自然音と最新技術の融合!癒しのサウンドに特化したオーディオプレーヤー「ON・YU」誕生秘話。
コルグは、1963年創業のシンセサイザーや電子ピアノ、楽器用チューナーまで数多くの商品を製造している電子楽器メーカーです。1975年には針式チューナーを開発、また1980年代にはまだPCでの音楽制作が一般的ではなかった時代に、1台で楽曲制作を完結できるキーボード「M1」をヒットさせるなど、多くの商品をリリースしグローバルでユーザーを獲得してきました。
そんな我々がこれまでとは全く異なるジャンルへの挑戦として、癒しのサウンドに特化したオーディオプレーヤー「ON・YU」(音癒、おん・ゆ)をMakuakeにて発売いたしました。発売までの経緯を、開発担当の柳沢隆晃(技術開発部・技術開発課)よりご説明します。
コルグの革新性が光る新製品「ON・YU」登場。音の広がりを追求したON・YUの開発背景。
私はこれまで音響機器メーカーや自動車メーカーで一貫して音の制御や測定の研究に携わっており、コルグでも引き続き音の制御に関わる研究開発を行ってきました。その中で音像の制御は主要なテーマでした。音の広がり感・音の方向・音に包まれる感じに関する研究です。
研究の成果は実際に聴いてもらう必要があります。そこでより大きい可能性を感じてもらうため、当初は必要以上に造形・大きさ・材質にこだわったデモ機を作りました。より良い音色の為には大きいスピーカーが良いのは明らかですが、この技術で驚きを与えるためにあえてON・YUのデモ機では小型スピーカーを使いました。結果、片手に乗る小さなオブジェから想像を超える広がりのある音が出るスピーカーは、社内外でとても好評でした。
コルグは楽器メーカーとして世の中にないユニークな製品を数多くリリースしている背景もあり、社内からこのデモ機を商品にしよう!という話が出たのがON・YUの始まりです。ただ、これまでコルグとして扱ったことのないジャンルの商品でもあり、実際の商品化には多くの時間が掛かりました。
今回発売するON・YUは造形・大きさはデモ機と同じですが、機能・操作はシンプルにしました。誰にでも簡単に体感して頂きたいと考えたからです。また、デモ機の木工筐体はマホガニー、メイプル、アッシュで作りました。ON・YUの開発段階ではウォールナットやケヤキなどでも試作し吟味を重ねた結果、家具やギターにも使われている木目の美しいサペリを採用しました。
最近デジタル疲れという言葉もよく耳にするようになりました。仕事や家事の合間に一息つきたいとき、1日の終わりに頑張った自分を労わりたいとき、ストレッチ・ヨガ・読書や瞑想などのお供としてぜひスマホには手を伸ばさずにON・YUを使って頂けたら嬉しいです。
音の位置を再現するAcoustage技術の仕組み。自然な音色を実現するための音響最適化。
ON・YUのような環境音が流れるオーディオプレーヤーは多く市場にありますが、ON・YUはバーチャル・サラウンド・テクノロジー「Acoustage(R)」により想像を超える広がりのある音が周囲から聴こえる事が最大の特徴です。
人間は左右2つの耳によって、目を閉じてもどこで音が鳴っているか大体わかります。例えば、右で猫が鳴いている場合、まず右の耳に音が届き少し遅れて左耳に届きます。音の大きさも右の方が大きく左耳が小さくなりますが、単に大きさが変わるだけでなく頭での回り込みや耳での反射などで音波の波形も変わります。それらを総合的に感じ取り猫のいる場所を知覚します。逆に言うとその音を両耳に与えれば、右で猫が鳴いていると認識させる事が出来ます。ヘッドホンでのバイノーラル再生と同じです。
ON・YUではこの状態をスピーカーで実現します。左右のスピーカーから出た音は空間で足したり引いたりされながら聴取者の両耳に到達します。この時、左右の耳に猫が右で鳴いているのと同じ信号が届く様に計算した音をスピーカーから出すことで、スピーカーの無い方向からも音が聞こえることができます。
この技術の基礎は昔から知られておりフロント・サラウンドのホームシアターなどにも応用されていますが、Acoustageでは独自に開発した測定方法とこれまでの知見に基づいたシステム全体の位相や周波数の最適化を行うことで、自然な音色と従来より洗練された高い効果を実現させています。
Acoustageで実現するオブジェクトベースとアンビエントの融合による音場制御。
Acoustageには研究中の物も含めいろいろなバージョンがあります。例えば、コルグ輸入取扱ブランドのVOXのギター・アンプAdioなどで採用されたAcoustageはステレオ音源を左右のスピーカーより外側に広げるリアルタイム処理です。左右チャンネルの相関を監視しダイナミックに広がりを制御しています。少ないリソースでも高い効果を得るように工夫されています。
ON・YUのAcoustageは、空間に音をちりばめる一番潤沢な処理を施しています。オブジェクト・ベースで個別の音を制御する処理や、空間の広がりを創るアンビエント処理などを組み合わせて制作した音源を内蔵しています。オフラインでの演算なので、複雑な演算はコンピュータで行う事が可能です。この様に制作されたON・YU専用音源を内蔵しています。
またAcoustageは、自社製品への応用だけでなく信号処理IPとしてゲーム機器などのB2Bやアーティストのインスタレーション・アート作品に提供してきました。2017年にはソフトバンク社「Pepper」へのコンテンツ提供も行いました。(出典)ゲーム機に採用された処理はマルチ・チャンネルのインタラクティブなリアルタイム処理です。
自然音を収録したON・YUのこだわり音源。天候と時間を見極めた最適な録音手法。
ON・YUのコンテンツ(内蔵音源)もこだわって作りました。鳥・小川・波・虫などの自然の音は自分達で収音した音を使っています。
録音はAcoustageでの効果を余すところなく出すために、ステレオ、モノラル、バイノーラルなど、ソースごとに最適な方法を使い、八ヶ岳・富士山周辺・三浦半島と様々な場所で行なっています。録音時の気象状況や風の影響を受けますので、ベストのコンディションで収録するのに多くの時間を費やしました。音によっては日の出頃だけしか録れない音もあり時間との勝負です。四季それぞれ音も異なります。収録は私1人で行うこともあれば、サウンド・データ課という音源制作の部署と一緒に行くこともありました。一部は海外のスタッフが録った音も使っています。
こうやって録った音からノイズを取り除き、DAWでAcoustageの処理を行いミックスします。信号処理には社内で内製した各種プラグインも使用しています。希望する効果の実現のために必要な処理のプログラムを作る事もあります。
音楽はON・YUのために社員や協力アーティストに作ってもらいました。スタンダードな楽曲は社内の音源を使用しています。クリスタルボウルは奏者をお招きし、社内のスタジオで最適なマイクロフォンの設置方法を模索しながら録音しました。このように、楽器メーカーであるコルグの強みを最大限活かし、制作を進めました。
音像の立体感にプロからもお褒めの言葉。新領域でのコンテンツ開発も視野に、さらなる挑戦へ。
ON・YUのお客様の主なターゲットとして施設や店舗のBGMとして使って頂きたいという思いがあります。実際ヘッドスパサロンに導入して頂いているのですが、想像以上にお客様は使用する楽曲の権利関係を気にされているということが分かりました。そうした心配はこの商品については無用ですし、なにより再生ボタンを押すだけで簡単に空間演出ができるのでさまざまなシーンでお客様に喜んで頂けると自負しております。
また、楽器メーカーであるため様々なアーティストの方に商品を試して頂きましたが、皆様一様にON・YUの音像の立体感に驚きとお褒めの言葉を頂いております。プロの方からもそのようにおっしゃって頂けることでより商品の自信を深めることができました。
前述の通りアーティストの方にも大変関心を持って頂いており、ON・YUのサウンド・コンテンツとコラボレートしたライブ・パフォーマンスも行いました。
また、インスタレーションなどアートの領域とも非常に親和性の高い技術でありますので、そうした分野に特化したサウンド・コンテンツの開発を目論んでおります。
コンテンツに関しては、今回は初の商品ということでわかりやすく「癒し」とのテーマになりましたが、種類・音色・効果などまだまだ試したい事があります。すでに様々な音のリクエストを頂いておりますので、あらゆるお客様の音のニーズにフィットするサウンド・コンテンツや商品をこれから手掛けていきたいと考えております。どうぞご期待ください。
■ON・YU 製品ページ
■株式会社コルグホームページ
■クラウドファンディング「Makuake」
プロジェクト名:自然の音に包まれる癒し空間サラウンドBGMプレーヤー ON・YU(音癒)
https://www.makuake.com/project/on_yu/
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