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オフィスの荷物管理を変革する「トドケール」。人とモノをつなぐというミッションのもと実現したサービス誕生秘話と未来の展望

著者: 株式会社トドケール



 株式会社トドケールは「人とモノをつなぐ」をミッションに、オフィス領域における荷物のウケワタシの不便を解消し、働き方やオフィスの形を変えるというビジョンのもとに事業を展開してきました。現在はそのミッションに基づいて、オフィスにおける郵便物・配達物管理SaaS「トドケール」およびそれを利用した郵便物・配達物管理BPaaS「クラウドメール室」という2つのサービスを展開しています。


 株式会社トドケールは2020年7月において、日本生命傘下のベンチャーキャピタルであるニッセイキャピタルが主催するアクセラレーションプログラム「50M」に採択されたことで、それまで主力の事業であったデジタルトランスフォーメーションコンサルティングから現在の事業へと業態を転換しました。


 このストーリーでは株式会社トドケールの創業者であり、代表取締役CEOである野島剛が世間にあまり知られていないオフィスにおける郵便物や配達物等の荷物管理の課題、それを解決するためにトドケールがどのようにビジネスを展開してきたか、そしてその先に何を目指すのかをお伝えしたいと思います。


【野島剛 プロフィール】

早稲田大学法学部を卒業後、世界4大コンサルティングファーム(BIG4)の一つ、PricewaterhouseCoopersでコンサルタントとして10年勤務した後、University of California, Irvine, Merage SchoolにてMBAを修了。卒業後、カリフォルニアの投資ファンドおよび宅配ロッカースタートアップにて勤務し、帰国後にトドケールを創業。公認会計士・税理士・日本証券アナリスト・応用情報技術者・運行管理士(貨物)。

リモートワーク時代の郵便物・配達物管理の課題とは?

 オフィスにおける郵便物や配達物の管理といっても、総務の業務に馴染みがない方はそこにどんな課題があるのかピンと来ないと思われますが、今、ハイブリッドワークの推進やリモートワークの普及など、働き方改革の中でオフィスに届く郵便物や配達物について受け取る社員および管理する社員である総務ともにそのウケワタシに課題を抱え始めています。


 例えば、郵便物や配達物を受け取る立場にあるリモートワークをする社員にとって、オフィスに届く荷物の存在は何らかの形で通知を受けなければ把握することができません。通知がなければ、いずれかの社員はその荷物の存在を確認するために定期的にオフィスへと出社する必要があり、その責任を背負う個人とそうではない個人の間に働き方の格差が発生し不満が噴出する例や働き方改革により実現しつつある柔軟な働き方の恩恵を十分に受けることができなくなってしまう例が確認されています。


 また、受け取る社員だけなく、管理する総務やメール室にも、リモートワークの普及は課題をもたらしています。これまでであれば、総務が一次受け取りをしたオフィスに届く郵便物や配達物は、宛先別に仕分けられたのちに社員のデスクへ持っていけば良いだけのものでしたが、今の時代においてはリモートワークによりオフィスにいない社員が増加し、ウケワタシまでに時間が掛かります。


 加えて、フリーアドレス制の導入により、荷物を持っていく固定デスクがないという状況が発生し、ウケワタシの業務はチャットツールや電子メールなどでの通知という、これまでなかった業務が発生するようになりました。そして、受け取りまでの日数が増加したことで、放置される荷物の紛失のリスクが高まり、紛失の防止や問合せへの対応のために、紙やスプレッドシートへ記入を行うなど、総務・メール室の管理工数が増加しています。

柔軟な受け取り方法を実現するトドケールのシステム

 トドケールはリモートワークやハイブリッドワークがニューノーマルとなった働き方における、総務やメール室の煩雑な庶務作業を自動化します。スマートフォンにインストールするアプリで郵便物や配達物の写真をとるだけで、システムが写真に含まれる宛先の情報などを読み取り、台帳を自動作成して、宛先情報から荷物の到着を受取人に電子メールやSlack、Teams、Chatworkといったツールで通知することができます。

トドケール導入でどこでもウケワタシが可能

 これにより、個別に社員に電話やメールを送り、その荷物の記録を紙やスプレッドシートに記入するという作業は必要なくなります。また、記録はすべてデータで保存されているため、社員から荷物の到着やウケワタシの記録に関する問合せがあったとしても、宛先(受け取り手として記載されている社員)や送付元の情報などから検索することで即時に回答することができます。


 トドケールを利用している企業においては、荷物を受け取る社員は電子メールやチャットの通知からトドケールのシステムにアクセスし、受け取る方法を選択することで、自分の都合に合わせた受け取り方を選択することができるようになっています。

受け取りシミュレーション


 例えば、郵便物であれば、メール室や総務に開封を依頼して、内容物をPDFで受け取ることや自分の自宅近くのサテライトオフィスへとい転送を依頼の上、受け取るなどの選択肢をユーザー企業の自由にシステムに設定し、受け取る社員はそれらのオプションを選択することができるため、ハイブリッドワークの導入による働き方の柔軟性の恩恵を受けつつ、業務上必要となる物理的なモノへの対応が可能となるのです。

トドケールを使ったウケワタシのフロー

プロダクトがない状態でまさかの受注

 ここまでシステムの特徴や内容を詳しく説明してきましたが、このビジネスに興味を持ってくれた人たちに必ずと言ってもいいほどに聞かれるのが、「どうしてこのプロダクトを作ろうと思ったんですか?」という質問です。


 トドケールのビジネスは「人とモノをつなぐ」というミッションのもと、受取を起点に物流プロセス全体の効率化を実現することをゴールとしています。そのビジネスを最初に考えたときに、全体の効率化を最初から目指すためには多くの変化をもたらす必要があること、巨額の資金が必要となることなど、難易度が非常に高いと感じました。では、まず物流全体プロセスのどこか1つから始めようと考えた際に目に留まったのが企業の荷物の受取管理です。


 トドケールの元々の事業はデジタルコンサルティングであったと冒頭で説明しましたが、企業のプロセス改善の依頼を受ける中、総務もその対象になることがあり、コンサルティング業務の中でメール室や総務の業務において大量の郵便物や配達物の管理を紙で行っている現場を目にすることがありました。その現場を改善するために、まずはデータを集めようと思った際に驚いたことは『データが一切ない』ということでした。改善のニーズがあるにもかかわらず、データを収集するといった作業が一切行われていませんでした。また、働き方改革の中でオフィスに人がいないという状況もあり、個別に行われる通知はメールを書いてみたり、電話をかけてみたりと驚くほどアナログな方法で業務を遂行していました。


 思い返せば、私がコンサルティングの会社に勤めていたときには、オフィスに届いた郵便物はいつの間にかレターボックスに収まっており、そこに通知はありませんでした。あまりモノが届くことがない私が郵便物を確認しに行くのは年に2回程度だったため、数か月前の書類がレターボックスに入っていた時にはヒヤッとしたこともあります。配達物が届けば、個別に電子メールで通知がありました。


 こういった業務を自動化するツールとして考えたのが今のトドケールですが、まずはニーズを検証するための初期のプロダクトとして写真をとって通知するだけというシステムを考え、これをウェブサイトに公開したところ、大企業3社から問合せがあり、うち1社がシステムの完成を条件に契約をしてくれました。


 開発は最小の機能を徐々に開発する形で行われましたが、幸いなことに開発段階からその要件に対して意見をくれる企業がすでに数社あったため、実際の業務についても意見をもらいながら開発を進めることができました。

障がい者雇用に貢献するトドケールの働き方改革

 ユーザーとなってくれた企業の方からはたくさんの我々が知らなかった総務メール室の事情を聞くこととなりました。その一つが総務・メール室における障がい者雇用の存在です。システムを提供し始めた際には考えていなかったことですが、このシステムは思いがけずメール室における障がい者雇用の促進にも寄与することとなりました。


 DE&Iを重要視する世界的なトレンドの中、日本においては障がい者の法定雇用率が2024年4月より従来の2.3%から2.5%へと引き上げられ、障がい者を企業において雇用する業務の発掘が急務となっています。あまり知られていないことですが、メール室の業務は障がい者を雇用する業務の1つとなっていますが、近年のリモートワークはメール室の業務を「運ぶ」という単純作業から、様々なツールを用いて連絡や管理を行う複雑な業務にしてしまいました。


 そのため、一部の企業においては、柔軟な働き方にメール室が対応できないという事象が発生していましたが、トドケールを用いた業務では「運ぶ」という業務を「写真を撮る」「書類をスキャンする」という業務に変えることで、障がい者の作業をリモートワークを効率化する価値の高い作業へと変換することに成功しています。

社会の変革を背景に拡大するトドケールの導入

 2024年6月時点において、トドケールの導入社数は社員数が1000名を超える、いわゆるエンタープライズ企業を中心に70社を超え、システム内の取り扱い荷物数はリリースから累計45万個(通)に達しました。現時点では年間約30万個(通)が処理される規模にまで拡大をしています。


 トドケールの導入が進む背景には働き方の変革を後押しする社会的な要因があります。日本の高齢化・人口減少が社会問題化する中、2023年人口動態統計概数値において東京の出生率は0.99を記録し、子育て世代の育児と仕事を両立する負担を緩和するため、2025年には育児介護休業法が改正され、幼いこどもを育てる社員に対するテレワークを含む柔軟な働き方の実現が企業の努力義務となります。


 人口減少の中で労働人口が減少する中、子育ての負担を緩和しながら、女性の社会進出も促すためにはテレワークなどの在宅勤務を可能とする働き方が必須となりますが、物理的なモノへの対応が必要な業務は在宅勤務が可能な業務を限定的にする可能性があります。今や柔軟な働き方を阻害する要因を取り除く投資は企業の人材確保、ひいては日本の経済成長のための成長投資ともいえるのです。


「人とモノをつなぐ」トドケールの次なるステップ

 トドケールは現在、オフィスに届いた荷物を管理するためのツールですが、導入している企業様の多くはより広範な総務・メール室の業務を1つのシステムで対応したいと考えており、ユーザーからは発送物の管理や社内便の管理など、オフィス領域におけるモノの保管や受領、そして移動を管理するツールへの拡張が望まれています。


 元々トドケールのビジネスモデルは「人とモノをつなぐ」というミッションの元、BtoB領域における物流管理のデジタル化を最終的なゴールとしており、現在の受け取りの管理だけではなく、発送の管理、社内便の管理、そして、モノを運ぶ物流機能そのものの提供までを目指しています。その未来を実現するにあたり、トドケールはまずは物流のプロセスの中で、利用者にとって最もペインが深い受取管理からサービスを提供してきました。

 しかし、この受取管理の利用者の方々がトドケールが目指している未来を実現するために必要な機能と同じ機能を要望していることはトドケールの未来が世の中の時流とニーズに合致していることを意味していると考えています。


 なぜトドケールが効率化された物流機能の提供を最終的な目標としたかと言えば、それは増え続けるモノの管理と移動をつかさどる物流機能の再構築という課題が世の中にあると考えているからです。スタートアップは課題があるところにビジネスチャンスを見出して誕生するものですが、私がアメリカで大学院生をしているときに、アメリカにおいてはたくさんの物流サービスのスタートアップが産声を挙げていました。これはAmazonなど大手ECの登場により、物流機能に対する需要が供給を上回りつつあり、その効率化が求められていることを暗示していると思います。


 日本においても、物流機能の維持は重要な社会課題として挙げられています。「2024年問題」と言えば物流の世界に関わりがない人でも聞いたことがあると思いますが、簡単に言えば増え続ける物量と人材の不足によりこれまでと同様の物流機能の維持が難しくなっている状況の中で、2024年に安全管理を目的としてドライバーの業務時間に制限を設ける規制ができたことで、物流の人材不足がより顕在化しているという問題です。これにより、近年、物流の値上げが続いていたり、集荷の受付時間が短くなるなど、物流機能にも大きな変化が起きています。


 この状況の中で人々は物流機能の存続が難しくなってきていることを感覚的に理解している一方、オンラインで様々な業務が完結する中で、それと連動してモノを動かしてくれる高度にIT化された物流機能があることの利便性も高く評価し、それを求めています。トドケールは物流と利用者のどちらかがあきらめるのではなく、物流としての効率性を追求しながら、利用者に提供できる価値を向上させる媒介となり、今後、大量物流時代に置ける社会のインフラとなる物流機能の構築を目指して成長を続けます。

トドケール 会社概要

会社名:株式会社トドケール

会社所在地:東京都千代田区平河町1丁目3番12号 第二秩父屋ビル1階

設立:2018年7月24日

代表取締役:野島 剛

事業内容:

オフィス・館内物流を管理するクラウドアプリケーション「トドケール」の開発・運営

オフィスに届く郵便物をデジタルに通知・管理するメール室業務代行サービス「クラウドメール室」の提供

導入事例:

コクヨ株式会社・コクヨ&パートナーズ株式会社

ENECHANGE株式会社

公式キャラクター:トドの「トドケルくん」

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