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現役サッカー選手が作り上げた、ファンと子供たちへの絆のバッグ【TIES】セカンドキャリア問題への新しい切り口を実現した裏側。

著者: 株式会社BATON

出会い

 私は株式会社BATON(バトン)の代表を務める渡利ヒトシと申します。バトンはスニーカーやバッグなどのブランドを展開している会社です。今回はその中のLEKT(レクト)というバッグブランドがサッカー選手と共に作り上げたモデルTIES(タイズ)のプロジェクトストーリーをご紹介いたします。



 プロジェクトのきっかけは、2021年11月、当プロジェクトの開発パートナーである上山氏からの当社への問い合わせからでした。上山氏はアスリートを使った動画広告を制作しているディレクターであり、その時は当社への営業でした。以前より私はアスリートに対して尊敬の念を抱いており、このサービス内容に興味を持ったことで、商談のセッティングを依頼。商談内容は、当社のブランドにマッチすると思われる選手を上山氏より紹介いただき、そしてその選手が当社ブランドのPRを行っていただくという内容でした。その中で小池純輝という選手が紹介されました。


子ども達へサッカーを教える小池選手


 小池選手は個人としてプロサッカー選手でありながら、一般社団法人F-connect(エフコネクト)を立ち上げ、その運営を行っている選手です。そんな活動をされている小池選手に私は強く興味を抱くことになります。そして話を進めていくうちに、ただ彼に製品の広告塔としてアピールしていただくのではなく、より深い取り組みができないだろうかという思いが強くなり、上山氏に「彼と一緒に製品の開発などはできませんか?」と逆提案をしたのがすべての始まりです。


 そうした流れから彼個人ではなく、エフコネクトという団体と取り組みを進めることになりこのプロジェクトが始まりました。

F-connectとは 。サッカー選手が主体的に動き、向き合うセカンドキャリアの問題。

 そこでまずF-connect(エフコネクト)という団体について知っていただきたいと思います。それが私にとってこのプロジェクトを取り組む意図でもあるからです。エフコネクトは2015年にプロサッカー選手である「小池純輝と梶川諒太」2人の選手が立ち上げた一般社団法人であり、【フットボールで繋げる、フットボールが繋げる】をコンセプトに、子供たちになにかを伝えるという活動を行っている団体です。選手個人がチームの指示のもとではなく、自主的に児童養護施設を訪問、子供たちと一緒にサッカーをしたり、時間をすごしながら彼らに夢の大切さを伝え、定期的に試合に招待などを行っている団体です。そんな彼らの活動に共感した選手が年々参加し、今では十数名の選手がこの団体に所属しています。そして現在では長野県に畑を借り、その活動拠点として、エフコネクトの支援パートナーから改装された古民家を提供を受け(この春オープン予定)、エフコネファームという農園を運営。定期的に子供たちを招きながら農作業体験を行う活動も行っています。


F-connectホームページ

https://f-connect.org/


活動実績(コロナにより2019年まで掲載)

https://f-connect.org/watch/support-activity-report/


 私がこの団体を素晴らしいと思うのは、エフコネクトの基本的な支援活動はもちろんとして、選手個人が主体性をもって社会参加しようとしている点にあります。プロアスリートは社会人として一般的な社会との接点が少なく、アスリートのキャリアを終えた後にその後の社会活動が困難だといわれています。いわゆるセカンドキャリア問題です。この問題に対して選手自身が疑問を持ち、さらには社会課題に対して自らの意思で向き合うということ。その結果として自らの抱える課題と社会が抱える課題の両方にポジティブな影響を及ぼすアクションがとても素晴らしいという印象を受けたからです。



 そうした素晴らしい活動団体であるエフコネクトをより社会に知っていただきたいということ。そしてアスリートが抱えるキャリア問題を、私たち営利企業であるモノヅクリ企業と協業することで、新たな社会との接点、つまり商品開発や販売というビジネス行為が成されることにプロジェクトの意味を見出しました。

エフコネクトの過程を形にし、応援者へ還元されることを目指して。互いに協力する中で見えてきた方向性。

 バトンはエフコネクトと契約を結び、2022年2月、いよいよエフコネクトとの共同開発が始まります。オンラインでの初めての顔合わせ、実際にプロアスリートである小池、梶川両選手との打ち合わせは憧れからの緊張感を感じつつも、プロジェクトを成功させる為のステークホルダーとして目を向ける必要がありました。打ち合わせにおいて、小池氏が話すその言葉には誠意があり、その人柄は誠実と印象づけられました。ただ実際、プロスポーツの世界で歩んできたので製品開発というものがどういったプロセスを経て進んでいくかはわからない為、開発進行はバトンが先導しながら進め、その過程でエフコネクトにお願いすべきことは協力していただくという形をとりました。


 まずはじめに何を開発するのか。その議題に対してディスカッションを行った結果、エフコネクトの活動の具現化、そして応援してくれる方々へ還元をすることはどうだろうかということになりました。それは彼らが行っている主となる活動、つまり児童養護施設への訪問、そして子供たちをスタジアムに招待するという過程を具現化すること。そしてエフコネクトを支えている賛助会員の方々、スポンサーの方々、そしてアスリートを応援しつづけるファンやサポーターの方々。そうしたFコネクトを取り巻く周囲のつながりに還元していく。そんなプロダクトを生み出そうという話となりました。そこに我々の持つスキルを考えた結果として、バッグが最適なのではないかという結論にいたることになります。


 コンセプトは「子供たちが持ち、そしてスタジアムでの観戦にも最適である」こと。そのようなバッグを作り上げる為、バトンとエフコネクトで話し合いを進めました。そこでターゲットとなるユーザー。つまりここで言う、施設の子どもたち、スタジアム観戦者の生の声が必要であるということとなります。


 そこでまず児童養護施設の職員の方へのヒアリングを実施することになり、そのアポイントやスケジュール調整を選手に実際に行っていただきました。

学園職員とのヒアリング で感じた、子ども達の精神的・物体的な支えの存在。

 小池、梶川両選手のセッティングを経て、施設職員の方とヒアリングを実施。施設の子どもたちの生活の中での状況、必要とされている要素は何かを話し合いました。



 職員の方との話の中で印象的だったのは、家族のような関係性をもった施設での生活が、特例を除いて18歳以降入居をサポートできないということ。そのような制限もあり、施設内では活動的だった子どもたちが社会へに出た時、その支えを自分自身で行わなければならないという現実。このような状況の中、精神的な支えとなる存在になれないもどかしさがあるということでした。


 そしてもう一つ印象に残った話が、子どもたちにとって「ぬいぐるみ」の存在が案外大きいということでした。施設内には同年代、年上といった子供たちが多くいるためにぎやかで楽しい雰囲気がありましたが、目に見えないところでそれぞれの抱く感情があるものだと私は感じました。そんな状況においてエフコネクトの担う役割が、そんな彼らの支えにもなっているのではないか。そうした印象を感じました。



 ヒアリングではそれ以外にもバッグの形状、サイズ、使い方など普段使用しているバッグから施設の子どもたちにとって最適であるものは何であるのか、さまざまな意見をいただくことができました。

サポーターとのヒアリング。サッカー観戦に求められる様々な要件に応えることを目指して。

 次に選手を応援し、支えてくれているサポーターの方々にもヒアリングを実施。もちろんこのセッティングも小池選手らが中心となり実行していただき、普段からスタジアムに足を運ぶサポーターの方々が一体どんなアイテムを持っているのか、また既存のバッグへの不満点など、詳細に意見をいただきました。



 話をしていくと、サポーター(ファン)の方々がスタジアムへ応援に行くときに持っていくアイテムに共通している点が多いことがわかったのですが、スポーツ観戦用バッグなるものは存在していないこともわかりました。また、スタジアムという特殊な状況下においても独特の問題点が見えて来ました。例えば屋外の観戦において、季節によって必要なものが変わるということです。雨の多い季節だと、雨具が必須であり、またバッグを置く場所も限定的であるということ。冬の寒い季節の場合は、毛布だけでなく、スタジアムのシートの多くは樹脂製であることから、座った時に冷えるのでクッションを持参しているということ。他のバッグ開発ではあまり見られない課題が、スタジアム観戦にはあったということが見えてきました。



 最後は選手自身にもこのバッグをどうしたいかのヒアリングを実施。選手自身が、周囲の子どもたちのこと、サポーターやファンのことを思い、こういうバッグがいいのではないかという思いを打ち明けていただきました。

ヒアリングを重ね見えてきた仕様を、ついに実現。多くの想いに応える新しいバッグの形。

 そうしたヒアリングを重ねてバッグの仕様が定まり、サンプル製作に取り掛かります。


 施設にくる選手とのつながりがいつでも感じられるように、子どもたちの支えとなり続けられるよう。バッグの中の目立つ位置にある製品タグにはサインが描けるようになっており、そしてその下には選手カードが収まるように設計されたクリアポケットが配置されています。また、子供から大人まで、誰が背負っても違和感のないようにサイズ感やバランスを整えました。



 そしてリュックを背負ったときのハーネスを兼ねた取り外し可能なシートクッション。スタジアムの座席下に収まる本体サイズの設計、収納時において地面と擦れる箇所は丈夫な生地を採用しています。外装は推しの選手やチームのキーホルダーを取り付けるループ。その他にも共通する応援アイテムが収まる大きさやポケットを配置した仕様となっています。



 それらに加えて、普段使いでも使いやすいようシンプルですっきりとしたデザインとなっています。普段、学校や仕事にも使えるようにもう一つのファスナーはノートPCやタブレットが収納できるポケットがあり、応援グッズと干渉しないように設計されています。これで仕事帰りにもスマートにスタジアムに行くことができます。



開発から2年を経て、ついにクラウドファンディングへ

 これらの仕様を踏まえたサンプルが上がってくると、小池、梶川両選手にも確認いただき、本体の材料や内装の色など、ユーザーが使っているシーンをイメージしながら、コメントをいただきました。そして細かな修正を重ねながら、子どもたち、サポーター、ファンにとってのバッグが完成。その後、先行モニターのために少量生産を行い、それぞれの子供たちやサポーターの方々にバッグを使っていただき、現在の仕様で問題がないかモニターを実施。数か月の使用を経てエフコネクトのファンミーティングの場で使用していただいたユーザーへのヒアリングを行いました。そのヒアリングで良い評価を得ることができた為、いよいよこの製品を販売していこうという話になりました。


TIES 商品詳細ページ

https://lekt.jp/pages/f-connect-lekt

クラウドファンディングは4/16(火)を予定しております。


 その際に、ブランドのオンラインストアや取引先の販売店などで販売をすることも考えたのですが、このプロジェクトをより多くの方々に知っていただきたい為、私たちはアタラシイものや体験の応援購入サービスである「Makuake(マクアケ)」で実施することにしました。


 今回のプロジェクトはバトンとエフコネクトがお互いの強みを活かしながら誕生したバッグです。それは小池選手、梶川選手、他のエフコネクトの運営陣、児童養護施設の職員の方々、そしてファンやサポーターの方々の協力で生まれた絆のバッグとも言えます。私はその生み出されたバッグを、選手、サポーター、子どもたちとの結びつきから生まれた意味を込めてTIES(タイズ:絆、つながりの意)と名付けました。この絆のバッグがマクアケを通じ、エフコネクトの活動とそして活動のキーであるプロアスリートたちが社会との接点を生み出す新たな選択肢として選ばれるように、この取り組みを知って応援していただきたいと考えています。


応援いただく皆様へ

 今回マクアケで販売するにあたり、応援購入いただいた皆様の総額に応じて、プロジェクト終了後にこのバッグを福祉施設に提供することにいたしました。提供先はエフコネクトが訪問する施設や、それ以外でお声掛けいただいた施設の方々を想定しております。具体的には500万円で50本、1000万円で125本といった形で金額によって本数が加算されていく形となります。また売り上げの一部をエフコネクトの活動資金に充て、これからのアスリートの社会活動の受け皿の一つとなれるよう今後に活かします。


 皆様の応援によって購入されることよって、人のつながりが拡張され、社会に良い循環を生みだせることとなれるようなプロジェクトなりたいと思います。

LEKTについて

 LEKT(レクト)はバトンが手がけるバッグブランド。コンセプトは「誰かが本当に必要としているバッグを生み出す」それは多様化されたライフスタイルにおいて、これまでの最大公約数的なモノヅクリではなく、特定の個人が本当に必要とするものは結果的に多くの人にとって必要とされるものであるという考えのもと、製品開発において主体者がほしいと思えるバッグを具現化するスタンスです。


 最近手がけた製品ではマーケティング会社のdrip(ドリップ)と手がけたマクアケで9000万円強を達成したfloorpack、クリエイティブユニットのTENT(テント)と開発した洗えるバッグVEILがあります。こうした体制で、これまでにないバッグブランドとしてLEKTは存在しています。




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