育児当事者になってわかった「選べる」ことの大切さ〜社長が時短勤務をしたら、スーパーフレックスタイム制度を導入することになりました
代表の前田が東京大学在籍時代から行っていた研究の成果をもとに創業したアーバンエックステクノロジーズ(以下 アーバンエックス)は、創業から丸4年を迎えた企業です。スタートアップということもあり、福利厚生や社内制度が万全に整っているとは言い難いのが本音ですが、これまでに男性の育休所得者が2名、また創業以来初となる産休取得者も生まれています。
そんなアーバンエックスは創業者である前田も、昨年11月に第一子が誕生しました!それに伴い、2024年1〜3月の3ヶ月間は「時短勤務に挑戦する!」と社内に宣言。まだ10名強の会社組織の代表が時短勤務をするというのは大きな決意です。しかし、結果的にはプラスの効果がありました。
今回のストーリーでは、代表 前田の実体験をもとに感じた「時短勤務は解決策ではない」というお話しと、2024年3月1日からスタートした「スーパーフレックスタイム制度」についてお伝えします。
(話し手:代表 前田、聞き手:バックオフィス 谷)
参考にしたのはサイボウズの青野さん。時短勤務を社内に宣言
— 時短勤務への挑戦、お疲れ様でした。今回の働き方の変更は、どのような経緯で決断に至ったのですか?
色々とご協力ありがとうございました!今回の時短勤務への挑戦を決めたのは、子どもが生まれた”後”でした。前々から決めていたわけではないんです。そもそも、アーバンエックスはリモートワークを導入しているので時間の融通は効きやすいと思っていましたし、私は代表取締役なので、雇用契約ではなく、時短勤務を宣言する必要もありません。しかし、実際に子どもが生まれてみて、明確に「勤務時間を調整する必要がある」とわかり、「常に業務をしている」ことを前提とした働き方を変える必要がありました。そこで、会議やアポを極力減らし、家庭とのバランスを整えるために社内に宣言しました。
— この決断に当たって何か参考にされた事例などはありますか?
サイボウズの代表である青野さんの事例を参考にさせていただきました。青野さんは3度にわたって育休やワークスタイルの変更を試されていました。第一子の時に2週間、第二子の時は週1回の育休を半年間、第三子の時は16時終業の時短勤務を半年間とられた* とのことです。
最終的に私の場合は、仕事を完全に離れるのではなく、10:00~15:00の時短勤務を宣言するに至りました。
*出典:朝日新聞デジタル, 2019年12月16日, サイボウズ青野慶久さんが育休をとって考えた 子育てと経済の意外な関係
— このような働き方に対して、ご家族の反応はいかがでしたか?
家族以上に、私自身の意思が強かったんです。私個人の信念として、人生の優先順位はまず「自分」そして「家族」なんです。その後に仕事が来ます。
- 自分
- 家族
- 使命
自分の状態を含めて、人生の基盤がしっかりしていないといい仕事ができないと信じています。だからこそ、子どもの成長に寄り添うことは自分自身のためでもあり、家族のためでもありました。
実際にやってみてわかる予測不能なスケジュール
– この働き方をスタートしてから、良かったことと、ストレスを感じたポイントを教えてください。
良かったことは、「幸福感」が得られたことです。子どもと一緒にいる時間は何にも変え難いですね。また、家族にとっても「常に誰かが子どもに付いている」というのは安心感に繋がりますね。結果的に、日々大変な子育ての中でも、家族みんなご機嫌でいやすい環境になったのではないかと思います。
一方、当たり前ですが仕事との両立は大変であることを身をもって実感しました。宣言した時間での業務遂行を守っていくことは不可能に等しかったです。日々刻々と仕事の優先順位は変わるので、決められた時間でやりくりすることは難易度が高すぎます。
会議の時間をうまく調整したとしても、会議を実施した結果によって、優先順位や割り込みタスクが生じますよね。会議時間の設定が問題ではなかったんです。もちろん時短勤務期間中も、重要なアポイントや面接日程については時間に関わらず対応するとも伝えていました。ありがたいことに、この期間中は面接が多く生じたことで、より時間のやりくりは日によって変わることになりました。
— 結果的にもう時短勤務どころではなかった…と?
そうですね。日々色々と試行錯誤しながら、早朝05:00〜07:00と20:00以降の2回に分けての勤務に移行していきました。食事の用意などが被る時間帯にワンオペを避ける形です。ただ、個人や家族、仕事の状況によっては時短勤務が有効な場合があると思っており、この話は今の私、家族、仕事の状況のなかでは一番フィットしたということです。
こんな経緯をたどった結果を社内に共有したら、他のパパ・ママ社員も同じような悩みを抱えているという声が届きました。やってみたからこそわかることって多いですね。実際に体験してみた結果「働き方を選べる」ことの大切さを感じ、スーパーフレックスタイム制度の導入を推進していくことにしました。
これまでもフレックスタイム制度(コアタイム有り)は導入していたのですが、定例会議がコアタイム外に入っているチームがあり、コアタイムの意味がなくなっていました。ルールを遵守するのが難しいなら、ルール自体を変更すればいいですから。
予想外?株主の声が後押しになっての”時短”
— 今回の育休については周囲からも大きな後押しがあったと聞いています。
今回の取得に当たっては、株主の皆様にも事前に相談をしました。当社は東大IPC様をはじめ、ANRI様、三井住友海上キャピタル様といった複数社の株主に支えていただいているのですが、相談を持ちかけた際、全ての株主に「絶対に取得した方が良い!」と背中を押してもらえたんです。ここまでポジティブな反応は予想外でした。
株主の皆さんも子育てを経験された方が多く、同じ立場を経て仕事をされているからだと思います。スタートアップの大事な時期に家庭のことまで気にかけていただいたのはありがたい限りでした。
実際制度が始まってどう?社員にも聞いてみた
— ここで実際にこの制度が導入されたことで、社員はどう感じているのか。子育て中の女性社員に聞いてみました!
答えてくれたのは、営業ユニットの松本さん
制度が始まっても、大きく私たちの働き方に変化が起きたわけではないんです。今回の制度改定は「実態に合わせた」というのが本当のところなので。ただし、会社の拡大において、制度化は大切だと最近気づきました。
アーバンエックスは組織が拡大中で、私のチームにも新しいメンバーが入ってくれています。制度化されていなかったこれまでは「ご自身の判断で」「周囲に迷惑がかからなければ」「よしなに」と曖昧な回答で濁してきました。
しかし、今は堂々と「コアタイムのないフレックスタイム制です」といえます。スタートアップにとって制度化の恩恵はこういったところにあるのですね。
全てはミッション実現のために
— 最後に、改めて前田さんにスタートアップと制度について聞いてみたいです。スタートアップはスピード感を持って進める一方、制度の整備は後回しになりがちです。この辺りの前田さんのお考えを聞きたいです。
会社には「ミッション・ビジョン・バリュー」があり、その下に全社戦略、プロダクトの戦略があります。。それらの実現のために社員が属する会社組織があるわけです。私は基本的に「規律はミッションを守るためにあるもの」だと考えています。なので今回の制度も含めて、ミッションに少しでも近づくことを信じての整備です。
アーバンエックスは「しなやかな都市インフラ管理を支えるデジタル基盤をつくる」をミッションに掲げています。「都市のインフラ」は、当たり前ですがとにかくたくさんのひとが使うものです。こういった公益性が高い事業領域で活動する企業だからこそ、組織自体も社員にとって幸せになれるインフラにならなければいけないと考えています。
さらに、幸せになれるインフラを持った会社で多様な人が活躍できるようになることは、想像力が高い組織になることにつながると思います。インフラは不特定多数が使います。多様なユーザーのことを思い浮かべられる組織でありたいですよね。
だからこそ、アーバンエックスとしては「バリバリ働きたい人」も「子育ても頑張りたい人も」、誰にとってもフェアであり、活躍できる環境を作りたいと考えています。そのための制度整備は惜しまないつもりです。
— 前田さん、ありがとうございました!
アーバンエックスでは、「しなやかな都市インフラ管理を支えるデジタル基盤をつくる」ために新たな人材を採用しています。カジュアル面談を随時受け付けておりますので、ご興味をお持ちいただいた方は「Wantedly」もしくは前田のX(旧Twitter)まで直接ご連絡ください!
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