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Eテレで放送中『100秒でわかる名作劇場』とカードゲーム『レシピ』の異色コラボレーション、斬新なアイデアが実現するまでの開発ストーリー

著者: 株式会社ディレクションズ

100秒でわかる名作劇場レシピ』は、古今東西あらゆるジャンルの名作を100秒で紹介するショートアニメシリーズ『100秒でわかる名作劇場』と、料理がテーマのカードゲーム『レシピ』がコラボして生まれた、こどもたちが遊びながら物語を構成する要素を学べてしまう商品です。


動画コンテンツだけでは伝えきれない名作の魅力や情報を、別のコンテンツの力を借りて両輪で伝えていきたい。その私たちの思いにぴたりとハマったのが、ホッパーエンターテイメントさんの提供する『レシピ』でした。


そんな両社の出会いのきっかけは、驚くことに我が子が遊んでいたゲームでした。本ストーリーでは、『100秒でわかる名作劇場レシピ』誕生の裏側をお伝えします。

はじまりは狂言の前説、古典芸能の前説映像「100わか」誕生


「100秒でわかる名作劇場」(以下「100わか」)は元々、ディレクションズの社内開発プロジェクトとしてスタートしました。当初、映像化の対象としていたのは「能」や「狂言」といった日本の古典芸能でした。2021年当時、「能」や「狂言」は、日本を代表する舞台芸術ながら、古い言葉づかいや極限まで簡素化された舞台演出など、「理解するのが難しい」という先入観やコロナ禍も重なり、特に若い人やこどもたちの鑑賞離れが課題となっていました。

引用元:https://www.kakumei-hall.com/story.html

この課題を映像の力で解決する手段がないだろうかと考えました。

そこで、かねてよりお付き合いのあった茂山千五郎家の狂言師、茂山千之丞さんと茂山茂さんに企画と監修のご協力をお願いしました。

茂山家の舞台では、しばしば前説で演目のあらすじ解説が行われています。

この前説を短い映像に置き換えたら、映画の予告編のように、狂言を見たことがない人たちにも届いて、劇場に足を運んでくれる人が増えるのではないか?

そう考えて生み出したのが「【現代語訳】100秒でわかる狂言シリーズ」という、「100わか」の原型となる映像作品でした。

この時既に「100わか」の特徴である、いらすとやをベースにしたビジュアルや、早回しのナレーションといった演出が盛り込まれていました。

我々は、千之丞さん、茂さんが講師を務める小学校の出張授業に同行し、お二人の狂言の実演前にこの映像を上映させてもらいました。すると、映像を見た後に狂言の実演を見た子どもたちは大笑い。狂言が本来持つ「お笑い」という魅力がストレートに伝わったという実感を持ちました。そしてどの学校に行っても、児童や先生から「もっといろんなお話の映像を作ってほしい」との声をもらい、映像の実証効果に手応えを感じました。

小学校出張授業での上映風景

写真は茂山茂さんと鈴木実さん


偶然とご協力が重なり決まった「100わか」地上波デビュー

時を同じくして、社内で別のチームが「いらすとや」の生みの親である、みふねたかしさんとオリジナル映像コンテンツの企画・開発をしている最中でした。これは願ってもない偶然とチャンス!ということで、みふねさんに企画の趣旨を説明し、制作への協力を頂くことになりました。さらにその頃、Eテレの人気こども番組「ビットワールド」が、新たに展開するアニメコーナーの企画を探していたことを知り、企画を提案しました。すると番組側から「継続的に作り続けていくために、日本の古典芸能だけでなく古今東西の名作全般に手を広げてはどうか」と逆提案を受けました。こうして、短い期間でいろんな方々のご協力や偶然が重なり生まれたのが「100秒でわかる名作劇場」です。

動画には盛り込めない名作の情報性を伝えたい

「100わか」が果たすべき役割は、狂言シリーズから一貫して「原作や劇場への橋渡し

役」だと考えてきました。子どもたちの、名作や古典芸能、芸術に対する先入観や苦手意識を少しでも取り払って、原作や劇場に誘いたい。しかし、映像にはお話のあらすじ以上の情報を盛り込むことができません。

株式会社ディレクションズ プロデューサー志賀研介


物語の情報性を担保するためには、映像とは別のメディアでコンテンツを展開する必要がありました。そこで、最初に試みたのが書籍化です。

ところが、出版社に企画を持ち込んだものの、コンテンツの魅力が「100秒」と言うタイムパフォーマンスに焦点を当てていることもあり、文字化するだけだと情報量が少なくなってしまい書籍として成り立たず、逆に情報を増やそうとするとコンテンツ本来の魅力(タイムパフォーマンス)が失われてしまうというジレンマに陥ってしまいました。

その時、出版社の方がふと「これゲームにできたら面白いかもしれませんね」とおっしゃったんです。なるほどゲームか!この言葉が我々にとって大きなヒントとなりました。

きっかけは娘が遊んでいたカードゲーム

こうして「100わか」のゲーム化プロジェクトがスタートしました。とはいえ当初は具体的なアイデアもなく、スタッフが集まっては、ひたすらボードゲームやカードゲームで遊ぶだけを繰り返していました。そんなある日、自宅で娘のおもちゃ箱を整理していた時に目に留まったのが「レシピ」でした。「レシピ」は娘が通っていた保育園で大人気でした。ともだち同士で「明日もレシピで遊ぼうね!」と話題にしたり、家では「(別の種類の)レシピで遊びたい!」とせがまれたり、「レシピ」の不思議な魅力が気になっていました。さっそく家から「レシピ」を持ち出し、会社でスタッフと遊んでみました。“お題となる料理の具材を揃えた人が勝ち”というシンプルなルールながら、カードゲームならではの“相手の手札を読む”かけひきもあり、大人同士でも十分楽しむことができました。

試作版レシピで掴んだ手ごたえ、製造・販売元へオファーし商品化へ

ひとしきり盛り上がった頃、「これ料理の具材じゃなくて、お話の要素を揃えるってルールに置き換えられないだろうか?」というアイディアがふと頭をよぎりました。すると、若いスタッフが「できるかも。試しに作ってみます!」と手を挙げてくれ、なんと数日後に試作品を作ってきてくれました。

スタッフが作った試作版レシピ


試作品をプレイしてみると想像以上に面白い。「レシピ」特有のかけひきの面白さはそのままに、ゲームに勝つためにお話のあらすじが知りたくなる。つまり「100わか」を見てストーリーの内容を確認したくなる。

これはいけそうだ!と確信を得た我々は、すぐに製造・販売元であるホッパーエンターテイメントさんに連絡をしました。

『レシピ』開発者が感じた確かな可能性と初めての挑戦

ホッパーエンターテイメント 代表 小倉大輔

オファーをいただいた時、私自身『新しいレシピの可能性』に気づかせてもらい大変興奮しました。昔話をテーマにしたゲームの企画案や小売店様からの制作希望の声はありましたが、それは『レシピ』を使っての実現ではなく、新商品として考えていました。しかし、ご提案いただいた企画内容は、現状のレシピのルールでも十分お子様に楽しんでもらえる内容であったため、迷うことなく商品化することを決断いたしました。

レシピはこれまで『料理』をテーマにしてきましたが、『物語』をテーマにすることでこのゲームの特徴である『アイテムカード』の存在が手がかりとなって、物語の要点をわかりやすく伝えることができ、こどもたちの『物語に興味を持って理解し読み解く力』を養うことができるのではないかと思っております。

ただそれを形にするにあたり、ハードルもありました。ゲームである以上一度遊んだら終わりというのではなく、何度プレイしても同じ水準で楽しめるというバランスが重要になってきます。そのために8つの物語に共通する『アイテムカード』をいくつ、どんなキーワードで設定するのが適切なのか、何度も繰り返しテストプレイを行い、バランス調整を行いました。結果とても良い商品となり、販売店様やご購入者様からも「物語のレシピって新鮮で楽しいですね!」という評価をいただいております。

カードに仕込まれた二次元バーコードを読み込めば「100わか」の動画が視聴できる


今回は、ストーリーカードに二次元バーコードを配置し、スマホやタブレットで読み取る

と「100わか」の動画が視聴できるという、私どもにとって初の試みに挑戦しています。『新しいレシピの可能性』を実感できた素晴らしいオファーをいただいたと、関係者の皆様には大変感謝しています。

「100わかレシピ」今後の展開案

商品は発売されたばかりですが、続編ネタのストックは充分にあります。例えば、歌舞伎や狂言や落語を集めた『日本の古典芸能編』や、「ヴェニスの商人」や「トゥーランドット」などを集めた『戯曲編』など、一見こどもたちにはハードルが高そうな作品を集めたシリーズも展開できます。

「100わか」はゲームとアニメが表裏一体になることで、こどもたちと原作・劇場をつなぐ橋渡し役になるという理想に一歩近づくことができたのではないかと思っています。

ちなみに、アニメ「100わか」は4月からも引き続き「ビットワールド」で放送されます。新たな展開も用意しているので、こちらもぜひ楽しみにご覧いただければ嬉しいです!




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