社が支援するショップからのご要望を元に、多くのソリューションをリリースしています。
MOOV×連携ソリューションを使ってのトレカショップ運用例
開業支援としては、15年間で全国に200店舗の導入実績を残す事ができました。
ありがたいことに、トレカ販売元である玩具メーカー様とのタイアップの機会も多く頂けるようになり、現在ではメーカー公認特別ショップの運営やメーカー公認の大規模大会の運営まで出来るようになりました。
熱気であふれる大規模対戦イベントの様子
DX推進によるトレカショップの未来像。大手リユース企業とのデータ連携へ。
今後はトレカ以外のリユース向け機能にも力を入れていきます。
直近では大手ホビーリユース:駿河屋様とのデータ連携も開始しました。
トレカショップ向けの機能としては、店舗からのフィードバックを元にさらに実務目線でシステムを強化していきたいです。
弊社としては、トレーディングカードゲームはファミリーで気軽に来店できる、何世代にも愛される趣味であってほしいと考えています。折角ここ数年のトレカブームでユーザー人口も爆発的に増えたので、投資対象や転売対象といった扱いではなく、健全にトレカを遊べる場をこれからも提供していきたいですね。世代を超えてトレカを楽しみ、ショップに通って頂けることで、ユーザー、ショップ、メーカーが相互に作用して長きにわたって業界を支えあえる事を願っています。弊社のシステムが少しでもそのお手伝いができればと思います。
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