「NTT GROUPサステナビリティカンファレンス2023」で最優秀賞及びMVPを受賞!AI技術で子どもの「命」を守るNTTテクノクロスのサステナビリティへの取り組みとは?
2024年6月10日、NTTグループ各社が取り組む持続可能な社会に貢献する施策を披露・共有する「NTT GROUPサステナビリティカンファレンス2023」において、NTTテクノクロスが最優秀賞を受賞しました。この賞は、世界22の国と地域からエントリーされた149件の中から選ばれた最優秀賞6施策のうちの1つです。さらに最優秀賞6施策の中から表彰式でのプレゼンにてMVP3施策が決定し、同社の「AI技術で子どもの「命」を守る」がMVPに選ばれました。
NTTテクノクロスは、全社のサステナビリティ目標として、「高い倫理観と最先端の技術・イノベーションに基づくIOWN構想の推進により、「企業としての成長」と「社会課題の解決」を同時実現し、「持続可能な社会」を実現する」を掲げて、取り組んでいます。
今回受賞したのは、同社のコールセンター向けのAIプロダクト「ForeSight Voice Mining(以下、FSVM)」を活用し、児童相談所の相談員の業務効率化支援と、虐待の早期発見や迅速対応に向けた取り組みです。どのようにしてこの取り組みが実を結んだのか、その足取りをご紹介します。
■子どもの命を預かる児童相談所が抱える大きな課題とは
近年社会問題となっている児童虐待、2022年度における全国の児童虐待相談対応件数は21万9170件と32年連続で過去最多を更新しています。(※出典:こども家庭庁)
そのような中、江戸川区児童相談所「はあとポート」は、2020年4月に開所されました。日々、多くの相談が寄せられており、2020年度の相談件数は5216件で、そのうち虐待相談は2042件と、一つの児童相談所で受ける件数としては全国でも上位にあたります。総合窓口には1日に200~300件ほどの着信があり、職員の方々の業務負荷が課題になっていました。
江戸川区などの児童相談所は、子どもやその家庭をケアするための十分な時間が取れないという大きな問題を抱えていました。援助課 援助調整係の横山智哉係長は「このままでは身が持たない、いつかミスが起こってしまうのではないか」という危機感を感じ、電話応対・記録業務の効率化やノウハウの継承を図る仕組みづくりの検討を始めていました。
■児童相談所、児童福祉専門家、IT専門家の3者が一体となった、日本初となるプロジェクトの開始
第一に、業務繁忙を招いている電話応対およびその記録業務の効率化をしなければと考えた横山係長と、児童福祉の専門家である獨協大学の和田一郎教授は、NTTテクノクロスに電話応対効率化に関する製品があることを知り、プロダクトの営業を担当していた、角に連絡を入れました。
「横山係長や和田教授から虐待に苦しむ多くの子どもがいること、そして限界を超えて働く児童相談所の実態を教えていただきました。何かできないかという思いと同時に、まさにNTTがやるべき仕事だと使命感を抱きました。」(角)
ここから、児童相談所、児童福祉の専門家、IT専門家の3者が課題解決に向けて一体となり、日本初となるプロジェクトが動き始めました。
■ForeSight Voice Miningの導入と挑戦
営業担当の角は、児童相談所の現場での課題に立ち向かうため、まずは虐待の実態について学び、相談を重ねました。そこで明らかになったのは、電話応対業務と後続の記録作業の負担、そして急増する相談件数に対応するための職員稼働の不足でした。私たちのプロダクトの中から、特にFSVMが、これらの課題を解決する鍵となる可能性があると考えました。
しかし、児童相談所というNTTテクノクロスとして初めての領域への導入は、本当に職員の負担を軽減できるのかという懸念もありました。そこで、江戸川区や和田教授の協力をいただいて効果を検証するための実証実験を進めながら、課題解決に向けた活用方法を見出していきました。
そうした取り組みが実り、2022年1月、ついに本格運用が始まり、課題解決への大きな一歩を踏み出しました。
■児童相談所が抱えていた課題の解決に大きく貢献。社会を変えるチャレンジへ
運用を始めた後も、角は頻繁に現場を訪れ、実態を把握するためのアンケートやインタビュー等を実施しました。利用状況や職員の習熟度に応じた個別の操作説明を行いながら、導入による業務の変化を実感してもらえるよう尽力しました。
課題である電話応対と記録作業の軽減は、重要事項や回答を自動表示することや、聞き取り項目の自動チェック機能、そして、通話内容を文書保存することにより実現しました。横山係長からは、FSVM導入により電話応対と記録作業の効率が格段にあがり、経験の浅い職員でも対応が可能になったと評価いただいています。
「何よりも、子どもや保護者と向き合うための時間を創出できたことが、大きいと思います。」(横山係長)
今回最優秀賞を受賞した「NTT GROUPサステナビリティカンファレンス2023」では、「重要度や緊急性の⾼い通話が即時に上司にエスカレーションされ、虐待の早期発⾒と迅速な対応ができ、トラブルを事前回避できるようになった点」が大きく評価されました。また、職員⼀⼈あたりの業務を⽉間約10〜20時間以上削減することに貢献した点も授賞理由の一つでした。
「綿密な打ち合わせとチューニング作業を繰り返し、児童相談所が必要とする機能の追加や音声認識能力向上を実現しました。チームメンバーと共に努力した結果が今回の最優秀賞受賞に繋がり大変嬉しいです。」(角)
そして、今回の江戸川区児童相談所へのFSVM導入の取り組みは、全国初事例として多くのメディアから問い合わせがありました。和田教授は、「児童相談所にAIプロダクトを導入した画期的な取り組みについて、驚嘆の声を多く聞いた。」と言います。
「社会を変えるという一番困難なところにチャレンジしていただいたことに、とても感謝をしています。」(和田教授)
■児童相談所導入の実績をさまざまな社会課題の解決に繋げたい
角をはじめとしたNTTテクノクロスのメンバーは、児童相談所が抱える課題を解決するため、現在もヒアリングを行いながら必要な機能を拡充しています。例えば、通話件数や、緊張度が高い案件の対応数などを可視化して、労務管理に役立てられるデータ分析機能の検討を進めています。
また、一人でも多くの子どもたちを救うきっかけとなることを願い、FSVMの導入促進に向けて広報活動を積極的に行っています。既に金沢市や八王子市をはじめとする全国9か所の児童相談所に展開され、児童虐待の予防と早期発見・対処に貢献しています。
さらに、児童相談所だけでなく、警察、消防、福祉など多くの機関からの関心が寄せられ、NTT東日本、NTT西日本といったグループ会社と連携した複数の実証実験が進行しています。NTTテクノクロスは今後も公共機関や地域社会と協力し、社会課題の解決に向けて貢献していきます。
サステナビリティ推進担当と受賞メンバー
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