沖縄のサンゴ礁保全活動に取り組むザ・テラスホテルズ。地域や研究者と協働し、海の生態系の改善をめざす市民参加型のプロジェクトとは
日本の南、沖縄本島を基盤にホテルを展開するザ・テラスホテルズ。1997年にフラッグシップホテルであるザ・ブセナテラスの開業以来、「自然との調和、自然への回帰」をコンセプトに、沖縄の気候風土に即したファシリティーや礼節を重んじた温かなもてなし、洗練された空間とゆったりと流れる時間を演出し、「テラススタイル」と呼ぶ独自のリゾートライフを提供してきました。また一方で、沖縄で誕生した企業として、沖縄の自然を最大の財産として捉え海洋環境を保全していく活動を行っています。
部瀬名岬全景
沖縄の美しい海と生態系。その基盤となるサンゴ礁の衰退を止めたいという思い
沖縄県本島、西海岸地区の一部は国定公園として指定されており、なかでもザ・ブセナテラスが立つ名護市字喜瀬は稀少なサンゴや色彩豊かな魚類が豊富に生息し、「海域公園地区」として指定されています。
しかしながら近年は地球温暖化やオニヒトデによる食害など、さまざまな要因により沖縄県のサンゴ礁は減少傾向にあり、その対策を講じる必要がありました。サンゴ礁はその美しさのみならず多種多様な生物の棲家であり、魚の産卵や稚魚の育つ保育場として、海の生態系に大きく関わるからです。
沖縄県内では過去30年近くさまざまな形でサンゴの養殖移植が行われてきましたが、従来のサンゴ植え付け方法にはいくつかの課題があり、大きな成果に繋がりにくいのが現状でした。改善、解決すべき課題は、海洋環境にあったサンゴを選択すること、サンゴの生育環境を整えること、管理費や作業費、材料費などのコスト低減です。
1970年より部瀬名岬にその地を構えるブセナ海中公園(沖縄観光コンベンションセンター)では、課題を克服しサンゴ群落を再生させるべく、2021年よりサンゴの植え付けを同公園海域で開始しました。また、翌2022年からは当社も共同で植え付け活動を開始。そしてその活動がアラムコ・アジア・ジャパン株式会社による「アラムコ沖縄サンゴ礁保全基金 サンゴ養殖移植助成事業」として採択され、ブセナ海中公園において3年間をかけてサンゴ種苗の育成、植え付けのプロジェクトを実施することとなったのです。
アラムコ沖縄サンゴ礁保全基金 サンゴ養殖助成事業報告会(2022年6月)
プロジェクトを始動するにあたり、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会に関わる研究者や、長年保全活動に従事してきた方々が協力をしてくれました。直接ブセナ海中公園に足を運び、スノーケリングによる各種サンゴの生育状況の調査や、植え付けを行うサンゴの種類や、手法の決定提案など、多くのご尽力をいただいたのです。
そして関係者の努力が実を結び、2023年3月、助成支援によりシコロサンゴ78個、エダコモンサンゴ30個、合計108個のサンゴの植え付けを行うことができました。今後の植え付けについても沖縄県内各関係部署に申請し、準備を行っています。
ボンド法による植え付け作業の様子
小型テトラポッドの活用など、植え付けの新たな方法を考案
海外で提案されている手法や、沖縄で観測されたサンゴと海藻の共生関係から着想を得て、新しい手法での植え付けにも取り組んでいます。
従来はボンドを付けたサンゴを海底に付着させる「ボンド装着法」という手法が一般的でした。しかしこの方法はボンドが固まるまでの限られた時間で行う必要があることから、サンゴを付着させられる海底範囲が狭い、というマイナス面がありました。そのため、今年はテトラポッド状のものをサンゴの近くに設置し、サンゴの卵を付着させ、生育する方法を検討しています。
また、水草と共生し海底に付着するサンゴや、比較的高温に強いサンゴなど、その場所にあったサンゴの選定や簡便な植え付け方法を組み合わせることによって、畑の種まきのような感覚でサンゴを殖やせるようになることが目標です。
簡易で低コストな手法が確立すれば、多くの方にサンゴの植え付けを楽しんでいただけるようになるでしょう。日本ではまだ積極的な環境活動は少ないのですが、海外では20万個体以上のサンゴを植え付けている事例もあります。ザ・ブセナテラスでは15年にわたりタマン(ハマフエフキダイ)の稚魚放流を行っており、多くの宿泊者や市民の皆様に参加していただいているほか、サンゴやビーチ砂などの生態系について学ぶサマースクールなども昨年より開始。今後サンゴについても観光客や地元市民の皆様とともに、楽しみながらサンゴ保全活動を体験する・・・そのような事業に繋げていきたいと考えています。
部瀬名岬で採取したサンゴを観察するサマースクール
タマン(ハマフエフキダイ)稚魚放流の様子
美しい海とサンゴ礁と海の生態系を守り、次世代につなげていくために、私たちは何ができるのか?ザ・テラスホテルズはこれからも模索し、周囲の皆様と協力をしながら、沖縄の自然環境を守るための活動を活動を続けてまいります。
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