世代を超えて愛され続ける映画「戦場のメリークリスマス」の原作本『影の獄にて』。老若男女問わず多くのリクエストから復刊するまでの出版秘話
株式会社復刊ドットコムより、大島渚監督最大のヒット作であり、4K映像化もされた伝説の名作「戦場のメリークリスマス」(1983年公開)の原作本『影の獄にて』が復刊いたしました。
株式会社復刊ドットコムは、皆さまからのリクエストに応えて、絶版・入手困難となっている文芸書、絵本、写真集、イラスト集など様々なジャンルの書籍を復刊することを目的にした出版社です。国内随一の書籍復刊ポータルサイトとして、皆さまにご満足いただけるサービスを提供してまいります。
さて、これまで思索社(後に新思索社)より刊行されてきた書籍『影の獄にて』は、出版元である新思索社が2016年に清算したこともあり、2009年刊行の『戦場のメリークリスマス 影の獄にて・映画版:原作版 新装版』を最後に、書籍の形で原作を読むことはかなわず、長らく絶版状態が続いていました。
復刊ドットコムサイトにも、2001年より復刊を望むリクエストが入り、その後、映画4K映像化などの影響もあってか、老若男女問わず同書への復刊を望む熱いリクエストが数多く寄せられておりました。
起案者である、S田にインタビューを行い、『影の獄にて』復刊までのエピソードをご紹介いたします。
多くのリクエストを受け、タイアップ企画を書泉に提案
S田:『影の獄にて』は、映画「戦場のメリークリスマス」の原作本ということでリクエストが集まっており、気になる書籍のひとつでした。
当社はコミックやエンタメ要素の強い作品に強いこともあり、当時は文学作品の販売があまりなく、復刊したい気持ちと、販売した後、きちんと読者の方にとどけられるかというリアルな面での問題に直面していました。
しかしながらユーザーの皆様からたくさんのリクエストいただいていることから、なんとか復刊させたいと強く考えていました。
そこで、書泉グランデ様が【読みたいけれど、なかなか手に入りにくい本を出版社、著者、読者の方々と一緒に復刊させていく「書泉と、10冊」企画】を展開されていることから、別件の合同復刊プロジェクトの打ち合わせ時に、タイアップ企画として本書復刊を提案させていただきました。
もともとこちらの企画は、人文の分野において書店発でこのような試みが始まっていること、そして大きな実績を出されていることがたいへん興味深いと思ってチェックしていたという経緯もあります。
ちなみに、書泉グランデ様には即断で決めて頂けました。
クリスマスシーズンの販売に向け進む編集
S田:当時、私が他の業務を行っていたこともあり、編集実務は別の担当者に任せましたが、復刊化に至るスタートアップの部分(先行販売、条件交渉、リリースなど)は担当していました。
書泉グランデ様の方からは、映像商品、CD商品とともに販売を提案してくださるなど、担当者レベルで大きく盛り上がりがあったことも思い出のひとつです。
また、書籍の内容に合わせ、クリスマスシーズンにお客様に納品できるよう準備を進めました。
ちなみに、原著はパブリックドメイン(※権利切れ)でしたので、訳者(ご遺族)への許諾のみにて進めました。有り難くもご遺族から無事に了解をいただきまして、刊行が実現したという経緯です。
想定通りにいかない装丁、カバー案はトカゲのカバー
S田:せっかくなので、装丁には映画「戦場のメリークリスマス」の誰もが知る印象的なスチール写真を用いたいと考えましたが、諸々の理由で難しく、残念ながら断念しました。
そこで文字のみの表紙にする方向に転じ、代案として映画場面から人物に関係しないショットを抜き、そちらを背景にカバー案をいくつか作りました。
カバー案はその後、案を練り直し、最終的には現在の表紙であるトカゲをモチーフにしたものに決定しました。
最終的にカバーに用いたのは、映画冒頭のトカゲが出るシーンです。
「戦場のメリークリスマス」ファンには有名な話かもしれませんが、映画冒頭のシーンでトカゲが撮影時にうまく止まってくれなかったそうです。生き物相手ですから仕方ない面もありますが、大変だったのでしょう。
なかなか撮影が進まず、そのトカゲに大島監督がイライラして、「トカゲに3秒止まれと言え」「もっと演技のできるトカゲはいないのか、このトカゲはどこの事務所だ」とお怒りだったという逸話がある場面です。
意義は有名なテーマ音楽が使われている作品を書籍で復刊する事
S田:そうですね、普遍的な作品の広がりといった点でも大きな意味があるのではないでしょうか。
これまで思索社(後に新思索社)より刊行されてきた『影の獄にて』は、大島渚監督による1983年公開の映画「戦場のメリークリスマス」の原作本として知られていました。
出版元である新思索社が2016年に事業清算したこともあり、2009年刊行の『戦場のメリークリスマス : 影の獄にて・映画版 : 原作版 新装版』を最後に、書籍の形でこの原作を読むことはかなわず、長らく絶版状態が続いておりました。
しかし、そのような状況下にもかかわらず、映画「戦場のメリークリスマス」はもとより、あまりにも有名な坂本龍一氏が奏でる同作品のテーマ音楽は、いま現在でも多くの人が触れることができ、また多くのファンに愛されています。
そういったことからも、作品のベースとなる書籍を復刊する意義は非常に大きかったと思います。
販売後各書店で売り行き好調、SNSでも多くの反響の声
S田:反響はたいへん良かったです。
時期としては、映画「戦場のメリークリスマス」の4K化の流れもあり、リバイバル上映も続き、弊社の復刊リクエストも高まっておりましたので、良いタイミングだったと思います。
SNSを中心に多くの声を寄せていただきました。
先行販売となった書泉各店での売れ行きも上々と報告を頂きました。
2か月間の先行販売期間を終え、弊社で販売を開始した折にも、あっという間に品切れになりました。潜在的なニーズはもともと高かったのだと感じています。
書泉様の方にはまだ若干の在庫があると聞きます。ぜひお店に足を運んで頂ければと思います。
映像からでは読み取れない、書物を繰ることで先人の想いを考えられる
S田:訳者・由良君美氏の著作権継承者である、由良えりもさんからのコメントに【読者の記憶に刻まれるのは、登場人物の魂の苦悩と解放であって、彼らのカタルシスを追体験出来るのは、本書を手に取った人のみに与えられた特権である】というメッセージがあります。
時代が変わり、環境が刻々と変化していく中でも、人間としての本質は変わりません。私たちは先人が残した書物を繰ることで、物語で描かれたような戦争への深い反省も、例えば数千年前の市井の人の苦悩も、未来への展望も考えることができます。
いつでも手に取ることができ、映像からだけでは読み取れない、作者からのメッセージをうかがい知ることができる書籍『影の獄にて』を、ぜひ手元に置いて読み継いでいただきたいと願っております。
――ありがとうございました。
世代を超えて長く親しんでいただくためにも、ご購入は勿論、SNSなどで話題にしていただくなど、今後も皆様のお力添えをいただければ嬉しいですね。
普遍的な書籍『影の獄にて』、映画「戦場のメリークリスマス」、及び坂本龍一氏の音楽が、長く皆様のなかで愛されることを願ってやみません。
【商品名】
『影の獄にて』
【内容】
『影の獄にて』(原題:『The Seed and the Sower』)は、南アフリカの作家ローレンス・ヴァン・デル・ポストによる本で、語り手である「わたし」のもとに戦友だったローレンスがクリスマスの日に訪ねてきて、二人で戦中の体験を語り合うという内容。「影さす牢格子」「種子と蒔く者」「剣と人形」の三部作で構成。
元は第一部である「影さす牢格子」が『影の獄にて L・ヴァン・デル・ポスト選集 (1)』に所収され、1954年に思索社より出版。その後、第二、三部が増補される形で、映画編集版となる形にまとまりました。それぞれ、クリスマスの前夜、朝、夜としてまとめられており、映画のもとになったのが第一部「影さす牢格子」と第二部「種子と蒔く者」になります。
今回は1978年11月に思索社より刊行された『影の獄にて』を底本とし、新たな装丁・編集にて復刊をするものです。
【著者】
L・ヴァン・デル・ポスト 著 / 由良君美 富山太佳夫 訳
【価格】
2,200円(税込)
【取り扱い店舗】
書泉グランデ・書泉ブックタワー
芳林堂書店高田馬場店・芳林堂書店みずほ台店
書泉オンライン:https://shosen.tokyo/?mode=grp&gid=2909740
- 新装版『影の獄にて』
=2,200円(税込)
2.五感全てで体験する新装版「影の獄にて~戦場のメリークリスマス」セット
=12,000円(税込)
→新装版『影の獄にて』+「戦場のメリークリスマスBlu-ray DVD」+「サウンドトラックCD」
3.読むと映画もみたくなる「影の獄にて~戦場のメリークリスマス」セット
=8,500円(税込)
→ 新装版『影の獄にて』+「戦場のメリークリスマスBlu-ray DVD」
4.読むと聴こえる「影の獄にて~戦場のメリークリスマス」セット
=6,300円(税込)
→ 新装版『影の獄にて』+「サウンドトラックCD」
【判型】
四六判
【頁】
284 頁
【発行元】
株式会社復刊ドットコム
本件のお問合せ先:書籍内容について
復刊ドットコム 出版事業部 加藤/澤田
TEL:03-6776-7890
E-mail:info@fukkan.com
本件のお問合せ先:
書泉広報担当(株式会社書泉)長谷見/鈴木
TEL:03-3295-0011
E-mail:press@shosen.co.jp
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ