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秋田県産キイチゴに魅了され産地ブランド化に挑戦する菓子ブランド「くら吉」、商品開発のみならず地域と生産者への貢献を目指すプロジェクトの裏側

著者: 株式会社ゆう幸

#スイーツ #誕生秘話 #地方創生 #くら吉 #和菓子 #洋菓子 #あきたフランボワーズミニョンヌ


職人による手作りのお菓子を追求する「くら吉」、秋田県産素材へのこだわり

 株式会社ゆう幸(本社:秋田県秋田市御所野下堤3-2-3 代表取締役会長兼社長 佐々木幸生)は、くら吉ブランドの菓子製造を行なっております。くら吉は、こだわりの地域素材を活かした創作菓子をコンセプトとして、本店のある秋田県仙北市・角館の他全国7店舗の百貨店食品売場いわゆるデパ地下にある直営店舗にて菓子を販売しております。

 その特長は、菓子に使用される素材・フルーツにあります。粒の大きさでも知られる秋田県仙北市西木産の西明寺栗のなかでも、栽培方法にこだわる赤倉栗園の善兵衛栗や、秋田県上小阿仁村産の食べられるほおずき・コアニスイーツホオズキの他、日本一の生産量を誇る秋田産のラズベリーのなかでも秋田県立大学の栽培技術指導の下当社専用圃場で栽培されたあきたフランボワーズミニョンヌを活用するなど地域素材にこだわった菓子を展開しています。くら吉が選び抜いた素材を使用し、職人が一つひとつ手作りをすることで、高品質な菓子を提供しております。今回は「フランボワーズミニョンヌ」を用いた商品開発のストーリーととともに、秋田県産キイチゴの生産を通じて実現したい地元農業への貢献、地域活性化への想いについて、代表の佐々木がお話します。

代表取締役会長兼社長 の佐々木

くら吉角館本店


秋田はキイチゴの収穫量が日本一。秋田県産キイチゴの希少性や高品質を打ち出したスイーツを開発したい

 当社代表取締役会長兼社長の佐々木が、生産者から秋田県産キイチゴの紹介を受け、その味もさることながらそのクオリティにも魅了されて興味をもったことが始まりです。調査によると秋田では2008年から秋田県立大学と複数の生産者との栽培実証研究が開始され、「あきたキイチゴ利活用研究会」(会員数約160名)が組織されるに至るなどキイチゴ栽培の環境があることが明らかになりました。また農林水産省の統計によると、キイチゴの収穫量は秋田県が日本一のシェアを誇ることがわかりました。



 早速、秋田県立大学が秋田各地の地方自治体との共同研究でキイチゴ栽培の実証研究を行なっている旨情報を得て、同大学を訪ねて話を伺いました。同大学生物資源科学部アグリビジネス学科兼アグリイノベーション教育研究センター今西准教授とともにご対応いただきました同大学生物資源科学部アグリビジネス学科林准教授から秋田県でのキイチゴ栽培の歩みに関してご説明いただきましたところ、秋田県でのキイチゴ栽培は五城目、能代、大館・田代地区、仙北市などで行われており、県内各地域で生産者による組織が形成されているとのことでした。その一方でキイチゴの利活用は地域の一部菓子店や道の駅でのジャムの販売などに限定されており、生産者としても大きな収入源とはまでは確立していない状況でした。

 さらに、日本国内でのキイチゴの活用事例を調査すると、キイチゴの生の果実は実が痛みやすいため流通は多く見られず冷凍の果実は輸入物がほとんどでした。加工品とりわけスイーツの分野でも国産など産地を表示したキイチゴを使用した商品は多く見られませんでした。

 秋田県産キイチゴが高いポテンシャルを持ちながらも知名度や利活用が追いついていない現状を知り、くら吉で秋田県産キイチゴの希少性やその高い品質を打ち出したスイーツを開発したいと思ったのがキッカケになりました。

秋田県産キイチゴ「あきたフランボワーズミニョンヌ」


地域貢献と生産者へ想い。目標は国産キイチゴの産地ブランド化

 くら吉では、この事業を単に秋田県産キイチゴの菓子商品開発・販売事業のみを行うものとは考えていません。当然のことですが、企業として自社の売上や利益の向上、従業員への還元、雇用増加なども目的としています。しかしながら、それだけではなく、地方人口の高齢化や農業の後継者難など、多くの問題を抱える地域経済や生産者の経済活動にも資する取り組みとしていきたいと考えています。

統計によると、秋田県は国産キイチゴ収穫量日本一(2020年農水省統計)ですが、さらに国産キイチゴといえば秋田といわれるような産地ブランド化を推進する取り組みとしていくことを目指しています。

 

◆くら吉・秋田県立大学・生産者が連携協定。秋田県産キイチゴの高品質化を担保する仕組みづくり

 始めに事業スキームを検討するところからスタートしました。既存の生産者・販売組織とくら吉以外の販売先との棲み分けをいかに図っていくかが重要なポイントの一つでした。くら吉以外の販売先には1kgあたり2,400円の単価にて販売していた生産者が多く、秋田県立大学の調査によると売上からコスト試算した場合、生産者の栽培に対する対価が低く(時給800円程度)秋田県の最低賃金891円(2023年)を大幅に下回っていることがわかりました。当社の利益だけでなく生産者の利益にも資する取り組みとしたいと考えていたところ、秋田県立大学から提案されたのは「登録圃場」とそれに伴う取引全体の環境づくりでした。

 生産者には自ら有する農園のうち一部を当社専用の圃場として登録してもらうこととし、秋田県立大学の作成した栽培・出荷基準に基づいて栽培をし、日々の生産履歴を記帳してもらい、出荷時には生産履歴も含めて提出してもらうなど、一連の仕組みをくら吉及び秋田県立大学、生産者の3者による連携協定を結ぶことで高品質化を担保する仕組みづくりを行いました。生産者においては当社専用の高品質な秋田県産キイチゴ「あきたフランボワーズミニョンヌ」を市場価格よりも高値で全量買取が契約され、かつ秋田県立大学の栽培技術指導が得られるといった環境で安心して栽培に取り組むことができます。秋田県立大学には当社から研究資金を拠出することで3者が連携した取り組みを行うこととしました。

 一般的に中小企業が取り組む内容を超えているのではないか、行政や各種団体が取り組むべきこととも思いましたが、このままでは国内屈指のキイチゴ産地が崩壊にもつながるのではないかという危機感をいだいておりましたので、事業を前に進めることとしました。


秋田県立大学、株式会社ゆう幸、ラズベリー生産者の連携事業協定書締結式

 連携事業の概要と仕組み

 ・くら吉専用の登録圃場にて、栽培・出荷基準に沿って栽培された秋田県産キイチゴを

  「あきたフランボワーズミニョンヌ」と呼称する

 ・生産者に対し秋田県立大学による栽培・出荷基準が示される他、圃場におけるフィー

  ルドワークにおける栽培技術指導が行われるなど、安心して栽培に取り組める環境が

  整備される

 ・秋田県立大学には当社から研究資金が拠出される

 ・当社、生産者、大学が一堂に会し栽培技術向上と産地ブランド形成に向けた会議「あ

  きたフランボワーズミニョンヌ推進会議」を開催するなど一体となった取り組みを実  施する


 このように秋田県内生産者から菓子の素材を高値で購入することで、生産者の所得向上効果や1次産業への波及効果が期待でき、さらには高品質な秋田の素材を使った菓子を首都圏・大都市圏を中心とするデパ地下にある常設店舗を中心として販売を行い、地域経済の持続可能性を高める取り組みを行っております。当社ではこのような秋田県内生産者の生産活動を持続可能なものとする体制づくりを、積極的に推進しております。


 このビジネスモデルが、持続可能な生産及び消費のシステム構築を目指し、持続可能な開発目標(SDGs)の目標(9番・産業と技術革新の基盤をつくろう、15番・陸の豊かさも守ろう)にも叶う事業であると評価されて、2022年12月にはアグリビジネス投資育成株式会社から「特色ある地域食品産業の創生に取組む地域ビジネスモデルの育成」(※)として、出資を受けました。


(※)「特色ある地域食品産業の創生に取組む地域ビジネスモデルの育成」選定理由。

ゆう幸は、「安心・安全かつより良い素材」を生かした菓子を手仕事で丁寧な生産を行い、顧客に届ける企業であり、高い付加価値を持った商品は、素材の仕入れにおいても価値に見合った安定した購入を可能とし、連携する生産者の所得向上につながっています。弊社(アグリビジネス投資育成株式会社)は、これらのビジネスモデル、およびこれを経営として実現する製品開発力や佐々木氏のリーダーシップを評価して投資いたしました。




◆秋田県立大学と共に 「推進会議」を開催。需要に応えた生産増収と品質向上へ

スイーツの需要が旺盛なのに対し、そのスイーツの材料となるキイチゴの供給が追いついていないことが現状の課題です。くら吉専用に圃場を登録している生産者は現在秋田県内に10者ほどおります。当初は1件の生産者との取り組みからスタートしましたので、圃場を登録する生産者は増えましたがそれでもキイチゴの生産が追いついていない状況です。今後はさらにキイチゴ生産者の登録圃場の面積を拡大していただきながら、さらに事業参加者を増やし、品質を維持・向上した上で増産体制を構築していくことが課題となっています。

実際に事業を行なっている上で、注視していることは生産者の栽培技術水準を平準化させることです。秋田県内一部地域では、2008年から生産者と地元大学との実証実験事業が行われてきましたが、秋田県立大学の栽培技術指導があまり行われてこなかった地域の生産者の栽培技術水準と熱心に生産者と共に活動してきた地域とは、必ずしも一定であるとはいえませんでした。また、新規参入者もおり、意識改善を図ってもらう必要があると感じる場面もありました。

その点、秋田県立大学による定期的な圃場巡回の際に生産者への技術指導の他、生産者相互の親睦と情報交換も目的として「あきたフランボワーズミニョンヌ推進会議」を定期的に開催することにて生産者の意識や技術力向上を図る取り組みを行なっています。このような一連の取り組みを行うことで産地ブランド化を図ることと高品質なキイチゴを増収するためのサイクルを回しています。


あきたフランボワーズミニョンヌ推進会議


◆「あきたフランボワーズミニョンヌ」を使ったスイーツ。全国の百貨店に展開

品質を高めた秋田県産キイチゴ「あきたフランボワーズミニョンヌ」を使用して、くら吉ではスイーツを開発しています。例えば、KURAKICHIあきたフルーツクッキー缶、あきたフランボワーズミニョンヌウィッチ、あきたフランボワーズミニョンヌゼリーなど多岐に渡ります。前段に記載した通り、キイチゴの収穫量が充分でないため通年を通してすべてのスイーツは展開できていませんが、今後はキイチゴの増産に伴ってバリエーションも増やしていく予定です。

販売店舗は、くら吉角館本店の他、百貨店内直営店舗(くら吉西武秋田店、くら吉仙台藤崎店、KURAKICHI松屋銀座店、くら吉渋谷東急フードショー店、くら吉阪急うめだ店、くら吉西武池袋店、くら吉玉川髙島屋S•C店)にて取り扱いをしています。(各店画像)各店舗ごとに取扱商品が異なります。


KURAKICHI あきたフルーツクッキー缶(大缶) 4,860円(税込)


あきたフランボワーズミニョンヌウィッチ 1個 270円(税込)



あきたフランボワーズミニョンヌゼリー 1個 648円(税込)

 



くら吉玉川髙島屋S•C店


くら吉渋谷東急フードショー店


◆阪急百貨店と共同で開発した、黄色品種のキイチゴソースの限定ゼリー


「黄色い品種のキイチゴがあることはご存知でしょうか?キイチゴには赤い品種以外にも黄色や黒色の品種があり、くら吉専用の圃場では4品種(赤色(夏獲れ品種、秋獲れ品種)、黄色、黒色)が栽培されています。秋田県産キイチゴ「あきたフランボワーズミニョンヌ」の深い魅力をお客様にお伝えしたく阪急百貨店と共同で開発したのが黄色の品種のキイチゴソースを秋田自然遺産の白神山地の伏流水を使用したゼリーに添えてお召しあがりいただく「あきたフランボワーズミニョンヌゼリー(阪急限定商品)」です。

(価格:4,860円(税込、6個入))


くら吉阪急うめだ店


◆産地ブランド化を目指すとともに、生産者支援・育成のさらなるサポートを

今後の展望としては、菓子作りのみならず「国産キイチゴといえば秋田」と多くの方に認知いただけるよう産地ブランド形成に資するような事業にしていきたいと考えています。

栽培面積や収穫量拡大だけでなく、事業に参加する生産者の人数を増やし、クオリティを担保しつつ供給数を向上させてくら吉のスイーツ以外にも利活用を促進するなど産地ブランド化を図っていきたいです。さらには生産者の支援・育成を地元大学の指導を仰ぎながら、生産者とともに地域経済の持続可能な生産及び消費のシステム構築する計画としています。

決して当社の利益のみを追求せず、地域・生産者への経済的な貢献も意識した菓子作りを通して、地方都市とりわけ秋田県で深刻化している後継者難や高齢化など、地域の生産者が抱える課題の解決に資する事業にするべく、この取り組みを拡大していきたいです。


参考事例:https://prtimes.jp/story/detail/bDz517TLJjx






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