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「CoCoRo Plus」誕生から15年。スーパーから飛び出したコスメ&バラエティショップの軌跡

著者: 株式会社平和堂



株式会社平和堂は1957年に滋賀県彦根市で創業以来、滋賀県を中心に関西、北陸、東海の2府7県でスーパーを展開。地域の皆様のあらゆるライフスタイルに関わる「地域密着ライフスタイル総合(創造)企業」を目指しています。


総合スーパーや食品スーパーの印象が強い平和堂ですが、実はコスメ&バラエティショップやキッズ用品のショップなど、他社が運営する商業施設にテナントとして出店するショップブランドの展開も行っています。


その代表であるコスメ&バラエティショップ「CoCoRo Plus(以下、ココロ+)」は、2009年に平和堂が運営するビバシティ平和堂で誕生して以来、今では合計40店舗、テナントとしても17店舗を展開するまでに成長し、今年で15周年を迎えました。


今回は、ブランドショップ開発のきっかけやココロ+のこれまでの歩みについて紹介します。


「自由にやってみて」。上司の後押しでブランドショップ開発を担当

当時、セルフ化粧品では自主編集売場を展開していましたが、お取引先様主導の仕入れ、売場展開だったため思うように売れず在庫のコントロールにも課題がありました。何とかしないとと考えていた矢先、上長から「自分たちでブランドショップを開発して、大手専門店のようなコスメを取り扱う30坪くらいの郊外型バラエティショップを創ろう。自由にやってみて。」と、ココロ+の立ち上げを任命されました。


バイヤーとしての経験もまだ浅く、ましてやブランドのことなどわかりません。しかし自由にやって良いという言葉に「面白そうだな」と感じた私は、上司に促されるままにブランドコンセプトや商品構成を考え始めました


ドラッグ化粧品課バイヤーとして、ココロ+開発・外部出店に携わった深田桂子

(現在はカスタマーリレーション部長)


大阪や京都に行かなくても、欲しいコスメが買えるブランドショップ

当社の旗艦店舗であるビバシティ平和堂(滋賀県彦根市)にココロ+を展開することは決まっていたので、まずは「トレンドのプチプラコスメが大阪や京都に行かなくても買えるお店」にしたいと考えました。当時は今ほどインターネットも普及しておらず、彦根にお住まいの方は量販店で販売されるまで待つか、大阪や京都に行ってコスメを購入されていました。そういう方に向けてココロ+に「欲しかったものが置いてある。ここでも買える。」と思ってもらいたかったのです。


20ー30代の女性をターゲットに設定し、宝探しのようにワクワクするバラエティに富んだ品揃えを目指しました。そこでスキンケア、メイク用品、ヘアケアなど標準的なコスメ以外に、流行りのぬいぐるみやステーショナリーなど、「これなに?」とお客様の目を引くものを少しだけ加えました。


将来的にココロ+のお店が待ち合わせ場所になる、ちょっとした隙間時間にも行きたい、かわいくて明るいお店をイメージしていましたので内装にもこだわりました。


女性が好きな「かわいい」を表現するために、ブランドカラーをピンクとホワイトに。そこに花柄を組み合わせ、やわらかく明るい雰囲気を演出


ただ正直、いくら自由にやって良いと言われているとはいえ、自分の考えは合っているのか、不安になることもありました。しかしオープン準備中の売場の前を通りがかった女子高生が「なにこれ、めっちゃかわいい~。オープンしたら絶対行こう。」とココロ+の店構えを見て話している姿を見たときに、「これで合っていたんだ!」と確信。あのときは鳥肌が立つほど本当に嬉しかったです。


1年かけてつかんだ「ココロ+らしさ」は、店づくりだけではなくサービスにも浸透

ビバシティにココロ+がオープンしてからの一年間は、売場に入り込んでお客様の声を拾い続けました。なにせ初めての試みのため、どんな商品がお客様に支持されるかわかりません。スキンケアは定番として、メイクと雑貨はいつ来ても目新しいものがあるように、週に1回は市場調査に出かけて自分の目でトレンドを確かめて、品揃えに反映させました。


ただ、立ち上げ当初から満足いく品揃えができたわけではありません。お取引先様と交渉を重ね、ココロ+が目指すものやこだわりをお伝えしながら、都度、品揃えを進化させていきました。


1年が過ぎた頃、アル・プラザ金沢(石川県金沢市)に2店舗目を出店することになりました。今後の店舗展開や運営を考慮し、壁面を背負わず、平場と隣り合わせにしたコーナーとしてココロ+を展開しましたが、売上は予想を大きく下回る結果に。当時は在庫が滞留したり売場の運営がうまくいかず本当に苦労しましたが、店構えや運営方法など、ブランドショップとしての在り方を考えるきっかけとなりました。




実はビバシティのココロ+の売上はオープン当初から好調に推移していたため、早く2店舗目を出店したい気持ちがあったのですが、今になって思えばあの1年があったからこそ、じっくりとお客様一人ひとりに向き合い「ココロ+というブランドはこうあるべきだ」という思いをメンバーと共有し、その後の基礎を築くことができたのだと考えています。


またココロ+で働くメンバーに対して、化粧品の知識や商品をお客様に簡単にアドバイスできるように勉強会を開催しました。あくまでココロ+はお客様ご自身で楽しみながらコスメを試し、選んでもらうバラエティショップです。ちょっと迷ったときに「どっちがいい?」と相談できたり、新しいコスメを試すときに「どうやって使うの?」と、少しだけ手伝ってくれるような接客ができるようメンバーを育成し、ココロ+のファンづくりに努めました。ココロ+がターゲットとする20ー30代は、好きなコスメやスキンケアを色々試してみたい年頃であり、そういうライトな接客が心地よいだろうなと考えたのです。


制度化粧品を扱う「Beaute Marche」


しかし40代になれば、ココロ+のコスメだけでは解決できないお肌の悩みが出てくるはず。そうなれば、当社の強みである制度化粧品の出番です。より専門的な知識やスキルで年齢に合ったスキンケアやメイク用品をお勧めします。さらに50代、60代となり美容だけではなくて健康に関するお悩みが出てきたお客様には、化粧品だけではなく様々なサプリや医薬品などのドラッグで健康をサポートする。


こんなふうに、お客様のライフステージやライフサイクルに応じて、一人のお客様に長く寄り添っていくことが、当社が目指す「地域になくてはならない存在」につながると考えました。現にいまは、20ー30代をターゲットとするココロ+、制度化粧品を扱う「ボーテマルシェ」、美容と健康、介護用品まで扱う「ビューティーロード」という3つのブランドを展開しています。


美容と健康、介護用品までを扱う「Beauty Road」

出店候補地に窮してひらめいた、社外の商業施設への出店

自社店舗の中で順調に出店を続けていたココロ+でしたが、あるとき、収支を考えると出店できる売上規模の店舗が社内には残り少ないことに気づきました。危機感を感じ次の一手を考え始めたころ、たまたま出張先で通りがかかった商業施設で空き店舗となったテナント区画を見つけました。


「こういうところに出店するなら、家賃はいくらくらいでしょうね」と上司に話した何気ない一言から、「社外の商業施設に出店できたら面白いよね」と徐々に会話が発展。それまで市場調査では商品や店づくりを見ていましたが、物件や立地、人通りなど見るポイントがガラッと変わりました


外部出店一号店となったCoCoRo Plus MOMOテラス店(京都府京都市)


とはいえ、はじめは軽く探るつもりで、たまたま出会った社長の夏原に「ココロ+を外部の商業施設に出店できたら面白いと思いませんか?」とさりげなく尋ねました。すると「いいねえ、面白い」と予想外の返答が。これはもう半分内諾をもらったぞと思って(笑)社内の色んな部署に情報を集めにいきました

その後、無事に外部出店(以下、ショップ店舗)の社内承認が下り、夏原からは「いきなり大きく投資せず、まずは身軽に始めてみるのが成功の秘訣だぞ」と直々に経営者視点のアドバイスをもらい、ショップ店舗一号店となるMOMOテラス店(京都府京都市)がオープンしました。

ショップ店舗出店で、平和堂の外に出ていくことの厳しさを思い知ることに

商品部でドラッグ化粧品課チーフバイヤーを経て、現在はショップ事業部ショップ開発推進課長としてショップ店舗に携わる村下朗夫


無事にオープンを迎えたMOMOテラス店でしたが、当初の売上は予想を大きく下回り、これはやばいぞと思いました。施設全体のお客様は多いし、売場にもお客様はいらっしゃる。それでも売れず、これまでのココロ+と何が違うのかと考えて、思い至ったことの一つは平和堂のポイントカード「HOPカード」の存在。


これまで自社店舗のなかで展開していたココロ+は、平和堂やHOPカードの恩恵を受けていたのです。社外で勝負するとはこういうことかと気づいた瞬間でした。今考えれば、我々商品部は仕入れや売場作りには長けているけれど、お客様を呼び込むという点に関しては弱く、いかに平和堂の看板やHOPカードなどの販促に頼っていたかを思い知りました


まず認知度を上げるためにお取引先様の力を借りてイベントをしたり、推奨販売をしたり。あの手この手であらゆることを試した結果、1年ほどかけて売上は徐々に伸びていきました。コロナの影響を受けて休業を余儀なくされた店舗もありましたが、その後、念願のららぽーと様、イオン様が運営する店舗への出店が叶い、徐々に店舗数も増加。出店を重ねるうちに、ショップ店舗の出店を進める部署が発足し、組織、人、経験値が揃うにつれ、店構えや見せ方もより専門店らしくなっていきました。


鞄や雑貨を展開する「GOODS DEPO四日市泊店」(三重県四日市市)


現在は、標準的なココロ+の売場面積や目指す売上規模を出店条件としながらも、条件と異なる面積の大きな店舗や売り上げ規模の小さい施設にも出店できるよう、社内で取り扱う他のカテゴリーの品揃えをプラスする「プラスストア」での出店の実験をスタートしています。


プラスストアでの出店はもちろん、現在並行して進めているキッズライフスタイルショップ「kids fest」や鞄や雑貨を展開する「GOODS DEPO」の出店も、総合スーパーを展開する当社だから実現できること。ありがたいことにこれらのショップは複数の商業施設から出店要請をいただくほど潜在的なニーズがあることがわかっていますが、まだまだ実験段階のショップです。これから、それぞれの商業施設で必要とされる品揃えは何か、しっかり見極めながら各店舗を磨き上げていきたいと思います。


キッズライフスタイルショップ「kids fest モレラ岐阜」(岐阜県本巣市)

原点に立ち返り、さらなる進化を目指す

ブランドショップを立ち上げた15年前、コスメ&バラエティショップはまだ珍しくココロ+は他よりも抜きんでていました。しかし近年はコスメを取り扱う専門店が増え、ココロ+を取り巻く環境は大きく変化しています。「他のショップよりもココロ+が良い」と、お客様に選んでいただけるショップとなるために、これからのココロ+にはもう1ランク上の店づくりが必要だと考えています。


その要となるのは、メンバーの育成です。どうやってお客様に店頭で喜んでいただくか、いかに選ばれるお店になるか。今一度、原点に立ち返り、我々が得意とする制度化粧品のような美容のプロのエッセンスを取り入れながら、ココロ+だから実現できる品揃え、サービスを提供できればと考えています。いつの日か平和堂から完全に独立・自立した日本一のコスメショップとなることを目指し、ココロ+はこれからも進化を続けていきます。




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