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福祉施設利用者の靴選びの大切さ~靴の訪問販売サービス「HOME de SHOES(ホームでシューズ)」

著者: 株式会社チヨダ

日本全国で「東京靴流通センター」や「シュープラザ」など、靴・シューズの専門店を展開する「株式会社チヨダ」。


そのチヨダでは、全国の障害者支援施設や老人ホームなどの社会福祉施設に訪問して、施設利用者の靴のフィッティングや販売を行う靴の訪問販売サービス「HOME de SHOES(ホームでシューズ)」に2021年から取り組んでいます。



本ストーリーでは、サービス開始から3年経ち、少しずつ広まってきたこのサービスを振り返り、福祉施設利用者の方々にとって靴選びがいかに重要なのかを考えてみます。


■福祉施設から相談された靴購入の悩みがきっかけ

きっかけは、ある福祉施設の職員さんから店舗への相談でした。介護施設などの利用者は自分で外出することができないので、靴を購入しに行けないそうです。

普段は、施設に介護用品などを納入してくれている業者から購入するか、職員の方が代理で靴屋に購入しに行くかで対応しているとのこと。


株式会社チヨダ 法人営業部

後藤 浩司 杉崎 彰


相談してくれた職員さんも、その苦労を語ってくれました。

みなさんも経験があると思いますが、靴選びはサイズだけでなく、横幅や実際に履いたフィット感が重要で、靴を履く本人がいない中で選ぶことはとても難しいのです。

購入して施設に持ち帰り、利用者の方が履いてみたところ、足に合わずに再びお店に行って交換しなければいけないこともよくあるそうです。


だからといって利用者さんを靴屋に連れてきても、慣れない環境に落ち着かなかったり、バリアフリーになっていない店舗が多かったりご苦労が多いそうです。いずれにせよ職員の方々の負担は大きく、本来の介護業務に影響が出かねないとのこと。



実は、施設の利用者は、ベッドで寝るとき以外、ずっと靴を履いています。一般の人が自宅では靴を脱いで生活しているのとは、事情が違います。利用者の方にとっては、靴は身体の一部といってもいいのです。

それだけに、靴のフィット感に関しては一般の人たちよりもさらに重要度が増していて、靴が足に合っていないと転倒の恐れが高くなったり、靴擦れの原因になったりします。


ここに私たちは、自社の強みを活かせる可能性を見出しました。


■「来れないのなら、私たちが行けばいい」のひと言から生まれた「HOME de SHOES」

高齢者施設や障害者施設の利用者は、外出しにくい方々が多いのが実情です。


「来ていただくのが難しいなら、こちらから行けないですかね?」

社員のひと言が、すべての始まりでした。


施設にヒアリングしたところ、現状の施設利用者の靴選びの課題として、


  • サイズの合わない靴を履き続けているケースが多い
  • 見栄えのしない既存の介護靴しか履けない
  • 靴の購入で職員の負担が増加


といった問題があることがわかりました。

さらに、当時はコロナ禍で利用者は外出が制限されているという状況にもありました。



ただし、全国に靴専門店を展開、地域密着を掲げている当社にしかできないサービスである、という想いは、担当した部署メンバー全員に共通していました。

なんとか実現させられないかと、知恵を絞ります。


当時の苦労を担当者に聞いてみました。


「新しい事業なのですべてが手探り状態でした。事務的作業も含めてとても時間と労力がかかりましたね。特に全国で展開するために、当社の各地区本部との連携や舵取りに難儀しました。あと特に気を付けたのは感染予防対策です。当時はコロナ渦で、施設にウイルスを持ち込むわけにはいきませんので、訪問スタッフの事前の検査や消毒などとても気を使いました。」(法人営業部 後藤浩司)




  • 施設に合わせた商品セレクトや在庫の確保
  • 各店舗との連携
  • 訪問スタッフの人数確保
  • 運搬車両の手配


数々の課題をクリアして、いよいよサービスがスタートしました。


■サービス開始後の気づきと福祉施設利用者の靴選びの課題

サービスを始めてみると、当然のことですが、うまくいくことといかないことが出てきました。



訪問前に利用者さんの足のサイズを職員さんに測っていただき、持っていく靴を準備します。訪問時は靴の種類やサイズ、カラーなど余裕を持っていきますが、いざフィッティングをすると用意した靴が合わない事も多くあります。スタート当初の頃は急遽、お店に追加の靴を取りに戻るなんてこともよくありました。特に初回の訪問の際は、事前の職員さんとのお打合せが重要になってきます。また、回を重ねるごとに持っていく靴のレパートリーなどもノウハウが増えてきました。リピート訪問をいただく施設に関しては、前回訪問時の利用者さんの足のカルテが残っていますので色々とスムーズに進めることができるようになりました。



施設に訪問した店舗スタッフは、普段の接客以上に注意して対応をしています。

まずは、施設職員さんから利用者さんの普段の様子、生活のスタイル、身体の状況などを細かくヒアリングします。さらに、利用者さんご自身からも、履き心地や形や色の好みなどをうかがって、常に3者でコミュニケーションを取りながら、最適な一足をご提案できるようにしています。


当社には多くのシューフィッター(最適な靴を選ぶ専門家資格)をはじめ、社内資格を持つ靴選びのプロがおり、コミュニケーションを取りながら職員さんに靴選びのポイントや靴にまつわる注意点などをお伝えすることができます。



足がむくんでいらっしゃる方や、障害により足が変形されている方なども多くいらっしゃいます。また装具を付けている方など、フィットする靴、履きやすい、履かせやすい靴を選ぶのに苦労したケースもありました。そんな中でも良い靴をご提案できて利用者さんの喜ぶ顔が見れるのはとても充実感があります。



「新しい靴を買う時って、大人も子供も誰だってうれしくて楽しいじゃないですか。利用者の方にも、とても喜んでいただいて、思わずハグしてくる方もいらっしゃいましたよ。」(法人営業部 杉崎 彰)



特に、子供の利用者さんは、自分の好きな靴を選べることに大喜びでした。男の子はカッコイイ靴、女の子はかわいくてキラキラした靴。ある女の子の利用者さんは、好きな色の靴を選べることにとても感激していました。自分の身に着けるものを選ぶ機会はそう多くないので、ある意味非日常な経験だったのかもしれません。



施設職員さんからも、「施設での普段の生活では見られない、利用者さんの反応が見られて良かった。利用者さんにもいい刺激になったのではないか」という声をいただきました。


もちろん、施設や利用者さんだけでなく、対応した当社のスタッフからは、あらためて靴を選ぶことの楽しさを感じてもらえて、とてもいい経験をできたとの感想が寄せられました。また、足に合った靴を履くことの重要性を知ってもらえること、それによってQOL(Quality of Life:生活の質)が上がっていくことを理解してもらえたことに、大きなやりがいを感じたともいいます。


■靴を提供するというサービスの原点を見つめ直す機会に 地域連携福祉の一環として 

ありがたいことに、一度ご利用いただいた施設からは、リピートでのご依頼を数多くいただいています。また、横のつながりで他の施設さんにご紹介していただくケースも増えてきました。


もっとこのサービスを知っていただいて施設利用者の靴環境を改善したいと、福祉介護業界における日本最大級の商談型展示会「CareTEX東京」に2023年、2024年と出展しました。「えっ?東京靴流通センターが来てくれるの?」などと、施設関係者の大きなニーズがあることを再確認し、以降、お問い合わせも大きく増えました。



これまでのべ159か所(2024年8月末時点)の施設にご利用いただいていますが、ご満足いただけるかどうかは、事前のお打ち合わせがとても重要だと感じています。利用者の方の特徴などを充分にヒアリングすることで、どんな商品を持参すればいいのか、どのようなことを学んでいけばいいのか、しっかりと準備して訪問ができます。施設関係者の方々に利用者さんの靴選びの重要性を再認識していただき、職員さんの負担軽減にもなる「HOME de SHOES(ホームでシューズ)」を一度お試しいただきたいと思っています。



福祉施設で選ばれている「スパットシューズ」の有効性

訪問を重ねるなかでわかってきたこともあります。

高齢者や障害のある方は、履きやすさや脱ぎやすさを優先するあまり、実際の足のサイズよりも大きめを選ぶ傾向にあり、それが靴擦れや転倒などの事故につながる可能性があること。


そこで、当社の人気商品「スパットシューズ」を提案したところ、とても好評をいただきました。



「スパットシューズ」は、かがんだりせず、手を使わずに立ったまま“スパッと”履ける、画期的なシューズです。荷物や子供の世話で手が離せないママ世代や、仕事で脱ぎ履きの機会が多い方々などに大変好評をいただいている当社のヒット商品ですが、高齢や障害の影響でかがむことが大変な方々にも好評だということがわかりました。また、かかとを踏まずに靴を履けるという事で、転倒事故などを未然に防ぐのに有効だという施設職員の方のお声もいただいています。



現在、脚力の弱い車椅子利用や、介護の必要な方々に向けてもっと履きやすいスパットシューズの開発も進めております。


×


「HOME de SHOES(ホームでシューズ)」を振り返り

このサービスを通して、私どもの「良い靴をお届けする」という事業の原点を見つめ直す機会を与えていただいたような気がします。


具体的には、

  • 店舗スタッフのスキルアップ
  • 福祉に関する知識、意識の向上
  • 要介護者に対する靴提案やケアのメソッド
  • 施設と近隣店舗の連携強化
  • アフターケアの充実
  • 地域に根ざした店舗運営の強化

などについて、いい効果がありました。


より多くの人へ、その方に最適な一足をお選びするということが、私たちの最上の喜びでもあるのだということを、あらためて認識するに至りました。その一足が、ご利用いただく方の健康と日常生活の快適さをアップさせるということを、いま一度心に刻んでいきたいと考えております。




「HOME de SHOES(ホームでシューズ)」は、社会や地域への貢献となるだけでなく、当社にとっても多くの気付きを与えてくれる存在となっています。


今後もより利用価値の高いサービスとなるよう、改善を重ねていきます。



■株式会社チヨダ|「HOME de SHOES(ホームでシューズ)」ホームページ

https://www.chiyodagrp.co.jp/special/home-de-shoes/


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