地球のために、プラスチック使用やフードロスを最小限にし、美味しさを最大限に保ちたい - 食品パッケージの進化で実現
東京(銀座)と茨城(つくば)を拠点に、全国に支店を持つムルチバック・ジャパン(株)は、ドイツ資本でありながら、多数の食品会社をはじめ、メディカル、工業製品・電子部材関連企業に製品を納入してきた包装機械・食品加工機械メーカーです。ユーザー企業や包材フィルムメーカー各社と協力し、日本の特性に合わせた包装形態やフィルムを開発しています。
今回は、食品パッケージにまつわるチャレンジと進化について、お話をさせていただきます。
見た目の美しさと機能性を兼ね備えた日本の食品パッケージ。地球環境のために新たな試練に立ち向かう
例えば一見普通にラップをかけたように見えるすり身製品のパックですが、実は窒素ガスを充填してシールされています。下記写真のように、ラップ掛けのように盛り上げてパックを見せる、「ボリュームMAP」というパックスタイルも可能です。これは品質の劣化の主原因となる微生物繁殖による腐敗、油脂などの酸化を抑制するように包装されています。
こうした技術や工夫は、日本の加工食品パッケージに広く採用されています。
すり身製品の「ボリュームMAP」包装。簡単に見える包装にも、隠れた工夫が詰まっています。
日本のスーパーマーケットで見られる精肉や鮮魚などの生鮮食料品は、発泡スチロールなどのプラスチックのトレーに、ラップをかけたシンプルな包装で販売されるのが従来型のスタイルですが、加工食品は総じて、カラフルな印刷が施されシールも綺麗な仕上がりであることから、海外からも非常に高い評価を受けています。
このような魅力的な包装をつくるため、ムルチバック・ジャパンでは、それぞれの商品に最も適した包装機械、フィルムの材質やパッケージデザインを、つくば工場(茨城県つくば市)や各支店で食品メーカーの方々とテストを重ねて決定します。
ドイツから届いた包装機械は、つくば工場でカスタマイズやテストを行い、ターンキー(すぐ稼働できる状態)で食品メーカーの工場に納入し、納入後も調整を行い、美しく機能的なパッケージングが実現出来るようにしています。
ムルチバック・ジャパン つくば本社工場の様子
使い捨てプラスチックごみの第一位は、包装容器。包装機械メーカーとして、何をすべきか
ところで、全世界の使い捨てプラスチックの用途は、包装容器が全体の40%近くを占め、第1位です(国連環境計画(UNEP):Single Use Plastic sustainability factsheetより)。日本のご家庭でも、プラスチックごみのほとんどは飲食料の容器でしょう。
ですから、食品のパッケージの見直しと、広く認知されるようになったプラスチック削減は、切り離せない課題となっています。
ムルチバックの本社があるドイツなどのEU諸国では、どのような取り組みがされているでしょうか。
加工食品も生鮮品も、プラスチック削減の観点から、いち早く食品パッケージに関する規制やガイドラインが続々と制定されています。例えば、ドイツではテイクアウトやデリバリー用の食品・飲料容器のリユース促進が進んでいたり、フランスで野菜・果物のプラスチック包装が禁止になったりなど、品目によってパッケージ形態が制限されるなど年々厳しくなっています。
そのような取り組みにより、EU諸国における化石原料由来のプラスチックの生産量は、2017年以降減少しています。日本でも、2022年にプラスチック資源循環法が施行され、2025年までにリユース・リサイクル可能な容器にすることや、2030年までに、容器包装の6割をリユース・リサイクルするなどの、今後の目標も設定されています。
しかしそれでも、世界規模では、2060年にはプラスチックごみは現在の約3倍にも膨れ上がり、プラスチック汚染(漏出)量は2倍になり、地球上のほぼ全ての海鳥や非常に多種の海洋生物などに影響を与えると予測されています(OECD: Global Plastic Outlookより)。廃プラスチックの粒子(マイクロプラスチック)による人体への直接的な影響も懸念されており、プラ削減は、地球全体の喫緊の課題です。
プラ削減、フードロス対策、美味しさのキープ。すべてを叶える包装形態を見つけたい
これらの問題の改善策として、リサイクルしやすいモノマテリアル(単一素材)のプラスチックや、植物由来のバイオマスプラスチックの利活用があります。
しかし、プラスチック削減に向けてパッケージ変更をするとなると、食品の品質保持の観点では、チャレンジもあります。食材によっては、「消費期限や美味しさを保つことができるか?」という、もうひとつの大切な課題であるフードロスの問題と背中合わせになってしまう可能性があるためです。
特に精肉や鮮魚などの生鮮品は、消費期限が短いことから、プラ削減と同時にフードロス削減のための工夫が重要です。
前述のプラ削減に加え、フードロス対応も進んでいるEU圏では、食品メーカーへ、「消費期限延長を可能にし、かつ安全性を確保する包装ソリューションをバリューチェーン全体で取り組むこと」という指針に基づき、各国で活発な取り組みがされています。(EU Platform on Food Losses and Food Wastes : Recommendations for Action in Food Waste Preventionより)
日本でも消費者庁が中心となり、2019年に食品ロスの削減の推進に関する法律が施行され、2020年から2030年までの間にフードロスを半減させる目標があります。
どうにか、このような複合的な課題の解決につながる包装形態を日本の食品用に見つけたいと、ムルチバック・ジャパンでは、欧米のパッケージング技術やノウハウを活かしながら、国内のフィルムメーカーや食品メーカー、小売業の皆様と協力して、開発に取り組んでいます。
スキンパックで、課題解決と魅力発信が実現
EU圏では主に精肉や鮮魚向けに、すでに広く普及している包装形態があります。それは、内容物にしわや隙間を作らずにぴったりと追従する特殊フィルムを用いた、スキンパックという真空包装形態です。
ムルチバックの包装機械を用いてスキンパックされた、
カナダのスモークサーモン製品。
日本でも大手のスーパーマーケットが、精肉や鮮魚用にトレーにラップをかけるだけの従来型のスタイルからこのスキンパックに変更するなど、数年前から増加傾向にあります。
精肉のスキンパックと従来型のトレーのラップがけを比較すると、ある店舗では牛ステーキ用精肉が従来のトレーラップでは消費期限が3日間だったのに対し、スキンパックは12日間と約3倍~4倍もの消費期限の延長が実現しました。
これは精肉自体の初発菌管理が最重要となりますが、パッケージをスキンパックに変えて特殊フィルムを内容物に密着させることで、生鮮品の液汁や細菌等の増加を大幅に抑制することができ、その分美味しさも品質も長持ちするのです。
ご家庭でも新鮮なまま冷蔵庫で保管ができますし、フードロス削減の手助けになります。
スキンパックを施した精肉のサンプル。フィルムが製品にぴったりと密着しています。
また、スキンパックのトレーを、プラスチックの代わりに「ペーパーボード」などの 環境に配慮した包装資材に変更することも可能で、その場合には画期的なプラスチック削減が実現します。
ペーパーボードにスキンパックを施した例。
紙をベースとした原料から作られた「ペーパーボード」は、ヨーロッパのスーパーなどでは定番化しており、近年日本でも増えてきています。
印刷加工等を施せば、内容物の食材がさらに美味しく魅力的に見える効果もあります。限られたショップスペースでも、棚に縦置きをしたり吊るしたり、というディスプレイも可能となり、店頭での発見が楽しくなります。
カラフルな印刷が施されたペーパーボード・スキンパックの例。
日本でも見られるようになってきました。
地球にやさしく美味しさを保持する技術を、身近に見つけて感じていただきたい
食材などを購入する際には、包装容器にもぜひ注目してみてください。スキンパックやMAPのように、美味しさが長持ちし、地球にやさしいパッケージが身近な形で存在しています。
ムルチバック・ジャパンは、ドイツのムルチバック社を中心とする世界的なネットワークを駆使し、スキンパックやMAP等のサステナブルな包装や食品加工のソリューションを皆様へご提供するために、これからも活動してまいります。
ムルチバック・ジャパン(株)ウェブサイト
ムルチバックグループにおける、サステナビリティへの取り組み詳細は
こちらよりご覧ください。
https://multivac.com/jp/ja/company/sustainability
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